まとめて試飲できる!オリジナルアイリッシュウイスキーセット
まずは基本を知る!アイリッシュウイスキービギナーセット
アイリッシュウイスキー初心者の方へ、最初に飲み比べてみて欲しいウイスキーを小瓶でご用意しました。
昨今、その白桃や梨、トロピカルフルーツのフレーバーが人気を博し、爆発的に流行の兆しを見せています。
まずはアイリッシュウイスキー入門編ということで、ビギナーにおすすめな3種飲み比べセットをつくってみました。
30mlセットと100mlセットから選べるので、少しずつ飲み比べて、あなたの好きなアイリッシュウイスキーを見つけてください。
ステップ2!アイリッシュの旨さがわかるおすすめセット
アイリッシュウイスキーのおすすめセット第二弾。
基本セットでその酒質のライトさ、フルーティーさを知っていただけた脱初心者に向けた高級アイリッシュウイスキーのセットです。
スコッチやジャパニーズ同様、アイリッシュウイスキーにも様々な個性を持つおいしいウイスキーたちが存在します。今回のセットではそれぞれキャラクターが異なる「本気でうまいアイリッシュ」をご用意。
こういったハイクラスのブレンデッドアイリッシュはモルトバーでも日陰の存在。だったら我々がフューチャーしようじゃありませんか!ということで選んだ珠玉のモルトたち。
ぜひこの機会にアイリッシュの風土を味わってみてください。
アイリッシュウイスキーを学ぶ!おすすめ25選
では、初心でもわかりやすいようアイリッシュウイスキーのおすすめ銘柄をピックアップしていきましょう。
まだ全然アイリッシュウイスキーを飲んだことがない初心者から、次の銘柄を探している中級者の方まで、ジャンル別で選抜したので、順番に飲んでその味わいを確認してみてください。スタンダード・レアボトル・ニューフェイス、ダークホース問わず、かなりの銘柄を網羅しています。
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[su_tabs active=”1″ mobile=”scroll” anchor_in_url=”yes”] [su_tab title=”初めてのアイリッシュ” ]
ここから始める!初めてのアイリッシュウイスキー
そもそもアイリッシュウイスキーを飲んだことがない方へ捧げる基礎知識的なボトルたち。
人気急上昇のアイルランドのウイスキーを飲んでみたいという方は、まずはこのあたりの銘柄から飲んでみましょう。
飲みやすく、手に入れやすい商品ばかりですのでコンビニやスーパーマーケットの棚から手に取るのもよいでしょう。
ジェムソン スタンダード
世界で最も売れているアイリッシュウイスキー、それがジェムソンです。
居酒屋やカフェバーにも置いてあることが多い銘柄なので、まずはこのジェムソンをお店で一杯飲むことからアイリッシュウイスキーのスタートを切るのが良いでしょう。
トップノートは印象的な青リンゴやシトラスの爽やかさ。アマニ油やユーカリといったハーバルな印象も。
味わいは非常にライトでスムーズ。青リンゴやライムの甘さと酸味、エステリーでオイリー。
余韻はスムーズでそれほど長くはありません。
ハイボールやジンジャーエールで割る飲み方もおすすめ。
様々なカクテルにも使われるので、あまりウイスキーを飲んだことがない方にも多角的にアプローチできる秀逸なアイリッシュウイスキーです。
タラモア・デュー
アイリッシュウイスキー世界第二位の出荷量を誇るタラモア・デュー。
オレンジビスケットのような風味、バニラのフレーバー、クリーミーでソフト。
素朴で、穀物の甘みを強く感じるジェムソンとは対照的でビターな印象が残ります。
こちらも尖った部分がほとんど感じられないので初めての方にはおすすめの逸品です。
2014年には新生タラモア蒸溜所が復活稼働し始めました。
現状の新ミドルトン蒸溜所のタラモア・デューはそろそろ飲み納めです。
カネマラ シングルモルト
アイリッシュウイスキーの中では異質な存在です。
ノンピートが多いアイリッシュウイスキーの中で、ピートを焚いた2回蒸溜のシングルモルト。
スモーキーな味わいの中に草木や土、アーモンド入りのチョコレートのような香ばしさが隠されています。
麦芽フェノール値は14ppmとのことですが、もっと煙たく感じました。
後味はなんとも涼し気でスパイシー。
飲み方はハイボールがおすすめです。
独特のクセがあるので飲む人を選ぶ商品ですが、最近のアイリッシュウイスキーにはピートを使ったものも増えてきています。
このカネマラが気に入った方は、より複雑で、アーモンドやバニラのフレーバーを感じるカネマラ シングルモルト 12年もおすすめします。
ブッシュミルズ
アイリッシュウイスキーの中ではジェムソン 、タラモア・デュー に次いで3番目に売り上げのある人気のブランドであるブッシュミルズ。
アイリッシュの伝統的な3回蒸溜の手法を守りつつモルトウイスキーにこだわった製造方法で独自の個性を放ち、多くの根強いファンを持ちます。
そんなブッシュミルズのスタンダードボトル。通称「ホワイトブッシュ」。
モルト比率が高く約50%。ブッシュミルズ蒸溜所で造られたモルト原酒のみを使用しています。
バーボン樽にて熟成した原酒のみを使用していることから優しいバニラ、キャラメルの香り。
3回蒸溜からくるまろやかな飲み口で、洋梨・リンゴのフルーティさ、バニラの濃厚な甘みが口に広がります。
バランスが良く、加水しても崩れないのでハイボールやミックスドリンクなど、どんな飲み方にも適するスタンダードにしてハイレベルなボトルです。
レッドブレスト 12年
これまで紹介してきた4商品と比べるとそれほどメジャーではないですが、本来の意味でのアイリッシュウイスキーということでポットスチルウイスキー「レッドブレスト」です。
“レッドブレスト”とはアイルランドでよく見かける胸の赤いコマドリのこと。
伝統的なポットスチルでの3回蒸溜した原酒をオーク樽で12年熟成。
淡麗が特徴のアイリッシュウイスキーの中で「レッドブレスト」は異質な味わいを秘めています。
一言で言うと”骨太”です。オイリーな舌触り、オレンジやあんずのような甘みと酸味。
濃厚でどっしりと芯がある味。余韻も素晴らしく、食後酒としても役割を果たしてくれる。
3回蒸溜でこのコク、味わい深さは驚きです。
お値段は他のアイリッシュよりもやや張りますが、スコッチやジャパニーズを飲んできた方からすると「飲みやすすぎてやや味気ない」と思っていたアイリッシュの印象がこれで変わったという方も多数います。
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[su_tab title=”高コスパのおすすめ品” ]
よりアイリッシュウイスキーを好きになる高コスパボトル
続いてアイリッシュウイスキーのおいしさに目覚めた方へ向けて、もう一歩踏み込んだラインナップをご紹介します。
飲みやすさだけではない、味わい深さと価格のバランスがとれた秀逸なアイリッシュウイスキーをピックアップ。
愛好家からの評価も高く飲み飽きないものばかりですのでぜひ試してみてね。
ブラックブッシュ
愛好家の中でもコスパ最強と言われている「例の黒いやつ」です。
シェリー樽とバーボン樽で最長7年熟成させたモルト原酒を80%以上使用し、グレーン原酒とブレンドしています。
シェリー樽熟成のためスタンダードの「ブッシュミルズ」に比べると明らかに色が濃く、熟したベリー系フルーツやアーモンドのようなナッツ風味で重厚な味わいが特徴です。
アプリコットのような香り、そしてベリー系のフルーツケーキの味わい。
軽やかでスパイシー、それでいてスムーズな飲み口。
余韻は華やかでスイート、とてもブレンデッドとは思えない余韻が長く続きます。
