BARRELに訪れる多くの読者はウイスキー初心者の方。
そんなウイスキー初心者の方の最も身近にあるウイスキーカクテル、それが「ハイボール」です。
ウイスキーの原酒不足が騒がれる昨今、各メーカーがとにかく力を入れているのがこのハイボール。
年々需要が上がっており、生産量も爆発的に上がっております。缶での商品も次々投入され、まさに日本独自のウイスキー文化といったところでしょう。
糖質制限ブームも相まって、居酒屋でも一発目からハイボールを注文する方も増えてきました。ジンジャエール割やトニック割などウイスキーがあまり得意でない方でも飲みやすいものも見かけますね。
しかしハイボールは非常に奥の深いもの。
ウイスキーメディアを運営している者として「ベースとしているウイスキーの銘柄によって、全然味が異なる」ということを知ってほしいと強く思っています。
あなたはきっと感動するほど美味しいハイボールにまだ出会っていないことでしょう。
一緒にあなたの舌を唸らせる、激ウマハイボールを見つけてみましょう。
なお、ページ最後にはウイスキー専門メディアが選ぶハイボールスペシャルセットをご用意しました。
「今までこんなおいしいハイボール飲んだことない!」と言わせることうけあいの5品。ぜひお試しあれ。
ハイボールの種類の豆知識
ハイボールというのはなにもウイスキーを使ったものだけを指す用語ではありません。
『スピリッツを炭酸水で薄め、氷を入れたロングドリンク全般』を指します。
スピリッツというのは、焼酎、ウォッカ、ジン、テキーラ、ラム、ウイスキー、ブランデーなどの蒸溜酒のこと。いわゆるアルコール度数の強いお酒ですね。
居酒屋によってはハイボールを頼むと、焼酎をベースにしたハイボールが出てくることもよくあるので、「なんか私の知ってるハイボールの味が違う….」なんてことにもなりかねません。
「ウイスキーをベースにしたハイボール」を頼みたい場合はしっかりベースとなっている蒸溜酒の種類を確認しましょう。
ウイスキーハイボールの種類や作り方、起源などの詳細はこちらの記事でどえらく細かく書いています。チェックしてみてください。
ベースとしているウイスキーで変わるハイボールの味
今回最も重視するポイントはハイボールの味です!味!
「酔っぱらうために量を飲みたい」という方にはあまり関係ないかもしれませんが、肝臓が一生で処理できるアルコール量は決まっているらしいので、僕はできるだけ美味しいハイボールをあなたに味わってもらいたいと思うのです。
ベースに使うウイスキーの種類でハイボールは劇的に味が変わります。
かくいう僕も若い頃は角ハイボールばかり飲んでいましたが、ピートを効かせたスモーキータイプのハイボールを初めて飲んだ時は体中に衝撃が走りました。
「こんなにうまいハイボールがあったのか…」と感動したことを今も覚えています。
多くの方にこの感動を味わっていただきたいと今も強く強く思っています。
では、ここからベースとするウイスキー別にハイボールの味を解説していきたいと思います。
居酒屋でよく見かけるハイボール
ハイボールと言えば「角ハイボール」「トリスハイボール」「ブラックニッカハイボール」あたりが有名ですね。最近はバーボンウイスキーのジムビームを使った「ビームハイボール」などもあります。みなさん居酒屋ではよく見かける名称でしょう。
メニューには単純に「ハイボール」と表記されているところもありますが、だいたいは上記のウイスキーのどれかをベースに使っています。(激安居酒屋では単価の安いREDや凛を使っているところもありますね)
居酒屋の食事にも合うし、飽きないし、ガンガン飲める!という点では安いハイボールは魅力的ですが、ブレンド用アルコールの添加によって頭痛が発生しやすいという難点もあります。
では軽く解説していきましょう。
トリスハイボールの味
1946年発売の老舗。「自宅で気軽に楽しめる」というコンセプトが昔も今も若者に愛され続けているトリス。冬はホット、夏はハイボールという飲み方が昭和の時代から流行っていた商品でもあります。
