日本のおつまみはしょっぱいものが多い
お酒に合う食べ物をほおばりながら、好みのお酒をゆっくり飲む…お酒好きにはたまらない至福のひとときですよね。
お酒のお供、おつまみ?アテ、肴…
お酒と共に食べるものの呼び名はおつまみというのが一般的ですが、大阪では「アテ」というようですね。全国各地や家庭単位で呼び名は多少異なるとは思いますが、以下ではお酒のお供のことを「おつまみ」で統一記載していきます。
このおつまみ。
お酒によって合う食べ物と合わない食べ物が存在します。
例えばビールには塩茹でした枝豆が非常によく合いますよね。しかし、ワインと枝豆はいまいち相性が良くありません。
ワインにはやはりチーズやハムやソーセージなどスモークした肉製品がよく合います。
日本酒ときたら刺身や魚の一夜干し、焼き鳥なども良く合います。
そうです。お酒の種類によってマッチするおつまみはそれぞれ異なるのです。
しかし、我が国日本では「おつまみ」と聞くとどんな食べ物を連想するでしょう。
きっとポテトチップスや豆製品、カワハギのような乾き物がまず頭に浮かぶはずです。
これはスーパーやコンビニなどのおつまみコーナーで置かれている商品からの刷り込みが大きいと言えます。お店のおつまみコーナーには決まって同じような商品が陳列されています。チーズたらやイカの燻製、ナッツなどの豆類、柿の種のような米の加工品、などは必ず見かける商品たちですよね。どれも塩気の効いた乾き物ばかりです。
それは何故か。
それは、日本がビール大国だから!!
飲み会では必ず一杯目にはビールを頼むという方もいるでしょう。日本は「取り敢えずビール」という言葉が存在するくらいのビール大国なのです。
アサヒ、キリン、サントリー、サッポロ。大企業が巨大なシェアを奪い合いながらしのぎを削っています。
2014年の調べによると日本のビールの消費率は年間一人当たり年間500ml缶×86本、業界全体の売上は年間1兆7,951億円にも及びます。これに比べ、国内全体のワインの売上は約5,000億円、清酒は約3,000億円とビールに遠く及びません。
従ってそのビールに合うおつまみを販売すれば自然と売れる、と言うのは当前の図式となります。
だから日本のスーパーやコンビニにおけるおつまみコーナーはビールにあう塩気の効いた食品ばかりで埋め尽くされてしまうのです。
また、ビールを飲んだ後は焼酎や日本酒に移行する方がかなり多いですよね。焼酎や日本に合うおつまみも塩気の効いたものが、割と合うので一石二鳥というわけです。
では、ウイスキーに合うおつまみはなんなのか
前置きが長くなりました。では、ウイスキーにはどんなおつまみが合うのでしょうか。
今回ご紹介するのは…
果物の王様、メロン!
え!?メロン?
メロンってあの果物のメロン?
と耳を疑う方もいらっしゃる筈です。
かく言う著者もこの組み合わせを初めて聞いた時は頑として信じませんでした。
しかし目の前に1口サイズに切られたメロンとウイスキーのストレートを置かれ、口に含んでみると…
なにこれ?!
合うじゃーーん!!
という訳で考えを180°ひっくり返されてしまったのです。
世の中には美女と野獣のようなカップルが存在するように、驚きの「組み合わせ」というものがあるのです。
もちろん、メロンとウイスキーの場合どっちが美女でどっちが野獣なのか分かりませんが、合うものは合う!大切なのは前置きよりも結論。
事件は現場で起こっているのです。
メロンを口に入れ、果肉が少し口に残っている状態でウイスキーを口に含むと…
メロンの甘み、香り、旨みがぎゅっと濃くなり、その後にウイスキーの上品な香りが鼻を抜けます。
その時、著者が飲んでいたウイスキーはボウモアの12年だったのですが、ピートの効いた少し癖のあるボウモアでもスッとメロンの風味と同化して、お口の中で名も知らない華やかなフルーツに化けていました。
これが癖になり、メロンを一口、ボウモアをチビリと繰り返していくうちにお皿に盛られたメロンとグラスのボウモアはあっと言う間に無くなりました。
メロンの香り、甘み、少々の苦味…これが全てウイスキーとマッチするのです。
日本酒やワインのおつまみは塩辛いものが多いのですが、ウイスキーにマッチするおつまみはチョコレートやドライフルーツ、メロンなどの甘い物だったりします。
良い例が「ウイスキーボンボン」です。
ウイスキーボンボンはチョコレートの中にウイスキーが入ったもの。
噛むと中に入ったウイスキーが口の中でチョコレートと交わり、チョコレートの甘味や苦味を引き立てます。
これがやみつきになって、ずっとチョコレートをおつまみにウイスキーを飲む方もいらっしゃるくらい。
それだけウイスキーには甘いものがマッチするのです。
BARREL編集部でもやってみました!
BARRELの代表オーツカ氏が自宅でウイスキー×メロン祭りを開催したようなのでその模様を書いておきます。
相変わらず凄まじい酒量。そしてメロンもでかいですね。
口にメロンを入れた後にウイスキーを飲んだり、スプーンでメロンをすくっては、それにウイスキーをかけたりしながら食べ進めていきます。
以下、オーツカ氏のコメント
メロンの上にウイスキーをかけて食べる贅沢!
また、カットしたメロンの上にウイスキーをかけて食べてもこれまたヨシ。
少し贅沢なので高価なウイスキーを使うのはおすすめしませんが千円程度のものでも十分メロンの味を引き立てますよ。
このように日本のおつまみはビールに合う塩気の効いた食品が多い中、ウイスキーには甘い食べ物が合うということが分かりました。
メロンとウイスキー。
馴染みのない組み合わせかもしれませんが、機会があれば是非一度お試し下さい。
きっと満足いただける筈ですよ。
大健闘だったのはラフロイグ。やや植物のような青臭さが強調されますが、ドライな後味が完熟メロンのべったりとした口当たりを軽減します。ボウモア、カリラあたりも悪くないです。
アイリッシュ系はブレンデッドを幾つか試しましたが、オイリーでライトな酒質がメロンのフレッシュ感を助長し、がぶがぶ食べてしまいます。これはかなり危険です(笑)サラサラで甘めのオイルをかけているようで、野菜サラダを食べている感覚になります。
しかし個人的に最高だったのは塩キャラメルをまとわせたかのようなブリニーなテイストが新しい『スプリングバンク』。
そしてバーナーで炙った夕張メロンのタルトを思わせる、クリーミーで複雑に絡み合うバニラ香が美味しい『オーヘントッシャンスリーウッド』。
メロンと合わせるポイントはオイリーでクリーミーな酒質のウイスキーを選ぶこと。仄かな塩気がメロンの甘みを強めること。ですね。