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ヘーゼルバーンを学ぶ!味や種類、おすすめの飲み方

ヘーゼルバーンを学ぶ!味や種類、おすすめの飲み方

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オーツカ

ざっくり覚える!

ヘーゼルバーンは、スコットランドのキャンベルタウンにあるスプリングバンク蒸溜所にてつくられているシングルモルトウイスキー。
つまりスプリングバンク蒸溜所は、以前紹介したロングロウの他に今回紹介するヘーゼルバーンもリリースしているということです。

スプリングバンク、ロングロウ、ヘーゼルバーンの3つは兄弟ブランドだと覚えておくと良いでしょう。

ノンピート麦芽を使用し、3回蒸溜した原酒は軽快な甘味とスパイシーかつブリニーな魅力を併せ持ちます。

ボディはとてもライトですが複層的な風味はスプリングバンクとも似て非なる上質なもの。

スプリングバンク好きの方は是非チェックして頂きたい、希少性の高い秘蔵のキャンベルタウンモルトです。

なお過去に「ヘーゼルバーン」という、同名の蒸溜所が存在していました。

 

おすすめの飲み方・飲み進め方

オーツカ

超人気蒸溜所のスプリングバンクが放つ、ノンピート3回蒸溜の淡き陽炎、それがヘーゼルバーンです。

ちょっと前に紹介したロングロウがだいぶヘヴィな酒質を持っているのに対し、マイルドで柔らかい風味が特徴です。
軽快というよりは「ふわりぬるりと柔らかい」といったライトさを持っている感じ。

クリーミーでオイリー、洋ナシやバナナシェイクのような粘性の高いアロマと、昆布だしのような旨味が特徴的。
10年を超えたあたりから少しミネラリーな印象は抑えられましたが、スプリングバンク蒸溜所ならではソリッドでソルティなイメージはあります。

おすすめの飲み方はストレート、もしくはハイボールです。

マイルドなフレーバーはソーダ割にすると死んでしまいそうな気もしますが、オイリーさやクリーミーさが強まり、ヨード香も感じられるハイボールが楽しめるのです。
少し濃い目につくると感じやすいです。お試しあれ。(ただ、8年と10年だと樽構成が異なり味がかなり違うので、両方試すか、バーテンダーさんに尋ねてみてね)

最近国内ではオロロソシェリーカスクのヘーゼルバーンが人気でしょうか。
定期的リリースされており、ゴムやサルファリーといったネガティブな要素をほとんど感じさせない日本人好みなボトルです。
3回蒸溜のがそうさせるのか、色とアルコール度数からは想像もできないマイルドさがあり、チョコレートの中に、タイムやローズマリーといったスパイスを心地よく感じる秀逸なシェリー樽熟成ボトルです。

限定品では18年、20年、21年といった長期熟成ボトルやシングルカスクも出ていますが、日本ではほとんど出回っておらずケイデンヘッド本店でしか買えないものが多いです。

ヘーゼルバーンの発祥と歴史

閉鎖されたヘーゼルバーン蒸溜所

出典©George Bernard

その昔、ヘーゼルバーンはスコットランドのキャンベルタウンで1825〜1925年まで操業した由緒正しき蒸溜所でした。

創業者はコルヴィル家のグリーンリース・コルヴィル社。

1825年に創業という記録が残っていますが、記録上だけのもので、実際はそれ以前から操業していたと考えられています。

1840年代、ウイスキー産業が好景気になるとヘーゼルバーンは設備を拡張。

バートン・ディスティラーズがライトなウイスキー生産を目的として、1880年代に蒸溜器のネックにコンデンサを取り付けたのもこの頃です。

最盛期には22人の従業員を雇い、年間192,000ガロン(72.6万ℓ)のウイスキーを生産するキャンベルタウン最大の蒸溜所となりました。

製造されたウイスキー原酒はキャンベルタウンからグラスゴーにある熟成庫まで海上輸送され、熟成されていたそうです。

その後、ホワイトホースで知られるマッキー社(Mackie&Company)が、当時クライゲラキとヘーゼルバーンを所有していたグリーンリース・コルヴィル社を買収。

Mackie&Company時代のボトル

出典© ducksingel

(上記はマッキー社時代のヘーゼルバーン。蒸溜が1893年と書いてあります。中身が入っているものが現存しているのかは不明。)

