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グレングラントを学ぶ!味や種類、おすすめの飲み方

グレングラントを学ぶ!味や種類、おすすめの飲み方

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オーツカ

ざっくり覚える!

グレングラントはスコットランドのスペイサイド地方で造られているシングルモルトウイスキーです。

オーナーはイタリアのカンパリ社。イタリア国民としては「ウイスキーといえばグレングラントでしょ?」といった感じの身近なブランドなのだそうです(ちなみに、イタリアでのシェア率は70%を誇ります)

創業者の息子が神がかったリア充でして、とにかく活動的なことで有名です。19世紀後半にグレングラントの代名詞ともいえる首の細長いポットスチルと精溜器を開発したのもこの方で、この頃からスペイサイドモルトはフルーティでライトな味わいに変革していったとも言われています。

時代の流れを読むのに長けており、今日のスペイサイドスタイルを確立した先駆的なブランドと言えるでしょう。

まとめて試飲できる!オリジナルのグレングラントセット

オーツカ
まずはオリジナルセットの紹介させてください!

グレングラントのハウススタイルを堪能するセット

グレングラントセット

グレングラントのラインナップをまとめて飲んで、違いを知ってみたい!という方に向けて3本を少しずつ飲めるセットをご用意しました。看板商品の「10年」。そして長期熟成を感じられる高級品「18年」をはじめ、高コスパで人気を博した「アルボラリス」のセットです。

  • グレングラント 10年 (40度)
  • グレングラント 18年 (43度)
  • グレングラント アルボラリス (40度)

30mlセットと100mlセットから選べるので、グレンファークラスを少しずつ飲み比べてみてください。

グレングラントの発祥と歴史

どこで作られているのか?

グレングラント蒸溜所

グレングラント蒸溜所はスペイ川下流の街、ローゼスに建てられています。

ローゼスは大きくはありませんが、古くからウイスキーづくりが盛んな町として知られています。
グレングラントの他にグレンロセスやグレンスペイ、スペイバーン、閉鎖したキャパドニックなど著名な蒸溜所が密集するウイスキータウンです。

蒸溜所の裏にはピート色の強いグレングラント川が流れており、このコーヒーのように黒い水は「ブラックバーン」と呼ばれています。

グレングラントはこのブラックバーンの水を使用って造られています。

創業は1840年。創業者はジェイムズ・グラントとジョン・グラントの「グラント兄弟」。

ジェイムズ・グラントとジョン・グラント

兄ジェイムズは地元エルギンの政治家で、スペイサイドに鉄道を敷いたことで後に貴族の仲間入りを果たした人物です。

ジェイムズが敷いた鉄道は物流面において南部への大量輸送を可能にし、スペイサイド全体の蒸溜所に大きな恩恵をもたらしました。

また弟のジョンは穀物商を営む傍らアベラワー蒸溜所で蒸溜技術を学んでいました

こうして政治力と技術力を持ち合わせた兄弟がタッグを組み、立ち上げたのが「グレングラント蒸溜所」でした。

グレングラントはそのロジスティクスを武器に、スコットランド以外で売られた最初のシングルモルトウイスキーでもあったのです。

グレングラントの歴史

グレングラント蒸溜所の入り口と庭園

グレングラントを設立したグラント兄弟に関して、弟はアベラワーで蒸留技師をしていた経験があると書きましたが、どうやら兄のジェイムズも1937年まで別のダンデライスという蒸溜所を運営していたので色々とノウハウはあったようです。

