おすすめの飲み方・飲み進め方
バッファロートレースの熟成年数は8年~12年としています。いわゆるミドルレンジですね。
バーボンも原酒不足がささやかれているので現状も12年ものを使用しているかはわかりませんが、上品で積層感のある深い味わいが特徴。
刺々しいエステリックさが極めて低いバーボンなので、初心者にとっても飲みやすいと言えます。
「バーボンビギナーにはメーカーズマークレッドトップ」みたいな雰囲気ありますが、個人的にはバッファロートレースを推します。
おすすめの飲み方はハイボール。
やや濃いめにつくると糖蜜の風味とミントのフレーバーが際立ちます。食中にもGood!
ストレートやロックで飲むと、かりんとうのような甘みと、フィニッシュ時の仄かな酸味が心地よく、とても美味。
黒糖かりんとうを食べながらちびちび飲むと無限に飲めてしまいます。
「オラァ!これがアメリカン・バーボン・ウイスキーだ!(水牛)」みたいなラベルに見えますが、荒々しく雄々しいバーボンではなく、角の取れたまろやかなウイスキーなのです。
バッファロートレースの発祥と歴史
どこで作られているのか?
バッファロートレースがつくられているのはそのままその名前を冠した「バッファロートレース蒸溜所」。
ケンタッキー州フランクフォートに位置します。
蒸溜所の創立は1773年と非常に歴史深く、アメリカで最初の蒸気熱を使用し蒸溜を行う最先端の蒸溜所でした。
現在は大規模な蒸留所で
- オールドチャーター
- オールドテーラー
- イーグルレア
- ジョージTスタッグ
- ベンチマーク
- ブラントン
- サゼラック・ライ
など多くのブランドを生産しています。
他社と提携して製造したウイスキーブランドまで含めるとその数は200を越えると言われています。
少量生産の高級バーボンも数多く生産しており、量産型はもちろん、管理に手間のかかるスモールバッチ生産も得意としています。
さらにはウイスキーだけでなくウォッカやジンなども製造する、とにかく大規模な蒸溜所です。
蒸溜所の評価は世界的に非常に高く、2005年から3年連続でウイスキーマガジンの「ディスティラリーオブザイヤー」を全米初受賞。
歴史と規模だけでなく、品質・管理など全ての面において高いクオリティの蒸溜所ということを証明しました。
バッファロートレースの歴史
野牛のイラストが描かれた巨大な給水塔がシンボルのバッファロートレース蒸溜所ですが、その発祥はとても古いです。
1773年にハンコック・テイラー・リーとウィリス・リーの兄妹が、リーズタウンの地を調査。
そして1775年に蒸溜事業を始めたことが起源とされています。これはアメリカ最古の蒸溜所のひとつとしても有名です。
その後、1792年にリチャードテイラーが「オールドテイラーハウス」を建設。これはまだ平屋の石造りでした。
しっかりとしたウイスキーの蒸溜所が建てられたのが1811年、創業者はベンジャミン・ハリソン・ブラントン氏でした。
ブラントン氏はバッファロートレース蒸溜所で造られる高級バーボンウイスキー「ブラントン」のブランド名にもなっていますね。
1870年にオールド・ファイアー・カッパー(OFC)が蒸溜所を買収。
1872年にEHテイラージュニアが7万ドル以上投資して敷地内に新しい蒸溜所が建設されます。
その後1878年にジョージ・T・スタッグにより隣接する牧畜農場とともにOFC蒸溜所は買収されます。
1882年には落雷で火災が発生、建物の一部を失います。
この時、保険金ですぐに再建し、さらに44,000ドルを追加投資。当時最新の設備を備えました。
1904年に「ジョージ・T・スタッグ蒸溜所」へと改称。
1919年、禁酒法がアメリカで制定されますが同蒸溜所は禁酒法の間「薬用」としてウイスキーを製造し続けます。
この頃医薬目的として蒸溜を許可された全米の蒸溜所は4ヵ所と言われており、別格の扱いだったとか。
1929年にシェンレーディスティラーズカンパニーに買収され「シェンレー蒸溜所」となります。
1937年には大洪水が起こり大きな被害を受けます。
世界大戦を乗り切ると世界で唯一のシングルバレル用の倉庫を建築(1953年)するなど、広い敷地を利用して多くの倉庫を建築し、多量の原酒を確保してきました。
また樽の保有数も40万樽と超多量です。
長らく家族経営を続けてきたのですが、1992年にサゼラック社の傘下に入り、1999年に大規模な改装を行います。
