響の発祥と製造場所の紹介
響最大の特徴は、原酒をサントリー社が持つ
- 山崎蒸溜所
- 白州蒸溜所
- 知多蒸溜所
の3つの蒸溜所で生産・熟成されている点です。
山崎蒸溜所、白州蒸溜所については、それぞれのページでもご紹介しているのでご参照ください。
こちらでは「次に飲みたい」シリーズでまだ紹介していなかった知多蒸溜所について紹介しておきます。
知多蒸溜は1972年、伊勢湾に臨む知多半島にサントリーのグレーンウイスキー専用蒸溜所として設立されました。
白州や山崎などのモルトウイスキーは原料に大麦麦芽のみを使用して作られているのに対し、知多蒸溜所で作られるウイスキーはそれ以外のトウモロコシなどの穀物が原料使われています。大麦麦芽以外の穀物を主原料とし、連続式蒸溜機と呼ばれる設備で蒸溜するウイスキーをグレーンウイスキーといいます。
このグレーンウイスキーと白州や山崎のようなモルトウイスキーをブレンドしたものがブレンデッドウイスキーと呼ばれるものです。
ウイスキーをブレンドする上でグレーンウイスキーはモルトウイスキーの個性を引き立て、且つベースとなるテイストを作り上げる重要な役割を果たしています。
昨今のウイスキーブームのなか、国内もののシングルモルトが次々と発売されていますが、全体的なシェアを見れば大衆的に飲まれているのは圧倒的にブレンデッドウイスキーの方が多いのです。
知多蒸溜所はサントリーにおいてブレンデッドウイスキーの製造に欠かせないグレーンウイスキーを製造している蒸溜所なのです。
響の歴史
1920年代(大正9~昭和4年)では、まだ日本におけるウイスキーの製造はほぼ行われていませんでした。
そんな母国日本でウイスキーを作ること。これがサントリーの創業者、鳥井信治郎の夢でした。
そして1929年、日本初の山崎蒸溜所が建てられ日本における初めてのモルトウイスキーの製造が行われます。
それから時代を経て鳥井が作ったサントリーは白州、知多と蒸溜所を増やし、世界に誇るジャパニーズウイスキーのトップメーカーへと成長してきました。
そんなサントリースピリッツの創業90周年を記念して1989年に発売されたのが「響17年」がでした。
最近響というウイスキーを知った方は以外もしれませんが、実は初めて販売されたのがこの酒齢17年の響だったのです。
以来、「響12年」「響21年」「響30年」とラインナップを増やし、現在はノンエイジの「響ジャパニーズ・ハーモニー」がレギュラーボトルとして販売されています。
響の製法(作り方)
上記にも書きましたが、響はサントリーが保有する山崎蒸溜所、白州蒸溜所、知多蒸溜所、この3つの蒸溜所で作られた原酒をブレンドして作られています。
山崎蒸溜所と白州蒸溜所のモルトウイスキー、そして知多蒸溜所で作られたグレーンウイスキーをマスターブレンダーがブレンドすることで響が持つ特有のフルーツ感、甘み、微妙なスモーク感といった個性を出すことができるのです。
同じ蒸溜所でそれぞれ違う蒸溜器、熟成樽を使って様々な個性を持つ原酒が作られています。
分かりやすく言えば同じ山崎蒸溜所の原酒でもシェリー樽で熟成させているものもあればバーボン樽を使ったものもある、ということ。
それぞれ異なる個性を持つ原酒が複数存在し、3箇所で作られた多様な原酒をブレンドして味わいや香を複雑で優雅なものに仕上げているのです。
響のブレンド作業はサントリーに伝わる独自のレシピが存在し、マスターブレンドが指揮をとり行っています。
貯蔵所に眠る80万個以上の樽の中から、状態の良い、選び抜かれた樽の原酒だけを使ってブレンドした響。
複雑で繊細な香味は日本産ブレンデッドウイスキーの最高峰を名乗るにふさわしいもの言えるでしょう。
しかし現在は原酒不足気味で休売になるラインナップも多く、価格が非常に高騰しています。
ウイスキー「響」のラインナップ
ウイスキーの飲み進めの基本は『縦飲み』です。
垂直飲みともいいますが、同じ銘柄で年代の違うものを飲み比べていきます。
同じ銘柄であれば、基本的な味の傾向が共通しているため、失敗が少ないからです。
既に終売してしまった銘柄、原酒不足のため休売してしまった銘柄なども随時更新する予定です。
