スコットランドアウターヘブリディーズ諸島の新鋭、ノースウイスト蒸溜所（North Uist Distillery）が、待望のウイスキー生産を正式に開始しました。当
2022年に予定されていた計画が少し遅れたものの、現代と過去をつなぐ、華麗なる新鋭が巻き返しを図ります。
地元産ベア麦を使用した持続可能なウイスキー作り
ノースウイスト蒸溜所の大きな特徴は、スコットランドの伝統的な大麦品種であるベア麦（Bere Barley）を使用していることです。
この品種は新石器時代からスコットランドで栽培され、かつては主要な穀物として広く利用されていました。
しかし、収穫量の少なさや扱いにくさから、他の高収量な品種に取って代わられました。
それでもアウターヘブリディーズのような過酷な環境では、このベア麦が非常に優れたパフォーマンスを発揮し、現在でも一部の農家が栽培を続けています。
蒸溜所の共同創設者であるジョニー・イングルデュー氏は、この歴史ある穀物の価値を次のように語っています：
「ここでのウイスキー作りは、単なる蒸溜酒の生産以上のものです。
過去への敬意を払いながら、私たちの島々の未来を支えることでもあります。
ウイストのマシャー（沿岸の草地）で育てられたベア麦を使用することで、私たちはこのユニークな環境で何世紀にもわたって進化してきた強靭な作物に投資しています。
それはウイストとベンベキュラの真の味であり、私たちの地域の過去、現在、そして未来を反映したものです。」
CO2ニュートラルの実現と持続可能性への取り組み
ノースウイスト蒸溜所は、環境への影響を最小限に抑えるため、蒸溜所全体をCO2ニュートラルで運営しています。
蒸溜所は18世紀の歴史的建造物を改修して使用し、エネルギー効率を高めるだけでなく、持続可能な原料の利用を徹底しています。これにより、地域社会と自然環境に配慮したウイスキー作りを実現しています。
さらに、蒸溜所は効率性よりも風味を重視する姿勢を貫き、独自の手法でニュー・メイク・スピリッツを生産しています。
これにより、ウイスキー愛好家に地域の個性と魅力を存分に楽しんでもらえる製品を提供することを目指しています。
ノースウイスト蒸溜所の挑戦と未来
ノースウイスト蒸溜所の取り組みは、ウイスキーの生産の枠を超え、地域社会や地元農業の活性化にもつながっています。
創業者であるケイト・マクドナルド氏とジョニー・イングルデュー氏は、スコットランドの伝統的なウイスキーづくりに新しい視点を加え、地域の自然と文化を生かした革新的な試みを展開しています。
ウイストの地で育ったベア麦を使い、CO2ニュートラルな蒸溜所として持続可能なウイスキーづくりを目指すその姿勢は、多くの関心を集めています。蒸溜所の歴史的な建物の中で、未来に向けた独自のウイスキーが形作られる過程には、スコットランドらしい伝統と革新が融合しています。
