まとめて試飲できる!オリジナルのタリスカーセット
海が育むタリスカーの味わいがわかる飲み比べセット
モルト好きの中でも非常に人気が高いタリスカーをまとめて味わいたい!という声に応えてセットをつくりました。
絶えず潮風に吹かれ続けるタリスカーの味わいは、海が育むものと信じられています。
そのため、全てのラインナップのラベルに”MADE BY THE SEA”と書かれており、ウイスキーが自然と共にあることを表しています。
スタンダードから長熟までをピックアップ。この機会に少しずつ飲み比べてみてください。
- タリスカー 10年 (45.8度)
- タリスカー ストーム (45.8度)
- タリスカー ポートリー (45.8度)
タリスカーの発祥と製造場所の紹介
蒸溜所が建てられたスカイ島は別名ミスト・アイランドと呼ばれ、霧でよく覆われます。
海洋性気候で天気が乱れやすく、荒天時には荒れ狂かのような強い風が吹き荒れ、海からは強い波が打ち付けます。
切り立った山々も、この風や波の影響があると考えられています。
そしてこのような荒れた環境が「タリスカー」の香りや味わいとなる個性を生み出したと考えられます。
打ち付けるスカイ島の荒波が、潮風に乗り、タリスカーの貯蔵庫に眠っている原酒に宿る。
この潮気や磯の香りが原酒が持つ甘みを引き立てる極めて重要なアクセントとなり、タリスカーにはなくてはならない個性となります。
近年はタリスカーの個性が世界中で認められるようになり、蒸溜所を訪れる人々が年々増加しています。
またタリスカーは、大手酒類販売メーカーのディアジオ社が最も力を入れて販売しているシングルモルト。
その為巨額の投資が行われ、現在売り上げも大きく伸びている蒸溜所でもあります。
タリスカーの歴史
創業者はスカイ島の近くに浮かぶアイグ島から渡来したヒュー・マカスキルとケニス・マカスキルの兄弟。「タリスカー」はゲール語で「傾いた斜面の大岩」という意味を持ち、創業者であるマカスキル兄弟が住んでいた家の名前に由来しています。
スカイ島に渡ったマカスキル兄弟は島西岸にある土地を農地として借用し、農業のついでに蒸溜所を営みます(当時の農家はこのような経営スタイルが多かったようです)。
その後、ウイスキー製造業を拡大しようとフィスカヴェイグに蒸溜所を建造しようとしますが、この計画は頓挫してしまいます。
次にハーポート湖の湖畔にあるカーボストに建設する計画を立て、1830年、3000ポンドの費用を費やしてようやくタリスカー蒸溜所が作られ、今日まで製造し続けています。
タリスカーの製法(作り方)
発酵にはブラジル産のパラニア松を使ったウォッシュバックを使用。
容量は55,000リットルの巨大ウォッシュバックを6基所有しています。
仕込水には蒸溜所裏の丘の上に点在する複数の泉の水を利用しているようです。
蒸溜回数は1928年まで3回でしたが、現在はモルトが持つ風味を最大限活かす為2回蒸溜にとどめています。
従って創業当時のタリスカーは今よりもすっきりとして、オイリーでいてスムースな口当たりだったと考えられています。
ポットスチルはストレートヘッド型とボール型の2タイプで初留・再留釜合わせて5基あり、これらを変則的に使用しています。
これは3回蒸溜していた時代の、
- ウォッシュ・スチル(初留釜)2基
- スピリット・スチル(再留釜)3基
というスタイルの名残りで、現在もそれを活かしつつ製造されているそうです。
釜のラインアームは独特なU字型のデザインをしており、冷却槽は水を張った層の中にパイプを通す昔ながらの手法(ワーム・タブ)を今も尚行っています。
このラインアームの独特な形状とワーム・タブを取り入れた冷却法がタリスカーのキャラクターを作り上げていると言われています。
熟成に使用している樽は長期間使用した北米産アメリカンオークで作られた250リットルのプレーンオーク(バーボンでもシェリーでもない樽)がメインでしたが、最近はポートワイン樽などを取り入れた新たなラインナップを販売するなど、多様化してきました。
蒸溜所の最大生産能力は190万リットル。大量生産が可能なので、ジョニーウォーカーなどのブレンデッド・ウイスキーのキーモルトとしての提供も行っています。
ウイスキー「タリスカー」のラインナップ
ウイスキーの飲み進めの基本は『縦飲み』です。
垂直飲みともいいますが、同じ銘柄で年代の違うものを飲み比べていきます。
同じ銘柄であれば、基本的な味の傾向が共通しているため、失敗が少ないからです。
既に終売してしまった銘柄、原酒不足のため休売してしまった銘柄なども随時更新する予定です。
