ロイヤルブラックラの種類と味わい
ロイヤルブラックラ 12年
現行のフラッグシップボトル。ラベルかわいいですね。
香りは青リンゴガムのフルーティさとシリアルの香ばしさ、プリン、バニラカスタード。
味わいは青リンゴ、枝付きレーズンのフルーティな甘味、ややオイリー、ポン菓子の香ばしさ、奥にハーブが潜み、後半はドライかつスパイシー。
奥深さはあまりなくフラットですが、バランスがとれた飲み飽きない味わい。
ロイヤルブラックラ 16年
こちらは16年もののロイヤルブラックラ。
12年ものよりも濃厚でリッチな味わいに仕上がっています。
香りは華やかかつフローラル。オレンジとレモンなどの柑橘系グミ、ミント感。
味わいはシェリーカスク特有のアプリコット、レーズン、ドライプラムなどの甘みの後、麦芽ウエハース、スペアミント、後半にココアパウダーのビター、木酢を感じます。
シェリーカスクの美味しいところを詰め込んだ素晴らしい仕上がりのボトルです。
ロイヤルブラックラ 21年
現行リリースされているオフィシャルボトルの中のハイエンドラインナップとなります。
熟したパパイヤやグアバなどのトロピカルフルーツ、カシス、紅茶、干し草、奥にスモーキーさも感じます。
味わいは、リンゴや洋ナシのすっきりした甘みとオレンジピールの柑橘系とビター、ナッツ、蜂蜜、オイリーさ、後半に熟した繊維質なマンゴー、後半はダークチョコのビターが支配します。
ハイエンドラインナップに相応しいリッチで色気のある味わいに仕上がっているボトルです。
ロイヤルブラックラ 10年 花と動物シリーズ
1993年にUD社からリリースされた花と動物シリーズのラインナップ。10年物です。
香りはフローラルかつフレッシュ、干し草、アプリコット、ほんのりとしたスモーク感。
味わいはモルトの優しく香ばしい甘み、ジンジャー系のスパイシー感、クリーミーで、甘さ控えめの焼きリンゴ、ラムレーズンのドライですがウッディでパワフルな余韻。
若さはあるんですが、経年で全く気にならないです。今飲んでみるとめちゃめちゃおいしい。
何よりバランスが秀逸ですね。
ちなみに2004年頃から花と動物シリーズではない10年が発売されています(2015年頃まで)。
おすすめの飲み方・飲み進め方
アバフェルディと共にデュワーズのキーモルトとして使われているブラックラ。
ピートをほとんど感じない、品の良いお嬢様のようなウイスキーです。
酒質はそこまで強くなく、シェリーの味わいがやや強く出ています。
プルーンやカスタードクリーム、レーズンのフレーバーからハーバルや切り花のような青々しさに変化するのが面白いです。
12年は余韻にシェリーのぺたっとした渋みが出ますが、16年、21年は非常に優秀です。
とてもキレイなシェリー感でスイート。ボディの弱さを補って余りあるリッチさがあります。
おすすめの飲み方はストレート及びトワイスアップ。
オールドボトルにもクリーミーさは顕在で、バターのようなオイリーでリッチなイメージがあります。
ちょっと人工的でベビーパウダーのような要素があり、オーヘントッシャンとかブラドノック的なローランド味がある。
最近、ボトラーズでも短熟~長熟まで色々出てきましたね。
フラットでプレーン、フルーティなものが多く、樽が効きやすい印象です。
ロイヤルブラックラの発祥と歴史
どこで作られているのか?
