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グレンキースを学ぶ!味や種類、おすすめの飲み方

グレンキースを学ぶ!味や種類、おすすめの飲み方

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オーツカ

ざっくり覚える!

まさに王道スペイサイド。匂い立つ夏のフルーツ。
シーバスリーガルの忠実なる腹心、それがグレンキースです。

スコットランドのスペイサイドでつくられているシングルモルトウイスキーで、もともと蒸溜所オーナーであるシーバス社のブレンデッド用原酒の供給源でした。

グレンキースでつくられた原酒はシーバスリーガルをはじめ、パスポート、100パイパーズ、ロイヤル・サルートなどのキーモルトに使われてきたため、ウイスキーを好んで飲む方であれば知らず知らずに口に運んでしまっていることでしょう(バランタインにも入っていたかな)。

2000年に一度閉鎖されているため、オフィシャルよりもボトラーズからのリリースが圧倒的に多く、マニアでもない限り日常的に飲んでいる方はあまり見かけません。

しかし2014年の再稼働以降、2017年に『グレンキース・ディスティラリー・エディション』を、2019年には『シークレット・スペイサイド・コレクション』として、21年、25年、28年をリリースしました。

オフィシャルシングルモルトのリリースが極端に少ないブランドでしたが、ここからの巻き返しに期待です。

 

おすすめの飲み方・飲み進め方

オーツカ

グレンフィディックやグレングラント、ストラスアイラ、ストラスミルあたりが好きな方にはたまらないフルーティーな香味を持っていて、青リンゴや洋ナシ、アップルパイ、ジンジャークッキーといった味わいに喩えられます。

おすすめの飲み方はストレート。加水は甘さが際立ちますが、ちょっと緩くなりすぎます。
もともとの酒質が強くないので、オールドオフィシャル10年だけでなく、ボトラーズからリリースされているグレンキースも基本はストレートをおすすめします。
ディスティラリー・エディションもストレートでサラリと飲めてしまうので、飲みすぎにはお気をつけて。

グレンキースでは、過去ハイランドでは珍しい3回蒸溜が行われていたので、1960~1970年あたりのボトラーズリリースでは当時の原酒が味わえます。
この頃の味わいはクリーンでシャープで、軽快。そしてどこか青臭い。
ブッシュミルズを参考にしただけあって、ボディは弱いですが、南国フルーツのような瑞々しいフルーティさもあります。
良くも悪くも「儚い」モルトとといったイメージです。

グレンキースは70年代後半に、へヴィピート原酒を製造しており、「グレンアイラ」なるウイスキーがシグナトリーのカスクストレングスコレクションから発売されています。

機会があったら飲んでみてくださいね。

グレンキースの発祥と歴史

どこで作られているのか?

スコットランドキースの町(スペイサイド)

グレンキース蒸溜所があるのはスペイサイドのキースの町。

この町には他にストラスアイラ、ストラスミルがあり、少し郊外に出るとグレントファース、オスロスク、オルトモアなど名だたる蒸溜所がひしめき合っています。

上記6つの蒸溜所がある一帯は「キースエリア(キース地区)」と呼ばれています。

ちなみに「キース」の町の語源はゲール語ではなくケルト語の一種ブリテン語の「森(coed)」に由来するといわれています。

過去のキースエリア

創業は1957年、グレン・キースはストラスアイラの第2の蒸溜所として建てられました。

創業者はシーバスブラザーズ社。

経緯を辿ると、もともとカナダを拠点としていたシーグラム社がシーバスブラザーズと企業合同(トラスト)したときに自社の蒸溜所を所有していなかったため、1950年にストラスアイラを買収。
その後1957年にグレンキースを設立するという運びです。

蒸溜所の建設費用はシーグラムが支払い、オーナーはシーバス社という立て付けで業務提携がなされました。

設立年のスコットランドの飲用蒸留酒の生産量は5400万ガロンに達しており、需要は増大していました。
シーバス社はグレンキース蒸溜所が設立したのち、安定してモルトウイスキーを供給できるようになり、主力商品であるシーバスリーガルの生産・出荷量を増やし、業績を伸ばしていきました。

グレンキースの歴史

グレンキース蒸溜所はキースの駅から徒歩で2〜3分、ストラスアイラ蒸溜所とアイラ川を挟んだ対岸にあります。

以前この場所にはトウモロコシの製粉工場があり、オートミールをつくっていたそうです。
その跡地に建設された蒸溜所で、なんとも落ち着いた風情ある外観です。

創業から大手シーバス社のもとで安定した稼働を行い、1994年にはオフィシャルのシングルモルト「グレンキース10年」をリリースします。
このラベルには蒸溜年である「1983」が表記されており、これからグレンキースの歴史が刻まれていくと考えられていました。

