はじめに:バーボンを知るにあたって
アメリカ映画のワンシーンで、バーボンウイスキーをストレートで一気飲みしている男性をよく目にします。
バーボンウイスキーというと、渋い男性のイメージ、お酒に強い人が飲むお酒というイメージを持たれる方も多いかと思いますが、バーボンは、他の国のウイスキーと比較すると甘めの風味があり、実はビギナーに優しいお酒。
スコッチウイスキーやアイリッシュウイスキー同様、種類や味も多岐に渡り、特に味はスコッチよりもよりダイナミックで、”幅がある”ウイスキーとも思えます。
これからウイスキーを飲んでみようという人たちにピッタリのお酒です。
ただ、日本で流通している量はスコッチより種類が少なめで、バーや酒屋さんでも取り扱っているラインナップは少ないです。最近ゆっくりではありますが、バーボン専門店のような種類が豊富な店舗も増えてきていますので、今後日本で飲めるバーボンの種類はもっと多くなると思います。
ちなみにバーボンとはアメリカで作られる「アメリカン・ウイスキー」の一種で、バーボン以外にもライ麦が主体の「ライウイスキー」やトウモロコシが主体の「コーンウイスキー」と言った種類もあり、すべてをまとめて「アメリカン・ウイスキー」という名称を使います。
今回、その中でも代表的、特徴的といわれるアメリカン・ウイスキーを一挙にご紹介します。バーで楽しむ際や、家飲み用のアメリカン・ウイスキーを購入する際のきっかけにしていただければと思います。
少しのお勉強と銘柄紹介の後、楽しいバーボンの時間をお過ごしください。
ゲスト/特記戦力
1977年東京生まれ。
吉祥寺「Bar Vision」にて勤務。
ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーレクチャラー、ウイスキープロフェッショナル取得。
オークラ出版発行「基本のウイスキー」監修。
Bar Visionは価格上限1000円という値段設定のため、初心者から上級者まで幅広くご来店いただく店舗で、The Scotch Malt Whisky Society オフィシャルパートナーバーにも認定されました。
そのため、初心者にもわかりやすく、上級者にもより満足していただける説明を心がけています。
今回の企画に向け相当バーボンを飲んでいただいたようで、ありがとうございます。まさか他の店員さんまでご参加いただけるとは思いませんでした。
それがまたアメリカンの楽しみでもあります。
今回はアメリカンの中でもバーボンウイスキーが中心の記事ですが、初心者の方も愛好家の方も、自分にピタリとハマる銘柄を発見していただきたいですね。
一気にわかる!オリジナルバーボンセット
- 『バーボンって味の違いがよくわからない』
- 『好きな銘柄は幾つかあるけど、飲み進め方がわからない』
という方に向けて、オリジナルのバーボンセットを作りました!「とにかくバーボンの味の傾向を手っ取り早く知りたい人」におすすめのA~Cまでの3セット。
是非ご活用ください。
初心者必見!ちょっとずつ飲めるアメリカンウイスキーおすすめセットA
アメリカンウイスキー初心者の方へ、最初に飲み比べてみて欲しいウイスキーを小瓶で3商品セットにしてご用意しました。
バーボンウイスキーを知りたいと思っているビギナーの方におすすめのセットです。
30mlセットと100mlセットから選べるので、少しずつ飲み比べて、あなたの好きなバーボンを見つけてください。
下段には中級者用のBセットもあります!
もっと深くバーボンを味わってみたいBセット
上でご紹介したAセットに続く、バーボンウイスキーが好きな方や、気に入った方が【次に飲んでもらいたい】シリーズです。
Aセットでバーボンがどんなものかわかったという方、それなりにバーボンを飲んできたという方におすすめな中級ラインナップです。
かなり高アルコール度数のものも多く、コクがあり、まろやかで力強いバーボンの真髄を味わってください。
アメリカの真髄を探る!プレミアムバーボンCセット
上記でご紹介したAセット、Bセットに続き、最後のCセットはプレミアムバーボンばかりを集めてみました。
ややお値段が張りますが、高級バーボンとはいったいどんな味がするのかよくわかるスペシャルセットとなっています。
色々なバーボンを飲んできた方にもおすすめできるプレミアムラインです。
バーボンの味と香りを調査しチャート化
それではアメリカンウイスキーの代表銘柄をチャート化していきます。
ライウイスキーやテネシーウイスキーなども入れていますが、ほとんどがバーボンなので、”バーボンチャート“と呼びます。
バーボンウイスキーの『飲みやすい』、『飲みにくい』はアルコール度数が大きく影響します。
アルコール度数40%台のバーボンウイスキーと、50%台のバーボンウイスキーとでは明らかに飲みやすさが違います。
その上で、味わいが甘口か辛口か、ボディがライト(軽快)なのかリッチ(重厚)なのか、粘性がサラサラでスッキリしているかクリーミーでまったりしているかなどチャートで分類してみました。
気になったものは市販で買えるのでどんどん飲んでみてください。
以下のタブをクリック!
