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エライジャクレイグを学ぶ!味や種類、おすすめの飲み方

エライジャクレイグを学ぶ!味や種類、おすすめの飲み方

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オーツカ

ざっくり覚える!

エライジャクレイグはアメリカのケンタッキー州にあるヘヴン・ヒル社でつくられているのですが、企画から製品化までなんと25年もの歳月を費やしたバーボンウイスキーなのです。

特徴的な紅茶のような濃いアンバーカラー、甘く濃厚なアロマと深い熟成感、そしてリーズナブルな価格はバーボンファンのみならず、すべてのウィスキーファンから高く評価されていました。

1986年から12年熟成にこだわっていましたが、需要増による原酒不足から、2016年1月下旬からNAS(ノンエイジ表記)となりました。

NAS品は8〜12年熟成のブレンドとのことですが、この刷新は当時、バーボンファンにとって凄まじくショッキングな出来事でした。

このリニューアルにより、オールドボトルの需要と価格が増大しています。

位置づけとしてはエヴァンウィリアムスのブラックラベルの上位グレードといったところです。

 

おすすめの飲み方・飲み進め方

オーツカ

「エライジャクレイグ」の名はバーボンウイスキーを作ったと言われる「エライジャクレイグ牧師」にちなんでネーミングされています。

クレイグ牧師は「バーボンの父」とも呼ばれている人物で、ケンタッキー開拓時代のプロテスタントでありバプティスト派の宣教師でもあり、また実業家としての一面も持ち合わせた地元の名士でした。

その名に恥じぬ味で、スコッチやジャパニーズを普段飲んでいる方でも、「エライジャだけは別格」という方も多い安旨バーボンの筆頭です。

現行品はNAS規格となりました。8年~12年熟成の原酒とのことですが、熟成年数はかなり浅めに感じました。

12年と比べると溶剤っぽい香りが強くなったのと、ちょっとボディのパワーが足りなくなって水っぽくなったような気もします。

おすすめの飲み方はトワイスアップかストレートで。セメダインっぽさが気になるようなら加水したほうがよいでしょう。

最後までまろやかで飲みやすい旨口バーボンなので、バーボン好きな方はストレートでトントン飲めてしまうことでしょう。

ポイントは開封後しばらく置くこと。2~3カ月するとぐっと熟成感が増します。

旧ボトルである12年には本当にお世話になりました。

メローで温かく、厚みのあるボディ、そして心地よいタンニン。高品質バーボンには欠かせないチェリーやプラム、オレンジなど品のある酸を感じさせます。確かに、このクオリティが2000円程度で飲めたとか本当にどうかしていたよな。。。

終売品で価格が高騰していますが、Barやリカーショップで見かけた際はぜひ飲んでみてください。

エライジャクレイグの製造場所の紹介

どこで作られているのか?

エライジャクレイグが作られているヘヴン・ヒル蒸溜所は生産量では全米で1位2位を争う大規模な蒸溜所です。

そのため同蒸溜所から200近いブランドの原酒を製造しています。

ケンタッキー州バーズタウンにあるヘヴンヒルは1889年創業。
創業者はジョセフ・L・ビームとシャビラ家の数名、そして未来のウイスキー需要の増大に賭けた何人かの投資家によって設立されました。

禁酒法後の1935年から本格的なバーボン蒸溜を開始。

蒸溜所のヘヴン・ヒルという名はその地の農場主であったウイリアム・ヘヴンヒルからとられました。
最初は1単語だったのが「Heaven Hill」と2単語にわかれたのは、当初の印刷ミスが原因だったというお茶目なエピソードもあったりします。

エライジャクレイグをつくるヘヴン・ヒル社は、世界No1バーボンウイスキー「ジムビーム」を生み出したビーム家とのつながりも深く、マスターディスティラーもビーム家の一員が担当したり、ウイスキーにとって重要な酵母もビーム家で代々受け継がれてきたものを使用しています。

