おすすめの飲み方・飲み進め方
アイラモルトのオフィシャルスタンダード品を制覇した後は、この手の蒸溜所非公開のシングルモルトに手を出してみたくなるもの。
おすすめの飲み方はストレートかハイボール。少量加水をすると甘みが増します。
リーズナブルにスモーキーなハイボールを飲みたい!という人にもよいでしょう。
カスクストレングスはリーズナブルで飲みごたえもあり高品質。ロックでもおいしいです。
アンチョビやブルーチーズなどと一緒に食べたい塩辛い味わいで、料理との相性もGood!
一飲の価値ありなので、バーで見かけた際はぜひ飲んでみてください。量り売りで試すのもおすすめです。
ちなみにオールドボトルは1980年蒸溜(もしくは1981年蒸溜)の12年物が有名した。英国では1992年に発売。日本で出回ったのは1993年の終わり頃かと思います。こちらなんとアルコール度数が60度あります。
しかもボトルのラベル上部に
「強い男の強い酒」
「ハードに飽きたりない男の、スーパーハード60%」
と、ものすごいダサい日本語のレトロなシールが貼られており、「スーパーハード」という言い回しも含め、平成を感じさせます。
ラベルはアレですが、このオールドフィンラガンは強かったアルコール度数がほどよく落ちて、今が灼熱の時。ものすごい飲みごろなのです。本当においしいのでバーなどで飲んでみましょう。
フィンラガンの発祥と歴史
どこで作られているのか?
フィンラガンの販売元となるザ・ヴィンテージ・モルト・ウイスキー・カンパニーは1992年に創立したグラスゴーのボトラーズです。
創業者はブライアン・クロック氏。
発想力豊かな彼が送り出す商品はウイスキーファンの心を掴み、創立から25年以上経った今1,000万本以上のモルトウイスキーを世界30ケ国に輸出するまでに成長しました。
現在ではスコットランドを代表する独立系ボトラーズ社となります。
フィンラガンのラベルには「ISLAY SINGLE MALT SCOTCH WHISKY」とだけ記されており、アイラ島のどの蒸溜所でつくられたシングルモルトウイスキーであるかは伏せられています。
フィンラガンという名前は、かつてアイラ島に存在した古城「フィンラガン城」に由来しており、城跡から東に3マイルほど離れた場所にポートアスケイグの町とカリラ蒸溜所があります。
この位置関係から、フィンラガンの伏せられた蒸溜所がカリラだという説が有力となっていますが…実際には明かされていません。
フィンラガンのようなシークレット・アイラ系のブランドは他にも「ポートアスケイグ」「エレメンツ・オブ・アイラ」などがあり、それぞれシリーズ化しているため多く出回っています。
しかし、これらのボトルは何故蒸溜所を明かさないのでしょうか?
その理由は蒸溜所側の考え方にありました。
蒸溜所名を明かさない理由
①蒸溜所からリリースされていない
まず自らの蒸溜所からリリースしていないのに名前を出すのはおかしい…というシンプルな考え方。
ボトラーズ社を真っ向から否定するような考え方ではあるのですが、まぁ、確かに間違った考えではありません。
②他の蒸溜所の原酒を混ぜてリリースする条件
蒸溜所の中には「シングルモルトとしてではなく、他の蒸留所のウイスキーをブレンドして、別の名前でリリースしてください」という条件を出す場合もあります。
この場合、ティースプーンモルトが良い例で、ほんの少しだけ他の蒸溜所のウイスキーを混ぜてリリースしたりします。
③正確なトレイサビリティがなされない場合
これは蒸溜所から一度出た樽が、複数のボトラーズやブレンデッドウイスキーの会社を経てリリースされる場合。
こういったケースは出所や正確な熟成年数がつかみにくくなるため、蒸溜所名を伏せることがあります。
④シリーズ化によるもの
これは様々な蒸溜所から樽を買い付けた樽を自社で管理して、オリジナルのブランド名をつけその熟成状況に合わせてリリースする場合。
つまりブランド名は同じでもラインナップにより中身は全く違う蒸溜所のウイスキーが使われている…ということで蒸溜所を伏せているケースとなります。
こういった蒸溜所の方針以外にも、蒸溜所名やボトリング場所の明記を許可なくやってしまうと、SWA(スコッチウイスキー協会)の規定に違反するなど、様々な事情があります(うちで出したボトルもシークレット要素満載でした)。
フィンラガンの製法
上記でも紹介したとおり、フィンラガンの中身はカリラという説が有力ですが…それはあくまで予想でしか無いためはっきりとしたことはお伝えできません。
…しかし私が飲んだ印象を勝手にいわせて頂くと、カリラ説はごもっともです!(ただ飲み進めるにつれ、何処となく若いラフロイグっぽさがあるという編集部の人もいて、究極の2択となった思い出があります。)
もちろん、人によっては「そんな筈はない!」ですとか「いやいや別の○○蒸溜所でしょ!?」というご意見もあるでしょう。おそらくイメージする蒸溜所は飲み手の経験値やアイラモルトへの解釈により若干のズレがあって然るべきと私は思っています。
なので、色々と飲み比べながら、夜な夜なあーでもない、こーでもないといった議論を仲間と繰り広げられるのもこういったシークレット系ボトルの面白いところなのでは、と感じています。
アイラ系のシングルモルトをズラリと並べながらそれぞれ飲み比べるといった、大人の答え合わせも面白そうです。
フィンラガンのラインナップ
フィンラガン オールドリザーブ
こちらはフィンラガンのスタンダード品。
若いアイラモルトらしい透明度の高いフレッシュな香味、潮風を感じさせるモルティなコク。
2千円ちょっとで購入できるコストパフォーマンスの高いボトルでもあります。
香りはバーベキューのベーコン、サラミ、ヨード、レモンピール、スモークしたビスケット。
味わいはややオイリー、モルトの甘みとスモーク香、レモンピール、グレープフルーツ、後半にかけてブリニーさも感じます。
香りよりはマイルドなスモーキーさです。
まだ飲んだことがない人はぜひ味わって答え合わせしてみましょう!
