最近、ブランデーを飲むという習慣が日本でもすこーしずつではありますが認知されるようになってきました。
一昔前の「ブランデーケーキ」が流行った時代同様、現在もまたスイーツブームの到来とともに、ブランデーを使ったケーキやチョコレートが流行り始めています。このブームは同時にブランデーそのものの価値を日本人に再確認させてくれました。
そんなブランデーですが、実はぶどうを原料としたもの以外にも美味しいブランデーがたくさんあることはご存知でしょうか。ブランデーとは一般的にぶどうを原料とした蒸溜酒を指しますが、広義ではその他のフルーツを同じように蒸溜した場合でも、「ブランデー」と呼ぶことが出来ます。
というわけで、今回も番外編であるおすすめブランデー記事の続き。
フルーツブランデーについて解説していきます。
普通のブランデーとはどう違うのか、どのような種類があるのかを一緒に見ていきましょう。
すぐに初心者にもおすすめのポワール、キルシュ、フランボワーズを見たい方は下のボタンをクリック。
フルーツブランデーとは
「フルーツブランデー」という言葉は一般的にはあまり聞きなれない言葉ですが、最近ではかなり主流のお酒として認知され始めています。
ヨーロッパでは昔から飲み物として、日本ではスイーツや料理酒として活躍の場を広げているのです。
フルーツブランデーが日本で使われる場合は、ほとんどがジャムの風味づけ、もしくはスイーツソースの隠し味など。製菓・製パンの材料としての人気がかなり高いのです。
最近では蒸溜したお酒だけではなく「フルーツを漬け込んで作った漬け込み酒」のこともフルーツブランデーと呼ぶことが多くなっています。インスタグラムなどのSNSの流行からでしょうか。
ぶどう以外のフルーツを使った蒸溜酒
フルーツブランデーとは、ぶどう以外のフルーツを蒸溜したお酒の総称です。
広義ならば、単にブランデーと言ってもぶどう以外の蒸溜酒も含んでいることがありますが、たいていはブランデーと言うと「ぶどうでできた蒸溜酒」を指すことが多いのです。そのため、それらと区別するために「フルーツブランデー」と呼ばれるようになりました。
フルーツブランデーで最も有名なのは「カルヴァドス」です。
聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
カルヴァドスとはりんごを原料としたブランデーです。ぶどうのブランデーよりも甘くて飲みやすいので、女性の方やウイスキーが好きでブランデーも飲んでみようと思った方の多くはカルヴァドスから挑戦する人も多いです。
フランスでの呼び名
フルーツブランデーは、簡単に言えば「フルーツの蒸溜酒」ということです。そして本場フランスでは、それらを総称して「オードヴィー・ド・フリュイ」と呼んでいます。
「オードヴィー」とは直訳すると「生命の水」という意味です。また、一般的には「蒸溜した水」という意味となります。
そしてフリュイとはフランス語でフルーツのことです。つまり、「オードヴィー・ド・フリュイ」とは「蒸溜したフルーツの水」ということになるのですね。
フルーツブランデーの種類
フルーツブランデーを作る原料のフルーツはたくさんありますが、今回はその中でも人気の3つのフルーツに絞ってご紹介していきたいと思います。
りんごのブランデーであるカルヴァドスはあまりにも人気なため、ここではその他のフルーツを厳選させて頂きました。
カルヴァドスについては味や種類の解説からおすすめ銘柄までこちらで詳しく書いています!ぜひご参考ください。
フルーツブランデーで特に有名なのは、洋ナシの蒸溜酒である「ポワール・オードヴィー」、さくらんぼの蒸溜酒である「キルシュ・ワッサー」、そして木苺を原料とする「フランボワーズ・オードヴィー」です。
呼び名は国や製品によって変わりますが、これら三つを原料とした蒸溜酒は非常に人気が高く、日本でも見かけることが出来ます。
ポワール
洋ナシを発酵させてできたものがポワレと呼ばれる洋ナシワインです。
カルヴァドスの名産地であるフランスのドンフロンテ地区が、このポワレの原産地としても有名です。
そして、このポワレを蒸溜したものが「ポワール・オードヴィー(ポワールブランデー)」です。
ポワールブランデーは、ポワール・ウィリアムスという種類の洋ナシを使用することから、「ポワール・ウィリアムス」と直接その名前が付けられるものが多いです。
ポワール・オードヴィーは通常のブランデーと違って樽熟成をしないものがほとんどです。ですので、色も無色透明で香りや味わいも癖がなく非常にまろやかな仕上がりになっています。
