おやつやおつまみだけではなく、お菓子の材料、さらには料理にも使われるドライフルーツ。
ドライフルーツはウイスキーと相性がいいと言われていますが、様々な種類が存在し、味もそれぞれ違うため、どれもこれも合うというわけではありません。例えばドライフルーツにはレモンやオレンジといった柑橘系がありますが、プルーンやブルーベリーなどのベリー系とは味も食感もまったく異なります。
今回は厳選したドライフルーツをウイスキーと一緒に食べ比べてみました。
実際に食べてみて、どんなウイスキーと合うのかを紹介します。
また、ダイエット中の方にも楽しんでもらえるよう、各ドライフルーツの食べごたえにも注目しています。糖質ゼロのウイスキーと、少量でも十分な満足感を得ることのできるドライフルーツの組み合わせは減量の強い味方。さらには取り扱っているメーカーの特徴もまとめているので、ドライフルーツをお買い求めいただく際にも参考にしてください。
ウイスキーのドライフルーツ漬けや、ウイスキーとドライフルーツを使ったお菓子の作り方・レシピも紹介しているので、ウイスキー好きに限らず、ドライフルーツに興味がある方も見ていってください。
ドライフルーツの紹介と相性の良いウイスキー
試食したのは9種類のドライフルーツです。普段口にする機会の少ないデーツ(なつめやしの実)やいちじくなども試してみました。
ファイバーパイナップル 龍屋物産
味 |
さっぱりとした味わいで、甘さが控えめにおさえられています。爽やかなパイナップルのみずみずしさや繊維のしゃきしゃきとした食感から感じられ、生のフルーツとドライフルーツの良いところを合わせた果実の美味しさが詰まっています。 |
食べごたえ |
しっかりとした歯ごたえが感じられ、十分な食べごたえがあります。繊維質なので固くはありませんが、少量でも満足できる満腹感を得られるでしょう。 |
相性の良いウイスキー |
味質が軽く爽やかなドライフルーツなので、同じく爽やかなグレンリベットを合わせました。心地よい歯ごたえを楽しみつつ、上品かつフルーティーなアロマのウイスキーを味わうことで気軽に楽しい時間を過ごすことができるでしょう。また、白州といったシトラスや青草のような香りを持つ軽快なウイスキーとも好相性です。 |
メーカー |
龍屋物産株式会社はドライフルーツ・ナッツといったお酒のおつまみを取り扱うメーカーです。充実したラインナップはどれも素材の味を生かしたものばかりとなっています。 |
国産ドライりんご デルタインターナショナル
味 |
バランスのよい「ふじ」りんごの甘みと酸味が感じられます。糖分は控えめになっており、りんご由来のとろみのある甘みを楽しむことができます。ドライフルーツにすることで香ばしさも加わり、りんごパイのような風味も感じられました。味と香りがしっかりしているためヨーグルトと一緒に食べるなどしても風味を楽しむことができるでしょう。 |
食べごたえ |
柔らかくしっとりとした食感で非常に食べやすいです。お子さまやご年配の方でも気軽に食べられますが、あまりに食べやすいためついついお菓子感覚で食べすぎてしまいそうになるドライフルーツです。 |
相性の良いウイスキー |
ドライフルーツの香りとグレングラントのりんご香を一緒に味わうことでフルーティーさを口の中いっぱいに感じることができます。しっとりとした食感もウイスキーのとろみと相まってスイーツ感をたっぷりと味わうことができるでしょう。変化をつけたいのであればタリスカー10年がおすすめ。潮の香りとりんごの優しい甘みが相まってより上品な味になります。スパイシーですきっとした後味も魅力。 |
メーカー |
デルタインターナショナルは健康な生活のためのドライフルーツ&ナッツといった商品を展開してます。ドライフルーツは日本産のものを使っており、良質な素材による優しい味わいが魅力的です。 |
クランベリー 万直商店
味 |
酸味が強く、口の中にすっぱさが広がります。似たドライフルーツであるレーズンやブルーベリーと比べても酸味が強く感じられるでしょう。すっぱいのが苦手な方はヨーグルトやアイスと一緒にお召し上がりになるか、パンやクラッカーの添えものとして食べることをおすすめします。甘さはほとんど感じられなく、クランベリーの高い抗酸化力と相まって非常に健康的なドライフルーツと言えるでしょう。 |
食べごたえ |