※ラベルデザイン、名称は変更される場合があります
[su_tabs active=”1″ mobile=”scroll” anchor_in_url=”yes”] [su_tab title=”バナナやバニラ、軽くて飲みやすいバーボン” ]
アルコール度数40%台のバーボンウイスキー
バーボン初心者の方は、まず40%台の飲みやすいバーボンからセレクトしてみてください。
価格も比較的安価なものが多く、購入しやすいです。
アルコール度数40%でボディがライトなものから攻めてゆき、リッチなボディへ徐々に移行するのがコツです。
ジムビーム ホワイト
ジムビーム蒸溜所で製造されている、バーボンを代表するブランドの一つで、現在日本ではサントリーが販売しています。
酒販店だけではなく、スーパーやコンビニなどでも購入できます。
非常にライトで、オーク樽の風味も強くなく、大変スムーズで飲みやすい、ロックでもソーダ割りでも、カクテルの材料にも良いオールラウンドな1本です。
ブレンデッド・スコッチで例えると、デュワーズやバランタインファイネストなどの、スタンダードなブレンデッドスコッチと同じ扱いです。
オススメの飲み方:ハイボール、ジンジャー割、カクテル
I.W.ハーパー ゴールドメダル
ヘブンヒル蒸溜所で製造されているブランドで、名前の由来はユダヤ系ドイツ人の創業者の「アイザック・ウォルフ・バーンハイム」から『I.W.』を、そこにアイルランド移民の雰囲気を纏う名前『ハーパー』をつけることで、アメリカ市場でのブランディングをしたとも言われています(これには諸説あり)。
1885年のニューオリンズ万博にてゴールドメダル(金賞)を受賞したことから、ゴールドメダルという名称をつけ、ラベルにも金メダルが印刷されています。
トウモロコシ比率が86%と高いので、甘く、初心者にも飲みやすい1本。価格も入手し易くリーズナブル。ハイボールや水割りも大変美味しい1本です。
オススメの飲み方:ハイボール、水割り
I.W.ハーパー 12年
ゴールドメダルの上位版のボトルで、香水のようなボトルが大変きれいでボトルのデザインからも女性人気の高いウイスキーです。
ゴールドメダル同様、トウモロコシ比率が86%と高く、熟成感もより強くなっており、甘く飲みやすく濃縮感もあるボトルです。ストレートやロックでじっくり飲みたい一本です。
ちなみに80%以上トウモロコシなのにコーンウイスキーでは無い理由は、内側を焦がした新樽で熟成させていることから、定義上バーボンウイスキーになります。
オススメの飲み方:ロック、ハイボール
フォアローゼズ イエロー
ジョージア州出身のポール・ジョーンズJr.によって作られたフォアローゼズ蒸溜所。現在は日本のキリンビールが所有しています。
名前の由来はジョーンズが恋をした女性にプロポーズしたところ、答えがイエスなら次の舞踏会に薔薇のコサージュをつけていくという返事をし、その女性は4輪の真紅の薔薇を胸に飾って現れたという伝説からつけられています。
その伝説もあってか、非常に女性人気の高いブランドでもあります。
イエローはラインナップの中でもスタンダードな商品で、フローラルな香りと飲みやすい軽快さが特徴です。
オススメの飲み方:ハイボール、水割り
フォアローゼズ ブラック
イエローの上位版で熟成が多少長くなっています。
個人的にはフォアローゼズの中では一番バランスが良く、普段の家飲み用として最適なボトルだと思っています。
イエローに樽熟成から来るビター感が加わり、深みが増した1本。ぜひイエローどちらが好みか飲み比べてみてください。ロックやハイボールがオススメです。
オススメの飲み方:ロック、ハイボール
フォアローゼズ スーパープレミアム(プラチナ)
通称「プラチナ」と呼ばれているこちらのボトル。
ケンタッキー州200周年を記念して作られたブランドで、エレガントなボトルデザインから根強い人気のあるブランドです。
フローラルで華やか、メロウと表現される甘みが特徴。ぜひストレートでゆっくり飲んでいただきたいボトルです。
オススメの飲み方:ストレート、ロック
アーリータイムズ イエロー
こちらも、いわゆるバーボンを代表するスタンダードなウイスキーで、日本でも多く流通しており、コンビニなどでも小瓶で販売されているメジャーなブランドです。
イエロー、ブラックなどのラインナップがありますが、一番スタンダードなイエローは、飲みくちも優しく、入門編として、家飲み用のお酒として大変重宝するウイスキーでもあります。
こちらも、スタンダードなブレンデッド・スコッチと同じような扱いのアイテムです。
オススメの飲み方:ハイボール
メーカーズマーク レッドトップ
赤い封蝋がしてあるのが特徴で、見た目も目立つウイスキー。
メーカーズマークの最大の特徴は、原材料にライ麦の代わりに小麦を使用することにより、ライ麦を使用するほかの蒸溜所のウイスキーよりもフルーティで甘く飲みやすい口当たりに仕上げているのが特徴。
しかしただ飲みやすいだけではなく、熟成感もあり、オレンジというよりは糖度の高いみかんや、メープルナッツのような甘さが特徴。
また、アメリカンウイスキーはアイルランド移民の影響が大きく、ウイスキーの綴が『Whiskey』とアイリッシュウイスキーと同じ表記の物が多い中で、こちらはスコットランド移民に由来することから、『Whsky』と綴るのも特徴。ぜひボトルデザインも見てみてください。
オススメの飲み方:ロック、ハイボール
メーカーズマーク 46
メーカーズマークのスペシャルボトル。
インナースティーブ製法という、樽の中に焦がした樽材(フレンチオークの板)を入れて、より熟成を強めるという製法で作られています。
インナースティーブ製法に由来する、キャラメルやバニラのフレーバーを強め、焼いたプリンのような質感を感じさせる飲みごたえのあるメーカーズマーク。
46という表記は、インナースティーブに使う木材の焦がし具合をオーダーするときに使う番号に由来します。
オススメの飲み方:ストレート、ロック
エヴァンウィリアムス ブラックラベル
ケンタッキーで初めてウイスキーを造った人物に由来する名前を持つこちらのウイスキー。
複数の種類がありますが、ブラックラベルは中でも最も軽快なタイプ。
ミントやバニラを感じさせる爽やかな香り、飲むと仄かな甘みを感じます。
熟成年数の長いものになると、そこに濃厚さやスパイシーさが加わり、飲みごたえが出ます。
エヴァンウィリアムスの長熟は、非常に満足度と完成度の高いバーボンウイスキーで上級者にも人気です。
ぜひ初心者の方は年数が若いものから試していただき、長熟ものと飲み比べていただきたいウイスキーです。
オススメの飲み方:ロック、ハイボール
エライジャ・クレイグ
バーボンウイスキーの祖と言われる、エライジャクレイグ牧師に由来する、由緒正しきウイスキー。
内側を焦がした樽を使用することを考案したというのが通説。
現在年数表記はなくなりスモールバッチという表記になりましたが、以前販売していた12年は熟成感があり、非常に完成度の高いバーボンでした。
やや軽い印象になりましたが、カラメルやはちみつ、ミントやバニラ、トウモロコシを感じさせる王道のバーボン。
オススメの飲み方:ストレート、ロック
