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ANGEL’S ENVY(エンジェルズエンヴィ)をいただいたのでレビュー/香り味わい飲み方

ANGEL’S ENVY(エンジェルズエンヴィ)をいただいたのでレビュー/香り味わい飲み方

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先日ひとくちウイスキー店長の滝さんと、

「近年、スコッチやジャパニーズ以外にもウイスキーの種類が増えてきて、興味深い商品が増えてきたよね。」

「カスクフィニッシュは本当に多様になりましたね。何か気になる商品あります?」

と話していたところ、こちらの「ANGEL’S ENVY(エンジェルズエンヴィ)」がその一本に挙がっていました。

ネット上で並行品は見かけていたので、どこかで飲みたいなぁと思っていた矢先、ご縁がありまして、メーカー担当者さんからいただけました。

いわゆる「正規品」が12月から発売されるらしく、良いタイミングだったようです。

オーツカ
せっかくなので、ちゃんとレビューしていきます。

ANGEL’S ENVY(エンジェルズエンヴィ)とは

レジェンド、リンカーン・ヘンダーソン最後の一滴

まずはエンジェルズエンヴィを簡単に紹介しておきましょう。

「ANGEL’S ENVY(エンジェルズエンヴィ)」は米ケンタッキー州ルイヴィル、ルイヴィル・ディスティリングでつくられるプレミアムウイスキー。

この蒸溜所はブラウンフォーマン社でマスターディスティラーとして、ウッドフォードリザーブ、 ジェントルマンジャック、ジャックダニエルシングルバレルを作ってきた、今は亡きリンカーン・ヘンダーソン氏が、息子のウェス氏と共に始めた蒸溜所なのです。

上記の3銘柄を見て、「なるほど、類似点あるね」と思ったあなたはかなりのウイスキー通。
リンカーン・ヘンダーソン氏の作品に共通する特徴は、非常に口当たりがよく、なめらかであること。

エンジェルズエンヴィもご多分に漏れずとてもシルキーな口当たりで、テクスチャがしっとりとしており、柔らかに喉の奥まで滑り落ちていきます。

バーボンは通常味わいが強く、濃く、荒々しい印象があるのですが、エンジェルズエンヴィの絹のような舌触りは、スコッチウイスキーやジャパニーズウイスキー愛好家にも好まれそうな味わいです。

バレルフィニッシュの先駆者

業界40年のキャリアを誇るリンカーン・ヘンダーソン氏の最後の願い。
それは、長年にわたり、アイデアを温めていたポートワイン樽フィニッシュのウイスキーをリリースすること、でした。

ヘンダーソン氏はバーボンが持っている味わいはポートワイン樽が非常に相性がよいと考えていました。一般的に「フィニッシュ」と呼ばれる概念は、バーボン業界にとって比較的新しいもので、当時、アメリカでポートワイン樽をフィニッシュに使うことは珍しかったのです。

ヘンダーソン親子は原酒をアメリカンオーク樽で4年から6年ほど熟成させた後、ポルトガル産のルビー・ポートワイン樽にて約半年ほど2度目の熟成を行いました。

そして誕生したのが、エンジェルズエンヴィです。

エンジェルズエンヴィは発売直後から好評を博します。
まずワイン・エンスージアスト誌で98点を獲得。そして全米のプレミアムバーボン*内でNo1シェアに上り詰めます(*IWSR 2022 US, Ultra premium 以上 金額ベース)。

その後も「品質の頂点」と評価されたエンジェルズエンヴィは、2023年にもサンフランシスコ ワールドスピリッツコンペティションにて金賞を受賞しています。

昨今は様々な樽(最近ではアルマニャック樽とかコニャック樽)でフィニッシュしたバーボンが出てきていますが、エンジェルズエンヴィはバレルフィニッシュバーボンの道を切り開いたパイオニアと言っていいでしょう。

オーツカ

リンカーン・ヘンダーソン氏にはある程度、「熟成の見通し」が立っていたように思います。
ブラウンフォーマン社でリリースした作品を見ていると、カスクフィニッシュを試してみたくなるような商品ばかりですからね。

それにしてもお見事です。

エンジェルズエンヴィをテイスティング

穀物比率はコーン72%、ライ麦18%、10%モルト。

アルコール度数は86.6 Proof (43.3度)