ヘヴン・ヒルとビーム社はライバル関係と思いきや面白いつながりがあるものです。

1996年、当時ニュースでも大きく取り上げられましたが、ヘヴン・ヒル蒸溜所は落雷による大規模な火災に見舞われやむなく稼働休止に追い込まれてしまいます。

その後ルイビルにあるバーンハイム蒸溜所を買収し、拠点を増やしながら生産しています。

稼働休止する以前に蒸溜されたウイスキーは現在のものと味が異なるので、機会があれば比べてみると面白いかもしれません。

現在ヘヴン・ヒル蒸溜所で作られる主要ブランドは以下の通り。

  • ヘヴン・ヒル
  • エヴァンウィリアムズ
  • ヘンリーマッケンナ
  • ジョンハミルトン
  • オールドフィッツジェラルド
  • J.W.ダント
  • J.T.S.ブラウン

などなど。
名だたるバーボンウイスキーばかり…!

ヘヴン・ヒルはバーボンにおける名門蒸溜所とも呼べるべき評価の高い、大規模な蒸溜所なのです。

エライジャクレイグの歴史

バーボンウイスキー「エライジャクレイグ」の名前のモデルとなったクレイグ牧師は1738年、バージニア州オレンジ郡にて誕生しました。

1771年にバプティスト教会の宣教師となりますが、かなり過激な説教をすることで有名で、北米植民地の公式宗派である聖公会の聖職者たちを激怒させて、サウスカロライナ州に短期間収監されたこともあります。

しかし、独房の中からもめげずに先導的な説教を続け、多くの民衆を惹きつけたそうです。

相当なカリスマと演説力があったとお見受けします。

その後クレイグはもっと自由な土地で新たな人生を始めようと決意し、兄弟のルイスに誘われ、ケンタッキー州バーボン郡へ移ります。

この頃はアメリカ西部開拓の理念がうぶ声をあげた頃で、トウモロコシを育てるために無償で土地を分け与えるなど、開拓民を歓迎する動きがありました。

この際600人もの民衆を率いていて移住しており、自らを「移動教会」と称していたそうです。

1777年にブルー・ラン教会の牧師となります。

1785年にはケンタッキー州フランクフォートへ移住し、1789年に同州初の縮充工場と製紙工場を建設。

また、栽培していたトウモロコシの余剰分を蒸溜し、副業としてウイスキーの製造にも手を付けていたクレイグは、1789年には同州ジョージタウンに小さなウイスキーの蒸溜所を建設しています。

なお、「焦がしたオーク樽でバーボンを熟成することを思いついたのはクレイグ牧師である」という有名な説がありますが、どうやらこれはもっともらしい作り話のようです。

真偽のほどは?エライジャクレイグの広告戦略

つましい開拓民だったクレイグは樽を何度も再利用して使っていました。

この時、内側が強く焦げた樽に蒸溜したウイスキーを放置すると、炭化した内側の部分がウイスキーに独特の香りを与えてくれることを偶然にも発見します。

数年後に開けてみると赤みがかった芳醇な液体が現れたそうで、これがバーボンウイスキーの原型になったといわれています。

この赤みがかったウイスキーは「レッド」または「レッドリカー」などと称されたそうです。

エライジャクレイグのブランドができたのは1986年ですが、ヘブンヒル創業は1934年。

これは当時、歴史上の人物をブランド名につけることで効果的に販売を行うためのマーケティング戦略だったようです。

 

ウイスキーとしてのエライジャクレイグが登場したのは1986年、バーボンとしては長熟の「12年」ものが限定リリースされました。

こちらもクレイグ氏が作りあげたと言われるレッドリカー同様、液体が赤味がかっていることから「リキッド・ルビー」と呼ばれました。

1995年には18年ものの原酒を他の樽とブレンドせずボトリングする「18年シングルバレル」がリリースされます。

ブランデーを思わせる豊かな香り、コク、そしてメローな余韻は多くのウイスキーファンを唸らせました。

2017年には米ウイスキー・アドボケート誌が選出する同年TOP20ウイスキーにおいて「エライジャクレイグ スモールバッチ」がNo.1に選出。

ウイスキー・アドボケートのTOP20は、品質はもちろん、読者にとって価格が適正で手に入りやすいものであるかを考慮したランキングで、毎年ウイスキー愛好家の注目を集めているアワードです。

エライジャクレイグが多くの人に愛されているブランドであることが見て取れます。

エライジャクレイグの製法(作り方)