小粒ですが弾力のある皮の歯ごたえがあり、プチプチとした食感が魅力です。すっぱいもの好きの方は気付けば量を食べてしまっていることでしょう。ただ、満腹感というにはほど遠く、お腹が膨れるようなドライフルーツではありません。 |
相性の良いウイスキー |
クランベリーの酸味をメーカーズマーク独特のコクのある甘みが包み込みます。フレンチオークの側板を10枚沈め後熟させた「46」は、通常のメーカーズマークよりも、甘く、深い香気をまといます。メーカーズマークは原料に小麦を使っており、柔らかい口当たりも魅力のひとつ。お菓子作りにもよく使われるウイスキーなので、同じくスイーツのアクセントとして使われるクランベリーとも相性バッチリ。グレンドロナック18年なども100%オロロソ・シェリー樽特有の深みのある甘さがありおすすめです。 |
メーカー |
万直商店はドライフルーツ以外にも乾き物やグラノーラといった商品を扱っています。通販以外にも成城石井などでラインナップを確認することができます。 |
いちじくひだまりドライ MANGOS
味 |
濃厚な果実の味わいがつぶつぶの食感とともに楽しめるドライフルーツです。無加糖のため砂糖の甘みはないのですが、凝縮された果実の甘さがあり奥の深い味わいを楽しめます。不思議と和菓子のような味わいがあり、一風変わったおつまみとしても美味しく食べられます。 |
食べごたえ |
皮に厚みがありますが、身が十分にやわらかくなっているので食べやすいでしょう。大きな実が使われているので、ボリュームもしっかり感じられます。プチプチとした独特の食感も加わり、食べごたえのあるドライフルーツとして人気が高いです。 |
相性の良いウイスキー レッドブレスト12年 |
熟成感のあるバニラ香や古い木材の香りが濃厚な甘さのいちぢくと見事にマッチしています。心地よいピート香は鼻抜けがよくビターな余韻を感じさせます。いちぢくはジャパニーズウイスキーと合わせると外れがない印象です。山崎など。またレッドブレスト12年のような酒質は軽いのですが、シェリー樽由来の重厚さを感じさせるアイリッシュウイスキーは、スイスイ杯が進みます。 |
メーカー |
MANGOSはオーガニック食物やナチュラルフードを取り扱う自然食品の豊富なメーカーです。パウダーやオイル、シードなどの調味料も取り扱っており、そのどれもがオーガニックな商品であるという安心・安全のラインナップです。 |
輪切りレモン 南信州菓子工房
味 |
レモン本来の酸味と加糖により甘酸っぱくなっていますが、皮の部分のほろ苦さが味のバランスを整えています。気づくと口に含んでいる食べ飽きないドライフルーツ。ただ甘いだけではなく、苦みも感じられるため、おつまみとしてのポテンシャルは高いです。レモンの風味が爽やかなので、紅茶やカクテルに入れるといった工夫も考えられます。 |
食べごたえ |
薄いためボリューム感はありませんが、皮の噛みごたえと様々な味が感じられることから見た目よりもしっかり食べている感じがあります。食欲のないときや風邪をひいてしまった時など、ちょっとなにか口に入れたいときにはちょうどいいサイズでしょう。 |
相性の良いウイスキー |
軽快なピート香と潮の香りにレモンの甘酸っぱさと苦みを加えることで、クリーンでアクセントのあるマリアージュが楽しめます。ピート香が苦手な方でもレモンの酸味によって新たな味覚が楽しめます。アイランズ全般(アラン、スキャパなど)と相性が良いですが、アイラのアードベッグのような燻煙香が強すぎるものは合わない可能性があります。知多のようなグレーンウイスキーと組み合わせればよりさっぱりとした飲み心地でウイスキーが楽しめます。 |
メーカー |
南信州菓子工房はお菓子メーカーのノウハウを使ってドライフルーツを作っている長野県のメーカーです。レモンやオレンジのほかにもキウイ、みかん、りんごなどいろいろな種類のドライフルーツがあり、ドライフルーツ好きにはたまらないお店でしょう。 |
清美オレンジ 南信州菓子工房
味 |
清美オレンジそのものの糖度が11~12度なので、通常のオレンジよりもみかんに近いジューシーな甘みを感じます。しかし香りはオレンジそのものであり、みかんの甘みとオレンジの香りを持ったバランスの良い味わいと言えるでしょう。薄い輪切りとなっているため皮がついていますが、同じメーカーから出ている『輪切りレモン』よりも苦みが少なく、オレンジの香りの爽やかさが特徴的です。 |