過去のものでも個性や特徴は引き継いでいるものが多いので、参考になさってください。
響 JAPANESE HARMONY
現在販売されている「響」のレギュラーボトル。
「日本の四季、日本人の繊細な感性、日本の匠の技を結集したウイスキー」をコンセプトに作られました。
JAPANESE HARMONYの特徴はノンエイジということ。
熟成年数にこだわらず、サントリー社のウイスキーづくりの歴史の中で培ってきた、多彩な原酒と匠の技でつくりあげられたボトルです。
アルコール度数43度、ノンエイジですがアルコールによる刺激は非常に少なくストレートでも美味しく頂けます。
ナシ、柑橘系の香りが鼻腔をつき、奥深くもやわらかな甘みが特徴的です。
加水すると爽やかな酸味が引き経つので、ストレートから数滴加水しながら変化を楽しむと良いでしょう。
コンテストでは2016年にSWSCにおいて最優秀賞に輝いています。
響 ブレンダーズチョイス
こちらは平均酒齢15年程度のモルト、グレーン原酒を使用して作られたボトル。
30年を超える長期熟成原酒も使用しているとのことで、円熟味を帯びた角の取れた深い味わいを堪能できます。
ホワイトオークで熟成させた原酒をワイン樽で後熟しており、そこからくる甘さや深みを味わえます。
響17年の価格が高騰し、オークションなどでは10倍以上の値が付いている現在(2018年)。
その響17年の穴を埋めるかのように後継酒としてリリースされた感のあるボトルですが、一般向けには販売しておらず飲食店向けに販売されています。
その為店頭で手に入れることが難しい商品でもあります。
響 17年
サントリー創業90周年を記念し1989年に発売した響初のボトルです。
選び抜いた酒齢17年以上の長期熟成モルト・グレーン原酒をブレンドし、更に熟成(後熟)しています。
まさに手間と時間をかけられたボトルと言えます。
香りはカラメル、バニラ、そして山崎蒸溜所で造られるモルトならではのミズナラ樽からくる白檀香が際立ちます。
しかし口に含んでからはバラやジャスミン、桃といった爽やかな香りが立ち込めます。
味わいはキャラメルやカスタードクリームのような甘みが最初にきて、後から青リンゴや洋ナシ、プラムなどの香りが追いかけます。主張の強い、幾つもの風味が響き合う絶妙なバランスのボトルです。
コンテストではIWSCで金賞1回、ISCでは金賞に5回輝いています。
響 21年
21年以上の長期熟成原酒を入念に吟味してブレンドされている響のプレミアムライン。
最大の特徴は山崎のシェリー樽原酒がキーモルトとなっている点。赤みがかった褐色がそれを表しています。
カカオ、ドライマンゴーなどの南国フルーツを思わせる深い香り。
長期熟成によりアルコールの刺激はほとんど消失し、ストレートでは最初にレーズン、後からマンゴーやハチミツがやってきます。
同時にミズナラ樽特有の伽羅や白檀香も感じられます。
また加水すると香りが更に開き、オリエンタルな匂いが立ちます。
続いて、マンゴーやナシ、シナモンの風味も顔を出します。
ロックにすると黒胡椒のようなスパイシーさも楽しめる非常に多彩なボトルです。
コンテストでは、WWAワールド・ベスト・ブレンデッドウイスキーに5回、ISCの金賞5回・最高賞5回…他にも多数の賞に選ばれた、響の中で最も受賞の回数の多いボトルです。
響 30年
こちらは響の中でも年間数千本しかつくれない、希少価値の高い数量限定商品。
サントリー秘蔵の超長期熟成樽の中から酒齢30年以上のモルト原酒、そして同じく酒齢30年以上の円熟グレーン原酒を選び抜き丁寧にブレンドします。
響30年最大の特徴はこのブレンド作業がすべて手作業で行われる点。
濃厚なマンゴー、カカオ、杏を思わせる香り。
口に含むと白檀、濃厚なイチゴジャム、ウッディさが鼻腔を抜け、その余韻が長く長く続きます。
味わいは完熟マンゴー、杏、ハチミツ、イチゴジャムといった濃厚な甘みが押しよせます。
メーカー希望価格も125,000円 と贅を極めた宝石のような美酒です。(希少性からか市場ではもっと高く出回っていますが….)
