インドの酒類メーカー、ピカデリー・アグロ・インダストリーズ(Piccadily Agro Industries)が、スコットランド西海岸のポータヴァディ(Portavadie)に新たな蒸溜所を建設する計画を発表しました。
同社は、昨今飛ぶ鳥を落とす勢いのシングルモルトウイスキー「インドリ(Indri)」を扱っている会社。
他にもラム酒「カミカラ(Camikara)」を製造しており、国内外での需要拡大に対応するため、約118億円(100億インドルピー)を投じて生産体制を強化する予定です。
スコットランドにおける蒸溜所建設
新しい蒸溜所は、ポータヴァディに位置し、58エーカー(約23.5ヘクタール)の広大な敷地に建設される予定です。
このプロジェクトは英国税関(HMRC)から承認を受けており、インドの酒類企業としてスコットランドに蒸溜所を設立する初の試みです。
同社は、この蒸留所でスコッチスタイルのモルトウイスキーを製造し、インドの蒸溜所からグローバルな市場への進出を図る予定でいます。
ピカデリー社は、この計画を「インドの酒類業界における画期的な挑戦」と位置付け、プレミアムウイスキー市場における競争力を高めることを目指しています。
インド国内での生産拡大
同社は現在、インド国内に3つの蒸溜所を保有しており、北部ハリヤナ州の蒸溜所では「インドリ」シングルモルトが生産されています。
また、南部チャッティースガル州での新工場建設も予定しており、インド国内での生産能力を大幅に拡大する計画です。
さらに、12の新しい貯蔵庫と6万樽を追加することで、総貯蔵能力を10万樽に引き上げる準備も進めています。
これにより、現在の年間400万リットルの生産能力が大幅に向上する見込みです。
インドのウイスキー市場の成長と課題
近年、インドのウイスキー市場は急速に成長しており、国内外での需要が高まっています。
しかし、インドではウイスキーの輸入関税が約150%と非常に高いため、海外製品の価格競争力が制約されています。
このような状況の中、ピカデリー社のような企業は国内生産を拡大すると同時に、海外での製造拠点を確保することでグローバル市場での地位を強化しようとしています。
インディアンモルトが世界市場へ打って出る
ピカデリー社のスコットランド進出は、インドの酒類業界にとって画期的な挑戦であり、同時にインドのウイスキー市場の今後を占うプロジェクトです。国内の高い関税率や海外市場での認知度向上という課題を克服するため、スコットランドでの生産拠点の確保は、ブランドの信頼性を高めるだけでなく、国際市場への進出を加速させる重要な一手となります。
またピカデリー社は、インド国内での需要拡大と輸出の両輪を軸に、新興市場やプレミアム市場でも優位性を築く可能性があります。
特にインド産ウイスキーの品質向上と多様性が認知される中で、スコッチスタイルのモルトウイスキーを手掛けることは、世界のウイスキー愛好家に対する大きなアピールポイントになると考えられます。
インドが世界的なウイスキー産業における存在感をさらに高める契機となるかもしれません。
インド産ウイスキーの新たな未来が切り開かれることが期待されます。