恐らく政府から蒸溜所の免許が下りるまでは違法でウイスキーをつくっていたと思います。この頃は珍しくもないですが。

兄弟は先進的な改革も次々としていきます。

1861年にグレングラント蒸溜所はスコットランドの蒸溜所において初めて電灯を導入し、業務の効率化を図ります。

1864年にはジョンが、1872年にはジェイムズが亡くなりますが、同名の息子ジェイムズが後を継ぎます。

ジェイムズ “ザ メジャー” グラントの家族

出典©Glen Grant

このジェイムズ “ザ メジャー” グラントは話題に事欠かぬ破天荒な人物でした。

親父達が残した莫大な遺産に恵まれ、公私ともにスペシャルに充実した方で、結婚は3回、子供は8人。

旅行が大好きでアフリカやインドを飛び回り、ハンティングやフィッシングといった趣味に没頭。

スコットランドで初めてロールスロイスを乗り回したという逸話も残っているほどです。

まさに神懸かってるほどの超リア充っぷり。

しかしジェイムズはただ親のスネをかじり倒して、骨までしゃぶりつくすような人物ではありませんでした。

元来好奇心たっぷりで新しもの好きだった彼は、発明家としての顔も持っており、後のグレングラントの代名詞ともいえる首の細長いポットスチルと精溜器を開発し導入するのです。

ただの放蕩息子ではなかったということです。

現在のグレングラントの庭園

現在のグレングラントの庭園

1886年には美しい庭園を蒸溜所に併設。
27エーカー(約11万㎡)の土地の中には広大な温室と大規模な家庭菜園が存在し、当時庭師が15人雇われていたといいます。

ジェイムズは遊びの延長線上で数々の美術品や造形物を見てきたことでしょう。美的センスもこれまた素晴らしかったのです。

経験にお金を投資することは何より価値があるとわかるエピソードです。

1897年には蒸溜所前の道を挟んだ向こう側に新たな蒸溜所を建設。

これを「グレングラントNo.2」と名付けます(稼働は1902年までと短かったようです)。

その後しばらく家族経営が続きますが1953年にグレンリベットと合併、その傘下として稼働します。

1965年にはグレングラントNo.2の操業を再開。

この蒸溜所は「キャパドニック」と改名されます。

現在希少モルトとして価格が高騰している閉鎖蒸溜所のキャパドニックは元々はグレングラントの姉妹蒸溜所だったのですね。

その後オーナーは

  • 1977年シーグラム社
  • 2001年ペルノ・リカール社
  • 2006年カンパリ社

最終的にグレングラントの消費率がダントツで高いイタリアのカンパリ社が1億5千万ポンドで蒸溜所を買収し、現在もカンパリ社のもとで経営が行われています。

2010年キャパドニック蒸溜所跡地はスコットランドのポットスチルメーカー、フォーサイス社に売却されました。

グレングラントの製法

グレングラント川の水「ブラックバーン」

グレングラントの製法において特徴的なポイントは2つあり、その一つが仕込み水となります。

仕込みに使われるのは蒸溜所の背後を流れるグレングラント川の水。

この水は別名ブラックバーンと呼ばれており、まるでコーヒーのような黒い色をしています。

この色は折り重なるピートの層を潜り抜けた水にピートの色が移ったもの。

一見不気味に見えるブラックバーンの水ですが、これがグレングラントの清冽な風味に大きく関わっているといわれています。

発酵槽はオレゴンパイン製のものが10基使われておりアルコール生産能力は年間620万リットルとスペイサイドでも多量です。

グレングラント蒸溜所のボットスチル

グレングラントの特徴と言えば変わった形をしたポットスチルです。

グレングラント蒸溜所のスチルは一般的なバルジ型のスピリットスチルと、まるで仏舎利塔のような変わった形をしたウォッシュスチルが使われています。

細長く、背の高いポットスチルで蒸溜を行うと、雑味を含んだ比重の重いスピリッツの蒸気は最上部まで上昇することができません。

代わりにピュアで比重の軽いスピリッツだけが抽出されるのです。

このスチルの組み合わせにより、絶妙なバランスでグレングラントの風味を引き出しているというわけです。

グレングラント蒸溜所の精溜器

さらに、この軽い蒸気のみを採取する精溜器(Purifier)がそれぞれのスチルについているのも特徴のひとつ。

精溜とはもともと凝縮した液と続いて発生する蒸気とを接触させ、繰り返し蒸溜して、分離をよくする操作のこと。
もっとわかりやすい効能として、アルコールの蒸気が精溜器の銅に触れれば触れるほど、様々な金属反応が起こり、出来上がるスピリッツは華やかでフルーティーになると言われています。

