アイラ島の伝説的な蒸溜所ポートエレンがついに復活です。
1825年に設立されたポートエレン蒸留所は、1930年に一度休止。1967年から1983年まで再稼働し、長い沈黙の期間に入りました。1983年に閉鎖されるまで、アイラ島のウイスキー産業の中心として活躍し、その多くがブレンデッドウイスキーに使われていました。
シングルモルトとしてのリリースは少なく、その希少な原酒は高価格で販売され、コレクターやモルトマニア達の間では人気を博してきました。
そして今回、40年の時を経て、3月19日に最新鋭の施設として生まれ変わったというわけです。
復活させたのはディアジオ社。
プロジェクトに1億8500万ポンドを投資しました。
この投資額には、もうひとつの閉鎖蒸溜所であるブローラの再開やビジターセンターへの金額も含まれています。
ガラスを多用したモダンデザイン
復活したポートエレンは、全面ガラス張り。
使用する機器は、過去の伝統を受け継いだ最新鋭のものばかりです。
まず「フェニックススチル(不死鳥!)」と呼ばれる、古い蒸留器のレプリカです。そして蒸溜プロセスを細分化する「10部構成のスピリットセーフ」。スピリットをフォアショッツ、ハーツ、フェインツに分ける古典的なスピリットセーフよりも、はるかに細かくスピリットを調整できるようになりました。
この2つにより、1967年から1983年の黄金期に生産されたウイスキーの特徴を正確に再現する予定です。
美しいビジターセンター
ビジターセンターは、アイラ島の自然の美しさにインスピレーションを得たミニマルなスカンジナビアデザインが特徴。
6月からオープンし、アイラ島の海岸線と湾の向こう側にあるカレイグ ファダ灯台の景色が一望できるよう設計されています。
ビジターセンター内には、著名なスコットランド人アーティスト、ルーシー・メイ・スコフィールドによるアートワークが飾られています。
テイスティングルームで伝説のウイスキーを
キルンルームの試飲スペースでは、伝説のスピリットを味わうことができます。
再開に合わせ、ポートエレン蒸溜所からリリースした「ポートエレン ジェミニ」も試飲できるっぽいですね(エクスペリエンスツアー)。
こちらは上記の記事にも書きましたが、1978年に蒸留されたポートエレンの原酒を、2種類のヨーロッパ産オーク樽で熟成させたもので、ポートエレンが持つ独特のキャラクターを示しています。
ディアジオ社のシニアグローバルブランドアンバサダー、ユアン・ガン氏が言うには、キルンルームは、前回の取り壊しで残った唯一の建物だそうです。
毎月開催されるポートエレン オープン デイ ツアー (毎月第1土曜日) は無料で開催されています。
90分間のツアー「ポートエレンリボーンエクスペリエンス」の料金は1人あたり£200で、12名限定とのこと。
1983年に蒸溜を担当していた、元蒸留所職員のイアン・’ピンキー’・マッカーサー氏がチームに加わっています。
味わいの再現に期待です。