この価格帯ではなかなか感じられない円熟味も兼ね揃えており、ハイコストパフォーマンスなボトルと言えます。
初心者にもおすすめしやすい逸品です。
飲み方はロックやストレートがおすすめです。
ジェムソン スタウトエディション(旧カスクメイツ)
2017年秋にリリースされて以来、高評価を得ているジェムソンの自信作。
ジェムソンがつくられる町、アイルランドのコークで人気のマイクロブルワリー「フランシスカン・ウェル」との革新的なコラボレーションボトルとしてデビュー。
通常のジェムソンをなんとスタウトビールの熟成樽でフィニッシュしたものです。
樽熟成のビールを造った後、中のビールを取り出し熟成樽を再び蒸溜所に戻してジェムソンを入れてフィニッシュ。
ジェムソン樽→スタウトビール樽→ジェムソン樽
という順番に詰め替えを行い熟成させます。
元来のジェムソンに加え、スタウトビール由来の淡いホップ、カカオ、コーヒー、バニラエッセンスなどが宿ったリッチで芳醇な味わいの1本です。
現在はスタウトエディションと名前を変えました。
ライターズ・ティアーズ
「作家の涙」の異名をとるアイリッシュウイスキー。
アイルランド文学といえばバーナード・ショーをはじめジョナサン・スウィフトやイエーツ、ジョイス、シングなど錚々たる作家陣が揃っています。
「作家は仕事に行き詰った時にウイスキーを求める。 苦悩によって流される作家の涙はウイスキーで出来ている」という由来でこのネーミングだとか。
味わいはりんごのコンポートのバニラアイスがけ。
やさしいスパイスとショウガが香ります。後半はビターなチョコレートのニュアンスも。
この甘さとスパイシーさがクセになり、スイスイと杯を進めてしまいます。
本を読んだり、絵を書いたり、色々なクリエイティブな活動をしながらちびちび飲むのにうってつけなスルメアイリッシュ。
タラモアデュー カリビアンXOラム フィニッシュ
12年が終売になってしまったので、こちらを選抜しておきましょう。
アイリッシュウイスキーのタラモアデューを1stフィル XO デメララ ラムカスクでフィニッシュ。
爽やかで甘い、南国感たっぷりのトロピカルフレーバーが味わえます。
パイナップルと白い南国フルーツ。ライチでしょうか。甘みが増したビターチョコ。
通常のタラモアデューよりもテクスチャにトロミがあって、夏らしい甘さのあるボトル。余韻はミディアムでスタンダード品よりも甘く、長いです。
ってかどうやったらこんな値段でこのクオリティのものが作れるのだろう。。。。ストレート、濃い目ハイボールはもちろんですが、ロックがおすすめです。
カネマラ ディスティラーズエディション
オロロソシェリー樽とバーボン樽熟成の原酒をヴァッティングしてつくられたボトルで、ふくよかでバランスのよい限定品。
香りは、うっすらとした焚き火のスモークからカネマラ特有の黒土っぽいピート、バニラビーンズ、ドライプラム、ハチミツ。
口当たりはフルボディ、しかしシルキーなのでスイスイと飲めます。味わいは燻したレーズン、ビターチョコ、ベイクドオレンジ、麦芽ウエハース、カカオのビター。
余韻に感じるハーブのような心地よい香草の風味が特徴的なボトルで、ハイボールにしてもおいしい。
グリーンスポット
ダブリンのミッチェル&サン社のブランドで、正統派ポットスチルウイスキー。
この金額でこの味わいはなかなか表現できないと思わせる均整の取れた秀逸ボトル。
アイリッシュ愛好家に中にはグリーンスポットをNo.1に推す方も多く見受けられます。
元々一般販売をしていなかった銘柄で、名前の由来は樽の熟成年数別に印(スポット)をつけていたから。
シェリー樽由来のコーヒーやワインのような酸味と香り、トロリとしたハチミツのフレーバーを感じる8年熟成ものです。
年間約6,000本しか販売されない貴重なウイスキーでもあります。
まずはストレートで飲んでみましょう。
そのコストパフォーマンスの高さに驚くことでしょう。
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[su_tab title=”ブレンデッドウイスキー” ]
ブレンデッドアイリッシュウイスキーこそアイルランドの真髄
アイリッシュウイスキーの中でも消費量・生産量の多いブレンデッドウイスキー。いわゆるアイルランドでよく飲まれているボトルです。
手に入りやすい価格帯と万人受けする飲み心地。普段飲みにも最適です。
バスカー アイリッシュウイスキー
アイルランド・カロウで2016年に操業を開始したロイヤルオーク蒸溜所がリリースした安ウマアイリッシュウイスキー「バスカー」。バーボン樽、シェリー樽、マルサラワイン樽の3種の樽を贅沢に使用しています。
構成原酒には3種のウイスキー(シングルモルト、シングルポットスチル、シングルグレーン)が使われており、味わい豊かなシングルモルトとシングルポットスチルの構成比率が高くなってます。マルサラワイン樽も老舗トップブランドの「フローリオ」の樽のみを使用しており、独特のとろみを持っています。
ストレート、ハイボール、ロックと飲み方は万能ですが、割とロックがいいです。
各国でも評価が高く、国内の多くのリカーショップに展開されています。
価格もお手頃で、アイリッシュウイスキー特有のトロピカルフルーツ風味をリーズナブルに体験できます。パッケージも印象的ですし、多くのファンを獲得しそうですね。
キルベガン
キルベガン蒸留所の創業は1757年。
マシュー・マクマナスがブルスナ蒸留所の名で創業。現存する最古の蒸留所と言われています。
その後ロックス蒸留所と名前を変え、1958年に一度閉鎖。
1987年に現在のオーナーであるクーリー蒸留所が所有権を得て2007年にキルベガン蒸留所として再開したため最新の蒸留所でもあります。
淡麗で爽快、ロックにするとカパカパ飲めてしまいます。
良く言えばライトで飲みやすく、悪く言えばサラサラと味気ないといった風味ですが、このひっかかりの無さがビギナーにはおすすめです。
ミントシロップなどを垂らして飲むのもおすすめです。
2009年のIWSC銅メダルも受賞しています。
パディ
新ミドルトン蒸溜所で造られるモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしています。
SINCE1779の文字はもともと「コーク蒸留所(コーク・ディスティラリーズ)」が1779年から製造・販売していたウイスキーであることを示しています。
コーク蒸溜所では「オールドアイリッシュウイスキー」という名前で販売されていましたが、蒸溜所の伝説的なセールスマン「パディ・フラハティ」の名前にあやかって1913年に改名。
アイルランド第3位の売上を誇ると言われる人気のアイリッシュブレンデッドウイスキーです。
グレーン比率が高く「甘くて安くておいしいアイリッシュ」の代名詞。
宅飲みパーティに持っていってみんなで飲むのも楽しいです。パッケージもかわいいですし。
初心者の方にもぜひ試してもらいたいですね。
パワーズ ゴールドラベル
新ミドルトン蒸溜所が誇る「アイルランド人の魂の酒」パワーズ。
もっぱらアイルランド国内で消費されており、アイルランドでの人気はナンバー1と言われています。
1791年、かつてジョン・パワーがダブリンに設立したジョンズレーン蒸溜所でつくられていました。
7年熟成ですが、とても力強くスパイシーな味わいです。
赤リンゴとバニラのアロマの中にシナモンとコリアンダー。
ブレンデッドならではの優等生なクリーミーさと口当たりの良さ。赤い果実系の甘み(りんご、ラズベリー、チェリー)とホワイトペッパーのスパイスが好印象。
後半はややビター。スパイシーでドライ、その無骨なイメージはまさにパワーズ!
