ウイスキー熟成樽の製造大手である有明産業株式会社(本社:京都市)が、北海道旭川市に新たな工場を建設することを発表しました。
このプロジェクトではウイスキー用の樽製造に加え、同社としては初めて大麦麦芽(モルト)の生産にも取り組みます。
この新工場は旭川市の「動物園通り産業団地」内に建設される予定で、すでに敷地約1万7,000平方メートルを取得。総投資額は最大で約25億円を見込み、2026年4〜5月に着工、2027年春の操業開始を目指しています。
北海道におけるウイスキー産業の発展を支える新工場
有明産業は1963年創業、現在は宮崎県都農町に主要工場を構え、年間5,000~6,000樽を製造する国内有数の樽メーカーです。同社が今回旭川に工場を新設する背景には、北海道や東北地方の蒸溜所への供給体制強化と、地元資源を活用する狙いがあります。
特に、樽製造においては北海道産のミズナラを使用。
北海道はミズナラの豊富な産地として知られ、ウイスキーの熟成に独特の香りと深い味わいをもたらすことで人気が高まっています。旭川の工場では、ミズナラ樽を中心に、450リットルや250リットルの樽を製造する予定です。
また、モルト生産についても、地元農家と連携して北海道産の大麦を使用。
これにより、北海道産ウイスキーの生産における重要な要素を道内で一貫して供給できる体制が整います。
旭川市は「道産のモルトで製造したウイスキーを道産材で作った樽で熟成させることで、純粋な北海道産ウイスキーが生まれる」とし、新たな地域ブランドの確立に期待を寄せています。
北海道で加速するウイスキー産業の拡大

近年、北海道は日本のウイスキー産業における重要な拠点となりつつあります。
特に2016年に創業した厚岸蒸溜所をはじめ、ニセコ蒸溜所(2019年)、利尻蒸溜所(2022年)など、新興蒸溜所が相次いで誕生。さらに2023年にはディ・トリッパー蒸溜所(函館)が開設され、2024年には千歳蒸溜所、そしてウイスキー文化の中心であるベンチャーウイスキー(秩父蒸溜所)が手掛けるベンチャーグレイン株式会社の苫小牧蒸溜所の開設も予定されています。
北海道の蒸溜所が増加する中で、有明産業の新工場が果たす役割は大きいと言えます。
従来、日本の蒸溜所は主に海外産のオーク樽を使用してきましたが、北海道産のミズナラ樽と道産モルトの供給体制が整うことで、より地域色を強めたウイスキーの生産が可能になります。
また、有明産業は工場建設地として旭川を選んだ理由について、「家具産地としての強み」も挙げています。
酒樽製造においては、ミズナラの選別時に発生する端材を有効活用することが課題の一つですが、旭川には木工・家具メーカーが多く集積しており、端材を地域の木材産業に還元することが可能です。このように、地域資源を循環的に活用する取り組みも、同プロジェクトの大きな特徴となっています。
北海道ウイスキーの未来を担うプロジェクト

有明産業の新工場によって、北海道産ウイスキーのさらなる発展が期待されます。地域資源を活用し、ウイスキーの主要要素であるモルト・樽・熟成環境をすべて北海道内で完結できる体制が整うことで、「道産100%ウイスキー」というブランド価値を高める大きな一歩となるでしょう。
2027年の工場稼働後、北海道のウイスキー産業はさらに加速し、国内外のウイスキーファンの注目を集めることになりそうですね。