食べごたえ |
口当たりは柔らかく、すいすい食べていまいそうになります。特にみかんの甘味は日本人にはなじみのある甘さなので、注意しなければすぐに食べ終わってしまうでしょう。ダイエットには向かないかもしれません。 |
相性の良いウイスキー |
ダルモアはオレンジ、レモン、ライム等の柑橘系フレーバー、そして芳醇なシェリーの深くリッチな味わいが特徴です。清見オレンジと合わせれば、非常にフルーティーで上品な食べ合わせを体験ができることでしょう。ロックや水割り、ハーフロックなどがおすすめです。ドライレーズンなどとも合いますね。ジャパニーズなら響 JAPANESE HARMONY、アメリカンであればブレットバーボンあたりがおすすめ。なめらかでコクのある味わいをライトに楽しむことができます。 |
メーカー |
上記の『輪切りレモン』と同じです。 |
デーツ SEEBERGER(ジーベーガー)
味 |
やや粘性のある強い甘みが感じられます。砂糖は一切加えられておらず、デーツのみの上品な甘さが感じられます。デーツの果肉は”あんこ”のように濃厚で熟れた味わいが特徴です。炭水化物の割合が多く、糖分が主成分であることからも非常に甘く濃厚なドライフルーツであると言えるでしょう。 |
食べごたえ |
ねっとりとした歯ごたえを持ち、十分な食べごたえを備えています。実自体からどっしりとした重みを感じるため、数粒も食べれば満足でしょう。一粒当たりのカロリーは高いですが、甘く感じるわりにはミネラルや食物繊維が豊富なためダイエットでも活躍します。栄養豊富なだけでなく、エネルギー転換も早いため、スポーツ中の補給にも適しています。 |
相性の良いウイスキ オールドパー |
明治時代より日本人に愛されてきたオールドパー。和食や和菓子と非常相性が良いウイスキーでもあります。デーツはあんこに似た食感、味わいがあるため、コクがあり飲みごたえのあるオールドパーと合わせることで見事なペアリングを見せます。オールドパーの味の表現には「醤油っぽさ」「みたらしっぽさ」というものがありますが、まさにオールドパーらしい複雑な和風味がデーツの甘みと調和します。またバーボンとも相性が良く、ノブ・クリーク 9年のようなBBQソース感のある風味が強いウイスキーでもいけます。 |
メーカー |
ジーベーガーはドイツのロースト食品を扱う会社です。元はコーヒーの焙煎会社でしたが、その高い技術を使ってナッツやドライフルーツも扱い始め、今では世界的に有名な高品質ロースターの地位を築いています。世界各地で収穫した果実を使ったドライフルーツは厳選された美味しさが楽しめます。 |
ドライルビーグレープフルーツ 成城石井オリジナル
味 |
酸味と渋みが特徴的な味です。軽い甘みも感じられますが、グレープフルーツの強い渋みがあるため甘いとは感じられないでしょう。独特の苦みがクセになるドライフルーツです。ボジョレー・ヌーボーから感じられるようなフレッシュな風味が好みの方であれば美味しくお召し上がりいただけるでしょう。 |
食べごたえ |
しっとりとしていてみずみずしい食感が楽しめます。シロップに漬け込んであるため、しっかり乾燥されているのではなく、缶詰の果実のような口当たりです。大きなグレープフルーツを輪切りにしており、ひとつひとつが大きなドライフルーツです。苦みがあり、一切れで長く楽しめるでしょう。 |
相性の良いウイスキー |
ドライでスモーキーな香りの中にも、瑞々しい柑橘フレーバーがバランスよく溶け込んでいるのがボウモアの特徴のひとつです。ルビーグレープフルーツのフレッシュな苦みにも負けることなく、互いの風味を支え合います。ピートが苦手な方はグレンモーレンジ18年、ノアーズミルなどもおすすめです。 |
メーカー |
成城石井は主に食品を扱うグローバルなバイヤーセレクトショップですが、オリジナル商品も展開しています。セレクトアイテムに負けない高品質・美味しさを備えた商品ばかりなので、ドライフルーツに困ったらチッェクしてみてください。 |
ドライオレンジ 成城石井オリジナル
味 |
