日本のグラスウェアブランドとしては抜群の知名度を誇る木村硝子店。
木村硝子店のテイスティンググラスと言えば200mlで脚付きのものをしばらく愛用しておりました。
木村硝子は造形がとても美しいので、満足度が高く「飲みたくなる」グラスなんですよね~。
今回ご紹介する「165 S/C」はステムがごく短いタイプのテイスティンググラス。
かなり特殊な形状をしており、飲み口の口径がずいぶんとすぼまっています。
木村硝子店ブランド紹介

1910年の創業以来、バーやレストラン、割烹など、様々業界に向けてグラスを作り続けている、日本の老舗グラスメーカー。
日本独特の進化を遂げてきたと言われるそのグラスは、非常に薄く、繊細なデザインが特徴で、バーやカクテルコンテストにおいても、絶大なシェアを誇ります。
特徴的なのは工場をもたないメーカーということ。
多くの職人さんや工場と協力しながら、数々の自社デザインのグラスをリリースしています。
中でも「極うすグラス」は有名で、60年ほど前から関西の割烹、料亭で使われて以来、和食のビールグラスの定番として今でも使用されています。
フレンチやイタリアンレストランでもその評価は高く、ごく細のステム(グラスの足)をもつ「ピーボ」、バーテンダーにもよく使用されているカクテルグラスの「木勝」「ラップ」などのシリーズがあります。
ソーダガラス(ソーダ石灰ガラス)

主に窓ガラスやビン、食器類などに用いられています。
組成に精度が要求されず、安価に入手できます。
原料に炭酸ナトリウムが使用されていることから「ソーダ」という名前がついており、このソーダガラスが古代ではじめて作られたガラスだと考えられています。
また、ソーダガラスは透明度があり、硬くて軽いことも特徴です。
欠点は急激な温度変化にあうと応力が発生して割れやすい点。
製品のスペックと特長
リム

リムは恐らく0.9mm程度。
口径がすぼまっているためかなり鋭く感じる。
これはシェフ&ソムリエ オープンナップ32でも感じたことだが、口径がすぼまっているタイプはリムが唇に鋭角に当たるので薄く感じるようだ。
口径は39mmなので一般的なテイスティンググラスよりも相当狭い。
香りを逃さない設計であると同時に涼しげな印象も与える。
ボウル

細長く、ドングリのような形をしている。
ボウルのカーブが美しくなめらかで、木村硝子が提携しているガラス工場は腕がいいんだなと改めて思わされるハンドメイド作品。
タイトルは165mlとのことだが170ml以上はいるだろう。
傾けると内部のドリンクにかなり勢いがつく仕様で、まさにテイスティング用、ブレンダー用といった雰囲気。
ステム&プレート

極短のステム。
少し握りにくさはあるが、軽量で置いた際も安定感がある。
造形も美しく文句ない。
取り回ししやすいが、ほとんどの場合ボウル部分を持ってしまうと思うので落下には気を付けたい。
スペック/商品仕様
高さ | 117mm |
口径 | 39mm |
底面積 | 60mm |
最大径 | 60mm |
重量 | 70g |
容量 | 170ml(約5.7oz) |
どんなウイスキーに向いているか

この165 S/Cですが、ボウル形状はほぼグレンケアンコピータです。
規格もほぼ同じ。木村のほうがややボウルが長いですが、似たような特徴があります。
コピータのリムはコールドカット仕上げなのでグラス上部がスパッと切れたような形状。木村側は丸く盛り上がっています。
コピータの方が鋭く冷たい口当たり。木村のほうがふわっとしている。この辺りは好みの問題でしょうか。
165 S/Cはサッサっと味をとっていくには絶妙な形状で、液体の流れ込みは早いです。
スーーーっと口内に流れ込んでくるタイプなのでフルーティーさ、果実味のあるウイスキーはそのキャラクターがより引き立ちます。
収斂味を感じるタンニンの強いものなどはそれを少し和らげます。
ただしステムがない分スワリングはしにくいですね。

こんなウイスキーが飲みたい!
キルケラン12年
キャンベルタウンに2004年にオープンしたミッチェルズ・グレンガイル蒸溜所が造っているシングルモルトウイスキーです。
リリースは少ないのですが、多くのモルトマニアからも高評価を得ている作品です。
潮っぽさのあるピーティな香りとライムやレモンピールのフルーティさが絶妙なバランスで押し寄せてきます。
バニラとホワイトペッパー、若いメロンとはちみつの味わい。
終盤には心地よいスモーキーさとコーヒー豆やビターチョコレートの余韻。
抜群のバランス感覚を誇るウイスキーです。
グラスを手に入れたら合わせて買いたい「グラスクロス」をレビューしました!
クリスタルガラス専用の布巾でミクロのゴミや、ケバはもちろん、油性の汚れや指紋跡も残しません。
洗い方や拭き方で気をつけたほうがいいポイントも書いています。
個人的には複数種のウイスキーを同時にスイスイと飲んでいくのに適していると思っています。