ロイヤルブラックラ蒸溜所があるネアンはマレイ湾に面した高級リゾート地として知られ、英国でもっとも降雨量が少なく日照時間が長いことで有名な町。
ここはゴルフのリンクスコースがあることでも知られており、ゴルフ愛好家のメッカとされています。
ネアンの町は「ナイル川源流発見の旅」で知られる探検家ジェームズ・ブルースの出身地でもあり、彼は最後の探検にロイヤルブラックラを持って出かけたともいわれています。
このネアンから南に1.5キロほど下った場所コーダーにロイヤルブラックラ蒸溜所は位置します。
蒸溜所の近くにはシェイクスピア作品『マクベス』でマクベスがスコットランド王ダンカンを殺害した舞台となったコーダー城があります。
敷地面積は約13エーカー(約16000坪)とまずまずの広さですが、蒸溜所の規模としては小さい部類となります。この敷地に10棟に満たない倉庫と蒸溜所に勤める人々の住居、蒸溜棟が並んでいます。
ロイヤルブラックラの歴史
ブラックラ蒸溜所の創業は1812年、創業者はウィリアム・フレイザー氏。
彼は1767年、コーダー近隣の生まれで15歳から英国陸軍に入隊し、インドなどに駐留後、コーダーに戻り蒸溜所を創業者となりました。
定かではありませんが蒸溜所は元々ビール製造所だったといわれています。
創業当初、ロイヤルブラックラは密造者との競争を避けるため、ローランド地方やイングランドをメインエリアに置き販売していました。
ある時国王ウィリアム4世に気に入られ、1835年に蒸溜所としては初のロイヤルワラント(王室御用達の勅許状)を授かります。
スコットランド全蒸溜所の中で「ロイヤル」の称号を得たのは
- ロイヤルロッホナガー
- グレンユーリー・ロイヤル
- ロイヤルブラックラ
の3つですが、ブラックラは3つの中で最初に認定された蒸溜所であり、その味わいは当時のスコッチの基準となりました。
さらにブレンデッドスコッチを考案したとされているアンドリュー・アッシャーがブラックラ創業当時の経営に関わっており、彼が手がけたブレンドのキーモルトの中に、ブラックラも使用されていたそうです(グレンリベットでヴァッテドウイスキーを作ったのは有名ですが、ブラックラも入れていたのかも、、、)。
こういった華々しい歴史にもかかわらず、20世紀に入ると世界大戦や世界的不況の煽りを受け経営が行き詰まり、ロイヤルブラックラは1926年にブレンディングを行っていたビセット社に買収されることとなります。
同社からリリースされていたブレンデッドウイスキー「ビセッツ・ファイネスト・オールド」などの原酒として使用されます。
その後1943年にはDCL社の傘下となり、1998年以降はバカルディ社(ジョン・デュワー&サンズ社 の親会社)の系列となり運営されています。
デュワーズをはじめとしたブレンデッド用の蒸溜所として機能してきたおかけでシングルモルトとしてのリリースが非常に少ないブランドでしたが、1991年にUD社のオフィシャルボトルが少量ですが販売されるようになり徐々に注目を集めていきます。
そして1993年にUD社の花と動物シリーズが登場。ここで世界中にブラックラの名が知れ渡りました。
1998年にはBacardi-Martiniに買収され、2004年からは花と動物シリーズに代わり、「10年」のオフィシャルボトルが発売されました。
2015年にロイヤル・ブラックラのモルトを3種類発売し2019年には12年物、18年物、21年物を含むシリーズに刷新されました。
ロイヤルブラックラの製法
ロイヤルブラックラでは1966年までフロアモルティングが行われていましたが現在は蒸溜所外でモルティングが行われています。
発酵槽は
- カラ松製×6基
- ステンレス×2基
の計8基が設置されており、8基で合計28万ℓの容量を備えています。
発酵時間は平均72時間と長時間。
全ての発酵槽を維持管理しやすいステンレス製に変えない理由は伝統的な製法を保持するため。
ロイヤルブラックラでは創業当時からの製法を遺憾なく守り続けているのです。
ポットスチルは
- 初溜×2基 4万4000ℓ
- 再溜×2基 4万2000ℓ
の計4基、全て上向きラインアームのストレートヘッド型となります。
創業当時は初溜・再溜の2基のみでしたが1970年の増改築の際に、2基から4基に増設されました。
仕込水はコーダー川の水を利用しています。
現在スピリッツの年間生産量390万ℓとなります。
蒸溜所で精製された原酒はすべてグラスゴーにある集中熟成庫に送られオロロソやペドロヒメネスなどのシェリー樽で熟成。
またここではボトリングも行なわれています。
ドライでスイート。しっかりとしたベリージャムのような味わいが出てるボトラーズも多いです。
ざっくり概要と味の特徴
ロイヤルブラックラはスコットランドのハイランド地方でつくられるシングルモルトウイスキー。
その昔、英国王室の御用達(ロイヤルワラント)を授かったウイスキーで、その証拠にブランド名に王室を意味する「ロイヤル」がつけられています。
ロイヤルがつけられたブランドは他に「ロイヤルロッホナガー」と1985年に閉鎖となった「グレンユーリー・ロイヤル」を含む3カ所のみ。
日本ではマイナーですが、スコッチ史においては歴史上、重要な蒸溜所といえます。
クリーミーなカスタードフレーバーが特徴で、白い花やハーブの味わいを楽しめます。
長きに渡りブレンデッドウイスキー「デュワーズ」のキーモルトとして使用されており、販売もバカルディ社(ジョン・デュワー&サンズ社)が販売を行なっています。
シングルモルトとしての流通は少なかったのですが、2016年からオフィシャルボトルとしてシングルモルトがリリースされるようになりました。