しかしその後、過剰生産により1999年に生産を休止。

2001年、シーバス社がペルノ・リカール社の傘下となってからもしばらく閉鎖が続きます。

この間にグレンキース10年や人気だった1970年代のボトルがほぼ在庫切れになってしまいます。

グレンキース蒸溜所

そして2013年、ウイスキー需要の拡大からシーバス社から700〜800万ポンドの投資を受け設備投資し、グレンキースは見事再稼働を果たします。

設備投資の結果、年間生産量が250万ℓ増加し、600万ℓのスピリッツ精製が可能となりました。

改装の際、蒸溜中に発生する熱をプロセス内でリサイクル処理できるよう再設計。
グレンキースはシーバス社が所有する中で最もエネルギー効率の良い蒸溜所となりました。

加えて最新のスチル熱圧縮システムを初溜と再溜の両方に導入するという世界初の試みにより、他の蒸溜所よりエネルギー使用率を15%削減。
蒸溜所の設備近代化のパイオニアとなります。

しかし、いくら近代化を図り環境改善を行っても、グレンキースで造られた原酒のほとんどがブレンデッド用に供給される状況は変わりませんでした。

隣接するストラスアイラが「ブランド本拠地」として評判の良いビジターセンターを抱えている以上、今後もグレンキースを一般公開する予定は無いと考えられます(こっそりスタッフさんが中を覗かせてくれることはあるようです)。

寂しい現状ですが、これはストラスアイラ第2の蒸溜所として建てられた宿命なのかもしれません。

グレンキースの製法

グレンキース蒸溜所の正面

グレンキースの原料となる麦芽はオプティック種とコンチェルト種のブレンドで、アンピーテッドのものを使用しています。

グレンキースでは近年行われた改装の際、パゴダ屋根は残しつつモルティング設備を取り壊し、既存の蒸溜所と別の棟となる新たなセクションを建設しました。

そこに交代用マッシュハウス(糖化室)を作り、新しいマッシュタンを入れて発酵室を拡張し、生産能力を増加。
設置された糖化槽はフルラウター製で容量が8トン。拡張した発酵室には新たにステンレスのウォッシュバック6基を設置。

改装前の発酵槽は人が容器の中に入って手作業で洗わなければならなかったため、安全衛生上好ましくなく、自動洗浄タイプに切り替えられました。

グレンキース蒸溜所の発酵槽

また古いオレゴン松製の発酵槽9基は新しいオレゴン松材の容器へと交換されています。

発酵槽は現在ステンレス製6基、オレゴン松製9基のウォッシュバックが設置されています。

蒸溜器は創業当初3基あり、1970年まで3回蒸溜が行われていました(このあとしばらく2回蒸溜と3回蒸溜の併用が続く)。

これはグレンキース立ち上げの際、スタッフの中にブッシュミルズで働いた経験を持つ人物がおり、ブッシュミルズと同じ3回蒸溜を試して以来続けられていたそうです。

またシーバスリーガルのキーモルトとして軽めの酒質が求められたのも一つの要因だと考えられます。

また70年代には、一時的にへヴィピートの原酒を製造していた時期があり、そのウイスキーにはグレンアイラやクレイグダフという名がつけられていました。(クレイグダフは、ストラスアイラ蒸留所で製造されていたという説もあります)。

1970年には新しく1組(2基)のスチルを設置し計5基へ。

このスチルはスチームコイルの設置こそ3年後だったものの、スコットランド初のガス燃焼式タイプでした。

グレンキース蒸溜所のポットスチル

同時期にバーボン式の連続式蒸溜機(ダブラー)が導入され、ローワインをこのスチルに通す2回蒸溜が始まりましたが、しばらくの間は3回蒸溜と交互に行われていました。

1983年に銅製の蒸溜器が1基加わり計6基へ。
これにより連続式蒸溜機が不要となり、正式に2回蒸溜に切り替えられました。現在も蒸溜器は6基(初溜3基・再溜3基)設置されています。