ヘブンヒル
上記のエヴァン・ウイリアムスやエライジャクレイグを製造している蒸溜所です。
それだけではなく、ヘブンヒルという名前のウイスキーも造っています。
1996年に火災により蒸溜所と熟成庫が消失するという災難に見舞われつつも、見事に復活。
価格も手頃でオレンジやコーンの味わいの軽めのバーボン。家飲みに最適なオールラウンダーです。
オススメの飲み方:ストレート、ロック
ヘンリー・マッケンナ
ケンタッキーフェアフィールドに移り住んだ18歳のアイルランドの青年:ヘンリーマッケンナが、丹精込めて作った『幻のバーボン』。
当時、品質の低下を防ぐためになるべく手作業にこだわり、一日一樽という生産量の少ない希少性の高いバーボンでした。
現在はヘブンヒル蒸溜所で作られており、ヨーグルトやサワーなどの酸の風味が爽やかさを出しています。ハイボールがオススメ。
オススメの飲み方:ハイボール
バッファロートレース
水牛の群れがケンタッキー川を渡る浅瀬に位置する蒸溜所であることからつけられた名称。
使用されているウイスキーは8年熟成以上の原酒。こちらを30樽以上の樽から厳選して使用しています。
はちみつやバニラと言った表現をよくされますが、私としてはパイナップルやオレンジなどのフルーティさを感じ、クリーミーな風味もあるとても心地のよいウイスキーです。
オススメの飲み方:ストレート、ロック
W.L. ウェラー スペシャルリザーブ
バッファロートレース蒸溜所で作られている、なめらかな味わいが魅力的な一品。
バッファロートレースやブラントンがライ麦比率が多いレシピなのに対し、こちらはよりスムーズな味わいを目指して小麦を多く使用したバーボンウイスキー。
バニラやフレッシュフルーツのような甘く爽やかな風味があり、長めのフィニッシュもあり、満足感の高い1本です。
メーカーズマークなどがお好きな方にはもってこいかと思います。
オススメの飲み方:ロック
オールド・グランダッド
バーボン・ウイスキーのパイオニアのひとりであるベーシル・ヘイデンが1796年に考案。
その後、3代目にあたるレイモンド・B・ヘイデンが、祖父を称えてグラン・ダッド(偉大なるおじいちゃん)と命名しました。
原材料にライ麦の比率が高く、胡椒を思わせるような辛口なフレーバーと、オレンジやナッツ、フルーツなどのフレーバーが共存する、大変おもしろいウイスキーです。
アルコール度数が高いオールドグランダット114という商品もあり、こちらは大変飲みごたえがあり、フルボディで濃厚。
クリーミーさもある食後にピッタリな満足度の高いバーボンです。
オススメの飲み方:ストレート、ロック
オールド・クロウ
スコットランドからアメリカに入植した酒造家のジェームズ・クリストファー・クロウに由来する名前のウイスキー。
彼は医学博士としても知られており、「サワーマッシュ製法」を考案し、バーボンの製法革新に多大なる貢献をした人物です。
麦芽やライ麦の香りが強く、スパイシーで爽やかな風味が特徴のウイスキーで、軽めの風味で人気の高いバーボンです。
マーク・トウェインや松田優作といった著名人に愛されたバーボンとしても有名です。
オススメの飲み方:ハイボール
ウッドフォードリザーブ
バーボンの蒸溜所では唯一3回蒸溜をしている蒸溜所。
“スーパープレミアムスモールバッチバーボン”を名乗り、高級バーボンと位置付けています。
現在運営しているのはジャックダニエルのブラウンフォーマン社ですがその製法は全く異なり、連続式蒸溜機にはない何層にも広がるフレーバーが特徴。
石灰岩のブロックで建てられた特殊な貯蔵庫でゆっくりと熟成を重ねます。
3回蒸溜によるガラスのようななめらかさがウリです。
エレガントで力強く、複雑で香り高くフルーティーな風味、フィニッシュにバニラなど、書いててスコッチのテイスティングコメントに近いイメージがあります。カクテルにも使われます。
オススメの飲み方:ストレート、ロック、カクテル
ジャック・ダニエル ブラック
世界で一番売れているアメリカンウイスキー。こちらはバーボンウイスキーではなく、テネシーウイスキーと呼ばれています。
その定義は、テネシー州で作られており、チャコールメローイング製法という炭濾過を行うことが大きな特徴。
炭濾過前後をテイスティングした方の話によると、炭濾過後はかなり雑味が取れ、スムーズな味わいになるそうです。
見た目の印象とは違い、メープルシロップのような甘みと爽やかな風味、シンプルで飲みやすく、滑らかな口当たりが万人受けするするウイスキー。
また、ジャズやロックのアーティストに愛好家が多く、様々な逸話も残っているのが特徴。
フランク・シナトラが大変好きだったといいます。ジャックダニエルとロックミュージックの記事はこちらから。
オススメの飲み方:ロック、水割り、ハイボール、コーラ割り
ジョージ・ディッケル No.12
ジャックダニエルと同じく、テネシー州で造られているテネシーウイスキー。
アメリカンウイスキーでは珍しい、「Whisky」と表記する(Whiskeyではない)ことから、スコッチと同じくらいスムーズで複雑という自信の現れがあると言われています。
スタンダード品のNo.12は、ライ麦やフルーツ、革などのフレーバーと言われていますが、個人的にはなぜか乳酸菌やヨーグルトの味わいのほうが強く感じた1本。爽やかな風味が特徴です。
オススメの飲み方:ロック、ハイボール
コーヴァル シングルバレル バーボン
コーヴァルは、シカゴにできた新しい蒸溜所で、クラフトディスティラリーと称されます。
特徴はハイブリッドスチルという特殊な蒸溜器で蒸溜されていること、そして有機栽培で作られ、オーガニック認証を受けた原料のみを使用することにより、“コーシャ食品”の規定をクリアしたウイスキーなのです。
コーシャ認証は、ユダヤ教の教義に基づいた安全な食料品にのみ認定される証で、ウイスキーの蒸溜所としてはこのような認証を取れるのは稀です。
このシングルバレルバーボンはかなりドライでピリッと来る風味があります。
甘みもあるのですが、どちらかと言うと爽やかさのほうが前面に出ている気がします。
オススメの飲み方:ストレート、ロック
ミクターズ US1 スモール バッチ バーボン
こちらも新進気鋭のクラフトディスティラリーの一つ。
製法にはかなりこだわりがあります。
通常、バーボンウイスキーは樽の内側を焦がすのですが、ミクターズは、2回に分けて、1回は軽く焦がし、2回目にしっかり焦がすという方法を取ります。
また熟成庫を加熱することで、熟成を早く進める工夫をしていることから、採算度外視でいいものを作るというポリシーでウイスキーを造っているのです。
そのため、クラフトディスティラリーの中でも若干お値段が張る商品です。ですが、十分にその価値を感じさせる優美なバーボンの味わいになっていると思います。
オススメの飲み方:ストレート
ワイルドターキー 13年
ワイルドターキーの長熟モデル。
日本のスタンダード品であるワイルドターキー8年(後述)は50.5度というアルコール度数ですが、こちらは45.5度。
アルコール度数が低くなったことで飲みやすくなり、さらに樽の甘みが加わることでよりマイルドになった8年の上位版です。