ロック、ストレート、ハイボールどんな飲み方でも美味しく飲めます。
ジェムソンブラックバレル
老舗ジェムソンから日本市場にはかなりウケがいいブラックバレルを取り上げておきましょう。
こちらは2度のチャーリング(樽の内側を炎で焦がす)を施した黒焦げの樽、通称「ブラック・バレル」を使ったことが話題となったボトル。
深いチャーリングから織りなされる芳醇で複雑な味わい、風味豊かでなめらかな口当たりの贅沢な味わいのボトルです。
熟成に使用しているのはバーボン樽とシェリー樽なのですが、このうちバーボン樽が「ブラック・バレル」仕様となります。(シェリー樽はゆっくりとした加熱でトースティングしています。)
しっかりとチャーが施されたバーボン樽で熟成させることで、バニラ感と甘みがより一層深まっています。
香りはかなりナッツが強く、バタースコッチ、コーヒーキャンディ、バニラアイス、カラメルを感じます。
バニラの甘み、アーモンドの香ばしさ、赤いリンゴの味わいと、オイリーかつなめらかな口当たり。
シェリー樽由来のレーズン、後半からホワイトペッパーのようなスパイシーさも感じられる上品でいて満足度の高いボトルです。
価格帯も手頃ですし、ぜひおすすめしたいボトルですね。
ライターズ ティアーズ カスクストレングス
前項で取り上げた「ライターズティアーズ」のカスクストレングス仕様です。
カスクストレングスは樽から取り出された時のままの強度の原酒でボトリングされるウイスキーで何も追加せず、何も取り除かれません。
そんな「生」のライターズティアーズが楽しめるカスクストレングスは毎年創立者のバーナード・ウォルシュ氏が厳選した樽を数量限定で発売されています。
アルコール度数は高いですが、刺すようなアタックはなく、ブルーベリー、ラズベリー、アプリコットの甘酸っぱいアロマ。バターシュガークレープ、コーン、はちみつ。
味わいもバターシュガーを使ったシンプルなクレープからスタートし、トースト、シリアル、はちみつ、キウイ、ミルクチョコレートのような質感もあります。
余韻は穏やかで温かく染み入るようなイメージ。しゃっきりしたショウガのイメージとアーモンドオイル、クローブ。
年度ごとやや味わいは変化しますが、複雑で濃厚な優れたブレンデッドウイスキーです。
数量はかなり少ないので、通常のライターズティアーズがお好きな方も、そうでない方も、これを機会に飲んでみることをおすすめします。
ザ ポーグス
日本でも人気が高まっているアイルランドの独立系蒸留所、ウエストコークがイギリスの伝説的なロックバンド“ザ・ポーグス”とタイアップして作ったアイリッシュ・ブレンデッドウイスキー。
イロモノっぽいですが、アイリッシュウイスキーは著名人とのタイアップ作品が結構多いのです。
3回蒸溜した後、65~70%ものミドルカットを行った(一般的なウイスキーでは30%ほど)、質の高いモルト原酒を使用しています。
シェリー樽で10年熟成のシングルモルトとバーボン樽で7年熟成のシングルモルトにバーボン樽で4年熟成のグレーン・ウィスキーをブレンド。
比率は、シングルモルト50%、グレーン・ウィスキー50%となっています。
ややケミカル感はありますが、めちゃ飲みやすい。入門にピッタリのブレンデッドですね。
ちなみに、フランク・マクハーディ―氏(スプリングバンク蒸留所元マスター・ディスティラー)が原酒選定に関わっているようです。
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[su_tab title=”ポットスチルウイスキー” ]
アイリッシュ伝統のポットスチルウイスキー
伝統的でクラシカルな製法でつくられるアイリッシュウイスキーのボトル。特徴はその豊満さ、コクと旨味の強さにあります。
しかし、IWAが定義した原料の混合比率がかなり厳しいので、つくられている商品は多くはありません。多くのクラフト蒸溜所から改正の声があがっているので、今後この原料の条件が変更された場合にはリリースが増えるかもしれませんね。
ティーリング シングルポットスチル
ダブリンで2012年に設立された、ティーリング・ウィスキー・カンパニーによる蒸留所「ティーリング蒸留所」が送り出すシングル・ポットスチルウイスキー。
クーリー蒸溜所を創業したジャック・ティーリング氏が設立しました。
彼は”蒸溜所復興マニア”とも呼ばれ、こだわりのハンドクラフト&スモールバッチのアイリッシュウイスキーを造るべくクーリーを離れてまでこのブランドをつくりあげたのです。
ティーリング蒸留所がオープンしたのは2015年。
約125年ぶりにダブリン市内に稼働を始めた同蒸留所で蒸留した初のウイスキーがこのポットスチルウイスキーです。
大麦麦芽50%、未発芽大麦50%をそれぞれ3回蒸留しており、バージンオーク、ワインカスク及びバーボンカスクで熟成された樽をブレンドしています。
香りは若々しくフルーティー。青リンゴ、白ブドウ、湿った干し草と少しシトラス。
味わいはキャンディの甘みとラベンダーのようなフローラルなイメージ。レモンとスパイシーなオーク。
それほど長くはありませんが、グレープフルーツのビター感を伴った余韻が続きます。
イエロースポット 12年
ひとつ前に紹介した「グリーンスポット」の兄弟分。
リリースは2011年。
1950年代に中止されてしまったオリジナルのイエロースポットにインスパイアされてミッチェル&サン社が作り出した商品です。
新ミドルトン蒸留所のピュア・ポットスチル原酒をアメリカのバーボン樽、スペインのシェリー樽とマラガ樽の3つの樽で熟成。
マラガ樽を使用するアイリッシュウイスキーはかなり珍しく、エキゾチックな甘さが付与されています。
香りはバナナ、ココナッツ、ホイップクリーム。ドライパイナップル。少しの桃。
味わいはとろりとしたはちみつ。オークとペッパーの後に濃厚なキャラメルとバニラ。
フィニッシュはハーバルでアーモンドとチョコレートのフレーバーが返ってきます。
12年以上の熟成感があり、シルキーでとてもリッチな味わいです。
レッドブレスト 15年
シングル・ポットスチル・アイリッシュウイスキーと言えば必ず名前があがるのがこのレッドブレスト。
1世紀以上にわたりアイルランド独自の伝統的な製法スタイルを守り続け、アイリッシュスピリッツを忠実に表現しているブランドと言えます。
スタンダードである12年と比較しても色濃いベリー系の香り。イチジク、バブリシャスやキャンディのようなアロマも。
味わいは瑞々しい果実感が印象的でどっしりクリーミー。スパイシーさと酸が感じられますが、主体はアプリコットジャム、ゴールドキウイ、ドライフルーツにプラムの甘さ。
フィニッシュはミディアムロングで強いオークの香りとビターなキャラメル。
ソーダ割にするとパッションフルーツやキウイの味のハイボールが味わえます。
サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2016(SWSC)でダブルゴールド。
インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション2015(IWSC)の銀賞を受賞した商品でもあります。
パワーズ シグネチャーリリース
アイルランドでの人気はナンバー1と言われているパワーズのリリースした「パワーズ シグネチャーリリース」。