缶ではジンジャー割り、コーラ割りなどの商品が出ていることからもわかるように「非常に軽くて飲みやすい」サラサラタイプなウイスキーです。
トリスクラシックがアルコール度数37%、エクストラが40%でバーボン樽原酒が入っているので、エクストラのほうが多少ビターに感じます。
しかし、まぁ軽い。立ち飲み屋で一杯ひっかける感じのハイボールです。今回の美味しいハイボールを見つける観点からはおすすめはしません。
ブラックニッカハイボールの味
居酒屋度定番のブラックニッカ(クリア)を使用したハイボール。
これまたピート香を感じさせないかる~く飲みやすい味わいのウイスキー。少し樽の匂いというかビターな風味を感じるという人もいます。アルコール度数はトリスクラシックと同じ37%。
トリスもそうですが、あまり食事には合いません。
角ハイボールの味
全国の居酒屋では最も使用頻度が高いであろうまさにハイボールの看板銘柄。「サントリー角瓶」を使用したハイボールです。
上記二種に比べると味に厚みがあります。山崎蒸溜所と白州蒸溜所のバーボン樽原酒をバランスよく配合しており、後口はドライ。
油物や濃いタレを使った料理(焼き鳥、すきやき、うなぎなど)との相性は抜群です。
白角を使用している居酒屋もありますが、白角は水割りのほうが合います。白州をメインに使っているのでさっぱりなんですね。和食(白焼き)のようなものと合わせると吉。
(ちなみに白角は2019年3月を目途に休売が決まりました。悲しい。)
知多ハイボールの味
最近では居酒屋でもよく見かけるようになりました。知多ハイボール。若者に有名な鳥貴族、世界の山ちゃん、串カツ田中などでも飲めます(ちなみに過去に鳥貴族は響ハイボールを販売していました、贅沢ですね!)。
1972年に造られた知多蒸溜所はとうもろこしを主原料にしたグレーンウイスキーを造る蒸溜所。サントリーの主力製品である「響」や「角」「オールド」などに使われています。
マイルドな口当たりと穀物の甘い香り、トウモロコシ由来の旨味、バーボン樽由来の甘さが心地よいスムースなシングルグレーンウイスキー。
ソーダで割れば、ソラマメやだし巻き卵といったあっさり目のつまみから、角煮や唐揚げなど油分や味が濃い料理(主に和食)にと万能なハイボールとなります。
竹鶴ハイボールの味
天ぷら屋さん、うなぎやさん、かに道楽など、ややハイクラスな和食小料理屋などによく置かれている竹鶴。「マッサン」が話題になった際、缶でも発売されて話題になりましたね。
シェリー樽熟成のモルトとリメード樽熟成のモルトを使い、シルクのようななめらかな口当たりを持っています(リメード樽とは両面の底板である鏡板を新しいオーク材に交換した樽のこと。新樽の甘みと旧樽のまろやかさをそれぞれ引き立たせることができる )。ハイボールでは青りんご、洋ナシの香り、柑橘系の味わいと、ビターでキレの良いフィニッシュが魅力。
ベースで使われることが多いのは「竹鶴ピュアモルト」。
ちなみにピュアモルトはシングルモルト同士を混ぜ合わせて作られたヴァッテドモルトのことです。竹鶴は余市蒸溜所、宮城峡蒸溜所のモルトが合わさっています。
ジムビームハイボールの味
こちらはアメリカンウイスキーのバーボンをベースに使ったハイボールです。ローラをCMに起用し、カジュアル路線をひた走る若者をターゲットにしたハイボール。缶も発売されています。
使用される銘柄のほとんどはジムビームホワイトというスタンダードなボトル。世界で一番売れているバーボンウイスキーで、なんと創業は230年前。
心地よいオーク樽の香り、小さな白い花を感じさせる穏やかなニュアンスも含んでいます。バニラの味を強く感じるので、角ハイボールを苦いと感じた方はこちらのほうがおすすめです。
唐揚げなどの揚げ物や、甘辛いタレがかかった料理に合わせやすいです。
こちらはバーボンのため、上の図には入れていません。バーボンを使ったハイボールはこちらから。
ワンランク上のブレンデッドウイスキーを使ったハイボール