非常に余韻が長く熟成度を感じさせます。
8年がキツクて飲めないという方にもおすすめの一品です。終売が決まったようなので今後は希少性が上がります。
樽のバニラやキャラメルの甘み、ジンジャーのような少しピリッと来る飲みごたえなど、口の中で大変心地よい味わいがします。ぜひストレートかロックで。
オススメの飲み方:ストレート、ロック
ブラントン シングルバレル
キャップ部分に乗馬している人物があしらわれた特徴的なボトル。
キャップは全部で8種類あり、すべて集めて順番に並べると馬が走っているように見え、最後のひとつは騎手がガッツポーズをしているという面白い演出です。
しかし最後の1個がなかなか揃わないという、コレクター泣かせのバーボン。
ドライフルーツやラムレーズンの香り、骨太で渋い味わい、そして最後にスパイシーさと若干の渋みが残ります。
アルコール度数は50%以下ながら、その繊細なキレと深みは上級者向けと言われるバーボンです。
オススメの飲み方:ロック
ジムビーム シングルバレル
シングルバレルというのは、樽をブレンドせずにそのひと樽だけの味わいを楽しんでもらいたいという思いから造られたプレミアムなバーボン。
通常バーボンはいろいろな樽をブレンドしますが、こちらは唯一無二の味わい。
二度と出会えないというプレミア感があります。
味わいはリッチでスムーズ、バーボンの王道を行く辺りジムビームだなと思わせる1本。
オススメの飲み方:ストレート、ロック
[su_tab title=”コクと旨味、重めなバーボンウイスキー” ]
アルコール50%台/コクと旨味、重めなバーボンウイスキー
続いてはアルコール度数が50%超える、飲みごたえたっぷりのバーボンウイスキーをご紹介しましょう。
本来、バーボンウイスキーは50度以上のものを指していました。度数の高さから生まれる旨味とコクがバーボンの真骨頂です。
ワイルドターキー 8年
ワイルドターキー蒸溜所は、現在はイタリアのカンパリ社が所有しています。
日本でも古くから人気の高いブランドで、アルコール度が50.5%という他のバーボンに比べて少し強めで飲みごたえがあることから、バーボンを飲みなれている人に人気の高いブランドでもあります。
通常、バーボンウイスキーは160プルーフ(80%)以下で蒸溜するので、80%まで蒸溜して水で薄めたほうが大量生産できるのですが、わざとアルコール度数を60%台後半までしか取らず、水で薄める量を最小限にすることで、ウイスキー独特の濃さを引き出しています。
樽に由来する濃厚なバニラやナッツ、オークのフレーバーと、オレンジのようなフルーツの風味や麦芽っぽい甘さ、ワックスのようなオイリーさが特徴。
ぜひストレートやロックで渋く飲みたいウイスキー。
オススメの飲み方:ストレート、ロック
ワイルドターキー レアブリード
瓶詰め時に一切水を加えないというこだわりのワイルドターキー。
6年熟成、8年熟成、12年熟成の原酒が使われており、樽からそのままグラスに注ぎ込んだような、ワイルドターキー本来の味を知ることができます。
アルコール度数の高さから来るアタックの強さと、それを飲みこんだあとに来る力強いコク、ワイルドターキーらしい甘さ控えめで豊かな風味。
さらにミントやジンジャーのようなスムーズで爽快でクリアな味わいも魅力的なウイスキー。こちらもストレートでぜひ。
オススメの飲み方:ストレート
ファイティングコック
『闘鶏』を意味する言葉通り、ライトでスムーズなバーボンが主流の中、あえて時流に逆らうヘヴィータイプのバーボン。
アルコール度数も51.5%と高め、ストレートで飲んだときの飲みごたえは大変ハードながら、そのハードさを心地よく受け入れられるバーボンでもあります。
私が男性だからというのもあるのかもしれませんが、こういった骨太で荒々しいお酒は好みです。
現代では女性の方でもこういったガツンとくるタイプのお酒を求める方も多く、「スコッチならアイラ系」という女性にぜひ飲んでもらいたい1杯です。シガーにも非常によく合います。
オススメの飲み方:ストレート、ロック
オールドエズラ 7年 バレルストレングス
ヘブンヒル蒸溜所で造られる、アルコール度数58.5%の飲みごたえのあるバーボン。
濃厚で強烈なパンチとコクを持ちつつ芳醇でまろやか、まさに典型的バーボンが味わえるバランスの良いボトル。
規定の量を上まわるトウモロコシを使用し、 低温、低アルコール度数でじっくり蒸溜し口当たりのなめからさを実現しています。
12年、15年など上位ラインナップもありますが終売となりました。
上級者向けではありますが、初心者の方にも飲んでいただき、「こういう世界もあるんだな」と世界観を広げていただきたい1本。
オススメの飲み方:ストレート、ロック
ブッカーズ
ブッカーズは不思議なバーボンです。本来バーボンウイスキーは125プルーフ(62.5%以下)で樽詰めというのが決まりですが、ブッカーズはそれを超えたアルコール度数でリリースされます。
これは、樽熟成の工程で本来天使の分け前と言われるアルコールの気化により度数が低下するのですが、熟成環境の違いによりアルコールより水の気化が進み、アルコール度数がより高まったウイスキーをリリースしてます。
強くて飲みづらいバーボンの集大成。しかし奥底にあるフルーティさと独特なほろ苦さはファンを魅了して止みません。
オススメの飲み方:ストレート
ベイカーズ
ジムビーム社がスモールバッチバーボン(10樽くらいを厳選してブレンドしたもの)としてリリースしたプレミアムバーボン。
貯蔵庫のあえて気温が高く、湿度が低い位置で7年以上熟成させ、熟成速度を速めたアルコール度の高い原酒を使用。
ジムビームと蒸溜方法などの製法は一緒ながら、度数が高めでボトリングされるため、樽の香ばしい風味と、それに伴う甘みやフルーツ感、アタックの強さが感じられる上級者向けのバーボン。
オススメの飲み方:ストレート
ノブクリーク
ケンタッキー州の村の名前が由来で、そこにはエイブラハム・リンカーンの父親の農場があり、大統領が幼少期を過ごした場所として知られています。
ベイカーズ同様、ノブ・クリークもジムビーム社によるスモールバッチバーボン。
原材料にライ麦の比率が高いことにより、ライ麦由来のスパイシーなでナッティな風味、ドライなフィニッシュが特徴。
こってりとした力強さは、アリゲーターチャーと呼ばれるワニの背中のようにボコボコになるまで焼き焦がした新樽を使用することから。
割ると強い苦みが出るのでロックかストレートがおすすめです。
オススメの飲み方:ストレート、ロック
ノアーズミル
ウィレット蒸溜所で造られるシングルカスクのバーボン。
シングルカスクのため、リリースのタイミングにより少しずつ味わいが違いますが、それも味の一つ。
そしてカスクストレングス(樽から出したままのアルコール度数)でリリースされるため、強いアタック感が特徴。ただアルコール度数による飲みづらさはそこまで感じさせず、樽由来の濃厚なカラメルやチョコレートなどの風味が大変心地よいウイスキーです。
ラベルもおしゃれで知る人ぞ知る、バランスの良い複雑な香りを持つウイスキーです。
オススメの飲み方:ストレート
[/voice]E・H・テイラー Jr.