マッキー社は1801年創業ですが、記録に登場し始めるのは1883年頃から。
この頃、当時マッキー社はスプリングバンクも所有していたようですね。

しかし戦争や不況の流れを回避できず、ヘーゼルバーン蒸溜所は1926年に閉鎖に追い込まれ、100年間の歴史に幕を閉じます。

〜竹鶴政孝が学んだヘーゼルバーン〜

竹鶴政孝

ヘーゼルバーンは竹鶴政孝氏がインターンとしてウイスキーづくりを学んでいた蒸溜所としても知られています。

1918年12月に大阪の摂津酒造から派遣された竹鶴氏は1919年にスペイサイドのロングモーン蒸溜所でモルトウイスキーづくりを、次にボーネスにあるジェームス・カルダー社の工場でグレーンウイスキーの製造を学びます。

そして1920年(ちょうどヘーゼルバーンがマッキー社に買収された年)の中頃にヘーゼルバーン蒸溜所で働きます。
約5ヶ月間、モルトウイスキーの製造とブレンディング技術を身につけました。

後にニッカウヰスキーを創立する竹鶴氏が学んだ蒸溜所ということは、ヘーゼルバーンは日本のウイスキー文化と深く関わった蒸溜所といえるでしょう。

〜時を経て復活したヘーゼルバーン〜

ヘーゼルバーンがつくられているスプリングバンク蒸溜所

ヘーゼルバーンが復活したのは蒸溜所が閉鎖してから約80年後の2005年。

スプリングバンク蒸溜所にて「スプリングバンク」とは別のブランドラインとしてリリースされました。

1997年に蒸溜が開始、2005年に8年もののヘーゼルバーンが市場に投下されます。

ノンピートで3回蒸溜ということでウイスキーファンは軽めで淡白な酒質をイメージしていたようですが、出来上がったヘーゼルバーンは彼らの予想を良い意味で裏切る、不思議な個性を持っていました。

控えめだけれど柔和な魅力を備えるヘーゼルバーンは、毎年の少量生産も相まってか愛好家達にカルト的人気を誇っています。

現在スプリングバンク蒸溜所ではロングロウとヘーゼルバーンを含めた3つのブランドが製造されています。
ちなみにロングロウも過去に実在した今は亡き蒸溜所です(詳細はロングロウの記事にて)。

復刻されたそれぞれのブランドはキャンベルタウンにおけるウイスキー文化の深さの現れといえます。

こうした歴史を振り返りながら同蒸溜所の3ブランドを飲み比べてみると、より深く、美味しく味わえそうですね。

ヘーゼルバーンの製法

スプリングバンク蒸溜所のポットスチル

ヘーゼルバーンは同蒸溜所でつくられる「スプリングバンク」や「ロングロウ」と比べると、ブリニーやスモーキーさといったクセがなく、すっきりとした甘味を持っています。

これは

  • ノンピートの麦芽を100%使用していること
  • 3回蒸溜
  • 熟成樽にシェリー樽を多く使用していること

上記3つの製造工程に起因しています。

スプリングバンク蒸溜所の熟成庫

ノンピート麦芽を使用することでスモーキーさやブリニーさが消えて華やかさが増します。さらに3回蒸溜により酒質が軽やかに、雑味が消えスムースに

他にもシェリー樽を使用することで、樽に沁み込んだブドウ由来の柔らかかつフルーティな甘味を宿すことができる…ということ!

こういった工夫により「スプリングバンク」とはまたひと味違った、ヘーゼルバーン独自の個性的なフレーバーを生み出すことに成功したのです。

スプリングバンク蒸溜所でつくられる原酒の大部分はスプリングバンクへとあてられ、生産量の約10%がヘーゼルバーンになります。

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ヘーゼルバーンの種類/ラインナップ

ヘーゼルバーン 10年

バーボン樽にて熟成させた原酒を100%使用した10年もののヘーゼルバーン。

バーボン樽ならではの力強い甘味と余韻を楽しめる1本です。

香りは洋ナシ、アプリコット、ミルクキャラメルの甘み、トーストやスコーンの香ばしさ、うっすらとバター。奥に爽やかなハーブ。

味わいは甘じょっぱいバニラ、蜂蜜を中心に、ラムレーズンの芳醇な甘み。中盤から干し芋のようなクリーミーさ、オレンジピールの柑橘系、後半にシナモンスパイス。

フィニッシュにはビターチョコのような余韻と、昆布のような出汁感が印象的。

ゆっくり長く楽しめる内容になっています。

ヘーゼルバーンとしては珍しいバーボン樽100%熟成を行うことで、今まで以上の個性を打ち出した1本です。

ヘーゼルバーン 12年

こちらはオロロソシェリー樽熟成原酒100%使用した12年もののヘーゼルバーン。

年に1度、数量限定でリリースされる希少価値の高いボトルで、「上品」という言葉がピタッと当てはまる風味の1本です。

香りはストロベリージャム、アーモンドやクルミのナッツ感、青リンゴの爽やかさ、ブドウやプラムの豊潤なアロマ。

口に含むと口当たりはしっかりとしたフルボディ。
洋梨や青リンゴのフルーティな甘味、レモンピール、中間にハーブの干し草、黒胡椒、オークが香るミディアムロングの余韻。