銅は硫黄などの雑味を取ってくれる効果があるからです。
逆に銅との接触が少ないほど濃厚なフルボディのスピリッツになるのです。

グレングラントは2回の蒸溜のたびこの精溜器を通すことで、エレガントで果物のような香りを纏うのです。

グレングラントはブレンデッドウイスキーの原酒も提供しており

  • クイーンアン
  • サムシングスペシャル
  • シーバスリーガル
  • 100パイパーズ

など名だたるブランドのキーモルトとなっています。

ボトリングされるグレングラント

またグレンロセスは熟成に使用するワインやシェリー樽に並々ならぬ拘りを持っています。

というのも2010〜2017年までオーナーだったベリーブロス&ラッド社が英国で老舗のワイン商だったからです。

従ってアメリカンオークで熟成した原酒を様々なシェリーやワイン樽で追熟したボトルが多数リリースされています。

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グレングラントのラインナップ

グレングラント メジャーリザーブ

グレングラントの看板商品。

ノンエイジで価格も2000円程度で購入できるため抜群のコストパフォーマンスを誇ります。

香りはやわらかなリンゴの甘み、マスカット、レモンピールわずかですがアルコールからくる刺激を感じます。

味わいはリンゴの甘みとシリアルの香ばしさ、アーモンドのナッツ感、爽やかなマスカットガム。

ラインナップの中で最も軽やかで気軽に飲める晩酌に最適なボトルです。

グレングラント 10年

こちらは10年もののグレングラント。

上記で紹介した5年ものよりも軽やかさが薄れて、リッチな味わいになりました。

香りは爽やかな青リンゴ、洋梨、バニラビーンズ、バタースコッチ。

口に含むとスムースですがボディはそこそこの厚みがあり、バニラクリーム、カラメル、バターフィナンシェ。

余韻も程よく長く、干し草をまとったウッディな風味が鼻腔に居座ります。

ハイボールにしてもおいしい、グレングラントの現在を知るにはうってつけのボトルと言えます。

グレングラント 12年

こちらは2016年半ばにリリースされた12年もの。

ノンピートモルトを原料にし、12年以上熟成した原酒が使われています。

香りは熟したオレンジとフレッシュなリンゴ、バタースコッチの香ばしさ、バニラの甘み。

口に含むとハニートースト、ローストしたアーモンド、麦芽クッキー、苦味を帯びたオレンジの皮。

余韻はオレンジピールを纏ったアーモンド、そして心地よいオークフレーバー。

ミストスタイルなどもおすすめのグレングラントのフラッグシップ。

グレングラント アルボラリス

グレングラントのスマッシュヒット作。YouTuberやブロガー、SNSでも取り上げられていましたね。
時代がやっとグレングラントに追いついたのでしょうか。

去年180年を迎えたグレングラント蒸溜所がリリースした「アルボラリス(木漏れ日の意)」。

夏向きで柑橘系の香りが特に印象的。ストレートでも悪くないですが、夏にはロック、ハイボールが特におすすめ。

ライトでフルーティな安ウマボトルを探している方は是非一本買っておいて損はないでしょう。

グレングラント 16年

バーボン樽で16年以上熟成した原酒を使用したやや長熟のボトル。

銘酒でしたが、終売してしましました。ひとくちウイスキーではまだちょっとだけ扱いがあります(2021年11月現在)。

香りは上品な洋梨のフルーティー、バニラ、天津甘栗、少しレモンジャム。シトラス。

口当たりはミディアムボディ、香りで感じたレモンジャムを焼いてレモンケーキにしたような味わい。続いてバニラや麦芽ウエハースの風味。

余韻は華やかでスパイシー、干し草やオークの香りが長く続く。

12年ものをさらにエレガントにした内容の風味に仕上がった贅沢な味わいのボトルです。

グレングラント 18年

こちらは2016年のリリース。

ノンピートの大麦麦芽のみを原料に18年以上長期熟成した原酒を使用したグレングラントのフラッグシップボトル。

熟成樽には主にバーボン樽を使用しており、スムースな口当たり、スペイサイド産の特長である華やかな香りや、蜂蜜やバニラ、アーモンドのようなリッチな甘さが楽しめます。

ボトルは蒸溜所の特徴的な細長いネックである仏舎利塔のようなスチルをイメージしたデザインとなります。