コンテストではIWSCの金賞に1回、WWAのワールド・ベスト・ブレンデッドウイスキーに1回、ISCの金賞に4回選ばれています。
響 ディープハーモニー
2013年に全国3500本限定販売していたこちらのボトル。
ベースとなるのは響17年で、これにモルト原酒としてワイン樽白州モルト1996年、グレーン原酒はシェリー樽知多グレーン1988年という希少なる原酒をブレンドして作られています。
深くやや赤みがかった琥珀色、香りはブラックベリーやラズベリー、ドライイチヂクやプラムのよう。味わいにもドライフルーツにバニラを混ぜ込んだような濃縮感のある甘酸っぱさがあります。
また味わいはアルコールの刺激はほとんど無く、甘みとフルーティな酸味、上品でビターな余韻が特徴的なボトルです。
ラベルの色がそのフレーバーを上手に表現している作品ですね。
響のおすすめの飲み方
ジャパニーズウイスキーブームの現在、山崎、白州と共に品薄状態の続く響。
その人気はすさまじいもので、ヤフオクやメルカリなどのオークションサービスでは空瓶ですら1万円を超える金額で落札されており、中身を入れ替えたフェイクボトルが出回っている※ほど。
オークションなどで商品を落札する際には気を付けたほうがよいですね。
響シリーズには共通して華やかでリッチな香木のようなアロマがあります。
加えてローズやジャスミンなどの草花の息吹を感じさせるフローラルでクリーンな香り。甘味とスパイシーさが穏やかに調和しています。
おすすめの飲み方はストレート、ロック、水割り、お湯割り。加水しても崩れず、伸びます。
氷をぎっしり入れたハイボールは、タンニンがやや強調され渋みが強くなるような印象を受けたので、ちょっと作り方が難しいかもしれません。
なお、チョコレートやアイスクリームなどスイーツとの相性も抜群です。
21年以上の長熟品には重厚なコシとコクが感じられ、ノンエイジ品には無い強い円熟味と、ほろ苦く奥行きのあるアフターテイストが特徴。
ただ「長く寝かせりゃウマい!」というわけでもなく、響30年より響21年のほうが好み!という方もいるので、こればっかりは飲んでみてどっちがお気に入りか判断してください。
ちなみに響は過去、50.5度のハイプルーフ仕様なども販売されていました。こういった希少なオールドボトルはジャパニーズ専門のモルトバーなどで出逢えるかもしれません。
現行品をお手軽に飲め比べる方法としておすすめなのは山崎蒸溜所の有料試飲コーナー。
熟成年数ごとに比較してみて、ジャパニーズウイスキーの極致とも言われる複層的な味わいを体験してみてください。
ざっくり覚える!
響(ひびき)はサントリーホールディングスから販売されている国産最高峰に位置付けられているブレンデッドウイスキーです。
サントリースピリッツの創業90周年を記念して販売された「響17年」には、創業者鳥井氏が目指した「日本人の感性で、世界で愛されるウイスキーをつくる」という思いが込められていました。
「響」の商品名は「人と自然と響きあう」というサントリー社の企業理念と、クラシックの作曲者ブラームスの作品「交響曲第1番 第4楽章」のイメージが込められたダブルネーミングでつけられており、口内で複層的に反響する至極のハーモニーは世界中から高い評価を得ています。
シングルモルトである山崎、白州と同様に、価格が高騰しているので、まずは購入が可能なジャパニーズハーモニーとブレンダーズチョイスを飲んでみて、響の味わいを学習しましょう。