バッファロートレース蒸溜所の前身である、オールドファイヤーカッパー蒸溜所を1878年に買収したエドムンド・ハインズ・テイラー・ジュニアの名前から取られた名称のバーボンウイスキー。
ボトルドインボンド法の時代に則って、50%で瓶詰めされ、ラベルにも「Bottled in Bond」と記載されています。
数量限定の非常に希少なバーボンウイスキー。
スモールバッチ、シングルバレル、バレルプルーフ、ストレートライなどの商品が存在します。
オススメの飲み方:ロック
[su_tab title=”スパイシーなライウイスキー” ]
スパイシーなライウイスキー
原料の51%以上がライ麦でつくられたライウイスキーは、バーボンウイスキーと比較するとかなりドライでスパイシー。
さっぱりと飲めて、バーボン初心者にもおすすめです。カクテルにしてもGood!
ワイルドターキー ライ
ワイルドターキー蒸溜所の造られるライ麦比率51%以上のライウイスキー。
ライウイスキーベースのカクテルに使用されることも多く、ワイルドターキーらしい熟成感から、少し濃厚なカクテルに使われる傾向にあります。
コクも十分感じさせますが、キリッと辛口で、比較的サラリと飲めるウイスキーです。
ストレートやロックで楽しんでもいいのですが、マンハッタンなどのカクテルにしてもいいかと思います。
このライウイスキーを使ったカクテルを家で作るのは少しハードルが高いので、是非BARで楽しみましょう。
オススメの飲み方:ロック、ハイボール、マンハッタン
ジムビーム ライワン
ライ麦比率が51%を超えるジムビームが造るライウイスキーです。
ジムビームのラインナップの中でも高級な”プレミアムライン”に位置します。
1945年頃、つまり二次大戦直後からストレート・ライウイスキーを販売し続けているジムビーム社。
ライウイスキーについては年季が違います。爽やかな風味が多いライウイスキーですが、ライワンは樽熟成が進んでおり濃厚で飲みごたえがあります。
大変リッチでクリーミーな味わい、そしてペパーミントの芳香を放つライに仕上がっています。是非ストレートで飲みたい1本。
かなりレベルの高い商品でしたが、現在では終売し、「ジムビームライ」が発売されています。
オススメの飲み方:ストレート
ジムビーム ライ
上記で紹介したライワンが終売し、ジムビームのライウイスキージャンルのスタンダード品として定着したのがこちら。
ライワンはとてもレベルが高かったですが、やや高額でした。
こちらは安価な割にバランスの良い仕上がりで、ライウイスキー入門にはとてもいいボトルになっています。
通常のジムビームは接着剤やセメダインに例えられるような香り、そしてバニラやナッツの甘みが特徴的ですが、ジムビームライはぺたっとした甘い香りは抑えられ、軽快なフルーティーさがあります。
涼やかなペパーミントの味わい。そして黒コショウのようなスパイシーでドライなアロマが愉しめます。
バーボンが苦手な方でも飲みやすさを感じるボトルです。
オススメの飲み方:万能
ノブクリーク ライ
力強さ溢れる骨太なフレーバーを持つノブクリークのライウイスキー。
通常のノブクリークと同じように、アルコール度数50%(100プルーフ)を誇る深いコクが最大の特徴です。
ライ麦由来のハーバルで、スパイシーな香り立ち。ウエハースやメープルシロップの甘いアロマがあります。
味わいはスムーズであたたかく、焼きたてのクッキーにかけたバニラアイスのよう。
ボディも厚く、ビターでスパイシーなフィニッシュが心地よいボトルです。
ノブ クリークシリーズ共通のフラスクボトルを採用しており、深緑のカラーが渋い印象を醸しています。
濃厚なライウイスキーを楽しんでみたい方はこちらをおすすめします。
オススメの飲み方:ロック、オールドパルやミントジュレップにも
テンプルトン4年 ライ
ライ麦比率95%で造られているウイスキーで、もともとは禁酒法時代にアイオワ州のテンプルトンで密造されていたライウイスキーが起源。
アル・カポネが好きだったと言われており、アルカトラズ刑務所の独房からボトルが見つかっているそうです。
スモールバッチをはじめ、4年熟成、6年熟成などがあります。
オススメの飲み方:ロック、マンハッタン
オールド・オーバーホルト
カクテルベースで使われることが多いライウイスキー。
オールド・オーバーホルトの特徴として、連邦アルコール法規定がライ麦使用比率51%のところを59%使っていることが挙げられます。
爽やかでスパイシー、キリッと切れ上がる風味とそのお手ごろ価格のお値段はまさに万能選手と言えます。
マンハッタン、オールドファッションド、カリフォルニアレモネードなどのカクテルでぜひ。
オススメの飲み方:ハイボール、マンハッタン、カリフォルニアレモネード
[su_tab title=”変わった原料のアメリカンウイスキー” ]
一風変わった原料のアメリカンウイスキー
最後に小麦やトウモロコシといった原料を使ったアメリカンウイスキーを紹介しておきましょう。
やけに甘ったるいものだったり、平面的な風味のものだったり、あまり味わえない不思議なフレーバーのものが多いです。
プラット ヴァレー
プラットヴァレーはコーンウイスキーに属するアメリカン・ウイスキーで、トウモロコシ80%以上を使用しています。
コーンウイスキーは本来樽熟成をしなくてもよいのですが、プラットヴァレーは3年間の樽熟成を行っています。
コーンウイスキーは、「ひたすら軽い」のが特徴で、比較テイスティングをした際にも、「アルコール感とトウモロコシの甘みを感じる水」という風味。
これが癖になる人がいます。ぜひ一度試していただきたい。
ちなみに、プラットヴァレーを飲まれるお客様は、大変お酒が強く、何杯もおかわりされる方が多い印象です。
オススメの飲み方:ロック
ジョージア ムーン コーンウイスキー
こちらもアメリカン・コーンウイスキー。まるでジャムやピクルスでも入っていそうな瓶ですね。
ジョージアムーンとは、もともとムーンシャインという言葉が由来しています。
これは「月明かりのもとウイスキーを密造していた」ということからできた単語で、”密造酒”を意味する言葉。
ボトルは大きな口の注ぎづらいボトル。
さらに熟成は30日以内という短期熟成。スコッチもアイリッシュももともと密造とは深い関係を持っています。
そして、樽熟成の定義がなかった時代には未熟成のウイスキーを飲んでいたという経緯もあるため、ワタシ的にはこういうウイスキーもアリです。
ただ、ネットでいろいろ調べると、「まずい」と直接的に書かれているページが多く・・・ご購入の際にはBARや有料試飲できる酒販店で一度お試しいただくのが無難です。
勉強という意味では非常に意味のあるウイスキーかと思います。
オススメの飲み方:ロック
バーンハイム オリジナル スモールバッチ 7年
BARRELオーツカさんの原料の記事でも紹介されていたバーンハイム、機会があったので飲んでみました。
バーンハイム蒸溜所で造られている、小麦を主原料とするウイスキーで、小麦の比率が51%、とうもろこしが39%、大麦麦芽が10%という比率のため、バーボンではなくホイートウイスキーに分類されます。