エライジャクレイグに限らず、現在ヘヴン・ヒル蒸溜所で生産されているバーボンの多くが、原料の78%にコーンを使用、他はライ麦や大麦を使ったマッシュビルを使用しています。

また酵母をモルトのスイートマッシュの中で増殖させる際、腐敗を防ぐためにホップを少量入れたり、発酵槽にイトスギ材を使うなどして、ケンタッキーの伝統的なウイスキー製法を取り入れています。

ケンタッキー州では夏季に稼働休止する蒸溜所が多いのですが、ヘヴン・ヒルは四季を通じて休みなく稼働しています。

熟成庫には外気を通わせ、温度も湿度も調節しない自然体な熟成を行なっているのも特徴的です。

エライジャクレイグ

ちなみに、当時クレイグ氏がつくっていたウイスキーはどんなものだったのか調べてみると、こんな資料が残されています。

18世紀後半のウイスキーは、農家の軒先や納屋に置かれてた小さな蒸溜器で造る簡単で素朴なものでした。

ジョージタウンにやって来たクレイグは副業でウイスキー造りに励み、丸太小屋の蒸溜所を建ててしまいます。

設備不足の中、考案したレシピは

  1. トウモロコシに大麦とライ麦をミックスして煮る
  2. できた抽出液に水を混ぜる
  3. 更にリンゴとプラムを入れて寝かせる
  4. 蒸溜

というなんとも不思議な工程だったそうです。笑

リンゴとプラムを入れて一旦寝かせたのはスピリッツにフルーティさを宿したかったのでしょうか。

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エライジャクレイグの種類/ラインナップ

エライジャクレイグ スモールバッチ

以前のフラッグシップ的ボトルだった12年ものが原酒不足から販売中止になり、後継としてリリースされたのがこのノンエイジのスモールバッチ。

こちらは酒齢8年〜12年の原酒をブレンドして仕上げています。

原酒コントロールのため生産量は減らしているようで、少量生産を意味するスモールバッチがブランド名に組み込まれています。

上記でも紹介した通り実際に2017年のアメリカのウイスキー専門誌 『ウイスキー・アドボケード』 TOP20では、ランキング1位に輝くほど評価の高いボトルです。

揮発性溶剤、プラム、カラメル、バタークッキーの芳醇な香り。

味わいは12年に比べ軽くなったものの、ブラウンシュガーのような甘み、焼きリンゴ、カスタード、焦がしたカラメルとバニラが好印象。

バーボン特有の接着剤のようなエステリーさはうっすらと感じますが、フルーティと芳醇な穀物感を味わうことができるボトルです。

エライジャクレイグ 12年

こちらは以前販売されていたエライジャクレイグのフラッグシップボトル。

1986年にリリースされて以来、その見事な出来栄えはバーボンに限らず世界中のウイスキーファンを唸らせました。

当時は市場価格で2000円を切る場合もあり、安旨バーボンの頂点とも言ってよい存在でした。

しかし原酒不足のため、惜しまれつつも販売中止となってしまいました。

現在のスモールバッチも良い出来栄えですが、味の奥深さが違います。

香りは上品なキャラメル、バターをたっぷり使ったクロワッサン、熟したバナナ、レーズン、プラム。

味わいはバタークッキー、バナナ、中間にソフトな乳酸、わずかなアンズの酸味、後半はバニラやカラメル、長く深いウッディな余韻が続きます。

メローでフルーティ、日本人が好みそうな甘くて濃いバーボンの味わいがよく出ている素晴らしきボトルです。

ラベルに12年表記があるものは4種類(ふたつは裏面表記)あるので、バーなどで見かけたら是非お試しください。

エライジャクレイグ スモールバッチ バレルプルーフ

蒸溜所や一部地域のショップでしか売られていないバレルプルーフ仕様のエライジャクレイグです。

バレルプルーフなのでアルコール度数が62度~70度前後あります。

非常のパワフルな香味を持っていて、口当たりはドライ。乾燥した穀物の甘み、ドライフルーツがたっぷり入ったシリアルの味わい。

以前は12年熟成のバレルプルーフでしたが今は8年〜12年の原酒をブレンドしたものになっているようです。

エライジャクレイグ12年バレルプルーフ

