木内酒造(茨城県那珂市)が、ビールやウイスキー製造のための麦芽生産を自社手掛けるべく、「木内酒造 石岡の蔵」(茨城県石岡市)に新たな製麦工場を設立しました。この施設は7月下旬から全面的に稼働を開始します。
自社製造の常陸野ネストビールや日の丸ウイスキーの製造に欠かせない大麦麦芽。
木内酒造は2009年から茨城県内の休耕地を活用し、国産大麦「金子ゴールデン」を栽培し始め、ビールやウイスキーの原材料として部分的に使用してきました。これまで製麦工程を外部の工場に依頼していたのですが、今年5月から石岡市に新設した自社製麦工場で試験運転を開始、7月下旬より正式に稼働を開始します。
アルコール発酵をさせるためには糖が必要であり、原材料の麦を麦芽の状態にすることで、麦のデンプンは糖に変わります。収穫された麦を発芽させて麦芽にするこの製麦工程を自社で行う最大のポイントは、自社のビール、ウイスキーの品質に合わせた最適な状態の麦芽品質を自社で担保することができるようになることです。
自社製麦芽は、輸入麦芽と比べコストは高まりますが、地元産の風味にこだわり、品質の更なる向上を追求する木内酒造にとっては必須の選択であり、地元農家と協力して穀物の栽培を行うことは、地域の農業を活性化させ、日本の酒造りの持続にとっても重要な取り組みだと考えています。
この新たな製麦工場では、一度に5トンの麦を加工するドラム式と、500kgを連続で加工する伝統的なフロアモルティング方式の2つの設備を設け、年間約500トン(ドラム式:460トン、フロアモルティング:40トン)の麦芽を生産することが可能です。2023年には約96トン(小麦麦芽、発芽米を含む)の製造を予定しています。