通常バーボンはとうもろこし、ライ麦、大麦麦芽の3種が主原料というものが多く、ライ麦を小麦に変えることによりソフトな味わいになります。代表銘柄はメーカーズマーク。
それをさらに、原材料比率を小麦51%以上にするとホイートウイスキーとなり、さらに飲みやすく造られています。
オススメの飲み方:ストレート、ロック
コーヴァル フォーグレーン
コーヴァル蒸溜所で作られる、燕麦、麦芽、ライ麦、小麦から造られる、トウモロコシを使っていないアメリカンウイスキー。
大変意欲的な作品で、アメリカンウイスキーには珍しくトウモロコシを全く使っていないウイスキー。
味わいはドライでスッキリ。
ちなみにコーヴァルのハイブリッドスチルで行う蒸溜の工程は非常に先進的。なんとすべて電子機器(iPadなど)によって制御されており、品質も一定の基準が保たれています。
オススメの飲み方:ストレート、ロック
アメリカンウイスキーをおさらい/種類について
アメリカでは色々な種類のウイスキーが造られています。
アメリカンウイスキーは、連邦アルコール法という法律によって、
「穀物を原料に190プルーフ(95%)以下で蒸溜し、オーク樽で熟成(コーンウイスキーは必要なし)、80プルーフ以上(40%)でボトリングしたもの」
と定義されています。
また、その中にバーボンウイスキーやライウイスキーの定義があります。
バーボンウイスキー
アメリカ・ケンタッキー州のバーボン郡で生まれたウイスキーなので、バーボン(Bourbon)と呼ばれます。フランス語読みでは「ブルボン」。アメリカの独立戦争時代にフランスが支援したことに感謝して、当時のルイ王朝のブルボン家の名前を地名としたのです。
「原料の51%以上がトウモロコシで、160プルーフ(80%)以下で蒸溜し、内側を焦がしたオークの新樽に125プルーフ(62.5%)以下で樽詰めし、熟成させたもの。2年以上熟成させたものがストレートバーボンウイスキー。」
というのがバーボンウイスキーの定義です。
主にケンタッキー州で製造されていますが、ケンタッキー州外で造られたものもバーボンを名乗れます。
また、原材料の51%以上がトウモロコシ、では残りは?というと、主にライ麦、大麦麦芽を使います。ライ麦の代わりに小麦を使う蒸溜所もあります。ライ麦の比率が多いとスパイシーでさっぱりした味わい。
小麦の比率が多いと甘みが出てスムーズな飲み口になります。
ライウイスキー
「原料の51%以上がライ麦で、160プルーフ以下で蒸溜し、内側を焦げたオークの新樽で125プルーフ以下で樽詰めし、熟成させたもの。2年以上熟成させたものがストレートライウイスキー」
ライ麦が主原料のため、バーボンウイスキーと比較するとかなり辛口。
スパイシーでさっぱりとした味わいが多いです。
そのため、カクテルの原材料として使われることが多く、ウイスキーカクテルにはライウイスキー指定のものも多いです。
ホイートウイスキー
「原料の51%以上が小麦・・・(以下上記と同じです)」
日本ではめったにお目にかからないホイートウイスキー。
私もそこまで飲む機会はありませんが、バーンハイムで造られているものが有名です。
BARRELオーツカさんの原料の記事でも小麦を使ったものを紹介しています。貴重なのでぜひ飲んでみてください。
モルトウイスキー
「原料の51%以上が大麦麦芽・・・(以下上記と同じです)」
注意点は、アメリカンウイスキーでモルトウイスキーと表現した場合、スコッチの定義のモルトウイスキーとは全くの別物です。
ただ、私はこちらは見たことはありません。
シングルモルトウイスキー
「原料に100%大麦麦芽を使用し・・・(以下上記と同じです)」
最近アメリカではこのシングルモルトが増えてきているように思います。
比較的スコッチに似た味わいになります。
また、大麦麦芽のため、ピーテッドモルトを使用することもでき、アイラモルトに似た味わいのものも出てきています。
コーンウイスキー
「原料にトウモロコシを80%以上使用し、160プルーフ(80%)以下で蒸溜したもの。ストレートコーンウイスキーは古樽か、内側を焦がしていないオークの新樽に125プルーフ以下で樽詰めし、2年以上熟成させたもの」
コーンウイスキーのみ定義が違います。
まず、熟成させなくてもよい。
熟成させる場合は古樽か内側を焦がしていない新樽を使用することにより、あえて熟成感を強く出さないことで、飲みやすくさっぱりとした味わいを作り出しています。
呼び名の違い(樽の種類/エイジド品/オールド品)
レギュラー品・スモールバッチ・シングルバレルの違い
各社ブランドの中で最もよく販売される”レギュラー商品”のバーボンは、ブランドの顔ですので大量生産されています。
それに対して、作ったロットによって少しずつ味わいやアルコール度数が違う商品には『スモールバッチ』と表記されています。
スモールバッチもそれなりの量造られてはいるのですが、大量生産されているレギュラー商品よりも品質が高く、丁寧に作られているものが多いです。独立資本の蒸溜所や少量生産に徹する蒸溜所にはこのスタイルが当てはまります。
また、『シングルバレル』は、1つの樽という意味で、蒸溜所内で作られた非常に高品質な樽、1樽からリリースされる限定品です。
1樽なので限定200本くらいしか作られず、お値段も高くなりがちですが、蒸溜所が自信を持って市場に出すプレミアムな作品です。
こういった商品を手に取り、飲み比べることでバーボンの奥深さをより楽しめるかと思います。
エイジド(年数表記)品や、オールドボトルの味とは
エイジド品と言われる年数表記のしるしはバーボンの味わいを想像する一つの指標として使えます。
例えば熟成年数が長いものは、樽の風味がより濃くウイスキーに出ているといえます。
バーボンに使われる樽は、アメリカンホワイトオークの新樽で内側を焦がす必要があります。
アメリカンホワイトオークの特徴としては、熟成を重ねるとバニリンやリグニンがウイスキーに染み出し、バニラの香りが強くなります。またそれと同時に樽本来の香りも付き、ウッディで濃厚なフレーバーになります。
一般的にこれらを”樽感が強い”とか、”ボディが厚い”というような表現をします。
つまり熟成年数の長いものはそれだけ味わいが深くなりやすいのです。
この濃厚なフレーバーには甘味があるので飲みやすく感じるのですが、その分渋みやアルコールのアタックも強かったりします(その濃厚なフレーバーを存分に味わってもらいたいという作り手の意図からアルコール度数が高かったりするため)。
なので、ビギナーがいきなり飲むとバーボンに苦手意識を持ってしまう可能性もあります。
長期熟成のエイジドものは価格帯も高価なので、まずは年数表記のないものを飲んで、徐々に熟成年数の高いものを飲むようにするのが良いでしょう。
また、オールドと言われるボトルがあります。
バーボンには、19世紀にボトルドインボンド法という法律があり、アルコール度数50%以上のものを「ボンデッド」と表記していました。
当時、この「ボンデッド」という表記が、バーボンの品質保証だった時代がありました。