ブレンデッドウイスキーのパワーズとは異なるボトルで100%ポット・スチルで蒸留した原酒を使用したシングル・ポットスチルウィスキー。
主体はリフィル・バーボン樽。そこにファースト・フィル・バーボン樽熟成原酒とシェリー樽熟成原酒を少量加えてバランスをとっています。
ネガティブ要素がほとんど感じられない秀逸な作品で、スコッチ好きにはぜひおすすめしたい。
香りはフレッシュなラズベリーといちご、バニラと若いオーク香。
味わいはハニートースト。中盤にバニラ、その深部にスパイシーさが心地よくあり、ナツメグやクローブが拾えます。
ハーバルでビターな余韻。ヘーゼルナッツやアーモンド、シナモンなどを感じる事ができ複雑で楽しいボトルです。
熟成年数は公表されていませんが、7年~9年熟成の原酒が使用されているとのこと。
レッドブレスト 21年
ウイスキーラヴァーズ達から熱烈に支持されるレッドブレストの最長熟品。
限定ボトルなどを合わせればより長熟なボトルをレッドブレストはリリースしていますが、恒久的に販売されているボトルとしては味わい・価格のバランスから見ても最高峰の逸品と言えます。
バニラとトロピカルフルーツのアロマ。ブラックチェリーとドライフルーツの芳醇な香り。
クリーミーな舌触り。味わいはライチ、マンゴー、桃の缶詰。そしてとろけるバニラアイスクリーム。
嫌らしくなく、そっと添えるシェリーの味わいが心地よくドライなフィニッシュへといざないます。
後味はかなりビターで、ライトな飲み口とは裏腹に、赤ワインやダージリンティを思わせるタンニンの凝縮感。
エキゾチックでトロピカルなフレーバー。素晴らしくジューシーで高級なバブリシャス。
ミドルトン蒸留所のあるマンスター地方で収穫されたモルト(大麦麦芽)と未発芽の大麦とのブレンド、蒸留所の近くを流れるダンガーニー川の口当たりのよい清水からつくられた珠玉の作品は一飲の価値あり。
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[su_tab title=”モルトウイスキー” ]
個性が光るアイリッシュモルトウイスキー
各アイリッシュブランドの個性を感じるならこちら。
比較的新しい蒸溜所からも精力的にリリースがあり、群雄割拠の様相を呈しています。
どのブランドの商品も素晴らしくピックアップするのはなかなか難しいのですが、今回は日本でも比較的手に入りそうな商品を厳選して10ボトル選んでみました。
ザ・アイリッシュマン シングルモルト
1999年にバーナード・ウォルシュとローズマリー・ウォルシュ夫妻によって設立された「ウォルシュウイスキー」のシグネチャー・ブランド。
同社は【コスパ最強アイリッシュウイスキー】でもご紹介した「ライターズ・ティアーズ」もつくっています。
3回蒸留の原酒をバーボン樽とシェリー樽で熟成。
控えめでフルーティーな杏子や桃の香り。乾燥した牧草とマイルドなジンジャースパイス。
口に含むとやや水っぽさがありますが、うっすらとはちみつがかかったバニラヨーグルトの味わいの中にアーモンドやシリアル、ジンジャーティーのフレーバー。
アルコール度数は40度なので軽いスタンスで飲めるお手頃価格のフレッシュなアイリッシュシングルモルト。
サンフランシコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションでダブル・ゴールドを受賞の他、さまざまな大会でメダルを受賞。
ボトルにはバッチ・ナンバーとサインが記されています。
コロンターフ1014(クロンターフ)
キャッスルブランドの子会社であるコロンターフ・アイリッシュ・ウィスキー社。
2008年からダブリンにて活動を開始し、ブレンデッドウイスキーも販売しています。
こちらはクーリー蒸留所の原酒をアイリッシュ・オークの炭で濾過後、バーボン樽で熟成したもの。
低価格でとても手に入れやすいので、はじめてのアイリッシュ・シングルモルトウイスキーとしてもおすすめです。
パイナップルやグレープフルーツ、レモンのような香りが印象的で、テクスチャもそこまでオイリーではないです。
マイルドで甘いですが、余韻は短くリンゴ酢のような酸味を伴います。
なので個人的には食前酒としてもいいかな~と思っています。
ヨーロッパでのみ販売されており、ワイン愛好家からも人気のあるアイリッシュウイスキーです。
商品名は1014年の聖金曜日にアイルランドのダブリン近郊コロンターフで起きた、アイルランド王“ブライアン・ボル”の“コロンターフの戦い”の勝利にちなんでいます。
ターコネル(ティアコネル)シングルモルト
クーリー蒸溜所によって復活した歴史的ウイスキーブランド。
かつてはワット蒸溜所がリリースしていたブランドで、実業家であるアンドリュー・アレクサンダー・ワットが所有する競走馬「ティアコネル」にちなんで名づけられました。
ラベルには1876年のアイリッシュ・クラシックレースで100倍の高配当がついた競争馬ティアコネルのゴールシーンが描かれています。
香りはナッツやピーナッツバター、そしてマイルドなオークの心地より香り。
味わいはハチミツの中にうっすらと梨。ホワイトペッパーと歯にくっつくヌガーのような甘さ。
蒸溜回数は2回。モルトのコク(雑味?)を感じます。
ミルクチョコレートとココアの穏やかな余韻。加水するとスパイシーさが増します。
実はティアコネルはカスクフィニッシュの評価もドエライ高く、隠れた名酒なのです。
- ラズベリーのなかにあるブリニーさが心地よいマディラカスクフィニッシュ
- シナモンたっぷり、温かい焼きリンゴのノートを感じるポートカスクフィニッシュ
- タルトタタンとカスタードの味わいシェリーカスクフィニッシュ
ちょっと手に入りにくいかもしれませんが、上記3種は一飲の価値あり。
マディラカスクは2008年のウイスキーバイブルでベストアイリッシュウイスキーに輝いています。
ランベイ シングルモルト
大手コニャックメーカーであるカミュ社の五代目当主シリル・カミュが手掛ける比較的新しいブランド。
フランスカミュ家の選び抜かれたコニャック樽を、ランベイ島にある「The Sea Cask Room」に運び、アイリッシュ海の息吹を取り込んで熟成したノンピートのシングルモルトアイリッシュウイスキー。
原酒はウエストコークで製造されたものを使い、ランベイ島の中心にあるトリニティ・ウェルという井戸水を使用しています。
3回の蒸溜の後、バーボンカスクでの熟成の後にカミュのコニャック樽で後熟を行っています。なんでもカミュの樽は古いものだと40年ものを使うそうです。
バナナの香りとうっすらと潮の香りが印象的です。
カミュには「イル・ド・レ」という島熟成のコニャックがありますがあのイメージと近く、ピリッと辛い味わいが特徴。
バニラやココナッツの風味の中にコニャック樽で熟成したとわかる独特の甘さがあり、ぶどうの味わいが感じられブランデーっぽい。
ハマる人は結構いそうな、とても面白い味わいのするシングルモルト。
ちなみにラベルデザインはアイルランドのデザイナーが手掛けたものでランベイのストーリーがすべて詰め込まれているそう。
シンボルのパフィン(ニシツノメドリ)は胸にシャムロックをつけており、カミュの樽を指すユリの紋章も入っています。
ブッシュミルズ 16年
ブッシュミルズの上位ラインである16年熟成もの。
上記でホワイトとブラックを紹介しましたが、10年と12年をすっ飛ばしていきなり16年です。