みずみずしさが残るドライフルーツのため、酸味が印象的な味わいです。味のイメージとしては、フルーツタルトなどに使われるシロップのかかったオレンジが思い浮かびます。皮の苦みもあることから、甘み・酸味・苦みのバランスが取れたオレンジを味わえるでしょう。お菓子感覚というよりも、おつまみに適したドライフルーツです。 |
食べごたえ |
薄切りですが皮も付いているので、しっかりとした食感があります。爽やかな香りと新鮮さが感じられる歯ごたえに楽しさを感じる人も少なくないでしょう。単体で食べるだけではなく、洋菓子や料理、オードブルにも使っても存在感を発揮します。 |
相性の良いウイスキー |
バランスの良いドライオレンジにはアイラ全般のスモーキーなソーダ割はいかがでしょうか。このセレクトは通常のラフロイグ10年よりもややフルーティーな印象。口当たりこそ強烈なものの後味すっきりと飲むことができます。オレンジのフレッシュさで口を爽やかに保ちつつ、ラフロイグの香りを心行くまで楽しんでもらえる組み合わせです。また、カリラ12年やブルックラディ ザ・クラシック・ラディなどの特徴のあるウイスキーをソーダで割って、ドライオレンジを浮かべるという楽しみ方もおすすめできます。 |
メーカー |
上記のドライルビーグレープフルーツと同じです。 |
ウイスキーにドライフルーツを漬けてみよう
ドライフルーツをウイスキーに漬け込むことで、ウイスキー風味のドライフルーツを味わえることと、甘い果実の香りが付いたフルーツソースとしてウイスキーを使えるという1度で2度おいしいレシピがあります。
作り方は簡単。自分の好きなドライフルーツを細かく切って(切ったほうが浸かるのが早い)、しっかり浸かる程度にウイスキーを注ぐだけです。かなりドライフルーツを使うので、最初は500ccくらいのメイソンジャーが適量かと思います。大量に飲みたい方は梅酒やサングリアなどを作る際に使う2ℓほどのディスペンサーをどうぞ。
作り方のコツはデーツを活用することです。デーツは自然甘味料にも使われるほど糖度の高いドライフルーツです。ほかのドライフルーツだけだと砂糖を加えて火にかけたほうがバランスが整えられますが、デーツは入れるだけ甘さが増します。
熟成は1~2か月以上がおすすめです。最初の1週間は毎日混ぜたほうが良いですが、それ以降は1週間に1回混ぜれば美味しく出来上がります。
漬け込むとウイスキーの香りがいくぶんか飛んでしまうので、使用するウイスキーはボディの厚い、味がしっかりした重厚なスコッチ、バーボンがおすすめです。ドライフルーツもウイスキーも好きだという方はぜひ作ってみてください。
ウイスキーとドライフルーツを使ったパウンドケーキの作り方・レシピ
ウイスキーの香りは好きだけれどもお酒は強くないという方は、パウンドケーキにすることでドライフルーツとウイスキーの両方を一緒に楽しむことができます。
材料
三温糖 75g
薄力粉 100g
ドライフルーツ お好み
ウイスキー 75cc
ベーキングパウダー 1.5g
全卵1.5個
作り方
1.ドライフルーツをウイスキーに1晩漬け込みます。
2.ウイスキーから上げたドライフルーツの水気を取り薄力粉をまぶします。
3.常温に戻しておいたバターを2に塗ります。
4.3に砂糖と溶いた卵、ドライフルーツを漬けていたウイスキーを加えます。
5.4に残った薄力粉とベーキングパウダーを加えて混ぜます。
6.容器に入れ、オーブンで30分180℃で焼いたら完成。
ウイスキーのドライフルーツ漬けも活用できて簡単に作れるので、どなたでも問題なく作ることができるでしょう。男性の方でも気軽に作れるので、ウイスキーとドライフルーツが好きなら作らない手はありませんね。
ウイスキーと相性が良いドライフルーツ
様々なドライフルーツとウイスキーを試してみて感じたのは、やはり相性が抜群に良いということでした。
ウイスキーはアルコール度数が高く味が濃いため、おつまみを合わせるとなると比較的味の濃いものが欲しくなります。しかし、水分量の多いおつまみだとせっかく楽しんでいるウイスキーの風味を壊しかねません。
そこでドライフルーツが活躍します。ドライフルーツはウイスキーの風味を補助し、さらに歯ごたえを与えてくれます。ナッツといった乾き物と違うのは、フルーツの香りと甘さでしょう。私は甘党なので、ナッツよりもドライフルーツがウイスキーのお供に頼もしく感じました。
みなさんもどうぞドライフルーツとウイスキーを組み合わせて、楽しいウイスキーライフをお楽しみください。