ボンデッド表記の味わいこそがバーボン本来の味だ、というこだわりを持って作られたものも多く、オールドボトルにはねっとりと濃厚なフレーバーを持っているものが多数あります。
オールドボトルはオークションなどで手に入りますが、なにぶん高価です。
現在のバーボンでもその時代をイメージして造られている商品がリリースされています。まずはそちらを試してみましょう。
またはアルコール度数50%以上のバーボンを飲んでみるというのもオールドのバーボンの風味を味わう方法の一つとも言えます。
バーボンを飲む人の傾向
バーボンをよく飲む男性のお客様は、固定の同じ銘柄を飲み続けるという方が多いです。
例えば、ワイルドターキーだけをひたすらショットグラスで飲み続けるお客様。
ジャック・ダニエルをひたすらロックで飲むお客様。
映画のワンシーンに登場したバーボンをその雰囲気を模して飲むことや、好きなアーティストが飲んでいる銘柄を飲むというような憧れに近い念があるように思えます。
つまりはアメリカという文化を飲んでいると言ってもいいでしょう。いわゆる上級者に多いイメージです。
私の経験上、女性や若者はいろいろな銘柄を試してみたい、楽しみたいという傾向が強いと思います。
そのため、1杯目と違うバーボンをくださいというオーダーをします。
これは、上記の渋い男性との違いでもあり、現在は多くの種類のバーボンが輸入され、選択の幅が広まったこと、そういう多種のバーボンに触れることができる環境が整いつつあることが大きな理由だと思います。
飲み方はロックやソーダ割りが多いのが傾向です。あまりストレートで飲むという方が少ないのですが、もしいろいろ試してみたいという方はぜひ一度ストレートでも飲んでみてください。
もちろん一概に初心者だからというわけではありませんが、ウイスキーにまだ慣れていない時期は甘めのバーボンをソーダ割りで飲むお客様が多いです。
というより、「甘くて飲みやすいウイスキーのソーダ割り」というオーダーを多くのお客様と模索した結果、バーボンのソーダ割りが気にいるお客様が多いというのが実情です。
スコッチウイスキーはスモーキーフレーバーがあったり、古樽を使うことにより樽の甘みが抑えられている場合があるので、甘いソーダ割りには不向きなものが多いです。
スコッチのハイボールよりもっと甘くというオーダーですね。
シェリー樽熟成の甘いスコッチのハイボールも美味しいのですが、個人的には多少苦味が出てしまう種類もあると思っていますので、甘いソーダ割りはバーボンがオススメです。
飲むシチュエーション
どんなマリアージュが考えられますか?
以下は一例ですが。
バーボンを飲んだ後のタバコの煙というのは一味ちがう味わいがあります。
バーボンの原料であるトウモロコシや樽の甘みが、タバコの煙をスイートでリッチな味わいに変える役割をします。
ここ最近の禁煙の流れからバーボンとタバコという組み合わせもやりづらくなってきていますが、タバコを吸われる方は、飲酒と喫煙の文化を楽しめる今のうちに楽しんでみてください。
よくペアリングやマリアージュという言葉を使うのですが、飲み物と食事をどう合わせるかというのは一つの楽しみでもありテクニックでもあります。
実はバーボンはあまり食事の邪魔をしないお酒で、おつまみ程度の食べものから、パスタやカレー、お肉などのメインディッシュにも合わせられる万能のウイスキーだったりします。
そういう場合は飲み方はロックやハイボールを合わせるお客様が多いのが特徴です。
また、バーボンは屋外での食事にも合います。
バーベキューやキャンプで、火を囲みながら飲むバーボンは格別の味わい。
そういうときに、ワイルドにバーボンをお肉の調味料として使ったりするケースもあります。
前日にバーボンとハーブでお肉を漬け込んでおき、バーベキューに持っていって大胆に焼き上げるというのは贅沢な楽しみ方。
また、それらの宴が終わったあと、キャンプファイヤーで夜空を見ながら屋外でストレートでじっくり飲むバーボン。いいですねぇ。
ジャズやロックといった音楽にバーボンを合わせるというのも格別です。
特にジャズは良いですね。
スタンダードラインのものをじっくり飲みながら、会話をせずに音楽に没頭するのも素敵かと思います。
実は、スコッチウイスキー好きのお客様で、特にお酒に強いお客様、1日で5杯以上、ハーフで10種類とか飲み比べるお客様が、「休憩」と言いながらバーボンを飲んで味わいをリセットされるというケースもあります。
スコッチをよく飲むという方も、ぜひ一度そういうオーダーを試してみてください。新たな発見があるかと思います。
バーボンと銀幕は切っても切れない縁があります。
映画『ハスラー』では、J.T.S.ブラウンをボトルごと注文するシーンがあったり、映画『恋の行方』にはワイルドターキーが登場します。
アル・パチーノ主演の『セント・オブ・ウーマン』にも多くのウイスキーの名称が出てきます。
バーボンはアメリカ映画を中心に登場人物のキャラクターづけをするアイテムとして広く活用されています。
バーボンを煽る渋くてかっこいい俳優に魅了され、飲み始めた人も少なくないはずです。
ちなみに、2012年に公開された『天使の分け前』や、2018に公開された『ウイスキーと2人の花嫁』など、ウイスキーを主題材に扱った映画もあります。
バーボンをどこで飲むか
では上記のようなバーボンをどこで発見し、どこで楽しむか。そんなご提案を書きたいと思います。
酒販店で購入して自宅で飲む
地元の小さな酒屋さんやスーパーだと品揃えがかなり限られて来ますが、大きな酒販店に行くと、多種多様なバーボンを見つけることができます。
自宅に飲み方別に専用グラスを用意して、できれば氷も製氷機ではなくコンビニのロックアイスなどをストックして、ハイボール用の炭酸水を購入して、軽くマドラーでかき混ぜて自作したバーボンロックやバーボンソーダを飲むというのも格別な時間の過ごし方です。
なにせ自宅ですから、好きな映画のDVDを見ながら、好きな音楽を聞きながら、自由な時間を過ごせます。
ただ、量はちゃんと量りましょう。日本では通常1杯は30mlです。
適量を飲んでいるかのバロメーターになる以外にも、水割りやハイボールの濃さにも影響してきます。
そのためにも、少し専門的なツールを揃えようかなと思ったときに、バースプーンよりまず、メジャーカップを買いましょう。
通販ならAmazonをはじめ、ロフトや東急ハンズなど、結構いろいろなところで見つけることができます。
買わなくても、デジタルスケールで30gを量るとかでも代用できます。飲酒量を把握することが大事ということです。
バーで飲む
バーボンを専門的に扱っているバーは、そこまで数は多くないですが、それなりの軒数存在します。
また、バーボン専門と謳っていなくても、ウイスキーの品揃えが豊富なお店にはこだわりのバーボンが置かれているケースも多いです。
色々な種類を試してみたり、飲み方のアドバイスや飲む順番のアドバイスなど、専門家であるバーテンダーのお話を聞きながら飲むと、味わいもより深く感じ取れ、印象深いものになるのではないでしょうか?