前述したトリス、ブラックニッカ、角などもブレンデッドウイスキーでしたが、次はショットバーやカフェバー、オーセンティックバーでも活躍するワンランク上のブレンデッドウイスキーハイボールをご紹介しましょう。
ブレンデッドウイスキーは、数十種類のモルトウイスキーと数種類のグレーンウイスキーが混合された、複雑でバランスのとれた香味を持つウイスキーです。
シングルモルトと比べて価格が安く、アレンジがしやすい特性があります。ハイボールはもちろんのこと、日本特有の「水割り」文化にも適し、料理と相性も高いのも特徴です。
カジュアルなBARで「ハイボールください」と銘柄を指定せずに注文すると、この辺りの銘柄から作られる可能性が高いです。
デュワーズハイボールの味
プロのバーテンダーから価格面、味のバランス面、両面から支持されているのがデュワーズのハイボール。
古いものと比べて味が変わってしまったと嘆くバーテンダーさんもいますが、しっとりとまろやかな口当たり、そしてクセのない無難なバランス感覚は秀逸です。
銘柄は「デュワーズ・ホワイトラベル」を使用する場合が多いです。
ザ・フェイマスグラウスハイボールの味
店舗のバックバー(カウンターの後ろ棚)に映える、ライチョウの描かれたラベルが印象的。熱狂的なファンを有するブランドでもあります。
マッカランとハイランドパークといった超人気モルトを基調としており、ハイボールにするとレーズンの甘さと、スパイシーなのど越しが際立ちます。アイラ産ウイスキーとは違う、ハイランドパーク特有のスモーク香が好きな方はハマるでしょう。
銘柄は「ザ・フェイマスグラウス・ファイネスト」を使用する場合が多いです。
シーバスリーガルハイボールの味
居酒屋ではハイボールになっているところはあまり見かけませんが、少し単価の高い飲食店では人気の品。
ストラスアイラ、グレングラント、ロングモーンといった、いずれもフルーティでフローラルなキーモルトを使い構成されたスコッチ界のプリンス。
華やかで爽快。アルコールの嫌な刺激が少ないことと、ソーダ水で割っても崩れないバランスが魅力です。
銘柄は「シーバスリーガル12年」「シーバスリーガルミズナラ」などが使われます。ミズナラを好むお店もありますね。
オーセンティックなBARではオールドボトルを使用しているケースも多くあります。
ジョニーウォーカーブラックラベルハイボールの味
世界で最も売れている通称「ジョニ黒」。
酒税法改正前は非常に高級だったジョニウォーカー、現在は比較的飲みやすい銘柄となりました。
お家で飲むならジョニ赤(レッドラベル)、お店で飲むならジョニ黒(ブラックラベル12年)といったイメージでしょうか。
ジョニ黒はカードゥ、タリスカー、ラガヴーリンなどを基幹モルトとしており、ピートとバニラのアロマを感じます。タリスカーの塩っぽい個性がやや前に出ている印象。
ちなみに「ダブルブラック」という種類をハイボールにしているお店もあり、こちらはかなりスモーキーで、出汁や紅茶のような渋みと旨味、酸を感じさせる味わいです。
こちらが気に入れば続いてシングルモルトのタリスカーハイボールを行くのがきれいな流れです。(その後は特級ジョニ黒ハイボールに戻って、現行品と飲み比べるのもいいかなぁ)
ホワイトホースハイボールの味
缶でも出回っているホワイトホース。国内ではかなり販売量が増えています。
ホワイトホースのキーモルトといえばラガヴーリン。アイラモルトの持つ強いヨード香が過去は魅力だったのですが、こちらのDNAは完全になりを潜めています。
現在はクレイゲラキ、グレンエルギンといったスペイサイドの華やかなモルトにとって代わりました。ナッツの香ばしさ、繊細なバニラを感じさせるまろやかなハイボールです。ライト&スムーズ嗜好言われる日本人の舌に合わせたといえばそれまででしょうが、今はかなり好みが細分化されているので、また以前のようなスモーキーな味に戻ってほしいですね。
バランタイン17年ハイボールの味
