おすすめの飲み方・飲み進め方
カナダを代表するコーンとライ麦をベースにしたライト&スムーズなウイスキー。
カナディアン全体に言えることですが、とにかく酒質が軽く、加熱したバナナのような風味を持っています。
飲みなれている方はストレートでバシバシ飲めますが、濃いめのハイボールもGood。
ロックにすると渋みがやや強く出ますが、全然不快ではなく、ストレートよりもハマる人は多いです。エビ料理と合わせるとおいしい。
個性は強くなく、余韻はだいぶドライなので、コーラやジンジャーエールで割ったり、カクテルベースで使われたりします。
その傾向がブランド自体もわかっているので、フレーバー入りRTD(缶)の販売も開始しました。
まさかのピーチティ。。。。
とりあえずスタンダード品を試して、その後にXO、さらにはライを飲んでみて、気に入ったら先に進むべきかな、と思います。
オールドボトルもオークションやフリマを使えば比較的安価で手に入るので、飲んでみるのも面白いと思います。
クラウンローヤルの発祥と製造場所、歴史の紹介
カナディアンウイスキーが盛り上がりを見せたのは、アメリカで禁酒法が施行された1920〜1933年頃。
禁酒法が施行されるとすぐさまアメリカでは密造の粗悪なスピリッツが出回り、カナダやスコットランドからアメリカへウイスキーが集まるようになります。
禁酒法下、粗悪な密造酒が横行する中で、高い品質を保ちつづけたカナディアンウイスキーはアメリカからの信頼を獲得します。
当時、デトロイト川が凍結したため一般人も川を走ってカナダに渡り、 カナディアンウイスキーを買って小遣い稼ぎをしていた人も多かったといいます。
また、“カナダはアメリカの酒庫” と呼ばれており、1933年の禁酒法撤廃後、不足する酒市場に貢献したカナディアンウイスキーメーカーでした。
クラウンローヤルはカナディアンウイスキーが盛り上がりを見せていた1939年、カナダのリカーメーカー「シーグラム社」によってつくられました。
最初は英国国王ジョージ6世夫妻が初めてカナダを訪問した際の記念品として贈られ、その後しばらくは同社の「貴賓客用」として少量生産されていました。
長らくカナダ国内のみの流通でしたが、1964年から世界的に輸出されはじめます。
ライトで甘くメローな酒質が好評を博し、現在はカナダを代表するカナディアン・ ウイスキーのプレミアムとして世界中に輸出されるまでマーケットが広がっています。
我が国日本においても酒屋さんやスーパーのお酒のコーナーに置かれくらいメジャーなウイスキーとなっています。
クラウンローヤルの製法
クラウンローヤルはカナディアンウイスキーですので、ライ麦を主原料にしたライトなタイプの酒質をしています。
ライ麦主体のフレーバリングウイスキーと、トウモロコシ主体のベースウイスキーの2つをブレンドするという、一般的なカナディアンウイスキーの製法でつくられています。
製造される蒸溜所についてですが、キリンのオフィシャルサイトをみると「ラ・サール蒸溜所」とされています。
しかし色々と掘り下げてみるとギムリ蒸溜所やウォータールー蒸溜所などさまざまな説が飛び交います。
これは一体?と思い調べてみました。
結果的に現在、クラウンローヤルを製造しているのはギムリ蒸溜所で間違いなさそうです。
しかしひと昔前まではオンタリオ州のウォータールー蒸溜所でもつくられており、ウォータールーが1992年に火災で焼失した後、現在マニトバ州のギムリ蒸溜所での生産に切り替わっているようです。
ギムリ蒸溜所はクラウンローヤルがまだシーグラム社だった時代(1968年)にクラウンローヤル製造用に建てられた専用蒸溜所。
別名「クラウンローヤル蒸溜所」とも呼ばれていました。
蒸溜所オーナーがディアジオ社に変わった今でも、ギムリ蒸溜所で生産されたスピリッツの約90%がクラウンローヤル用として使用されています。
こうなってくるとキリンのオフィシャルサイトに記載されている「ラサール蒸溜所」って何だろう?と疑問に思いますよね。
実はラ・サール蒸溜所はクラウンローヤルの「試作」が行われた場所ということが分かりました。
原材料やブレンドのレシピが完成した後、量産する場所としてウォータールーやギムリ蒸溜所が使われていた、というわけです。キリンのサイトに関しては何とも紛らわしい表現ですが、確かにラサール蒸溜所でつくられているとは一言も書かれていません(笑)
「ラ・サール蒸溜所では、600種ものブレンドを試作し…」という書き方で全てを表しているわけです。
う〜ん、ウイスキーの闇、深し…ですね!