フィンラガン オリジナルピーティー
恐らくブランド的には終売しているオリジナルピーティ。
オールドリザーブよりやや安価で、潮辛い味わいを前面に出した商品。
香りは煙や灰、浜辺で焼く貝とそれにかけるレモン。
味わいはフルーティでクリーミー、そしてマイルド。キャラメルやリンゴを感じます。甘草とアニス。
フィニッシュには強くコショウと塩。カリラなんでしょうけど、こっちはややラフロイグっぽい。
フィンラガン カスクストレングス
こちらは熟成した原酒を加水せずそのままボトリングしたフィンラガンカスクストレングス。
アルコール度数約58%ということで旨味の濃縮されたフィンラガンを楽しめます。
香りはスモークしたベーコン、なめし革、奥にフレッシュオレンジの柑橘系も潜みます。
味わいはレモンをかけた焼きベーコン、うがい薬、磯辺のバーベキュー、塩っぽさ、オイリー、後半に麦芽クッキーの甘みとレモンピールの爽やかさが訪れます。フィニッシュはナッツやアーモンドの印象も強く、ラガヴーリンが好きな人にもおすすめ。
ハイプルーフならではのガツンとした味わいですが、アルコールの刺激は少なくスイスイ飲めてしまいます。
加水すると甘みと柑橘系が開き、益々荒々しい個性が際立つ1本です。
フィンラガン アイリーン・モア
こちらはラインナップの中でもより強いピートを感じられる1本。
カリラという説がありますが、アードベッグTENに近い印象のボトルです。
アイリーン・モアとはフィンラガン湖の中央にある島の名前となります。
香りは強烈なヨード&ピート&スモーク。牡蠣、甲殻類。そして麦芽ビスケットの優しい甘み、オイリーさ。
口に含むとフルボディな味わいでオイリーです。細かく立ち上る煙と、新鮮な海の空気。青リンゴのような若干青みがかった甘みからバニラ、キャラメル。
後半はカンゾウやコショウのスパイシーさが感じられ、ややビターなフィニッシュです。
カスクストレングスと同様に海外評価もなかなか高く、刺激的な風味を楽しめます。
フィンラガン シェリーフィニッシュ
2016年にリリースされたスモールバッチ(少量生産品)で、シェリーカスクでフィニッシュされたことにより、レーズンのような香りをフィンラガンに付与しています。
香りは甘いレーズンとブラックベリー、くぐもった煙の背景にはチョコレートと焼きマシュマロ。針葉樹のイメージも。
味わいはドライでドライフルーツ、アプリコットジャム、ナッツ、タンニンの強い紅茶。
フィニッシュはミディアムロングで暖かみがあり、アーモンド、革の財布、ダークチョコレート。
こちらもカリラ好きよりラガヴーリン好きに受けそうな逸品。ややサルファリーではあるものの、完成度の高いボトルと言えます。
安くて旨いスモーキーモルト一覧の代表としても非常に人気の高いフィンラガン。
ちょっと前までは「フィンラガン10年」というエイジドものも3,000円いかないくらいで手に入りました。日本未入荷ですが、レッドワインカスクやポートフィニッシュなどリリースしており、人気を増してきています。
ざっくり覚える!
フィンラガンはスコットランドのアイラ島でつくられているシングルモルトウイスキー。ではあるのですが、「フィンラガン」はあくまでブランド名で、このウイスキーをつくっている蒸溜所は不詳とされています。
つまり【アイラ島の何処かにある蒸溜所でつくられたシングルモルトウイスキー】ということになります。
製造者はボトラーズのザ・ヴィンテージ・モルト・ウイスキー・カンパニー。
同社からは同じ中身不詳のアイラ・シングルモルト「アイリーク」や「アイラストーム」もリリースされています。
蒸溜所が公表されていないとなると怪しさが漂いますが、その味はザ・アイラモルト。鼻から抜ける燻香、何処か身覚えのあるヨード、オイリー、フレッシュレモン、モルティ…。どっしりと充実した風味が口内、鼻腔を駆け巡ります。
ああ、なんか飲んだことあるフレーバーが、、、。
つくられている蒸溜所については諸説ありますが、手練れの飲み手であればすぐにピンときてしまうほど溢れんばかりの個性放つボトルとなります。
日本でも格安アイラモルトとして人気を博しており、現在は世界30か国以上で販売されているメジャーなブランドとなりました。