今も昔も高級ウイスキーの代名詞的存在として知られるバランタイン。
BARではファイネストより17年を使うところも多いです。この17年で「ハイボール童貞を捨てた」と語る年配の方もいました。当時はそれだけ衝撃的なおいしさだったのでしょう。
ソーダで割ると豊かで厚みのある風合いが広がります。スライスレモンを加えるフレッシュなハイボールもおいしい。
4000種以上の香りを嗅ぎ分けられる卓越したブレンダーが、神業的に配合した40種類上のモルトとグレーン原酒が醸し出す味わいは一飲の価値ありです。
イチローズモルトハイボールの味
世界から注目される人気銘柄イチローズモルトもまた、ハイボールにすると実に味わい深いです。
「イチローズモルト=高級品」と思う方もいるでしょうが、ハイボールによく使われるのは「イチローズ モルト&グレーン ホワイトラベル」という銘柄。
複数の蒸溜所のモルト原酒とグレーン原酒を合わせた、リーズナブルながらイチローズモルトの魅力を体験できるボトル。
レモンやオレンジの風味のする夏向きの一杯で、様々な樽で熟成した原酒をもつイチローズモルトならではの複雑味が魅力です。
そのほかにも「カティサーク」、「オールドパー」などがブレンデッドウイスキーでよくハイボールに使われる銘柄です。
まずは上記のブレンデッドウイスキーを使ったハイボールを飲んでみて、その風味の違いに感動してください。
モルトウイスキーのハイボール
次はハイボールにしても美味しい、モルトウイスキーについてご紹介していきましょう。
「シングルモルトをソーダで割るなんてもったいない!」
「外国にはハイボールなんて飲み方はないんだよ」
といった声も聞こえてきそうですが、個人的に大大大正義の飲み方だと思っています。各蒸溜所のキャラクターが際立てば、シングルモルトハイボールだって立派なカクテルです。
もちろんバーテンダーさんが作り出す最高の状態のハイボールを飲んでいただきたいとは思いますが、こちらでは自宅でも美味しく飲めそうなものをピックアップ。
白州ハイボールの味
白州は居酒屋で取り扱っているところもチラホラ見ますね。
居酒屋の中では価格としては高額、しかも量は少ない。じゃあ、普通のハイボールでいいや。といった感じで躊躇している人も多そうな商品。
「森香るハイボール」という謳い文句でサントリーから発売している白州は、ほんのりと甘く、ほんのりとスモーク。森の若葉を感じさせる爽やかな味わいです。久々に田舎に帰ってきて、涼やかな竹林にいるような感覚にさせてくれる郷愁のハイボール。
現在は12年が終売中となってしまったので、ノンエイジ(年数表記なし)が一般的ですが、12年のハイボールはめちゃめちゃ美味しいです。どこかで機会があればぜひ。
山崎ハイボールの味
白州同様、飲み屋でも高価格帯で提供されています。ブランドネームが浸透しているので割高ですねー。山崎”プレミアム”ハイボールと名前がついていたりします。
白州ハイボールと比べると樽熟成由来の甘み、そしてボディの厚みがあります。これはミズナラ樽に貯蔵されたモルトと、ワイン樽に貯蔵されたモルトからくる力強さです。イチゴやさくらんぼのようなベリーのニュアンスもあります。
こちらもノンエイジでの提供が一般的ですが、エイジド(年数表記アリ)はどえらいうまいです。
タリスカーハイボールの味
通のあいだでは「タリソー」という通称で親しまれるタリスカーソーダ。
輸入販売元であるMHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社が「ハイボール専用」と言わんばかりにゴリ押ししている商品でもあります。
僕も大好きな銘柄のひとつで、海潮のような香りとスパイシーな味わいが際立つ、満足度の高いハイボールが作れます。ちなみに公式が「黒コショウの燻製」をプレゼントしていて、よりブラックペッパー風味の強いハイボールを布教していたりもします。
今までのハイボールの概念を変えたい方、ジョニ黒のハイボールに飽きた方、是非こいつを試してやってください!