また1980年にマッシングと蒸溜のプロセスを管理するためのマイクロプロセッサーを設置しました。
こちらもスコットランド初の試みでした。

精製されたスピリッツは全て近くのキースの町中にあるウェアハウスまで運ばれ熟成されます。

蒸溜所の敷地内には技術センターなる施設が存在しており、ここでシーバス社の様々な実験が行われています。

現在シーバス社が所有する多くの蒸溜所ではここで開発された酵母株が使用されています。

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グレンキースのラインナップ

グレンキース ディスティラリー・エディション

グレンキース蒸溜所は2000年に閉鎖されましたが、2014年よりシーバス・ブラザーズによって再稼働しました。

そのグレンキース蒸溜所が新たなオフィシャルボトルをリリース。

イギリスでのみ発売され、年数表記はありません。
アルコール度数は40%。発売当初の金額は30ポンドとのことなので、だいたい4000円前後。安いですね。

香りはとてもフレッシュでフルーティ。洋ナシとオレンジティー、ハチミツ。サラサラのバニラアイス。

味わいはとにかくライトで柔らかい。フルーティーなオレンジ、洋ナシ、アップルパイとシリアルクッキー。

ややハーバルなフィニッシュで、余韻はドライで短い。

ザ・スペイサイドモルト。面白さはあまりありませんが、出来は悪くないと思います。

国内通販やフリマでもまれに見かけます。恐らく国外から輸入して販売しているものと思われます。
再稼働後初めてのボトルなので、お好きな方は試してみるのもよいでしょう。

グレンキース 21年

ペルノ・リカール・グループが保有するスコットランド・スペイサイド地方のウイスキー蒸留所の中から、18年以上の熟成年数を誇るシングルモルトウイスキーを精選した『シークレット スペイサイド コレクション』のうちのひとつ。

21年は選び抜かれたオーク樽とバットによる熟成で、フルーティな甘さを持っています。

香りは熟した洋梨、優しい桃、ハチミツとバニラトフィーの香り。
味わいはローストアーモンドとフルーティーさが際立ち、かすかに果皮の感じる長く、スムースな余韻が続く。

ちなみにグレンキース以外は、「キャパドニック」、「ロングモーン」、「ブレイズ・オブ・グレンリベット」が発表されました。

グレンキース 25年

ファーストフィルのアメリカンオーク樽熟成で、シロップのような甘さがスパイスに溶け合こむハーモニーが印象的。

香りはトフィーアップル、スパイスジンジャーママレード。
味わいは強いスグリの実のジャムやバニラカスタード。長く、スムースで甘い余韻。

編集部未飲のため、オフィシャルより転載。

グレンキース 28年

ファーストフィルのアメリカンオーク樽熟成で、シトラスや果実、スパイスが織り成す絶妙なシングルモルト。

香りは甘く熟した桃やアプリコット、シナモンやほのかに焦がしたオーク。
味わいは甘いオレンジのフルーティーさ、バニラファッジ、そして自家製のジンジャーブレッドのようなスパイシーさ。長い余韻。

編集部未飲のため、オフィシャルより転載。

グレンキース 10年

1994年に発売された10年もののグレンキース。

オールドボトル販売サイトや通販サイト、ヤフオクなどでごく稀に売り出されますが、国内ではかなり入手困難なオフィシャル10年ものです。

香りは洋ナシに青リンゴ、マスカット様の爽やかなフルーツ、麦芽のウエハース、ジンジャーなどのスパイス感も。

口に含むと絹のようにさらりとした舌触り、若干オイリーさも感じます。

味わいは香りに引き続き青リンゴ、洋梨、ドライプラム、ジンジャークッキー、後半にビターチョコの余韻。

果実の風味豊かで、スペイサイドならではの華やかを持っているボトルです。

シャープですがボディはミディアム。10年とは思えない余韻の長さもあります。

食前でも食後でもいけちゃうボトル。バーなどで見かけた際には是非お試し頂きたいです。

グレンキース 1983

こちらはボトルに蒸溜年である「1983」が記載されているボトルです。上記の10年より前に出たラベルです。

1983のヴィンテージ表記はその後間もなく廃止。
代わりに熟成年数が表記されるようになります。

中身は10年熟成のものと変わらないといわれています。

グレンキース 17年 カスクストレングス・エディション 54.9%

こちらもシーバス社のビジターセンターで入手可能な17年もののオフィシャルボトル。

加水無しのカスクストレングスにてボトリングされています。

香りはすっきりとしたシトラス&バニラ、ホワイトクッキー、品の良いバタースコッチ。

味わいは青リンゴのフルーティさ、洋梨タルト、オレンジピールのフレッシュさ、僅かながらヘザーの風味も。

フィニッシュには少し、洗剤?芳香剤のような香りが。

カスクストレングスながらもアルコールの刺激は少なくすいすい飲めてしまう1本。

 

オーツカ

スペイサイド特有の青りんご感とヨーグルトの酸が好きな方は、ファンになること請け合いのグレンキース。ただバーボン樽熟成のキースは飽きが早いので、ボトラーズから出ているシェリー樽熟成も試してみてほしいですね。

スコッチの世界的高騰が続く昨今、まだ比較的安価で手に入るウイスキーでもあります。




最高品質のショットグラスで刻む、至高のウイスキータイム。

ウイスキーブランドKYKEYの新作は時代を超える「ショットグラス」。レッドクリスタルでつくられたその造形美と機能美を確かめて欲しい。