ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、欧米諸国はプーチン政権に対して前例のない制裁を発動しています。
オリガルヒへの制裁をはじめ、ロシア資産の凍結、ルーブル暴落、さらに多くの国際企業が店舗をクローズして、ロシア国内での製品販売を停止しています。
スコッチウイスキー業界もその影響を受けているひとつ。
ディアジオ、シーバス、エドリントンなどの大手たちは、もはやロシアに輸出をしていないようです。
ロシア10番目に大きなスコッチウイスキー輸出市場であり、これまで大きく成長していました。
2021年にはロシアで4200万本のスコッチが販売され、前年から約40%の増加しています。
新興蒸溜所のリンドーズアビーもロシア人投資家の支援によってつくられた蒸溜所でしたが、その後は脱ロシアの流れを受けています。
ウイスキーライターのデイブ・ブルーム氏はロシアにおけるウイスキー産業の今後について、こう語っています。
「数ヶ月後か数年後か、ウクライナ侵攻のニュースが下火となった頃にスコッチウイスキーの輸出が再開された場合、市場はかなり縮小するだろう。
ダメージを受けたロシアの経済状況にもよるが、中には撤退したまま戻らない企業も出てくるかもしれない。
そうなると、ロシアとスコットランドの企業間の提携は、完全に解消とはいかないまでも、以前よりもはるかに弱い結びつきになるだろう。
今後のロシアのスコッチへの投資に関しては英国政府次第と言える。」
「また、企業といった規模ではなく、より小さな個人規模の売買も注視したい。
スコッチ業界はロシアの富裕層の個人顧客たちに対し、特別なツアーや高額ボトルの優先販売などVIP待遇をしてきたこともあるし、民間のブローカーも彼らと個人取引を行ってきた。
こうした関係性が今後どうなるかも、政府に握られているのだ。
いずれにせよ、スコッチウイスキー業界におけるロシア市場は現在進行形で変化している。
そしてそれが今後、どのような影響を及ぼすのかはまだ誰にも分からない。」
これからはロシア国内でウイスキーを嗜好品として楽しむのさえ難しくなってくるのかもしれません。
確かロシア最大の酒類メーカー「ベルーガグループ」と「ウィリアムグラント&サンズ社」がパートナーシップを結んで、グランツなどを大々的に販売していたかと思います。こちらもどうなるのか?
各メーカーの今後を注視しましょう。