ヘーゼルバーンの酒質は軽く、とらえにくさがありますが、この12年は個性が出ていると思います。

ヘーゼルバーン 13年 シェリーウッド

こちらはファーストフィルとリフィルのオロロソシェリー樽原酒のみを使用した13年もののヘーゼルバーン。

世界12,000本限定リリースという希少価値の高い1本です。

香りはラムレーズン、ミックベリー。黒糖やクリームバタートーストのような重いアロマ、木酢、木苺ジャム。

味わいは濃厚なストロベリージャム、ラズベリーパイ。クレームブリュレ、オレンジピールのチョコレート、バニラクリーム、エスプレッソコーヒー。

余韻は塩キャラメルとローストしたコーヒー豆。あくまでイメージですが、ブラックチェリーウッドの家具の趣き。

ちなみに14年ものもリリースされており、こちらもオロロソシェリー樽のフルマチュアード。
方向性は同じで、ややナッツ感が強くなった印象。余韻が長く印象的。うまいです。

ヘーゼルバーン 8年

バーボンカスク熟成原酒60%、シェリーカスク熟成原酒40%を使用した8年もののヘーゼルバーン。

現在は終売しています。

2005年に初めてリリースされたのがこの8年ものでした。上記はややずんぐりとしたボトルですが、発売当時はトールボトルでした。

香りは軽やかで品のあり、枝付きレーズンのフルーツ感、シトラス、バニラの爽やかな甘味、雨の後のオーク材。

味わいはソリッドでミネラリー。
バニラ、蜂蜜の甘さの中にミルクチョコ。こんがりと焼いたトーストに塗ったオレンジマーマレード。後半にジンジャーやシナモンのスパイシーさも感じられます。

フィニッシュはビターで、ライトなボディにしっかりとシェリー樽が乗っている印象。

8年というやや若めの熟成年数ですが、アルコールの刺激も少なく複雑な風味をしっかりと宿している1本。

スプリングバンクの高い技術力を感じることができます。

なお、過去にカスクストレングスも販売されていました。非常に人気がありました。

ヘーゼルバーン 9年 バローロカスク

6年間ファーストフィルのバーボンバレルで熟成させた後、イタリア最高峰の赤ワイン「バローロ」のホグスヘッドで3年間の追熟をしたボトル。

世界で10,800本のリリースで、日本へは600本限定入荷。

香りはフローラルでフルーティー。レモンやパイナップルのような酸と、ローストアーモンド。塩バニラアイスクリーム。

口当たりは非常にオイリー、飲みこむと硬さがありソリッドでミネラリー。
ナッツ入りのチョコレート、ソルティでボリュームがあります。アーモンドバターの中に、少し白ワインの酸味のようなものを感じます。

ペッパーとクローブのスパイス、余韻はミディアムでドライ。乾燥した木材、カカオのビターが残ります。

個人的にスプリングバンク原酒はバローロカスクと相性が良いと思っていて、時おりリリースされるバローロ樽タイプはいつもチェックしています。

ヘーゼルバーン cv

CVには「履歴書」という意味があり、様々なタイプのカスクを混ぜ合わせることで、ヘーゼルバーンの個性や魅力を最大限に引き出した素晴らしき1本です。

創業者の曾々孫で現会長のレシピを基につくられており「CV」にはchairman’s Vat(会長の大樽)という隠れた意味も込められているそうです。

香りは繊細だが、甘くクリーミーなバニラ、パイナップルキャンディを感じる。モルティなイメージはスコーンか?苺ジャム、奥にわずかなミント。

味わいはバニラミルク、トーストしたシリアル。加糖の浅煎りコーヒー、オレンジピール入りのチョコレート、うっすらミントのハーブ感を伴い古びたオーク材の長いフィニッシュへ。

ジンジャーに苦みや漢方のような独特のビターさが残ります。

ライトボディですが多様なフレーバーを感じます。ヘーゼルバーンの中では最もヘーゼルバーンらしかったというか、軽くソフトだったなぁという印象。

 

オーツカ

ヘーゼルバーンはそもそも少量しかつくられてないシングルモルトなので、発売後、気づいたら無くなっているということが多々あるボトルです。近年発売されたオロロソシェリーの14年も、13年もすぐ売り切れたなぁ。

リリースされたらすぐに確保するか、シングルモルトに強いバーなどでお試しください。




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