オロロソシェリー樽とバーボン樽で16年熟成した原酒をヴァッティングした後、さらに数ヶ月ポートワイン樽で熟成、マリッジしたボトル。
完成度の高い一本で、バーボンバレル由来のバニラやメープル、ココナッツ感がしっかり感じられる秀逸なボトルとなっています。
香りはレーズン、バニラ、メープルシロップがけのパンケーキ、アンズ、ローストナッツ、パンケーキ、豊かでずっと嗅いでいられるようなアロマ。
味わいは糖蜜、ミルクチョコレート、アーモンド、後半にトロピカルなフルーティさも感じられます。
ブッシュミルズの真骨頂はここからだと思っています。
毎日が楽しくなるようなリッチなボトルです。
ナッポーグ キャッスル 12年
キャッスル・ブランド社がリリースするアイリッシュ・シングル・モルト・ウィスキー。
1966年にマーク・エドウィン・アンドリュースがアイルランド西岸のクレア郡にあるナッポーグ城を購入し、荒廃した城を改修している際、アイルランドの蒸溜所から樽を購入。
その樽が城の倉庫で刻々と熟成され「ナッポーグ キャッスル」としてボトリングされたという歴史があります。
香りは洋梨、パイナップル、白桃とジンジャー。刈り取られて放置された枯草。
バナナやキウイの粘性を感じる味わいでオレンジやグレープフルーツなどの柑橘系キャンディとショウガのスパイシーさ。
オークのタンニンと少量のジンジャーを感じるフィニッシュ。中程度でドライな余韻。なんとなくスコッチのグレンキンチーの印象に近い。
12年とは思えない円熟味も持ち合わせており、上品でエレガントなミディアムボディ。
気に入ったらシリーズ品もぜひ試してもらいたいのがナッポーグキャッスルです。
ちょいと値は張りますがバーボン樽で熟成した後、シェリー樽で後熟した16年も秀逸なのだ。
ティーリング シングルモルト
クーリー蒸溜所を創業したジョン・ティーリングの二人の息子、ジャックとスティーブン兄弟によって2015年には蒸溜所も設立。
精力的にリリースを続け、勢いに乗るティーリングのシングルモルトです。
とにかくリリースが多いティーリングですが、現在リリースされているほとんどのボトルはクーリー蒸溜所でつくっていたものです。
こちらはシェリー樽、ポート樽、マデイラ樽、そしてホワイトバーガンディ樽とカベルネソービニオン樽といった5種類のワイン樽で熟成した逸品。
シトラスのような香りや柑橘系の酸味があり、メロン、バニラ、香草などがバランスよくミックスされた味があり、ワイン樽特有のタンニンの渋さも感じます。
ロックで飲むと意外にもおいしいのです。
ティーリングはシリーズ展開が巧みで愛飲家にもハマる人が続出しています。
昨今では長熟ティーリングを買い疲れたギーク達も出てきており、ご多分に漏れず僕もその一人。その沼はどこまでも深い、、、。
グレンダロッホ(グレンダロウ) 13年 ミズナラオークフィニッシュ
アイルランドの古き良き時代の再来を目指し、熱い情熱をもった5人のスタッフが立ち上げたクラフトディスティラリー「グレンダロッホ」。
2011年にボトラーズとして創業し、現在はグレンダロッホ国立公園にほど近い工業団地に蒸溜所を構えています。
アイルランド産大麦100%で作るこだわりのウイスキーは、伝統的な銅製のポットスチルで2回蒸溜。
スモールバッチで冷却濾過はせず、地元のウィックローから流れ出る清水で加水され出荷されます。
色々とリリースしているグレンダロッホですが、今回はアイリッシュ初となる日本のミズナラ樽(新樽)で後熟させたシングルモルトをピックアップ。
通常の13年もマンゴーやレモンのようなフレーバーがありとても好きですが、こちらは樹皮を沈めたような木質感のある香りがします。
ハーバルでミントやローズマリーのフレーバーも感じさせます。
ウッドオイルのようなテイストからジューシーなフルーツガム。オレンジの皮、アニス、コリアンダー。
味わいはパワフルでショウガを強く感じ、少し下がピリピリします。甘いエキゾチックなフルーツ(桃やパイナップル、少量のココナッツ)をたっぷり感じます。
余韻はお香の煙、ダージリンティのタンニン、少し焦げたアーモンド。
ミディアムロングの余韻でフルーティさとスパイシーさが同居したおいしいアイリッシュウイスキー。
通常の13年もぜひ飲んでみることをおすすめします。
「グレンダロウ」のラベルに描かれたケビン牧師の物語がPV風でyoutubeに公開されています。
グレンダロッホという地名には二つの湖のある渓谷という意味が籠められており、その景色は圧巻の一言。ハリーポッターをオマージュしたようなPVでかっこいいですね。
カネマラ 22年
スモーキーなアイリッシュウイスキーの存在を日本に浸透させたと言っても過言ではないカネマラのオフィシャル最長熟品。
4000本限定のボトリングで、ファーストフィルのバーボン樽のみでの熟成です。
ノンエイジや12年と比べると、その香りの複雑さは圧倒的。
植物の青々しさ、穏やかにただよう煙。ユーカリ、ミントの清涼感とハネジューメロンの甘さ。
フルボディですが、押しつぶされるような圧迫感はなく、バニラやビスケット、はちみつ、ヘーゼルナッツと香ばしい味わいが続きます。
シナモンやクローブなどのスパイスも感じられ非常に複層的。
フィニッシュは長くほろ苦く、コケやシダ植物のようなアーシーなイメージを纏います。
バーボン樽特有のはちみつ、バニラに腐葉土のようなじっとりと沁み込むピートが混然一体となっている素晴らしいウイスキー。
ちなみに初級で説明し忘れましたが「カネマラ」とは、アイルランド西部にあるかつてのピート採掘場の名前です。
ブッシュミルズ 21年
アイリッシュウイスキーラヴァー達から絶大の信頼を得ているのがこちら。
ヘタな20年Overのアイリッシュに手を出すなら、ブッシュミルズの21年で十分!と言わしめる安定感を持つボトルです。
オロロソシェリー樽とバーボン樽で19年以上長期熟成したモルト原酒をヴァッティングした後、さらに2年間マルサラワイン樽とマディラワイン樽にて熟成したボトルでシルクのような舌触りが特徴。
香りは濃厚で凝縮されたトロピカルフルーツ、プラム、ブルーベリー。そしてナッツ、チョコレート、バニラエッセンス。
リコリスやシナモンなどのスパイシーさも感じられます。
味わいは熟した洋ナシ、プラム、マンゴー、煮詰めたいちごジャム、レーズン様の濃厚な甘みの後にオレンジピールなど爽やかな香り、甘みが押し寄せ、味のグラデーションを楽しめます。
エスプレッソのような心地よい苦みをを伴った長いフィニッシュもこの21年の特徴といえるでしょう。
後熟に使うマディラ樽のカンテイロ製法の影響か、口説くないタンニン分が凝縮感を高めています。
贈り物などにも最適です。
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[su_tab title=”グレーンウイスキー” ]
注目のアイリッシュシングルグレーンウイスキー
注目が高まるアイリッシュのグレーンウイスキー。
穏やかでクセのない味わいから「サイレントスピリッツ」と呼ばれ、単体でのリリースが少なかったグレーンウイスキー。
個性がないと思われがちですが、昨今では多種多様なカスクフィニッシュが用いられ、グレーンウイスキーファンも増えてきています。お菓子のような甘さを求める方はこちら。