グレンモーレンジィハイボールの味
ワインのような流線型ボトルが特徴的なグレンモーレンジィ。その見た目に違わぬまろやかな味わいが特徴です。
バニラ、桃、そして酸味のあるオレンジのアロマとクリーミーな風味、舌の上で跳ねるような元気なフレッシュさが人気で、「女性におすすめのウイスキー」では常に上位に名前が挙がる商品でもあります。
六本木などで短期間のみ営業するポップアップバーなどでも展開しており、オレンジの皮をひねってピールしたものを浮かべるオレンジハイボールなどもあります。
チョコレートとの相性も抜群。
ラフロイグハイボールの味
東京で人気の居酒屋ではチラホラ見かける「ラフハイ」。店員さんがその旨さに驚嘆し入れたという話も聞きます。
アイラモルトの中でもひときわ強烈なフレーバー(ヨード、クレゾール、タール)を持つラフロイグは、その超個性的なキャラクターで熱烈なファンを獲得しています。
ひとたびソーダで割ると、炭酸がラフロイグの強烈なフレーバーを残しつつ、クセをまろやかにやわらげ、飲みごたえたっぷりのスペシャルなハイボールに変化します。
こればっかりは飲んでみていただかないと、解説が難しいですね。とにかく薬くさい炭酸飲料って美味しいんです!
使われるのはスタンダードの10年。ぬか漬けやいぶりがっこ、サンマの塩焼きに餡掛け豆腐などの和食にも合います。
カーデュハイボールの味
ジョニーウォーカーのキーモルトとしても知られるカーデュ(カードゥ)。こちらをベースとしたハイボールを提供しているBARや飲食店も多く見かけます。
非常に穏やかな性質のシングルモルトで、麦芽のフレーバーとバニラのアロマが繊細に香ります。口当たりは甘くシロップ感があり、鼻抜けはやや苦みを感じさせます。ハイボールにするとうっすらとしたピートと苦みがたまらないアクセントになります。ただ氷を入れすぎると苦みが強くなります。
ジョニ黒の古いボトルのハイボールに少しだけカーデュ(これまた旧ボトル)をフロートしたスーパーハイボールは美味しかったなぁ。
ベンロマックハイボールの味
最近ウイスキークラスタの中では評価の高い「ベンロマック10年のハイボール」。
2015年4月に新パッケージで発売された比較的新しい銘柄なのですが、ピートとシェリーのバランスが最高の逸品です。
特に10年はハイボールにすると最高で、ドライプルーンやヘーゼルナッツ入りのチョコレートの香り、そしてそよかぜのようなピートが香ります。味わいはベリーのニュアンスを残し、トーストのようなスモーキーさ。熟成感もありボディも厚く、満足度が高いです。
食後に飲みたいと思わせる、おつまみのいらないじっくり系ハイボールですね。
他にもメジャーどころでは「マッカラン」、「グレンフィディック」、「ボウモア」などのシングルモルトもハイボールにするとおいしい銘柄です。
最近では若いアイラモルトやアイランズモルトを使用したシングルモルトハイボール、ヴァッテドモルトハイボールも人気です。ラフロイグの時に説明しましたが、スモーキーなハイボールってどえらいウマいんです。おすすめです。ホント、マジで、タリスカーとベンロマックは飲んでみて 笑。
BARなどでもお目にかかる若い原酒のピーティなハイボールといえば「フィンラガン」、「アイリーク」、「シックスアイルズ」、「ビッグピート」、「ピーツビースト」、「ピートモンスター」などでしょうか。ピチピチと弾ける爽快なスモーキーさを堪能できます。
オールドボトルを使ったハイボール
オールドボトルを使ったハイボールを提供してくれるBARも多いです。