香りは豊かでフローラル、程よく熟れたリンゴ、ウエハース、シナモン。

味わいはキャラメル、枝付きレーズン、バニラクリーム、ハニーナッツの香ばしさと甘み。

グレングラント18年はウイスキー評論家として有名なジム・マレーが2017年、彼の著書「ウイスキーバイブル」で彼のスコッチウイスキーオブザイヤーに選出したボトル。

世界中から高い評価を受けている1本です。

グレングラント 25年

こちらは通常のグレングラント同様、はじめにバーボン樽で熟成した後、シェリー樽で追熟したボトル。

シェリー酒の影響を大きく纏った風味が特徴的です。

世界でわずか800本の限定リミテッドエディションウイスキー。

オフィシャルの25年は未飲なのですが、ゴードン&マクファイル社の蒸留所ラベル25年などは非常に円熟味のあるシングルモルトに仕上がっているので、こちらもバーで見かけたら是非試してみてください。

オフィシャルから出されている25年であれば「ロイヤルウェディングリザーブ」のほうが見つけやすいかもしれません。

こちらは1981年チャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚を記念してリリースした商品です。

グレングラント 30年

こちらは1840年に設立されたグレングラントの開業150周年を祝うため、1990年にリリースされた30年もののボトルです。

香りはフルーティーでエレガントなオロロソシェリー、熟れたリンゴ。
少しだけ醤油っぽさ、ミネラル感というか鉄っぽさがあるのはボトルの状態か。

味わいはややオイリー。
豊かで熟れたアプリコット、家具のニス、なめし皮、焦がしたラスク。
紅茶の茶葉や深入りコーヒーのニュアンスと焦げたキャラメル。

後半には甘草、タイム、黒胡椒、唐辛子のスパイシーな風味も感じ取れます。

香りよりも口に含んだ後が強烈に複雑でスパイシー
様々な風味が折り重なり実にリッチな味わいを演出したボトルです。

グレングラント 5年

こちらはイタリアで大人気のグレングラントの5年もの。5年以上熟成された原酒が使われています。

日本の酒屋でも一時取り扱われていましたが、今は見かけません。バーなどではおいているところもあります。

柑橘系のフルーツとモルティー、青草っぽいニュアンス。

口に含むと青リンゴとハチミツの繊細な甘み、麦芽シリアルの香ばしさと干し草を感じレモンピール、後半はカカオのビターも感じられます。

軽やかで爽やかな印象ウイスキーで、確かにイタリアのような温暖な気候で飲むのには最高かもしれません。

グレングラントのおすすめの飲み方

オーツカ

日本での知名度はそこまでないのですが、隠れた銘酒です。
先日発売されて、コスパが高いと有名な「グレングラントアルボラリス」で少しブランド認知度が高まったのではないでしょうか。

オフィシャルグレングラントの昨今の真骨頂はアメリカンオークのバーボン樽にあるといってもいいでしょう。色は淡いですが香りは強く、フレッシュなシトラスや青リンゴのトップノートと、焼き菓子に包まれたカスタードクリームのフレーバー。スイートでナッティなフィニッシュが魅力です。

おすすめの飲み方はまずストレートで。
①果物の酸、②中盤のカスタード、③長いナッツのフィニッシュというストーリー展開がよくわかります。

もうひとつおすすめな飲み方はロック。爽やかな飲み口なので、料理との相性もいいです。特に12年はハーフロックで焼酎のように魚料理なんかと食べてもおいしいです。

ハイボールにするとクリーンでソフト。料理はペペロンチーノが合います。ホラ、ニンニク食べた後ってリンゴジュース飲みたくなるって言うじゃないですか(言わない?)。

以前のものより加水に対する耐久性が上がったような気がします。

グレングラントはボトラーズからも多くリリースされています。シェリー樽熟成のグレングラントも非常にクオリティが高く、おいしいです。モルトマンなどからリリースされるるボトルなどをおすすめしておきます。

オフィシャルとの差異を比べて楽しんでください。

オーツカ

過去にグレングラントのレポートもしているので、こちらも参考になさってください。




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