ウイスキーオークションに関する記事に引き続きまして、今度は”ウイスキー投資”の現状についてインタビューしてまいりました。
今回もスコットランドのウイスキー投資専門会社「Rare Whisky 101」のアンディ・シンプソン(Andy Simpson)さんにお話を聞いてみたいと思います。
近年、投資対象としての”ウイスキー”への関心は着実に高まっており、アジアのコレクターもその一端を担っています。
2016年、希少性の高いウイスキーは他の投資対象(たとえばワインや金など)に勝る運用実績を上げ、記録的な年となりました。
ウイスキーは量と価格の両面で継続的な成長・拡大を続けており、セカンダリーマーケット(転売マーケット)での流動性を高めています。
投資家の中でもウイスキーは“情熱的な投資対象”となっていますね。
さらに、ウイスキー・オークション市場(特にオンライン市場)がダイナミックに進化していることで、ウイスキーはこれまで以上に簡単に取引できるようになりました。
希少ウイスキーの量には限りがあるため、今後も今までのような水準でマーケットが拡大するとは思えませんが、さらなる成長の余地はあると考えます。
ウイスキーマーケットに参入する投資家が増え、需要が高まっていることからも、今後価格がどのように推移するのか楽しみです。
ウイスキーオークションを見る限り、シングルモルトは価格が高騰しているので理解できるのですが、数量はグレーンやブレンデッドのほうが圧倒的に多いですよね。その辺りはどうでしょう?
というのも、短期的なハイリターンを狙い、樽の購入を勧めたがる企業が存在するからです。
当社はこのような投資スキームをクライアントには薦めません。
クライアントに対しては、当社が持てるウイスキーに対する情報を提供、アドバイスを行い、希少なボトルを見つけて、調達。査定して、セラー(売主)とバイヤー(買い主)の間で折り合いのつく価格を決定するお手伝いなどをしています。また、物流の手配をすることもあります。当社のクライアントの多くは、年間で10%から15%の資産価値の上昇を経験しています。
あと、ウイスキー投資をやるのであれば、”リスク”も知っておきたいです。
当社は27,500種類のウイスキーボトルを登録し、225,000もの価格履歴を記録する世界有数のデータベースを有しています。なので、最新の包括的なデータから合理的な購買戦略を立てることができるのです。
最も大きなリスクは、将来価値を失う可能性がある”誤った蒸溜所”の”誤ったボトル”を購入することです。
優れた投資家は、マーケットの監視やリサーチを行い、Rare Whisky 101のような専門家に相談し、いつどこでどの資産を売り、清算するかについての分析を欠かしません。
希少性の高いボトルの多くは、需要の盛衰とともに価格が激しく変動します。
しかし、将来価値が上がるであろう”正しい蒸溜所”の”正しいボトル”を特定することで投資のリスクは軽減できるでしょう。
その重要な情報の収集方法というか、ウイスキー投資を勉強するコツとかはありますか?
やはり、たくさんのウイスキーに触れることでしょうか?
■Buy from iconic distilleries
【象徴的・代表的な蒸溜所から購入する】
マッカランやボウモア、ダルモア、グレンフィディック、ラガヴーリン、ラフロイグといった代表的な蒸溜所のボトルは価値が下がることは少ないと思います。ブローラやポートエレン、特に日本の軽井沢など、稼働が休止された閉鎖蒸溜所のウイスキーも忘れてはいけません。これらのウイスキーは今後製造されることはなく、ある時点で必ず在庫が尽きてしまいます。コレクターや愛好家、投資家がどんなに望んでも、他のコレクターからオークションで購入する以外に方法はなくなるので需要が高いのです。
■Go for limited releases
【限定販売のウイスキーを探す】
限定品として製造されたボトルは、一般的に製造数が少なければ少ないほど、投資価値が高まります。
2010年に販売されたバルヴェニータン1401を例にとってみましょう。このウイスキーは、わずか9バッチしか流通していません。蒸溜所でのみ150ポンドで販売されていたバッチ1のボトルについては現在、公開市場で1,600ポンドから1,800ポンドの価格帯で販売されています。このような極めて限定的に販売されたウイスキーの需要は今後も供給を上回るでしょう。
※バッチとは出荷グループのこと。第一回の出荷分をバッチ1、品切れしたら次のバッチを製造する流れです。
■Try before you buy
【購入前に試飲する】
多くの蒸溜所ではボトルを購入する前に試飲をさせてくれるので、必ず試飲することを薦めます。
ウイスキーは、何よりもまず飲むためのものです。投資対象として購入するウイスキーがどのようなものであれ、素晴らしい味わいのものを選ぶようにしましょう。今日投資したウイスキーは、未来の誰かが飲むために存在します。ウイスキーそのものの味わいが素晴らしくなければ、マーケットに出しても、飲み手が買うことはありません。自らマーケットを狭めることのないようにしましょう。
■Don’t cross asset classes
【アセットクラス(資産クラス)を超えない】
イギリスのエリザベス2世女王陛下即位60周年の祝賀会を開催した時、シーバスは150,000ポンドで小売販売された超限定版の「トリビュート ・トゥ・オナー」を発表しました。
大見栄を張って購入することもできますが、間違いなく投資対象とはなりません。宝石で飾られたボトルに入れられたこのウイスキーは2つのアセットクラス(資産クラス)を超えています。目を見張るようなブレンデッド・ウイスキーではあることは間違いありませんが、一度飲み干してしまえば、あとは高価なボトルが残るだけです。そのボトルはどのように使えば良いのでしょう?コレクターは一度、封が空いたボトルには関心を示しません。またシーバスが詰め替えをしてくれるとも思いません。
■Stay in the game
【直ぐに売却しない 】
ウイスキーは中期的な投資対象です。私は常々、10年から15年もののウイスキーを購入するように薦めています。
短期的な投資も可能ですが、中期的な投資対象としてウイスキーを見ることをお薦めします。
■Take care
【保存方法に気を配る】
ウイスキーはワインよりも保存がしやすいお酒ですが、投資対象とするなら、保存方法にも気を配るべきです。ボトルをまっすぐに立てて保存するようにしましょう。横に寝かせて保存すると、ボトル内のアルコールがコルク栓を侵食し、ウイスキーの味わいを損なう原因となります。また、直射日光の当たらないところに保管しましょう。どうしても必要な時以外は、動かさないようにし、ホームパーティーの際にはどこか見られない場所に隠しましょう(笑)
ウイスキーはガラスのように脆い側面もあります。しかし、しっかりと封をすれば、そのウイスキーボトルは私たちよりも長生きできるのです。
今回アンディさんのお話で印象的だったのは、「ウイスキーは何よりもまず飲むものだ」とおっしゃっていた点です。
仕事として投資会社を運営しており、商品としてウイスキーを扱っているけれど、ウイスキー愛を忘れないところが素敵だなぁと思いました。
ウイスキー投資を始める際には是非Rare Whisky 101のチャートを参考にしてみてくださいね。
日本からでもオンラインでウイスキー投資ができるのはこちら、「ウイスキーインベストダイレクト」。内容はGoogle翻訳で簡単に理解できるので、ウイスキー投資をやってみたい人は是非。
まずは現在の『ウイスキー投資』を取り巻く環境について簡単に教えてください。