スコットランド・キャンベルタウンの名門スプリングバンク蒸溜所が、注目の新作ウイスキー「スプリングバンク 5年 114プルーフ」をリリース予定であることが話題を集めています。
10年、15年、18年など長期熟成を軸に据えてきたスプリングバンクが、あえて若い5年熟成の高アルコール度数バージョンを一般リリースする背景には、どんな戦略があるのでしょうか?
短年熟成×高プルーフの個性派シングルモルト
これまでスプリングバンクの「5年熟成」は、会員制クラブ「スプリングバンク・ソサエティ」限定で、100プルーフ(50%)仕様のボトルとして断続的に登場してきました。
しかし今回は、一般市場向けにアルコール度数をさらに引き上げた114プルーフ(57%)でリリースされるという点が、大きな違いです。
熟成期間が短くても、スプリングバンクのこだわりであるフロアモルティングからボトリングまで一貫した自社製造、非冷却ろ過、着色料不使用といったクラフト精神が詰まった1本であることに変わりはありません。
若い原酒ゆえの荒々しさに、キャンベルタウンらしい潮っぽさと土っぽいスモークがどう重なるのか、非常に気になるところです。
200周年へ向けた布石?

スプリングバンクは2028年に創業200周年を迎えます。
そのカウントダウン企画として、2024年から毎年記念ボトルのリリースが始まっており、今回の「5年114プルーフ」もその一環と見る向きがあります。
比較的若い原酒の導入は、熱心なファン層だけでなく、これからスプリングバンクを知る人々に向けたエントリーモデルとも言えるでしょう
。入手難・高価格化が進む同ブランドにおいて、少しでも手に取りやすい価格帯の商品を出すことは、マーケットの裾野を広げる意味でも非常に効果的です。
コアレンジ入りの可能性も?
この「5年熟成114プルーフ」が今後、コアレンジとして定着するかは現時点で不明ですが、海外SNSなどでは「このクオリティで定番化されるなら大歓迎」といった期待の声が多く見られます。
過去の5年熟成ソサエティボトルと比較しても、アルコール度数を高めることで味わいの濃さやボディ感をしっかり感じられる仕上がりになっているとすれば、若くとも満足度の高い1本となる可能性があります。
入手難必至になりそう?
スプリングバンク製品はその希少性から、リリースされるたびに即完売となる傾向が強く、今回の5年114プルーフについても、例に漏れず入手は困難になることが予想されます。販売時期は早ければ2025年5月〜6月、または8月頃と見られています。
価格帯は、英国で50〜60ポンド、米国では50〜60ドル程度と予想されていますが、
実勢価格はプレミアムが乗る可能性が高く、店舗によってはさらに高値になることもあり得るでしょう。
「5年熟成」という若さをあえて前面に出し、114プルーフという高いアルコール度数でパンチのある味わいを打ち出した今回の新作。スプリングバンクの伝統的なスタイルと革新性が絶妙に交差するリリースと言えます。
希少性や市場の熱量を踏まえると、これが単なる一発モノではなく、ブランドの中長期的な方向性を示す象徴的な存在になるかもしれません。