岐阜県高山市に拠点を構える家具メーカー「日進木工」が、ウイスキー樽を開発しました。
飛騨木工と言えば、奈良時代に飛騨の木工技術者を都へ送ることを定めた「飛騨工(ひだのたくみ)制度」が有名です。
飛騨の匠たちは平安時代末期までの約500年の間、造都・造宮に従事しました。 その技術は、飛騨の地に受け継がれ、建物・高山祭の屋台、そして飛騨の家具などに受け継がれています。
「日進木工」は約80年前に創業した老舗で、オークやナラの木材を用いた220リットルの樽を開発しました。飛騨地方に伝わる「曲げ木」という技術を駆使し、木材を水や熱で精密に曲げることで、ウイスキー樽特有の気密性を確保しています。
ここ数年、ウイスキーの販売量が国内外で急増。特に輸出額は過去10年で約28倍に増加し、ウイスキー製造への参入が相次いでいます。しかし、日本国内では樽の製造が難しく、製造企業が限られている状況です。そんな中、「日進木工」がその一環として、樽事業への参入を決定。今年7月から180丁を目標に販売を開始しました。
「日進木工」社長の北村卓也氏は、「家具メーカーとしてたる事業に参入したのは、国内では初めてではないかと思う。これから国内の蒸留所を回り、海外との取引も視野に入れていきたい」と意欲的な姿勢を見せています。
ちなみにこの樽は「HIDA BARREL(ヒダバレル)」と名付けられ、飛騨地方で受け継がれる「曲げ木」の技術が活かされています。この技術は、木材を湾曲させ、一枚一枚精巧に組み上げることで、精度を上げ、漏れを防いでいます。
「日進木工」と飛騨高山蒸溜所が結んだこのパートナーシップは、ウイスキー産業における新たな可能性を切り開く一歩となるでしょう。
ユニークな家具作りの技術を活かし、ウイスキー樽製造への新たな一歩を踏み出した「日進木工」。その伝統と技術が詰まった「HIDA BARREL」はどんな味わいをウイスキーに付与するのでしょうか。楽しみです。