過去のものでも個性や特徴は引き継いでいるものが多いので、参考になさってください。
タリスカー 10年
酒齢10年以上の原酒をヴァッティングして作られたタリスカーのレギュラーボトル。
アルコール度数45.8度、香りはスモーキー、ほんのりとしたレモン、バニラウエハース。
口に含むと最初にピート・スモークが鼻腔をくすぐり、その後にドライフルーツや塩キャラメル、そして代名詞である「黒胡椒のようなスパイシーさ」が残ります。
余韻は長く、ボディは厚めで、しっかりとした樽香も楽しめます。
呑み方はストレートでもいけますし、もちろんロックでも美味しいです。
加水してもスパイシーさは健在で良く伸びます。ハイボールが絶品なので是非おためしあれ。
タリスカー スカイ
スカイ島を取り巻く美しい海が作りだす、甘美な潮の香り。と題して登場したスカイ。
「スカイ」は、蒸留所がある美しい島の名前にちなんで付けられました。
リフィル・アメリカン・オーク・カスクとトーステッド・アメリカン・オーク・カスクの組み合わせで造られており、スウィートでフルーティーな仕上がり。
10年と比べるとトーンが高く、ピートはかなりマイルド。甘さが目立ち、オレンジやバニラ、塩キャラメルと言った要素が強いです。
余韻は短め。原酒は明らかに若いですが、ソリッドなタリスカーの違う一面を見ることができます。
タリスカー ストーム
スカイ島は天候の変化が激しく、嵐が訪れる島として有名ですが、タリスカーストームはその嵐を連想させるかの様なスパイシーで荒々しい風味が特徴的なボトルです。
タリスカー本来の潮の香り、そして黒コショウのようなスパイシーさをより強調して造られた本作。
タリスカーのマスターブレンダーが原酒の入った樽の状態を見極め、特に個性が際立っている樽を選びヴァッティングし作られました。
しかし荒々しさだけではなくモルト由来の豊かな蜜の様な華やかな香り、甘みも感じられ一筋縄ではいかない複雑な味わいの逸品です。
こちらは年数表記がありませんのでノンエイジのボトルとなります。
タリスカー ダークストーム
一時期、「スパイシーなハイボールで旨い」と評判だったダークストーム。
今はブームも落ち着いて、ひっそりとタリスカーのラインナップに加わっています。
強く焦がしたオーク樽で熟成し、 バニラ(超バニラ)、ブラック・カラント、リコリスなどを感じます。パワフルで重く、スモーキーなフレーバーを持っているのが特徴です。
バーなどでは発売当初のボトルもあると思うので、現行品と飲み比べるのも面白いです。
ロックで和菓子と食べるのも面白い。
タリスカー ポートリー
こちらはアメリカンオークのバーボン樽で3年以上熟成させた原酒をヴァッティングし、さらにポートワイン樽でフィニッシュしたボトルとなります。
スモーク香は若干奥に引っ込み、その代わりポート樽由来のレーズン、いちごジャム、焼きリンゴのような優しい甘みが加わった一本です。
タリスカー特有のスパイシーさは顕在。
刺激と甘みが同居する面白い逸品です。
フィニッシュは引っ込んでいたはずのスモーク香が鼻腔にいすわり「ああ、やはりこれはタリスカーだった」という安心感を与えてくれる変わり種のボトルです。
タリスカー 57° ノース
タリスカー蒸溜所が北緯57度に位置することから、アルコール度数を57度に合わせて加水しで ボトリングされたもの。
発売当初は免税店向けに販売していましたが、好評につき世界各国での発売がスタート。しかしながら現在は終売しています。
ハイプルーフボトリングならではの濃厚な味わいをじっくり楽しめるボトルとなっています。
香りはタリスカー特有のスパイシーかつスモーキー、口に含むと煙の中からブラックペッパー、ショウガ、ドライプルーン、海草、長く続くたき火の余韻。
スパイシーで力強い風味は、スカイ島に打ち付ける荒波を彷彿とさせます。
タリスカー ネイスト・ポイント
こちらは西ヨーロッパと米国でリリースされた限定ボトルです。
ネイスト・ポイントとはスカイ最西端にある灯台の名前からネーミングされました。
香りはタリスカーらしいスモーキーさとピート、枯草、後からカラメル、ココアなど。
口に含むと煙をくぐるようにして麦芽ウエハース、ビスケットのような甘みが押し寄せます。
トーストしたパンのようなアロマも捉えることができます。
イチヂクなどのカシスなど黒いベリー、オレンジピールの爽やかさも味わえる、飲んでいて楽しいボトルです。
タリスカー 18年
「タリスカーは18年から」。
そう話す愛好家やバーテンダーも多いかと思います。
