オスロスクの種類と味わい
UD 花と動物 オスロスク10年
UD社、現在のディアジオ社がリリースした花と動物シリーズの10年ものです。
他にもシングルモルトとしてほとんど出回っていないような、聞き馴染みのない蒸溜所のハウススタイルを体験できるスタンダード品です。
ラベルに描かれているのはツバメ。花と動物シリーズでは蒸溜所との関連がある花や動物が描かれており、思わず並べて眺めたくなりますよね。
香りはフルーティさが際立ちリンゴ、マイルドなバターやバニラ、スパイシーさも少し感じられます。
味わいはやわらかく、モルトとはちみつの優しい甘さ、ナッツのようなコクが感じられ、とても贅沢でおすすめです。
オスロスク 25年 スペシャルリリース2016
ディアジオ社が毎年リリースする長期熟成もので、オスロスクからは過去に20年ものと30年ものがリリースされています。
総本数は世界3954本。アメリカンオークカスクとヨーロピアンオークカスクで熟成されており、愛飲家の間でも評価の高い一本です。
28年熟成とは思えないフレッシュさが感じられますが、決して未熟とは感じられない複雑さとバランスがあります。
香りや味わいから美しさを存分に感じられる銘柄です。
ザ・シングルトン オブ オスロスク
1985年から初めてオスロスクがオフィシャルボトルとしてリリースしたもので、「オスロスク」では発音しづらかったとのことから、「ザ・シングルトン」として発売されました。
年数表記があるものや、熟成年数が記載されたもの、あとには「パティキュラー」という副題が追加された青いラベルのものもありますが、基本的には10年ほどの熟成であるといいます。
現在では希少になったオールドボトルですが、スコットランドでは比較的あたらしい部類の蒸溜所であるため、運良くバーなどで巡り会えるかもしれません。
おすすめの飲み方・飲み進め方
J&Bがアメリカで売れまくっていた頃に原酒供給用につくられたオスロスクではありますが、ややJ&Bの人気に陰りが見えた昨今、一部のマニア以外は聞いたこともないウイスキーになっています。
かなりクリアでトーンが高い香り立ちで、フルーティーなのですがツーンとします。味わいもプレーンな麦芽の味わいがしっかり出ており、滑らかで甘くコクがあります。
生ショウガに通じるツーンとしたシャープさが特徴的だと思っていて、ストレートよりはトワイスアップのほうが好みの人が多いような気がしますね。そしてジンジャーエール割りが旨いです。
J&Bもそうですが、こういったクリアでツーンとしたウイスキーはジンジャーエールが合うんだよなぁ。あとトマトジュースも。。。すいません邪道で。
オールドボトルの「シングルトン オブ オスロスク 1976」はまだ飲むことができると思います。こちらはストレートで。オスロスクらしい立ち上がりにシェリー樽由来のリンゴのような甘さがうまく絡み合った銘品です。
ボトラーズからは短熟物のリリースが多く、花と動物を飲んで気に入った場合はガンガン試していける商品です。
20年オーバーのものでもまだ比較的安く手に入ります。
カスクストレングスのものも多いので、加水してフレーバーを因数分解するのも楽しいです。
オスロスクの発祥と歴史
どこで作られているのか?
スコットランド スペイ川に流れ込むマルベン川のそば、ロセスとダフタウンの間にあるオスロスク蒸溜所。
広大な土地の中にあるこの蒸溜所は、約31万坪ほどの広さがあり、東京ドーム20個分にも相当します。
近くに建物などもないようなこの場所に蒸溜所を建設した理由は、「ドリーの泉」と呼ばれる良質な水源を発見したことからでした。
その水をもとにブレンデッド用の原酒を作ることだけが目的とされ、1974年から現在まで稼働しています。
オスロスクはもともと地名であり、ゲール語で「赤い小川の浅瀬」という意味です。
ちなみに、同じくスコットランド ルイス島の蒸溜所、アビンジャラクもゲール語で「赤い川」となり、日本語訳からではまるで気づかない、意外な共通点があったりします。
アビンジャラクでは「税金の取り立てに怒った島人が、取り立て人を殺して川に捨てた。」そこから「赤 = 血」で「赤い川」になった由来がありますが、オスロスクについては詳しく語られていません。
ただ、日本語訳の「小川」については、おそらく近くにあるマルベン川でないかと言われていますが、、、なぜ赤いのか、、、。
また、「オスロスク」という発音の仕方もひとつに定まっておらず、蒸留所ではたらく関係者たちは、日本語訳に近い形で「オスロスク」と言うように指導されているのに対し、地元の人々は「オホロイスク」のように発音するそうで、もし現地の方と話すことがあったりしたら、まったく聞き取れないかもしれません。
なんにせよオスロスクという蒸溜所はその名称の発音がとても複雑なのです。