キルベガン シングルグレーン
アイルランド最古の蒸溜所といわれるブルスナ蒸溜所(1757年創業)で扱われていた代表銘柄を、クーリー蒸溜所がこだわりの製法で現代に復活させたのがキルベガンです。
こちらのアイリッシュ・シングル・グレーンウイスキーは2017年のリリース。割と最近です。
8年もののボトルもまだ残っている可能性もありますが、現在はノンエイジのボトルがスタンダードです。
トウモロコシ94%、モルト6%を原料に、クーリー蒸留所のコラム・スチルで2回の蒸留後、バーボン樽で最低4年以上熟成しています。
アーモンド入りのシリアルの香りが支配的でバニラビーンズのアロマも感じます。
やや単調ですがオーク樽の心地よい香りと赤いリンゴ、バナナとショートブレッドのフレーバー。
フィニッシュはややボール紙っぽさがあり、モカの苦みがあります。
アイリッシュのグレーンウイスキー入門には悪くない商品です。
ティーリング シングルグレーン
キルベガンよりやや予算があって、失敗したくない方はこちらのほうがいいかもしれません。
ワールド・ウイスキー・アワード2014にて世界一に輝いたアイリッシュ・シングルグレーンウイスキーです。
カリフォルニア赤ワインの熟成に使った樽を用いて熟成を施し、ノンチルフィルターでボトリングしています。
ワイン樽の心地よいアロマの中にバニラ、赤リンゴ、はちみつ。少し人工的な溶剤やガム。
味わいはとても軽く、はちみつ、ラズベリー、バニラクリーム、ミルクチョコレート。
ゆっくりとはちみつが消え、フローラルなノートとやさしいオークのフィニッシュ。
酒質の軽いアイリッシュ、しかも単調なグレーンウイスキーの中では飲みごたえがあって秀逸と言える出来だと思います。
ハイド シングルグレーンシリーズ
日本には2020年4月下旬より日本で販売を開始する「HYDE(ハイド)」。
ハイド社は、世界中から様々な色々な樽(シェリー・ラム・バーボン・ブルゴーニュワイン・ポート・マデイラ・コニャック・IPA 等)を調達し、その樽にて様々なフィニッシュを行う「ボンダー」と呼ばれる生産者です。
実験的で独自の路線を追求したアイリッシュウイスキーは、数々の国際的な賞を受賞しています。
ウイスキーフェスなどでチラリと拝見しましたが、中々面白かったのでご紹介します。
シングルグレーンとしてリリースしているのは「ハイドNo.3 バーボンカスク」と「ハイドNo.5 バーガンディカスク」。
どちらも6年熟成で5,000本限定の商品です。
「ハイドNo.3」は焼いたトーストにバターシュガーを塗ったヌガー的な重みのある甘さが印象的な、素直なタイプのシングルグレーン。
「ハイドNo.5」はバーガンディワイン樽でフィニッシュしておりストロベリーやチェリー、シナモンを感じるどちらかというと上記ティーリングに似ている味わいの挑戦的なシングルグレーンに仕上がっています。
グレンダロッホ(グレンダロウ) シングルグレーン ダブルバレル
2011年の設立からエネルギッシュな活動を見せるグレンダロッホ。
現在はウイスキーだけでなくアイルランドの伝統酒ポティーン(焼酎のようなもの)やクラフトジンなども手がけています。
グレンダロッホのシングルグレーンはアイルランド産大麦ととうもろこしを原料にカフェ式蒸溜機で蒸溜し、アメリカンオークのファーストフィルバーボンバレルで3年半熟成した後、半年間スパニッシュオークのオロロソシェリーカスクにてフィニッシュがかけられています。
カフェ式蒸留機ならではのフラットでシンプルな穀物の甘い香り。少しのいちご。ややざらつきを感じさせるアロマ。
味わいは平らでのっぺりとしているけれど、綿あめのようなやわらかな甘味。キャラメルコーン、ブラウンシュガーにジンジャーのスパイス。
バターが蕩けるような余韻と柑橘の後味。バランスがよく、ロックにしてもおいしい。
ダブルバレル以外に「シングルグレーン トリプルバレル」という商品もあり、こちらはバーボン樽で3年半寝かせた後、オロロソシェリー樽で半年、加えてディラ樽でフィニッシュしています。
こちらはダブルバレルよりも複雑な味がしますが、個人的にはシンプルで均整の取れたダブルバレルが好きです。予算があればどうぞ。
クロナキルティ シングルグレーン ボルドーフィニッシュ
2016年に創業。2018年にアイルランド・コーク州南西部の町クロナキルティに設立された、新進気鋭の蒸溜所クロナキルティ。
2019年3月からニューメイクスピリッツを蒸留しており、大麦麦芽は自社畑で生産されたものを使用しています。
こちらはバーボン樽で8年熟成されたグレーンウイスキーを3~12ヶ月間ボルドーワイン樽でカスクフィニッシュ。
かなりワイン樽の影響の強い面白いシングルグレーンウイスキーで、タンニンが強くベリー系のアロマが強い。
味わいは複雑で、オークの香りとバニラ、そして苦みが少々効いたハチミツレモン。炙ったストロベリー。
少しペタッとした余韻が残るが、フルーティーな酸が心地よく抜けるフィニッシュ。
クロナキルティ蒸溜所の設立者は、8世代に渡って農場を営んできた老舗のスカリー家。蒸溜所はもともとビールも作られていたそうで、ミニ蒸留器を使ったジンの講座なども受けられます。
イーガンズ ビンテージ・グレーン
2013年に復活を果たしたP&Hイーガンズ社のウイスキーで、2014年に10年熟成のシングルモルトをリリースしちょっぴり話題になりました。
もともとイーガン・ファミリーは1852年にタラモアで創業し、アイリッシュ・ウィスキーとエールビールを作ってきた老舗。
様々な事業を手掛ける一大企業でしたが、アイルランド独立戦争により終了を余儀なくされていました。
シングルモルト発売の後、第二弾として販売したのがこのビンテージグレイン。
バーボン樽で最低8年間熟成されたシングルグレーンで、非常に滑らかなキャラクターが特徴。
かなりモルティで金色の大麦畑を想起させます。その裏側にオークの香りとバニラの香りが品よく香ります。
味わいは素朴でシロップの甘さ。牧草とシナモン、洋ナシとライチ。フィニッシュはかなりスパイシーで8年の熟成を感じさせるオークがゆっくりと香ります。
グレーンウイスキーにしてはボディが厚く複雑です。ハチミツ系グレーンが多い中、フルーティとスパイシーさを感じさせる商品です。
ジム・マーレイのウイスキーバイブル2019で92.5点の高得点を獲得しています。
卓越した業界の栄誉と祖先の努力を称えた最高品質のアイリッシュウイスキーにこれからも期待です。
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注目!新興蒸溜所&ニューリリース
最後は注目のクラフトディスティラリーやニューリリースをいくつか紹介しておきます。
「これは必飲!」という銘柄もありますが、ブランドの背景や製造者の想いから「期待したい」と選ばせていただいたボトルもあります。
フェスの試飲のみでボトル一本しっかり抱えて飲んでないものもありますがその辺りはご容赦ください。
ウエストコーク シングルモルト 10年
2003年にジョン・オコネル、デニス・マッカーシー、ゲアル・マッカーシーの3名によってスタートした比較的新しい蒸溜所ですが、その実力を遺憾なく発揮しているのが「ウエストコーク」です。
「すべて手造りを目指す!」という目標を掲げ、蒸溜所内にはリアルに手造りのスチルやマッシュタンや発酵タンクが並んでいます。