この改装工事を受けて、蒸溜所名をバッファロートレースに改称し、同時にバッファロートレースというブランドボトルをリリースしました。
以降、蒸溜所では「バッファロートレース」をフラッグシップブランドとしてリリースし続けています。
〜蒸溜所名の変移〜
- 1775年頃 リーズタウン(蒸溜所ではない)
- 1870年頃 オールド・ファイアー・カッパー(OFC)蒸溜所
- 1900年 ジョージ・T・スタッグ蒸溜所
- 1929年 シェンレー蒸溜所
- 1946年 ブラントン蒸溜所
- 1969年 エンシェントエイジ蒸溜所
- 1999年 バッファロートレース蒸溜所
バッファロートレースの製法
バッファロートレースはバーボンウイスキーの定義から原材料の51%以上にコーンを使用しなければなりません。
しかしバッファロートレースにおいてはコーン80%,ライ10%,大麦麦芽10%という高い比率でコーンが使用されています。
同蒸溜所ではこれを”ロウ・ライ・マッシュ”
と呼び、他のブランドではベンチマーク、イーグルレア、コロネルEHテイラー、ジョージTスタッグなどが同じ比率のマッシュを使用して造られます。
蒸溜器はビアスチル,ダブラー,連続式蒸溜機,ケトルなど様々なタイプが設置されており、これを使い分けて各ブランドのスピリッツが精製されます。
熟成樽は蒸溜所の所有する400,000樽の中からわずか0.01%にあたる8年~12年程度熟成させた35~45樽のみを厳選。
1樽ずつじっくりテイスティングを行い選定、ブレンドしアルコール度数を45%に調整してボトリングされます。
ウェアハウスは12棟ありレンガ造り,石造り,金属と3タイプが存在し、原酒の造り分けが可能となっています。
バッファロートレース蒸溜所ではたくさんのウイスキーブランドを抱えているので、それぞれのウイスキーで熟成させる場所が決まっています。
バッファロートレースの場合はC、I、Kという3つの貯蔵庫の中層階に陣取っており、樽ローテーションは行わずに熟成させるそう。
中階層はエンジェルズシェアが約4%とのことですが、上階層では5%、低階層では3%らしいので、出せる味わいが変わってくるようです。
ちなみにバレルのチャーリングもブランドごとに異なっており、バッファロートレースの場合は55秒とされています(恐らくミディアムチャー)。
バッファロートレースの種類/ラインナップ
バッファロートレース
バッファロートレース蒸溜所の名を冠したオフィシャルボトル。
これしか販売されていません。
こちらは蒸溜所が保有する40万樽の中から35〜45樽(8年以上熟成)を選び出し、更にテイスティングし、選定。
量産はできませんが、替わりにスモールバッチならではのプレミアムバーボンという高い品質を保持できます。
香りはバニラカスタード、ドライバナナ、アンズ、苺、奥に爽やかなミントとクローブ。
口に含むとバターをたっぷりとかけたパンケーキ、バニラビーンズなどバランスのとれた甘みとかすかな酸味とスパイシーさが魅力。ライ麦比率が10%もしくはそれ未満と推定されるロウ・ライ・マッシュビルだからでしょうか。
とても飲みやすいバーボンに仕上がっています。
フィニッシュは長く、ウッディなバニラビーンズがしばらく鼻腔に居座ります。
お肉料理との相性は抜群でストレート、ロックはもちろんですが、ハイボールも非常におすすめです。
バッファロートレースを飲んでおいしいと感じた人はイーグルレアも飲んでみるといいと思います。
あとバッファロートレースのプロモ動画がかっこいいので、暇な人は見てくださいね。
ざっくり覚える!
バッファロートレースは比較的若いブランドですが、製造しているバッファロー・トレース蒸溜所の歴史は非常に長く、その伝統を守りながら造られています。
熟成年数によるブランドの位置づけとしてはベンチマーク→バッファロートレース→イーグルレア→ジョージTスタッグのような感じ。
ちなみに、ラベルにはブランド名を象徴するかのごとく力強いバッファローの絵が描かれています。
過去、蒸溜所のあった地域のすぐそばにケンタッキー川が流れており、その岸辺は水牛の渡し場になっていました。
川渡りをしている水牛の爪痕が土手に刻まれていたという史実から「バッファロートレース(バッファローの通り道)」というネーミングになったそうです。
またブランドメッセージの「フロンティアスピリッツを抱いて強く生きる」という意味も込められています。