フランス、日本どちらでも、製菓用としての用途が非常に大きいです。
洋ナシのタルトやケーキ、そのほか洋ナシを使うものには決まってこのポワールブランデーが使用されます。
おすすめのポワール銘柄
ディスティルリ・ド・レルミタージュ・ポワール・ウィリアムス
甘くてフルーティな香りが後まで残る、それでいてフレッシュな風味を持つ奥深い一品です。
本場フランスでプロのパティシエから絶賛されている間違いのない製品であり、価格も税込み2,500円程度と非常に良心的です。是非お試しください。
通販では見つけにくいので製菓用品店で探したほうがよいかもしれません。
キルシュ
こちらも製菓用として使われることが非常に多い、さくらんぼの蒸溜酒であるキルシュ・ワッサーです。
ヨーロッパでは食後酒、食前酒としてストレートで飲まれることも多いですが、日本ではもっぱら製菓用としてなくてはならない製品となっています。
キルシュはさくらんぼの実だけではなく、皮や種までも一緒に粉砕してそこから発酵・蒸溜の工程を経ています。香りこそフルーティですが、味わいはさくらんぼの甘さに種や皮の渋みも凝縮された強い熟成を感じさせるブランデーです。
こちらも樽熟成することはなく、無色透明で樽香の独特な癖がなく飲みやすい仕上がりになっています。
ショートケーキやチェリーのジャムを作る際に使われることが多く、万能なお酒としてパティシエに広く人気を集めています。
おすすめのポワール銘柄
マークグラーフ・キルシュヴァッサー
キルシュの製造国として有名なドイツから、飲みやすく高級な風味を楽しめるマークグラーフ・キルシュヴァッサーをおすすめします。
原料に使われるシュヴァルツ・ヴァルト産のさくらんぼは、その品質を最高と称えられている代物です。価格はなんと1,500円程度から購入可能です。
口休めがてら、一度試してみてはいかがでしょうか。
フランボワーズ
キルシュと同じぐらい製菓用として重宝されているのが、木苺を原料としたフランボワーズ・オードヴィーです。
キルシュがさくらんぼの風味をほんのり残してあるのに対して、フランボワーズはなんとも独特な深みのある香りが特徴的です。
フランボワーズ・オードヴィーも洋ナシのポワールやさくらんぼのキルシュワッサーと同じで、樽熟成をせずに無色透明のまま製品化されることがほとんどです。そのブランドによって使用する木苺の量は異なり、木苺のニュアンスを感じられるものから全く感じられないものまで多種多様です。
中でも、磯の香りがするフランボワーズ・オードヴィーは多く、独特の風味を楽しみたいという方におすすめのブランデーです。
ヨーロッパでは食後酒として飲まれることもありますが、スイーツの風味づけとして使用されることが多いです。日本でも同様、フランボワーズソースやベリー系のスイーツに合わせて使用されることがほとんどです。キルシュほど使用頻度は高くありませんが、重宝されているお酒の一つです。
おすすめの銘柄
マスネ オードヴィー・フランボワーズ
アルザス地方で名を馳せるマスネ社は、規模が小さい蒸溜所でありながらも上質なブランデーを提供し続けている名門です。
その中でも、この「マスネ オードヴィー・フランボワーズ」というのは2代目自らが開発した思い入れのある最上級のフランボワーズ・オードヴィーだと言われています。
価格は5,000円程度と少し上がりますが、飲む価値のある一品だと言えるでしょう。
おすすめのフルーツブランデー
フルーツブランデーは、日本では製菓・製パンに使われる場合がほとんどです。その理由としては、あまり馴染みがないためにその飲み方や存在すら知られていないからでしょう。
しかし実際、フルーツブランデーは通常のぶどうを原料とするブランデーよりもはるかにフルーティで飲みやすいものが多いのです。ヨーロッパではもちろん、ホテルのバーなどでも頼めば提供してくれるところも増えてきています。
そんな隠れた名品であるフルーツブランデーの中から、特におすすめしたいキルシュ、ポワール、フランボワーズをいくつかご紹介させて頂きます!
是非挑戦してみてくださいね。
ブランデー好きの方へおすすめするボトル
まずはぶどうのブランデーが大好き、ブランデーなら今まで飲んできた、ブランデーに抵抗がないという方におすすめのフルーツブランデーをご紹介していきます。
ブランデーを飲み始めるときにぶつかる最初の壁が、「アルコールが強くて味わえない」ということです。この壁を超えた方々には、是非一歩先の世界へ進んでいただきたいと思います!