ブレンデッドウイスキーであれば、上記でも紹介した特級時代の「シーバスリーガル」、「ホワイトホース」、「ジョニ赤」、「ジョニ黒」、「バランタイン17年」。他にも「グランツ」、「ホワイト&マッカイ」、「ウシュクベリザーブ」、80年代流通の「グレンフィディック8年」など。
個人的にはローガン12年やロングジョン12年のハイボールが印象的でした。
現行品とは異なる複層的で厚みのあるフレーバーが楽しめます。色、粘性も強いものが多く、アルコールの強さとは違う次元の「濃さ」「味の厚さ」を味わうことができます。
保存状態が悪いものは水割りやソーダ割にすると負けてしまい、ただ飲みやすいだけの味わいになることもありますが、オールドボトルハイボールを提供するBARではしっかり状態管理をしているので大丈夫でしょう。
古く貴重なシングルモルトをハイボールにすることはあまりありませんが、愛好家の中には「本当にうまい飲み方を探る」方もいます。実際にあるんですよね、25年オーバーのシングルモルトでハイボールにして美味しい品が。
BARに通っていれば、バックバーの整理時や、周年記念などに残っている貴重な商品をハイボールで味わえたりします。
是非BARで「はじめてのハイボール」に出会って感動してください。
バーボンウイスキーを使ったハイボール(バーボンソーダ)
ジムビームを使ったビームハイボールが居酒屋に置かれてからというもの、バーボンを使ったハイボールも一気に増えてきていますね。
これは価格的な原因もあるかと思います。
やはりシングルモルトやオールドボトルをハイボールにすると、一杯の単価が高くなりがちです。バーボンも昨今高騰してきているとはいえ、スコッチやジャパニーズと比べるとまだまだリーズナブルと言えるでしょう。
バーボンウイスキー特有の濃厚なバニラの甘さと香ばしくウッディなハイボールが味わえるので、他店と差別化しやすいと言えます。
メーカーズマークハイボールの味
ジムビーム同様、最近は若手俳優を起用したCMや「手づくり感」を全面に押し出した「メーカーズクラフトハイボール」の名称でリーチを広げているメーカーズマーク。
バニラをベースに柑橘系フルーツの香り、味わいはソーダの中に薄く溶け込んだキャラメルを思わせる甘みがあります。ストレートだと乳酸感があり、接着剤っぽさを感じることがあるので割ったほうがおいしいです。原料に冬小麦を使用することにより、まるい口当たりとなっています。
世界的に有名なブランドで日本でも昔からよく飲まれていましたが、昨今ではライムやオレンジピールを絞ったり、ローズマリーを入れたり、漬け込み酒として使ったりと幅広い飲み方が提案されています。
I.W.ハーパーハイボール(ハーパーソーダ)の味
「ハーパーソーダ」の名称で酒場では古くから親しまれています。40代以上の方はバーボンのソーダ割といえば、ハーパーを思い浮かべる方が多いはず。
味はフレッシュで雑味のないスッキリとした味わい。
原材料のトウモロコシの含有量が高く、バナナのようなほのかな甘みが口内を滑ります。ゴクゴク系ハイボールですね。ゴールドメダルを使うところもあれば、贅沢に12年物を使うところとあります。
醤油やみりんで味付けした料理によく合います。竜田揚げなど。
フォアローゼズハイボールの味
4輪の赤いバラのラベルが特徴的なフォアローゼズ。こちらのハイボールはウイスキーを飲みなれていないビギナーに人気の一品。
もともとソフトな味わいではあるのですが、ハイボールにするとより軽やかでポップに楽しめます。10種類の原酒をブレンドしており、花を思わせるフローラルなニュアンス、そして果実を思わせるフルーティなイメージを持つアロマが漂います。