こちらは取材用に海外より購入した商品。70度近いアルコール度数。強烈にウッディだが、バランスが良い。

エライジャクレイグ 18年シングルバレル

こちらは18年熟成した原酒を、他の樽と混ぜずにボトリングしたもの。

12年物の更に上を行く複雑な風味を持っています。

キーとなる風味一つ一つが全てギュッと濃縮されているような「濃い」ボトルです。

ジュースで例えるなら粘性のあるピーチネクターのような感覚です。

香りは枝付きレーズン、プラムエキス、艶っぽい赤いリンゴ、シリアルとその中に入っている乾燥ラズベリー、オレンジ、バナナ。ローストアーモンドの印象も。

口に含むとアルコールの刺激は穏やか、なめらかな舌触りで、アンズのような酸を最初に感じます。

古い家具のような香りが鼻に抜け、バナナやマンゴーの強い甘味、それがバニラとキャラメルに変化します。

しばらく待つと、チェリーやピーチやパインの酸も感じとれます。

余韻はミディアム~ロング。ヘーゼルナッツ、ナツメグ、ココア。ドライで渋みのあるオークの香りに癒しを感じます。

バーボンウイスキーってこんなんだったっけ?と後から疑問に思うくらい一般的なバーボンとはかけ離れた風味を持つ別格のボトルです。

過去のラベルには上記のもの以外にも商品名や「Kentucky Straight Bourbon Whisky」部分が筆記体になったものが存在します。

1990年代のエライジャクレイグ18年

こちらは恐らく1990年代後半流通のもの。時代によって3回ほどラベルチェンジがあるようです。

 

エライジャクレイグ 20年 シングルバレル

こちらはエライジャクレイグを20年熟成したバーボンにしてはかなり長熟のボトル。

18年同様、単一の樽から取り出したものをボトリングしているシングルバレルとなります。

艶やかなリンゴ、オレンジマーマレード、煮詰めたイチゴジャム、メロン、バナナ、シナモン。鼻抜けには古いインクの香り。

味わいはドライフルーツ、パッションフルーツの濃厚な甘み。メロンキャンディ。

バナナ、バターをたっぷり乗せた焼きリンゴパイ、シナモンもかかっている。

幾層もの甘味の後から穏やかな酸味、タンニンの渋みが訪れ、ウッディでスパイシーでドライ。長い余韻。

バーボンの完成形と言っても過言ではない深く複雑な味わいのボトルです。

エライジャクレイグ 23年 シングルバレル

こちらはエライジャクレイグ最長熟のラインナップ。

1989年、1990年頃にリリースされていたボトルかと思います。

裏面には手書きで日付や原料比率が明記されており、トウモロコシ75%、ライ麦13%、大麦麦芽12%の比率でつくられたとのこと。

以前ご紹介したエヴァンウィリアムス23年と比肩される長熟バーボンの名品。

味わいはまさに「ウッドスパイスアドベンチャー」。

18年や20年、21年といったエライジャ長熟品が好きな人は好物だと思います。

香りは強烈な木質感、重厚なオーク、焼きたてのアップルパイ。シナモン、杏、メープルシロップ、完熟バナナ、ドライチェリー、タバコの葉。

12年ものと比較すると同じエライジャクレイグと思えないディープな世界観を纏っています。

味わいもオーキーでエレガント。酸と渋みは強いですが、いやらしさはなく暖かい。キャラメル、バタースコッチ、アンズ。

中盤からカスタードクリーム、バニラ、クリーミーなバターを感じます。後半はシナモンスパイスとおがくず。非常に複雑です。

余韻も非常に長く、しばらく鼻腔に居座ります。

一度飲んだら忘れられないオークの怪物とも言えるべきインパクトの風味です。

少量の加水で飲み口の木質感がとれるのでおすすめです。バーで見かけたら是非お試しください。

 

オーツカ

現行品が悪いという訳でなく、リニューアル前のほうがヘヴィな味わいを持っていたという感じですね。
現行品はフルーティーでオーキー。バランスがとれています。開封後数カ月でグッと円熟味がわかるようになるのもGood。

エヴァンウィリアムスのブラックラベルのプレミアム品を飲みたい方は、このエライジャクレイグをぜひどうぞ。




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