そのこともあってか、初めてリリースされたシングルモルトは「ザ・シングルトン」というタイトルでした。もうオスロスク諦めとるやん。
現在リリースされているシングルトンにオスロスクは使われていませんが、発音の難しさなどから、シングルトンという新しいブランドが確立した歴史はちょっとおもしろい話です。
歴史
オスロスク蒸溜所が設立されたのは1974年。
良質な軟水の水源である「ドリーの泉」発見を決め手に、創業者であるIDV社(インターナショナル・ディスティラーズ・ヴィントナーズ社)はこの場所を選び、220エーカー(約31万坪)もの広大な土地を購入しました。
IDV社の前身のひとつはジャスティリーニ&ブルック社。ブレンデッドウイスキーの「J&B」を生み出した会社で知られています。
オスロスク蒸溜所は当時の理想を追求した最新鋭の設備で、とにかく「J&Bのための原酒を製造すること」が求められていました。
ですがオスロスクはモルトファンに評判がよく、その声に応えるようにして、1986年に早くもシングルモルト「ザ・シングルトン」として世に出回ります。
1992年にはインターナショナルワイン&スピリットコンペティションで金メダルを獲得し、高い評価を得るなどして、徐々に名声を高めていきました。
1997年、当時の所有者であったグランドメトロポリタンとギネスの合併後、蒸溜所はディアジオ社傘下になりますが、所有者が変わったことや、メイン市場だった日本でのウイスキー国内消費量の減少を受け、2000年頃に終売となります。
2001年になるとシングルトンという名称は別のシリーズに使われることになり、オスロスクのシングルモルトは「花と動物シリーズ」の10年物に置き換えられました。
現在はグレンオード、グレンデュラン、ダフタウンのシングルモルトがそれぞれ日本、アメリカ、ヨーロッパの市場に向けて輸出されています。
2003年にはレアモルトコレクションとして、蒸溜所が設立した1974年蒸留の28年ものがリリースされるなどして、知る人ぞ知る、実力のある蒸溜所として現在も稼働し続けています。
オスロスクの製造方法
現在オスロスク蒸溜所のアルコールの生産能力は年間590万リットル。これは30箇所ほどあるディアジオ社傘下モルト蒸留所の中ではトップ10に入る規模になります。
ちなみにディアジオ内1位はローズアイル蒸溜所で年間1250万リットル、スコッチモルト蒸溜所全体ではグレンリベットが2100万リットルほどの規模です。
オスロスク蒸溜所が特徴的なのはゴードンジンのバックアップ蒸留所になっているということ。 ゴードンジンを造るキャメロンブリッジ蒸留所になにか有事があれば、オスロスクで造れるよう事前に準備されているのだといいます。
仕込み水はドリーの泉から湧き出た水で、花崗岩と砂岩の間から湧き出た極めて良質な軟水です。この水の発見が、オスロスク蒸溜所建設の最たる理由になりました。この水を使った試験的な蒸留は、オスロスク同様、当時J&B傘下だったグレンスペイ蒸溜所で何度もテストされました。
独自の製麦施設をもっていないため、原料である大麦はディアジオのモルティング施設から輸送されます。使用されるのはノンピート麦芽。
発酵時間は75〜80時間。ステンレス製の発酵槽8基が使われています。
蒸留では初留器と再留器が4ペアの計8基、ひとつ蒸留器あたりの容量はそれぞれ24,000リットルと16,500リットルです。
形はくびれのあるランタンヘッド型でラインアームはやや上向きです。これによってフルーティなスピリッツができあがります。
熟成にはアメリカンオークとヨーロピアンオークの樽を使いわけます。
落ち着いていてフレッシュな原酒を造りたいときはアメリカンオーク、スパイシーさがほしいときはヨーロピアンオークのように、原酒にはバリエーションを持たせています。
蒸留所を取り巻く広大な土地はディアジオの主要な貯蔵庫の1つ。熟成環境として理想的な場所であり、巨大な熟成庫にはなんと約27万樽の貯蔵スペースがあります。
オスロスクの原酒だけではなく、近隣のディアジオ傘下蒸溜所の原酒もここで熟成されており、瓶詰めされる日までの時を刻んでいます。
ディアジオスペシャルリリースでも最近あまり見かけないなぁと思っていたのですが、2021プリマ&ウルティマコレクションに1974が入ってましたね。
ざっくり覚える!
スコットランドのスペイサイドでつくられるフルーティーなシングルモルト。
オスロスク蒸溜所はブレンデッドウイスキー「J&B」の原酒供給のためにつくられた比較的新しい蒸溜所で、1986年に初めてシングルモルトウイスキーをリリースしました。
シングルトンのところでも書きましたが、ちょいとややこしい売られ方をしたので、イマイチメジャーになれないブランドです。
「これぞ、スペイサイド」といったフレーバーをもっています。
エステリーでトーンの高い味わい。かなり玄人向けのスコッチといった印象。