スタンダード版で作るハイボールが一般的ですが、フォアローゼズ ブラックで作るハイボールは木樽の香りが強く、熟成感、甘みも増していてとても美味しいです。ぜひブラックで。
ジャックダニエルハイボール(ジャックソーダ)の味
こちらも名前はよく聞くかと思います。ジャックダニエルを使ったハイボール。
「ジャックソーダ」とも呼ばれます。正確にはテネシーウイスキーですが、今回はバーボンのくくりに入れています。
居酒屋にあまり置いていないのはお値段が少し張るからでしょう。カジュアルBARクラスになればどこでも置いていると思います。
木炭でウイスキーをろ過する、チャコールメローイングという製法を用いており、雑味の少ないガラスのようななめらかな味わいが特徴。ハイボールにすると樽の風味の中にバニラやバナナの甘い香りがはじけ、爽快感がありスルスルと飲めます。
コーラで割るジャックコーク、ジンジャエールで割るジャックジンジャーなども有名です。他にもオレンジジュースやカルピスで割ったりもします。
ちなみに最強のジャックコークを作る!という記事も書いてますので是非ご覧ください。
他にもプレミアムなバーボンハイボールはたくさんあります。ブレットバーボン、ノブクリーク、ベイゼルヘイデンあたりはBARでも見かけるハイボールでしょうか。
上記の図を見ると座標右側が結構空いているので、幾つか銘柄を指定しておくと、
リッチでドライ:ワイルドターキー8年、ファイティングコック
リッチでスイート:ブラントン、ヘンリーマッケンナのシングルバレル
などがはまるかと思います。アルコール度数が高いヘビィなボディのハイボールも満足度があって良いです。
ベースを軽いウイスキーから始めれば、「飲み始めから飲み終わりまでハイボール」という飲み方も可能なのが面白いところです。
初心者こそ美味しいハイボールを飲もう
ハイボールは「まずいウイスキー」「安いウイスキー」をなんとか美味しく飲むための手段と思われがちです。
しかしその考え方に僕は待ったをかけたい。一部の玄人を除いて、それは酩酊するためにお酒を飲む酔っ払いの理論です。
ハイボールはウイスキーの魅力を引き立てる、日本人の味覚にピッタリのカクテルです。
炭酸の泡がウイスキーのフレーバーを掻き立て、その泡が弾けることにより香りはより豊かに、味わいはよりしなやかになっていくのです。
ウイスキービギナーこそたくさんハイボールの種類を飲んでいただいて
「あれ!?今まで飲んできたハイボールってなんだったの?めっちゃおいしい!」と思って欲しいです。
そしてその後、ゆっくり、マイペースで構わないので「あ、じゃあ今度はこの銘柄を水割りでもらってみようかな」とか「ストレートで舐めてみようかな」とか思っていただきたいです。
「いつも角ハイ」ではなく、とにかく色々な種類を飲むことに挑戦してみてください。
きっとあなたのハイボールの世界観が変わります。
ではでは最後に、ハイボールにするとめっちゃおいしいウイスキーセットのご紹介です。
産地・原料・製法による味の違いが分かりやすい、それぞれキャラクターの異なる美味しいウイスキーをセレクトしました。
[/voice]ハイボールおすすめセット 30ml~100ml
シトラスやオレンジの酸味がおいしい「 ザ グレンリベット ファウンダーズリザーブ」
ピリッとドライな味わいが魅力の「ブレットバーボン」。
ヘビーピートハイボール、この旨さは飲まなきゃわからないアイラ島のキング「ラフロイグセレクト」。
ハイボールにしておいしい素敵ラインナップです。
ギフトボックスやメッセージカードもつけれます。