僕の最近のウイスキーテイスティングコメントといえば、、、
なんかこのウイスキー、誰とでも添い寝する女の子みたいな味するな。
— オーツカ (@BARREL365) December 1, 2018
珍しいバーボン樽熟成のみのオフィシャルボウモア29年(´ω`)
長熟ボウモア特有のおしろい感は奥底に秘めつつ、アルプスの草原でハイジがお花摘みをしてるような素朴な味。
シロツメクサの花かんむり食べてるような、ほがらかな味がしました。
クララが立ちました(´ω`)#TWLC pic.twitter.com/cPXSZ16lu2
— オーツカ (@BARREL365) September 24, 2018
はっはっは、全然フレーバーの説明をしていないではないか…。
これはウイスキーを広めようと活動している者としてはいかん。説得力がない。
元々鼻はあんまりいいほうじゃないし、これを機に鍛えてみるか!…ということで
どどん!
買いました。
ウイスキーテイスティング用の「マスターウイスキーアロマキット(88種類のアロマ)」です。
アロマキットとは
概要
その名のとおり、「嗅覚」を鍛え、様々な飲料のフレーバーや匂いをかぎ分けるために開発されたアロマオイルのセットです。
人間は一般的に1万種類以上の香りを感じることができ、そのうち3000種類はトレーニングによって具体的に何なのかを判別できるようになると言われています。
そして人間の味覚の95%は嗅覚から成り立っているのです。
つまり、鼻がつまるとウイスキーの味は全然わからなくなるってことです。
アロマは何からつくられているのか
基本的にフルーツ、花、スパイスなどのアロマは天然の物から抽出されたオイルを使っているようです。
その他、皮や火打石などの香りは科学的に調合し、再現されている様子。なので、天然のものもあれば合成のものもあるキットなわけですね。
種類/ラインナップは?
アロマスターは飲料に特化したアロマキットを開発しており、「ワインのアロマキット」が一番有名なようです。
有名というか需要が一番あるのがワインなのでしょう。Amazonでの評判も高く、ソムリエの資格試験に使っている方もいるようです。
日本ワイン業界の至宝、田崎真也さんをはじめ、マスターソムリエのヨハン氏、ジョエル・ロブションのヘッドソムリエなどそうそうたるメンバーが推薦状を書いています。
他にもコニャックのアロマ、ビールのアロマ、日本酒のアロマ、コーヒーのアロマ、シガーのアロマなど非常に多くの種類のアロマを作っています。なかなか優秀な会社に見えますね。
今回は僕はウイスキーテイスティングの際に感じられる、「最も一般的な88種類のアロマ」を収録したコレクションというのを購入しました。
ウイスキーアロマキットの内容物
かなりしっかりしたケースが台湾から送られてまいりました。国際便で4~5日くらいですかね。
価格は45,000円!そこそこ高い。
内容物は88種類のアロマの他にマニュアル本とフレーバーホイール。そのフレーバホイールを利用したメジャーなウイスキー26種類のチャート。
あとなんかすごろく(?)がついていました。アロマスターゲームという嗅覚で競う駒を進めるゲームです。
一応フレーバーリストを明記しておくと
1.ライム
2.レモン
3.グレープフルーツ
4.オレンジ
5.オレンジの皮
6.グアヴァ
7.メロン
8.マンゴー
9.バナナ
10.パイナップル
11.パッションフルーツ
12.洋梨
13.青リンゴ
14.リンゴ
15.桃
16.さくらんぼ
17.プラム
18.ラズベリー
19.カシス
20.ブラックベリー
21.ドライプルーン
22.ドライイチジク
23.ドライアプリコット
24.オレンジの花
25.バラ
26.ヘザー
27.ゼラニウム
28.ラベンダー
29.スミレ
30.芝生
31.シダ
32.ミント
33.ユーカリの葉
34.ビャクシン属
35.カシスの葉
36.ベイリーフ
37.干し草
38.じゃがいも
39.麦芽
40.ビスケット
41.コーン
42.トースト
43.チョコレート
44.コーヒー
45.甘草
46.パン
47.ソーセージ
48.グレービー
49.革
50.タバコ
51.紅茶
52.バター
53.ろうそくの蝋
54.魚
55.ヨウ素
56.海藻
57.貝
58.火打石
59.灯油
60.ゴム
61.タール
62.ベーコン
63.包帯
64.薬草
65.木のコケ
66.土の匂い
67.泥炭
68.煙
69.キャラメル
70.ハチミツ
71.バニラ
72.ココナッツ
73.アーモンド
74.ヘーゼルナッツ
75.クルミ
76.オーク
77.サンダルウッド
78.ヒマラヤ杉
79.松
80.アニス
81.生姜
82.黒こしょう
83.ナツメグ
84.コリアンダーの種
85.クローヴ
86.シナモン
87.シェリー酒
88.マデイラワイン
といった感じ。グレービーやビャクシン属など普段あまり聞きなれない、嗅ぎ慣れない匂いもあります。
ちなみ12種類のバージョンや、24種類のバージョンも存在します。
他にも、何年か前にウイスクイーから輸入された「スコッチウイスキーアロマノージングキット」とかありました。BARなどでお勤めの方はお店に置いている方もいそうですね。
実際の香り
実際に香りを嗅いでみると