というわけで、クラウンローヤルについては
- 開発されたのはラ・サール蒸溜所
- 製造は現在ギムリ蒸溜所
といったカタチで表記すると分かりやすいかと思います。
ちなみにラサール蒸溜所は、1927年カナダの実業家で慈善家のサミュエルブロンフマンによって創立されました。
創立からまもなくしてクラウンローヤルの開発に関わり、2003年に閉鎖しています。
因みにディアジオ社はそこで生産されたウイスキーの最終バッチのいくつかを手に入れ、それをブレンドした「クラウンロイヤルXR」が同社からリリースされています。
クラウンローヤルの種類/ラインナップ
クラウンローヤル
クラウンローヤルのスタンダードボトル。
1939年にリリースされて以来、世界中のウイスキーファンに支持されているボトルです。
イギリス国王夫妻への贈呈物ということもありボトルも高級感のあるデザインが施されています。
香りはバーボンに近いメロンやバニラ、アロンアルフア系の接着剤の香りのあとメープルシロップの甘やかなアロマが訪れます。
口に含むと、ハニーアーモンドの香ばしさと甘さ、メロンのフルーティーさが訪れ、その後バニラ、メープルシロップなどが続きます。
熟成年数は7年程度でしょうか。アルコールの刺激も少なく、スムースで飲みやすい、これぞカナディアンといった仕上がりです。
クラウンローヤル XO
クラウンローヤルのワンランク上のボトル。
こちらは、50種類以上のウイスキーをブレンドし、熟成にコニャック樽が使用されています。
香りはコニャック樽由来のレーズン、バニラエッセンス、メープルシロップ、ウエハースなどが感じられます。
口に含むとスムースな飲み口で、味わいは芳醇な枝付きレーズン、バニラカスタード、ややスパイシー、シュークリームの皮、メープルシロップ。少し麩菓子。
なかなか見かけないアッパークラスのXO。
スタンダードのクラウンローヤルより甘みが濃縮し全体的にリッチになったボトルです。
クラウンローヤル ノーザン・ハーベスト ライ
クラウンローヤルのライウイスキー。
「ノーザンハーベストライ」は、原料比率で全体の90%を締めるライ麦にカナダ産を使っています。
香りはクラウンローヤルのスタンダード品と比べるとかなりスパイシー。ローズウォーター、カルダモン。アルコールアタックもあります。
味わいは軽い穀物感にバターシュガー。リンゴジュース、ホワイトペッパー、メープルシロップ。干し草とアニス。
フィニッシュはミディアムでオークの香が舌に張り付いて残ります。
結構、クリーミーでスパイシー。カナディアンのライってこういう感じなんだ~となる面白い商品ではあります。
ウイスキーバイブル2016でワールドベストに輝いたクラウンローヤルのライウイスキー。
ちょっと忖度が過ぎるような気もしますが、100点満点で97.5点を獲得しています。
クラウンローヤル XR
こちらはクラウンローヤルが開発された、今は亡きラサール蒸溜所の最後の原酒が使用されているクラウンローヤルのハイエンドラインナップとなります。
香りは濃縮したメープルシロップ、ウエハース、バニラエッセンス、洋ナシなどが感じられます。
飲み口はスムースで、味わいは濃厚なメープルシロップ、ラムレーズン、ブラウンシュガーなどの甘みとウエハースの香ばしさ、なめし皮、奥に若干のハーブを感じます。
カナディアンの割にはどっしりとしています。ハイエンドラインナップに相応しい濃厚さを感じます。ただ40度なので、スイスイストレートで飲めます。
生産するラサール蒸溜所のマスター・ブレンダー、アンドリュー・マッケイ氏は「ラサールはウイスキーの世界でも歴史的な場所であると同時に、私個人にとってもウイスキーのブレンドを覚えた特別な場所。その特別なラサールのウイスキーをXRに取り込むことによって、多くの愛酒家に楽しんでいただけることを誇りに思う」と自信のコメントを残しています。
ざっくり覚える!
クラウンローヤルは、ディアジオ社からリリースされているカナディアンウイスキー。
リリースは1939年。カナディアンクラブの前身である「クラブ・ウイスキー」が1858年のリリースなので、かなり後発です。
もともとカナダを初めて訪問したジョージ6世(イギリス国王)への献上品としてつくられたウイスキーで、どの蒸溜所でつくられた原酒なのかは諸説あります(「製法」にて紹介していきます)。
カナディアンウイスキーといえばカナディアンクラブ(以下C.C.)という巨大ブランドがあるため、影を潜めるように存在しているクラウンローヤルですが、深みというか熟成感は定番のC.C.を凌いでいる感じです。
ラベルも高級感ありますし、プレゼント需要が結構あります。
日本ではキリンが販売を行っていましたが、2021年4月をもって出荷を終了しています。