ついにお酒は飲む時代から吸う時代に…!
気体にしたお酒をシガーのように吸う体験ができるその名もAIRCPHOLIC(エアクフォリック)を購入したのでレビューしていきたいと思います。
AIRCPHOLIC(エアクフォリック)とは?
台湾の台北市にあるNatureGift Technology Inc.というベンチャー企業が発表した商品で、台湾では予約売上4400万円を突破した人気グッズ。
このたび日本でもクラウドファンディングされるとのことで、早速僕も支援してみました。
お酒をシガーのように吸う体験ができるという、その名もAIRCPHOLIC(エアクフォリック)。
キャンドルで蒸溜酒を加熱し、気化させることにより、その蒸気を楽しむお酒グッズで、アルコール度数35度以上の蒸溜酒であれば使う事ができます。
人体…というか、肺に直接アルコールを入れるって危険な気もするのですが、気化酒というのは一体どんなものなのか?
こちらの解説動画を見るとわかりやすいです。
プレスリリースを読む限りでは「官能検査指数」に基づいて科学的な手法で開発された製品と書いてあります。
簡単にいうと、プロトタイプの段階から官能検査(Sensory Evalution)で温度や気体の密度などいろんな条件を組み合わせる研究しているよ~ということです。
そりゃまぁ体の中に直接蒸気を入れるわけなので、こと安全性については過剰なほど気を使わなければなりません。
きっと色々な側面から検証はしているのでしょうね。
使い方
使い方は以下。すごい簡単でちょっと怖いくらいです。
- キャンドルに火をともし、AIRCPHOLIC加熱カップに水平に入れます。
- 酒気安定のための手吹きガラス球の穴に漏斗を差し込みます。
- お好みのスピリッツを漏斗から注ぎます。量は容器の10分の1ほどに。
- 酒気安定のための手吹きガラスボールを、手吹きガラス製加熱カップの上に置いてください。
- 約40秒お待ちください。酒気安定のための手吹きガラスボールの上の方がくもりだしたらお楽しみください!
オールハンドメイドというガラスの球体はかなり薄く、手が滑らないようゆっくり取り出します。
中に液体が入った状態では平らな机には置けません。コロコロ転がってしまいます。
実食!いや…実吸…?
ザ・マッカランを吸ってみる
最初に試すのは。。。。
だだん!マッカランです!
シェリー樽のフレーバーが個性的なので、きっとわかりやすいに違いない!
まずは…40秒待って、おお、気体になってきた…。では、ひと吸い…。
コホコホ…勢いよく吸うとちょっとむせますね。
む!
むむ!
「…」
「…」
「…マッカランだ」
「…こいつあぁぁマッカランだーー!」
わかる、わかるぞ!
アルコールアタックがなくなったマッカランだ。
ちゃんとマッカランがそこにいる…。
3分くらい熱してから吸ってみると
「すごくマッカランだ!」
なんだ、想定したより全然うまいじゃん。
しかしどこか【厚み】のようなものがない。。。
そう、骨組みが弱いのだ。ボディが軽い。というかボディを感じない。
マッカランを形成している成分の中のアルコール分が先に沸騰し、その後に水分が沸騰、蒸発していきます。(アルコールのほうが沸点は低い)
それが混ざり合ってガラスのボールの中でクルクルと漂っているような状態です。つまり分離させてしまっているわけですね。
アードベッグを吸ってみる
お次はアードベッグいってみましょう!
スス―ッ…ススイラスイ。
これは…!!!
お焚き上げの味がする…
神社の「お焚き上げ」の、なんだかとってもありがたい味がするうぅぅぅぅぅ!!!!!
でもやっぱりアードベッグですね。この磯の香り、燻煙香、、、。
あまりにも試したかったので、サーモンの刺身を買ってきました。
サーモンをッッ!
口に入れてからッッッッ!
吸うッッッッッッ!
「はい、スモークサーモン」
まさにお口の中のミクソロジースタイル。口腔内燻製器の気分を味わえます。
ちなみにこのAIRCPHOLIC(エアクフォリック)を使った気化酒の場合、一般的な飲酒時の代謝と異なり、最後の1口から30分後にはアルコール測定値は0に戻り、車の運転も可能だそうです。マジか!