モーラン・ウィリアミーヌ
スイスの名門モーラン社から出されている代表ブランド「モーラン・ウィリアミーヌ」は、そのデリケートで繊細な香りと深い味わいで究極の洋梨ブランデーと呼ばれています。
ワインでも有名なフランスのローヌ渓谷で採れる洋ナシ「ウィリアム種」を原料としており、モーラン・ウィリアミーヌ1本におよそ8kgもの洋ナシを贅沢に使い蒸溜されています。甘さよりも本物の洋ナシの味わいを追求し表現したこの一品は、ブランデー好きにはたまらないフルーティーな刺激となるはずです。
価格は他のフルーツブランデーよりも少し高い8,000円弱程度で購入することが出来ます。リッチな洋ナシの風味、そして『至宝』とも呼ばれる伝統の味わいをちびちびと楽しみたい方は、是非お試しください。
ルゴル・キルシュ・ダルザス
著名な蒸溜業者が集まるアルザス地方ヴィレ渓谷にあるメイヤー社は、非常に職人気質な名門として知られています。そんなメイヤー社が誇るオードヴィーの中で、是非おすすめしたいのが「ルゴル・キルシュ・ダルザス」です。
ルゴル・キルシュ・ダルザスはアルザスで採れたブラックチェリーを種ごと自然発酵させており、その風味は非常に奥深く渋い味わいとなっています。且つ、チェリーの華やかさも残した興味深い一品です。
700ml1本の価格はおおよそ5,000円強程度、良いブランデーを買うよりもお手頃に購入することが出来ます。ぶどうのブランデーに飽きてきたという方はぜひ挑戦してみてください。
ブランデー初心者、もしくは苦手な方にもおすすめ
ブランデーを飲んだことがない、ブランデーの強いアルコール感が苦手だと言う方が多いのも事実です。
実際、ブランデーなどの蒸溜酒に苦手意識を持っている人はかなり多いでしょう。
そんな方でも気軽に飲めるフルーツブランデーというのはたくさんあります。
ぶどう以外の原料だからこそ可能な甘さを際立たせた飲みやすいフルーツブランデー、是非一度お試しください。
マスネ ポワール・ウィリアムス
フランボワーズの項でもご紹介したマスネ社。
この「マスネ ポワール・ウィリアムス」という商品をご存知の方も多いかもしれません。洋ナシを模ったひょうたん型の瓶の中には、本物の洋ナシが丸ごと入っているという存在感抜群のポワール・オードヴィーです。
マスネ ポワール・ウィリアムスは洋ナシの優良品種であるウィリアム種を使用したフルーツ香たっぷりのフルーツブランデーです。それでいて後味はくどくなく軽快でサッパリしています。
価格は700mlで5,000円弱、ネット販売で購入可能です。その見た目のインパクトは確実にお部屋やバックバーのインテリアにもなることでしょう。風味も癖がなくブランデー初心者の方もお気軽に手を出せる一品であること間違いなしです。
ブッハ・オアシス
チェリーや洋ナシ、りんごを使用したブランデーというのは多くありますが、このフルーツブランデーは一風変わったフルーツを原料としています。
それがイチジクです。
チュニジアで採れた天然のイチジクを発酵・蒸溜している一品です。
グランド・ディスティルリ・ド・ラ・スクラ社が出している名品であり、実は世界中にかなり知られた有名なフルーツブランデーなのです。
イチジクと聞くと少しフルーツのえぐみが強いイメージがありますが、このブッハ・オアシスはトロピカルジュースとの相性が非常に良いので、合わせるととても美味しく飲むことが出来ます。
500mlの瓶で2,000円から3,000円の間で購入可能です。これ単体で飲むと特徴的な風味が強いですが、オレンジジュースやパイナップルジュースと合わせることで抵抗なく飲むことが出来ます。
カクテルなどがお好きな方には非常におすすめの一品です。
フルーツブランデーに挑戦しよう
フルーツブランデーというのは普段頻繁に名前を聞くことはありません。
居酒屋に行っても軽く一杯飲めるようなものでもありません。BARも置いているところが限られていると思います。
しかーし、一度飲み始めてハマってしまうと、病みつきになる濃い風味、旨味、甘味、酸味を持っています。
特別な日に飲む自分へのご褒美となること間違いなし。
もしまだフルーツブランデーを試していないという人は、是非一度この世界を覗いてみてください!