さらにアドバイザーに元スプリングバンク蒸溜所のマスターディスティラー、フランク・マッカーディ氏を招聘し、製造を行っています。
ウエストコークは、熟成したウイスキーをモロミ(マッシュ)のオリの上で寝かせて麦芽の旨みを移した後、焦がしたミズナラ、スパニッシュ、アメリカンの3種のオークの木炭を投入。濾過します。
知ってる人はピンとくるかもしれませんが、ジャックダニエルのチャコールメローイング製法によく似たフィルタリングの仕方です。
これによって滑らかな舌触りを実現しています。
ブランドを代表する10年は朗らかで華やかなシングルモルト。リンゴのコンポートやバニラウエハースのような匂いがします。
味わいは熟したバナナとバニラ、キャラメルやメープルシロップ、少しだけキャンディや風船ガムのような人口的なニュアンスがあります。
コショウのスパイシーさもしっかり感じられ余韻にはエスプレッソコーヒーのビターなノート。
グレンダロッホと同じアイルランド産大麦100%。暖かさが記憶に残るアイリッシュシングルモルトです。
ザ・ダブリンリバティーズ オークデビル
2019年正式オープンを果たした「ダブリン・リバティーズ蒸溜所」。
製造責任者のダリル・マクナリー氏は、名門ブッシュミルズ蒸留所で17年間、マスター・ディスティラーを務めた人物。
ラベルがとてつもなく凶悪で、名前も禍々しいのですが、これは「ザ・リバティーズ(自由・解放)」のコンセプトに由来するもの。
17~18世紀のダブリンと言えば、ヨーロッパでも悪名高い腐敗地区と言われたエリア。
当時そのエリアの入り口には、「オーク・デビル(オークの悪魔)」の顔が掘り込まれたオーク製のプレートが付いた「コッパー・アリー(銅の道)」と呼ばれる銅製のアーチの入り口があったと言われています。
5年以上熟成したシングルモルトとグレーンウイスキーのヴァッティング。ノンチルフィルタード。バーボン・カスクにて後熟しています。
ハーバルで若草のようなフレッシュで青臭い香り。干し草とバニラ、かすかにブラックチェリー。
味わいはスイートでなめらか。煮詰めたりんごジャム。ドライプルーンのような濃厚さから蒸しパンのニュアンス。
フィニッシュはミディアムロングでピリピリとしたペッパーの味わいが残ります。
SWSC(サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション)2016年 金賞受賞。
ザ・ダブリンリバティーズ コッパーアレイ
同時発売の「コッパーアレイ(コッパーアリー)」はバーボン・カスクで10年熟成した後、30年間オロロソシェリーに使用した樽にて後熟。
10年とは思えない重厚なアロマと陶酔感があり、洋ナシ、メロン、桃のジュースのようなフルーティフレーバーを持っています。
カルヴァドスのような印象もあり、その複雑で芳醇な味わいは新しいアイリッシュウイスキーの潮流を感じさせます。
販売はかなり限られた本数だったかと思います。お早めにどうぞ。
ザ・ホイッスラー 7年
ダブリンのボイン渓谷の近くに2016年に誕生した「ボアン蒸溜所」。
アイルランド最大のアルコール飲料会社のオーナーだったパット・クニーがスタートさせた新しい蒸留所です。
「ザ・ホイッスラー(口笛吹き)」という名は創業者のパットとその息子ジェームスが口笛の名手であり、パットへの敬意を表するため名づけられたとのこと。
2017年からウイスキーの蒸留を開始しており、スチル3基を使った3回蒸留のポットスチルウイスキーです(ただし2020年現在発売されているものには自社原酒は含まれていないとか)。
まず飲んでみて欲しいのは7年。
ジャズ用語である「ブルーノート」の名を持つこのウイスキーは、現代的で新しさを感じさせます。
甘草、レモン、切り花のような香りを持っていて、スパイシー。バニラ、ラズベリーとアーモンドクリームサンド。
ナツメグのスパイスとココアのやや粉っぽい印象も。7年とは思えない多層なウイスキーです。
業界キャリア40年、スコットランドきってのウイスキーの名匠「ジョン・マクドゥーガル」がメインコンサルタントとのことなので納得。
彼が蒸留や運営に関わった蒸留所は20を越えており、ラフロイグ、スプリングバンク、バルヴェニーなどのマスターディスティラーを兼任したスコッチ界のスーパーエリートなのです。
ザ・ホイッスラー 10年
ザ・ホイッスラー7年の上位版にはの最長熟である10年があるのですが、こちらはバーボン樽で8年間熟成され、その後長期熟成後のオロロソシェリー樽で2年以上寝かせフィニッシュをかけています。
10年も塩キャラメル感、バターシュガー感が独特でおいしいです。
個人的には7年のほうが好みですが、どちらを買っても吉かと思います。
ダンヴィルズ(ダンビルズ)12年 PX
新興蒸溜所リリースで最も感動したかもしれない、個人的にストライクだったボトル。
1808年、北アイルランドベルファストに本拠を置いた名門、ロイヤル・アイリッシュディスティラリー社の製品。
それをエクリンヴィル蒸溜所が復活させました。
香りは未熟なバナナや青リンゴ、草原、洋ナシのガム、そしてカーネーションの匂い袋(ポプリ)のようなアロマがあります。
味わいはスムースでクリーミー。甘いPXカスクによるバニラビーンズ、そして黒スグリのようなニュアンス。
中盤の甘さは缶詰の白桃とパイナップル。後半は甘味がミルクチョコレートに変化し、フィニッシュにオークと無塩ナッツの香ばしさを伴います。
フィニッシュは驚くほど長く、深みのあるクローブのような感覚。わずかにショウガと白コショウ。
なかなかお値段は張りますが、妙味あるウイスキーです。
ユニークでレトロなラベルデザインも相まって所有欲をそそります。
ちなみにベルファストは豪華客船タイタニック号の建造の地でもあります。
ロー&コー
かつてダブリンのギネス工場(セント・ジェームズ・ゲート醸造所)の向かい側に存在したトーマス・ストリート蒸溜所。
ピーク時は200万ガロンを生産したアイルランド最大の蒸溜所でしたが、1926年に閉鎖されました。
2017年、この跡地にギネスのプロデューサーであるディアジオが、2,500万ユーロを投じて2019年夏に操業開始された新蒸溜所。
トーマス・ストリートの経営者ジョージ・ローにちなんで、「ロー&コー蒸溜所」としました。
流石はディアジオといった設備や内装、ツアー企画、グッズ展開、プロモーション戦略にしっかりお金がかかっていて、観光客にも大人気。
味わいはバーボン樽で熟成した平均的なアイリッシュブレンデッドウイスキーといったところ。
バニラの香りをベースにハーブ、夏草、ミント。フルーティーな青リンゴとはちみつの甘さ、うっすらと梨。
一次元的な味わいで及第点といったところ。
しかしディアジオ資本なのでしっかりとロードマップを描いているはず。今後に期待です。
現時点でもとにかくデザインが可愛くて収集したくなります。
ボトルだけでなく、蒸溜所にはグラスやコースターなどなど色々なグッズがあるようです。
甘いのしかダメ!な人はこちらがおすすめ【番外編】
アイリッシュ・ミスト
甘いお酒しか飲んだことがない方には、アイリッシュウイスキーベースのリキュールをおすすめします。
アイリッシュ・ミストはアイリッシュ・ウイスキーにヒースの花やクローバーの花から集めた蜂蜜、オレンジの果皮、10種類以上のハーブエキスをブレンドしたものに水とシロップを加え、3カ月以上熟成させた商品。
