静岡県の秘境に位置する井川蒸溜所から、待望のシングルモルトウイスキー「デッサンシリーズ フローラ 2024」がリリースされます。
標高1,200mという国内でも最も高所にある蒸溜所からのファーストリリースは、待ち望んでいたウイスキーファンも多いことでしょう。
南アルプスの大自然に抱かれた井川蒸溜所が誇る初のシングルモルトは、2024年11月中旬に発売予定です。
南アルプスの恵みが詰まったウイスキー
「フローラ 2024」は、井川蒸溜所が仕込みを始めた2020年から熟成を重ねてきたバーボンバレル原酒を使用したノンピートタイプ。
名前の「フローラ」は、蒸溜所が位置する南アルプスに自生する高山植物をモチーフにしており、ラベルデザインにもその繊細で力強い美しさが反映されています。氷河時代からの遺存種などが生きるこの地の自然を、甘さや華やかさ、そして後に続く奥ゆかしい香りと苦みで表現したウイスキーです。
ボトリング本数は約6,000本。アルコール度数は53%、希望小売価格は16,500円(税込)です。
「デッサンシリーズ」今後の展開
今回リリースされる「フローラ 2024」は、井川蒸溜所が展開する「デッサンシリーズ」の第一弾となります。
このシリーズは「フローラ(植物相)」と「ファウナ(動物相)」の2種類に分かれ、それぞれノンピートとピーテッドタイプのウイスキーがリリースされる予定です。これからも井川蒸溜所のウイスキーが、自然と共にどのように進化していくのか楽しみです。
井川蒸溜所の現在地と未来
井川蒸溜所のこだわりと歴史
井川蒸溜所は、静岡県静岡市の南アルプス山脈に抱かれた標高1,200mの地に位置しています。
2018年に蒸溜所の建設が始まり、2020年に本格的なウイスキーの製造がスタートしました。
井川蒸溜所は、国内で最も高所に位置し、アクセスが困難なことから「秘境の蒸溜所」とも呼ばれています。そのため、豊かな自然環境を最大限に活かしたウイスキーづくりが特徴です。
この蒸溜所を運営しているのは、南アルプスに広大な社有林を持つ「十山株式会社」。
同社は、製紙業で培った自然との共生や資源管理の経験を活かし、蒸溜所周辺の環境保護にも力を入れています。
井川蒸溜所の設立にあたり、これまで培ってきた技術と知識をウイスキーづくりにも反映させ、南アルプスの自然を活かしたウイスキーを作るという独自のアプローチを取り入れています。
南アルプスの恵みを活かしたウイスキーづくり
井川蒸溜所のこだわりのひとつは、南アルプスの大自然がもたらす「木賊(とくさ)湧水」を仕込み水に使用していることです。
この湧水は、標高の高い森林土壌で自然にろ過されたもので、ウイスキーづくりに理想的な軟水です。さらに、熟成には蒸溜所周辺の冷涼で湿潤な環境が活かされており、霧が立ちやすい気候がウイスキーの熟成を穏やかに進め、深い味わいを生み出します。
また、井川蒸溜所では、ウイスキーの熟成樽に南アルプスの森に自生するミズナラを使用。
ミズナラの木材は、日本独自の風味をウイスキーに与えることから、国内外で高く評価されています。さらに、この木材資源を持続可能に利用するため、伐採したミズナラからどんぐりを集めて再び植樹し、未来の森を育てる活動も行っています。
樽の熟成環境と未来への挑戦
井川蒸溜所の熟成庫は、蒸溜所よりもさらに高所に設置されており、「マウンテンカスク」と呼ばれる特別な環境で原酒を熟成させています。この冷涼な環境と湿潤な空気が、ウイスキーに深みとバランスの取れたフレーバーをもたらします。井川蒸溜所のチームは、科学的なアプローチと職人の感性を融合させ、最適な熟成条件を追求。品質に一切の妥協を許さない姿勢でウイスキーづくりに取り組んでいます。
井川蒸溜所の歴史はまだ浅いものの、その背景にある南アルプスの豊かな自然と、製紙業で築いてきた環境保護の経験が、唯一無二のウイスキーを生み出しています。初めて井川蒸溜所の名前を聞く方でも、この蒸溜所がどれほど特別な環境でウイスキーを生産しているか、そしてその自然と共生する姿勢が理解できることでしょう。
南アルプスの清らかな水と豊かな自然を活かしたデッサンシリーズは、井川蒸溜所の試金石となるシリーズになりそうです。
フローラ 2024」の11月中旬の発売が待ち遠しいですね。
南アルプスの大自然を感じさせる、この唯一無二のウイスキーをぜひお楽しみください。