バーは大人数で行くとテーブル席になってしまい、バーテンダーと話す機会も減りますので、ぜひ少人数で行き、カウンターでじっくりと飲んでみてください。
ウイスキーフェスティバルなどで飲む
日本は今ウイスキーブーム。
日本の各地でウイスキーフェスティバルのような企画が多数有ります。
そういう場所には、スタンダードなものから新商品まで飲み比べができます。
また、今後輸入業者が輸入しようとしているというバーボンのサンプルなどがポロッと出てきたりして、一足早く飲むことができたり、古い時代のバーボンがスペシャルボトルとして有料試飲できたりなど、珍しいボトルを飲む機会に巡り合える可能性があります。
お祭り感覚で、ウイスキー好きの方々に囲まれながら飲む雰囲気もまた格別です。
ただ、飲みすぎて倒れないようにお気をつけください。
バーボンウイスキーの変化と今後
昨今の世界的なウイスキーブームに乗り、アメリカンウイスキーもここ数年で大きく変化してきています。
一つは評価の高まりです。
2014のインターナショナルスピリッツチャレンジ(ISC)では1位に「ノブクリーク シングルバレルリザーブ」というバーボンウイスキーが選ばれました。
これまではスコッチが優勢だったのですが、ウイスキーブームにより長期熟成ウイスキーの減少や高騰化により入手が困難になり、その中で再度アメリカンウイスキーが注目されてきています。
それに伴い、アメリカンウイスキーも全体的な価格が上がってきています。
飲み比べるなら今がチャンスです。
二つ目は味わいの変化、多様化です。
上記のようなウイスキーブームに対応するため、各蒸溜所も様々な工夫をしてきています。
スコッチやジャパニーズウイスキーは現在原酒不足に対応するため、ノンビンテージと言われる、熟成年数を表記しないウイスキーのリリースが多く見られます。
その動きはここ数年でアメリカンウイスキーにも見られており、例えばワイルドターキー8年は現在日本ではリリースされていますが、アメリカではワイルドターキー101という名称で、年数表記を廃止、8年以下の原酒も使用しています。
また、エライジャクレイグも12年と明記されていたものが、年数表記を廃止し、それに伴いブレンドも変化しています。
ウイスキーの年数表記に関して、たとえば『12年』というのはちょうど12年熟成させたものではなく、『一番若い原酒で12年』ということです。
メインの原酒は12年ものですが、他にも18年や20年などの長期熟成原酒もブレンドされているのです。
ブレンドという言葉はブレンデッドウイスキーを造る際のものと思われがちですが、バーボンやシングルモルトウイスキーでもブレンド作業はあります。
年数表記を廃止するということは、原酒が足りないことももちろん影響していますが、年数に囚われない『若いバーボン』を使用することによって、より味の調整幅を広げるという側面もあります。
また、古いバーボンウイスキーはボトルドインボンド法という法律によりアルコール度50%以上が義務付けられていた時代がありましたが、現在は廃止され、40%以上という決まりになってきています
そのタイミングで味わいも一段薄くなったと言われる事があります。
アルコール度数が落ちたことは時代を反映しているともいえます。
より飲みやすく、より気軽に、初心者でも入りやすいウイスキーに変化してきているといえます。
三つ目はクラフトディスティラリーズの台頭です。
現在、アメリカでは地元でのみ消費されるようなクラフトディスティラリーが多数存在し、ここ数年で300〜400軒増えているとのこと。
もちろんそれらのうち日本に輸入されるような銘柄はかなり少ないのですが、それでも安定供給、世界流通させようとしている蒸溜所が幾つかあります。
チャートでもおすすめしたコーヴァルとミクターズ、さらにはバルコネズやストラナハン、ヒュースピリッツなどです。
このようなウイスキーを知るには、ウイスキーフェスティバルなどに行き、試飲させてもらうのが一番です。
バーボンも飲み比べて選ぶ楽しみが出てきています。
終わりに
僕もここ2カ月で自宅に20本くらいバーボンが増えたのですが、それでも賄いきれずBARで再確認したものもありました。小林さんも相当飲まれましたよね。
最後に何かメッセージを。
バーボンは多種多様な種類があり、そしてスコッチ同様飲み方にとらわれない自由なお酒です。ぜひこれを機会に、バーボンの世界に足を踏み入れて見てください。きっと面白い発見があると思います。
こんにちはBARREL編集部のオーツカです。
今回はバーボンをメインとしたアメリカンウイスキーの味の傾向を比較、学習できる特集を執筆していきます。
とてつもなく気合が入った記事なので、ぜひ永久保存版としてお使いください。
バーボンを知らない方は「はじめに」から順にお読みください。
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