「おおおお!確かにィー!」
というものが多いです。
しかし
「なんだこれ、絶対わからん」
というものもありますし
「全然違ェー!」
というものもあります。
というのもまず、日本ではなかなかお目にかかれないもの(ヘザー)や、外国のものと日本のもので香りが全然違うもの(ブラックベリー)が多数あります。
日本のスーパーマーケットではまず嗅いだことのないようなフルーツ香も存在するので頭の中にイメージできないものが多い印象でした。
使い方・覚え方
覚え方にはかなりコツが要ります。
少しずつかたまりで覚えていこうとフレーバーホイールを参考に、「1~11(シトラス・トロピカルフルーツ)」、「49~53(テール・後溜)」、と横並びで似た系統のニオイをまとめて暗記していきましたが、これが全然ダメでした。
もうね、何度やっても失敗する。
特に「16~23(ベリー・ドライフルーツ)」とか、似たジャンルはシャッフルするとわけがわからなくなります。
おすすめは「縦嗅ぎ」。
似た系統(横ジャンル)で制覇していくのではなく、全く異なる系統のニオイを次々に嗅いで覚えていく方が効率がいいです。
ただ効率的とはいっても88種を完璧に覚えて当てられるようになるには相当な時間がかかりそうですけど。
テイスティングでの実用性
ちなみに、「ウイスキーのテイスティングに使えるか」という観点から見ると、こちらはなんとも言えません。
少なくとも口に出すフレーズ数は増えると思います。
ウイスキーの香りを嗅いで、パッと香りのイメージが思い浮かぶというよりは、アロマキットにある匂いを思い出しながらひとつひとつすり合わせていくイメージでしょうか。
僕はウイスキーのテイスティング表現に重きを置いているタイプではないので何とも言えませんが、ウイスキーは同銘柄を複数種類(熟成年数違い、樽違い、加水orカスク)を飲みまくれば、そのブランドの傾向が見えてきます。
つまり「このブランド銘柄はこんな味を保有している」という銘柄ごとのクセ、個性を記憶するには、ほぼ飲んだ量で決まります。
口に出して味を表現できる能力と、味を記憶しているかどうかは異なるということですね。
テイスティング表現の引き出しを増やすにはアロマキットはいいツールだと思いました。
壊れててもしっかり保証
ちなみにこのアロマキットが台湾から弊社に到着した際にひとつ瓶が割れていました。
キャップのしまりが悪いものも幾つかあったので、問い合わせたところ、速攻で送っていただけました。
「香りが漏れているかもしれませんので」とのことで、ケースも新しいものを送ってもらえました。Amazonの海外製品だと音信不通になる業者も多い中、とても誠実な対応をしていただけたと思います。
なのでレビューも書いておきました。ウイスキーアロマキットでは一番乗り 笑
香りの持続性
このレビューは購入して一月程度で行ったものなのでわかりませんが基本的に何度も嗅げるよう作られています。
むしろ開封直後は匂いがかたく、判別しづらいです。
ボトルのシールをとってからだいたい1日~2日でアロマが開いてきて本来の匂いが顔を出します。
1~2週間経つと匂いが落ち着いてきて、沈みます(振る、温める、ティッシュにとるなどで復元可能)。
数年経過するとなるとわかりませんが、アロマオイルと同じような感じで思っておけば良いでしょう。
なお、はりきってアロマを嗅ぎすぎるとわけがわからなくなります。
嗅覚をリセットするには「コーヒーの匂いを嗅ぐ」、「自分の体臭を嗅ぐ」が効果的です。
ひえー。なかなか覚えられんもんだなー(;ↀ⌓ↀ)
甘草とアニスの匂いって似てるわ。
フェンネルシードもこの類の匂い。テイスティングコメントで『甘草の匂いがする』とか絶対使わんけどwwwwwwww
あと他の知覚器官より嗅覚は疲弊しやすい気がする。
コーヒーの香りでリセットしながら頑張る。 pic.twitter.com/CdgMTB1JZQ
— オーツカ (@BARREL365) January 9, 2019
テイスティング相手を想像しながら楽しく行おう
個人的にテイスティングスキルはその人の語彙力、表現力、ひいては物事の体験量(経験値)だと思っています。
的を得た正確さに加え、コミカルさやシュールさ、そして相手にこう伝わったらいいなと、慮るサービス精神が大事だなぁと思います。
誰かにこのウイスキー飲んでみてほしいと思ったらネガティブな表現は避け、うんと美味しそうに紹介します。
笑顔で飲んでもらうか、仏頂面で飲んでもらうかは紹介の仕方ひとつで大きく変わりますし、その人の記憶に残るような表現や体験をさせられるかは言葉選びが重要です。
銘柄に対する先入観やスペック情報だけに惑わされてもいけませんし、かといって専門的・学術的になりすぎて何のこっちゃさっぱりわからんというのはNG。
しっかり自分の軸を持ち、他者にも伝わりやすいテイスティングしていきたいと思いました。
このウイスキーアロマキットをバーテンダーをはじめ、パティシエ、ビストロシェフ、イラストレーター、アニメーター、漫画家、主婦、などなど、色々な人に嗅いでもらいました。
あーでもない、こーでもないと言いながらみんなで楽しく当てっこゲームが楽しめます。
複数でやるととても盛り上がるので、イベントとかオフ会とかやった際にはこいつとエアクフォリックは持っていこうと心に誓いました。