これをジンジャーエールなどで割ると非常に飲みやすく誰にでも好まれる味です。
同系統のリキュールには、ブッシュミルズ アイリッシュ・ハニーなどもありますね。
アイリッシュウイスキーの特徴や他国との違い
アイルランド島にあるアイルランド共和国と北アイルランドでつくられているウイスキーで、200年前の19世紀初頭には1500近いウイスキー蒸溜所が存在したとも言われています。
かつては世界ウイスキー市場の6割のシェアを誇っていましたが、禁酒運動やアイルランド独立戦争、スコッチウイスキーの台頭などでその売り上げは激減。
1980年代には蒸溜所の数はたった2つまで減ってしまいます。
しかし昨今その特徴的な味わいが見直され、クーリー蒸溜所をはじめとした新興蒸溜所が次々と乱立。復興の兆しを見せております。
特に北米マーケットでは毎年20%以上販売量を増加させるなどその伸び率は著しいものがあり、日本市場においても注目が集まっています。
口当たりは全般的に滑らかでオイリー。
ライトな酒質の中に溶け込む、マンゴーやパパイヤ、ライチといった南国果実のフルーティさが魅力のウイスキーで女性人気も高いのが特徴です。
スコッチやジャパニーズと比較しても、そのクリーミーなテクスチャと、トロピカルな果実感は顕著です。
ピートを使用しないウイスキーが多く、スモーキーさやクセのある個性を求める方には少し物足りなく感じるかもしれません。
アイリッシュウイスキー4つの種類と定義
①ポットスチルウイスキー
スコッチと大きく違うのは「ポットスチルウイスキー」という種類。
かつてはピュア・ポットスチルウイスキーとか、シングル・ポットスチルウイスキーなどと呼ばれていましたが、2014年のIWA(アイリッシュウイスキー協会)により「アイリッシュ・ポットスチルウイスキー」という名称に正式に定義されました。
スコッチに代表されるモルトウイスキーと違い、原料には大麦麦芽(モルト)と未発達大麦(バーレイ)、そしてライ麦や小麦、オート麦などの穀物を混合して用います。その混合比率はモルトとバーレイが30%以上、その他の穀物の合計が5%以下と定められています。
大麦と麦芽が全体の95%と大多数を占め、かつ大麦麦芽はノンピートであることが義務付けられています。
つまり「アイリッシュ・ポットスチルウイスキー」と名乗るものにピーティなウイスキーは存在しないわけです(ピートを焚くアイリッシュで有名なカネマラなどはここには属さない)。
単式蒸留器を使ったバッチ蒸溜を行い、蒸溜回数は2回でも3回でも構いません。
ちなみに、シングルモルト同じで、1つの蒸溜所でつくられたポットスチルウイスキー飲みをボトリングしたものは
「アイリッシュ・シングル・ポットスチルウイスキー」と表記されるんだよ。名前長いね!
②モルトウイスキー
アイリッシュの「モルトウイスキー」はスコッチと同様、大麦麦芽100%でつくられるウイスキーです。
こちらはピート麦芽でもノンピート麦芽でも構いませんし、蒸溜回数も2回でも3回でもOKです。
しかしポットスチルを使ったバッチ蒸溜である必要があります。
1つの蒸溜所でつくられたモルトウイスキー飲みをボトリングしたものは「アイリッシュ・シングルモルトウイスキー」と表記されます。
各社個性的で味わい深い商品を取り揃えており、商品の数も多いです。
③グレーンウイスキー
アイリッシュの「グレーンウイスキー」は連続式蒸留機で蒸溜したウイスキーで、使用する大麦麦芽の比率は30%以下に定められています。
トウモロコシ、小麦、大麦などの穀物類を原料とし、主にブレンデッドウイスキーをつくるのに使われます。
しかし昨今のアイリッシュウイスキーでは、このグレーンを単独でボトリングしたシングルグレーンウイスキーも発売されています。
2塔式、3塔式の連続式蒸溜機が一般的ですが、タラモア蒸溜所のような減圧を行える蒸留機も登場しています。
穏やかで甘く平面的なフレーバーのグレーンウイスキーですが、各社個性を出すため、様々なカスクフィニッシュを行っています。
まだ日本では見かけないけれど、パワーズコート蒸留所 (Powerscourt Distillery) のファーカレン (Fercullen) グレーンは美味しかった。
④ブレンデッドウイスキー
生産量・消費量ともに最も多いのがこの「ブレンデッドウイスキー」です。
スコッチやジャパニーズと同じく、モルトウイスキー原酒とグレーンウイスキー原酒をブレンドしたものがブレンデッドウイスキーと呼ばれるわけですが、アイリッシュには前述の「ポットスチルウイスキー」も存在しているので、多様性に富んでいます。
アイリッシュのブレンデッドウイスキーはポットスチル、モルト、グレーンのうち2つ、もしくは3種すべてブレンドしたものになるわけです。
その組み合わせは4通りなので、単純計算でスコッチの4倍のバリエーションがつくれることになります。
まとめ:気軽にアイリッシュをウイスキーを試してみよう!
以上でアイリッシュウイスキーのおすすめボトル紹介を終えます。
振り返るとかなりの量の銘柄を紹介してきました。本当に新興蒸溜所のボトルが増えてきましたね。
まだまだ自社蒸溜の原酒を使っているところは少ないですが、これからどんどん増えてくることでしょう。
クラフトディスティラリーの新たな挑戦を応援したいです。
他にも、元UFCチャンピオン、総合格闘家のコナー・マクレガー氏が手掛ける「プロパーナンバートゥエルヴ」や、ブレンデッドの項でも紹介した伝説的ケルティックバンドポーグスとのコラボ作品「ポーグス」など著名人の参入も目立ちます。
ポットスチルウイスキーのプレミアムライン「ミドルトン ダーゲラッハ(ディア ゲィーリッチ)」や、愛好家にも根強い人気の終売品「ヘネシーナジェーナ」。
さらにはブレンデッドの最高峰「ミドルトン ベリーレア」などレアボトルは入手の難しさから今回は見送りました。
まずは手に入れられる範囲で美味しいアイリッシュウイスキーを愉しんでいただければと思いますが、レアものが欲しいという人は探してみてください。
今回はBARREL編集部の他、友人のソムリエや飲食店スタッフ、アイリッシュウイスキーの経験がない20代前半の男女数名とにご協力いただきました。参加いただいたみなさんありがとうございました。アイリッシュウイスキー未体験の方もいましたが、スコッチと比べると酒質が軽くフルーティなことは理解していただけていました。
ジェムソンなどはこの軽い酒質を利用し、カクテルレシピを精力的に展開しています。ウイスキーに慣れていない方は、カクテルからアイリッシュウイスキーを知ることもあるやもしれません。
なにはともあれまずは飲んでみることが大事です。
次回の晩酌はアイリッシュウイスキーの扉を開くところからはじめましょう!
これまでにスコッチウイスキー、バーボンウイスキー、ジャパニーズウイスキーと特集してきましたが、今回はアイリッシュウイスキーの特集を執筆していくこととしましょう。
数年前まではわずか5~6か所しかなかったアイルランドの蒸溜所も、現在は30か所を超える勢いで増えています。新銘柄も次々とリリースされ、日本市場に続々と投入されており、ここ数年の快進撃は目を見張るものがあります。
今後、アイリッシュウイスキーを飲み進めていきたい!と思っている方が、何度も訪れるであろうページになることを祈り、更新し続けます。