おすすめの蒸溜酒
というわけで、若いウイスキーからラムやジンなどを吸引しまくりました。
ウイスキーに至っては5年くらいのものから50年以上の長熟ものまで試してみました。ブランデーもカルヴァドスですが48年熟成のものを。
どれも吸引した瞬間に、「おお!これは●●●●やん!」と銘柄を言えるほどハッキリと味がわかります。
テイスティング可能なレベル。むしろ飲むよりわかりやすい。
結論を言うと【その個性のみを気体にして吸えます】。
ピートの強い、アードベッグやラフロイグ、オクトモアなんかはかなり『面白い』ですね。繊細なものはちょっと味をとるのが難しいかもしれません。
『美味しい』でなく『面白い』と表現したのは個性のみを抽出した味がするから。
なんとなく、物足りないんですよね。満足度はやはり飲み込んだほうが上です。
例えるならラーメンのスープだけを吸い続けているようなイメージです。
麺が見えてるのに!チャーシューがそこにあるのに!ネギが!メンマが!…となります。
しかし過度に酔っぱらいたくない!どうしてもカロリーを摂りたくない!という人には良いと思います。
吸引するだけであれば恐らくカロリーも極小、臓器へのダメージも少量だと思います。(どの臓器にダメージがいくかは定かではないですが)
一番おいしかったのはジン
ちなみに他の蒸溜酒も幾つか吸引してみましたが、京都蒸溜所が誇るジャパニーズクラフトジン「季の美」、これがウマい。
完全にデザートです。
ジュニパベリーよりも、シトラス系(ゆずやレモン)が顕著に強調されます。爽やかでクセになる風味です。何度も何度も吸いたくなる。ううーん面白い。
今回のレビューはパティシエや洋食料理の専門家と一緒に自宅で行ったのですが、この季の美の煙は、チーズケーキやレモンシャーベットと合わせたら最高に美味しいと盛り上がりました。
エアクフォリックの危険性は?
気化アルコールの吸引は身体に害はないのか
実は2014年にエアクフォリックに似た商品が既に発表されていて、かなり批判を呼びました。
それが「Vaportini」という商品で仕組みはほとんど変わりません。これに対しエジンバラの精神科医ジョナサン・チック氏は
「アルコールが肝臓で十分に分解されないため、飲用による摂取よりも脳に与えるダメージが大きくなる」とし、「精神の不安定や異常行動につながる恐れがある」ことを指摘しました。また、通常は嘔吐によってアルコールの過剰摂取を制限する役割を持つ胃の機能も働かない恐れがあり、そのことも問題だと言っています。
個人的な感想としては、ゆっくりと時間をかけて吸引して、「嗜む」程度にしておく分にはさほど問題はなさそうと感じました。
ただお酒を吸うという行為をしているので、喘息をお持ちの方や気管の弱い方の吸いすぎはNGです。気を付けましょう。
引火の危険性はどうか
エアクフォリックは無鉛低膨張ホウケイ酸耐熱ガラスを使用しているので、瞬間許容温度差は±200℃あり、温度差による破裂の危険性は低いでしょう。
ただ、BARなどに設置して、複数台使う場合は気を付けたほうがいいかなと思いました。
万が一、酔っぱらったお客さんがエアクフォリック本体を倒して割ってしまう可能性があります。
そうなると蒸溜酒を利用しているので引火する可能性も高いでしょう。
必ずひとつのエアクフォリックにつき、一人の監視者がいるべきかと思います。複数人で楽しむ場合も。順番にゆっくり利用すると良いと思います。
ちなみに、エアクフォリックを手軽に味わいたいといって加湿器やアロマディフューザーにお酒を入れて吸引する人がいるかもしれませんが、それは絶対にやめましょう。
加湿器が壊れるだけでなく、非常に危険(ブラックアウト、もしくは爆発する可能性もある)なので決してお手軽に試そうとしないように。
気化酒の今後の可能性は
今回気化酒を試してみて、AIRCPHOLIC(エアクフォリック)には可能性を感じました。
気化酒は現在流行の兆しを見せているミクソロジーカクテルに通じるものがあり、既成概念を破壊するインパクトを秘めていると思います。
吸引した際の刺激が直接アルコールを飲むよりも弱いのでお酒が苦手な人も楽しめますし、見栄えも良い。非常にカメラ映えするフォルムです。
蒸溜酒はどうしてもその「アルコール度数の強さ」で嫌煙されたがちでしたが、アロマテラピーのような感覚で向き合えるのというのは酒類業界の新販路として可能性を感じさせます。
開発元のNatureGift Technology Inc.は食品テックを中心として技術開発している台湾のベンチャー企業。
まだ社歴は若いとはいえ、アルコールのブレンド技術、アメリカ・オーストラリア・カナダ産の小麦品種を使用した小麦粉の配合の確立、人工肉の製造技術などを行っています。
今後、安全性の担保もしっかりと対策してくるかと思います。
シーシャや電子タバコなどと同様に賛否はあるでしょうが、期待したいと思います。
オフ会とかやる際には持っていこうかな。みんなで吸うの楽しそう。
以下は体験パーティーの様子と、海外レビュアーの動画です。
第二弾クラウドファンディング終了!そして販売へ!
2018年春にMotionGalleryにて1,450万円以上の資金を調達し、その後572人の支援者に向けて全数無事に出荷したエアクフォリックが、2019年に第二弾のクラウドファンディングを行いました。
第二弾では、イベントやバーに向けて12セット入りのリターンを用意。こちらもすでに300万円以上の資金を調達し完了しております。
そして現在、待望のAmazonでの取り扱いを開始しました。
担当者にお話を伺うと、イベントやバーで使いたいという依頼がかなりあったようですね。
エンターテインメント性が高い商品なので、Barや飲食店の集客や売り上げアップにつながるかもしれません。
ただ大勢で使用する際は引火の危険を考慮し、フタや濡れタオルを準備しておくとよいでしょう。空気を遮断する “窒息消火” が効果的です。