樽はポルトガルのDouro地区にて厳選された59.4ガロンのルビーポートワイン樽を使用。

オーツカ

ストレートとロックを試します。

ストレートグラスはKYKEYのAROMA GLASS BASICとSTILLの2つで飲んでいきたいと思います。

カラーはかなりカッパー。赤みを帯びており熱帯のラトソルのよう。

AROMA GLASS BASICでのテイスティングノート

香り

口径が広いBASICでは油分のある甘やかさが際立つ。一発で感じるイチゴジャム、バニラ、スライスアーモンド。存在感はあるけれど、ツンとこない明るく柔らかいアロマが好印象。トロッと煮詰めた果汁、そしてみずみずしい赤い果実。

味わい

香りに反して口当たりはかなりシルキー。
パッと浮かぶのはジャック・ダニエル。ガラスのようななめらかさがある。
味わいは赤く熟したリンゴ、メープルシロップ、バタークリームを塗ったライ麦パン。

フィニッシュ・余韻

フィニッシュはミディアムロング。オークとうっすらとレザー。甘やかな余韻の中に赤ワインの風味がある。

バーボン特有の鉛筆の芯、木のニスのような香りは控えめで、かなりフルーティなウイスキーです。口径が広いグラスではそれが顕著に感じられます。

AROMA GLASS STILLでのテイスティングノート

香り

口径がすぼまっているグラスでは、ポートパイプのフィニッシュのエッセンスをより顕著に感じる。
酸味を強く拾い、マラスキーノチェリーに赤ブドウ、アーモンドの皮のフレーバーが広がる。

味わい

葉巻と合わせても良さそうなタンニンで、嚙みながら味わうとローストしたブラウンシュガーやカカオ、オレンジピールを感じられる。

フィニッシュ・余韻

香りで感じていたイチゴジャムのような粘性のあるフィニッシュ。
長さと深さが増し、度数の割にホットなイメージになる。

より強くポートパイプのフィニッシュの特徴を捉えたい方は、口径の狭いグラスでどうぞ。

ロックグラスでのテイスティングノート

香り

香りは概ねストレート時と同じだが、氷が入る分弱くなる。甘いトウモロコシ、メープルとバニラ。赤い果実のヒント。

味わい

氷に冷やされ、絹のような口当たりがよりなめらかに。
ハチミツのニュアンスと、西洋梨(バートレット)のような甘みと酸味。

フィニッシュ・余韻

甘くクリーンでキャンディのようなフィニッシュ。ブルーベリーとビターチョコレートの余韻。

ロックだとやや渋みが強調されそうなイメージがありますが気になりません。口当たりがよく上品なのでスイスイ飲めてしまう。

テイスティングまとめ

正統派なプロファイルの中に、バレルフィニッシュで付与されたポートワイン樽の複層的な味わいがわかりやすいボトルです。奥行きがありリッチです。

バーボン党じゃなくても、間違いなく旨いと言えるウイスキーでしょう。

ハイボールでは肉料理にも合わせやすそう。鴨とか良さそうだな。

ひとつ疑問があるとすれば、なぜアルコール度数を45%や50%にしなかったのかなぁ?ということ。
コンテンツ量のあるボトルなので、もっとハイプルーフで展開力を楽しんでみたかった。現時点では43.3%がベストということなんでしょう。

アルコール度数の低さを補うには、45ml以上注ぐか、ボウルサイズが高く、口径が狭いグラスを試してみてください。

週末に顔を合わせる紳士な天使

エンジェルズエンヴィのボトルはわずかに卵形をした平たいフォルムで、高級感があります。

「天使がねたむほどうまいウイスキー」の名が示す通り、背面に翼のようなエッチングが施されており、ボトルラックではひときわ目立つ風貌です。

日々の晩酌というイメージからは遠く、週末頑張った自分へのご褒美に飲みたいプレミアムウイスキーといった位置づけです。

納得感のある味わいと特徴的なボトルは、男友達へのプレゼントにも良さそう。

オーツカ
おいしい体験をさせてもらえて光栄でした。開栓したてなので、天使との旅は始まったばかり。一本抱えてじっくり変化を楽しみたいと思います。

みなさんもどこかで見かけたら飲んでみてね。

 

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