リフィルのバーボン樽(アメリカンオーク)とリフィルのシェリー樽(ヨーロピアンオーク)
この2つの樽で最低18年間熟成させた原酒をおおよそ7:3の割合でヴァッティングしたボトルです。
オレンジピール、ドライマンゴー、フルーツパンケーキ、のような濃厚な香り。
味わいは最初に甘みが押し寄せますが、後からタリスカーならではのスパイシーさをしっかり感じられます。
そして背景に漂ううっすらとした温かみのあるスモーク香。
余韻は非常に長く、エレガントな佇まいを感じるバランスの良さです。
様々な風味が複雑にハーモニーを奏でる奥深い商品。2007年のWWAで1位に輝いた評価の高いボトルです。
タリスカー 25年
こちらはアメリカンオークのバーボン樽で25年以上熟成させた原酒をヴァッティングして作られたボトル。
以前はスペシャルリリース・シリーズとして不定期に限定発売されていたボトルでした。
その頃はカスクストレングスでのリリースでしたが、近年以前より安定して長期熟成樽を確保できるようになった為、加水してアルコール度数を45.8度に抑え、年に一度定期的にリリースされるようになりました。
25年以上熟成が可能な原酒は1万樽に1樽あるかないかといわれるくらい希少。
長い年月をかけてのみ実現できる濃厚でやわらかな甘みと、タリスカー特有の力強いスパイシーさ、長期熟成樽の深い樽香を存分に味わえます。
25年同様、バーボン樽にて30年以上の長期熟成原酒を使った「タリスカー30年」も年に一度リリースされています。
タリスカー 30年
現行の通年商品としては最長熟のタリスカーがこちらの30年。
年一回のボトリングで生産数はごくわずかです。
10年やストーム(ダークストームなど)を常時飲んでいるようなタリスカーファンからすると少し物足りないくらいの香りかと思います。
熟成感がかなり強く、潮のニュアンスやスパイシーなタリスカーらしさはなりを潜めています。
口に含むと非常にソフトな口当たりからジワリと甘みと塩気が広がります。
中間はややビターな味わい。徐々にタリスカーらしいペッパーの辛味が出現します。
スモーキーさもやわらかく、温かみのある完成度の高い長熟ウイスキーです。
タリスカー ディスティラーズエディション
ディスティラーズエディションは、アメリカンオークにて通常の熟成を行った後、アモロソカスク(オロロソとペドロヒメネスをブレンドして造られるシェリーのこと)で二段階熟成されたボトル。
毎年バッチ一回分のみの限定蒸留、ビンテージごとに楽しめるシリーズで、90年代以前のものはかなり高騰しています。ひとくちウイスキーで扱っている2009も近年では傑作。なかなか良酒ですよ。
香りは柔らかく、タリスカーらしい海のアロマ、ペッパー、レザー、チェリー、焼きリンゴ、ドライフルーツ、クリーミーなチョコレートケーキ。
味わいはしっかりしていてベリーを強く感じる。クルミ、黒蜜、適度なスモーキーさが心地よい。中盤からドライオレンジ、キャラメル、旨いが強い。
余韻はジャムとコーヒー、ヘーゼルナッツ。ミディアムロングの余韻だが、熟成感が強く、おかわりしたくなる中毒性がある。
香りは
タリスカー 8年
ディアジオスペシャルリリース2020で発表されたファーストフィルのバーボン樽熟成で8年熟成したタリスカーです。
今はスタンダード品となりました10年が発売される1988年以前、タリスカーのスタンダードラインだった8年ものへのオマージュとして発売された商品です。
8年ものと侮るなかれ。
タリスカーらしいスパイシーさがありつつも、飲み口は非常になめらかで複層的な味わいが魅力の一本です。
フレッシュさはあるので、あまりスワリングするとアルコールが立ちますが、揺らさないよう口から何度も空気を送り込んでやると、スモーキーさの中にある、バニラやキャラメルナッツ、ホップやフィナンシェのようなやわらかい甘みが顔を出します。
甘草やアニスのような清涼感のあるスパイス、ユーカリのメンソールを伴い消失していく余韻は高い満足度を感じさせます。
「8年モノ」と意識して飲むとレベルが高い作品です。
タリスカー40年
2019年2月末にリリースされた「ボデガシリーズ第一弾」。
ボデガシリーズはタリスカーの歴史を紐解くシリーズとして全世界で2000本限定でリリースされました。
1830年創業のタリスカーは、20世紀に入るまでほぼ全ての原酒をシェリー樽で熟成していたと言われています。
タリスカー40年は、取引記録に残る最古のボデガ(ワイン醸造所)のひとつ「デルガド・スレタ」で40年間シェリーの熟成に使われた特別な樽を使用しています。
編集部未飲です。
メーカーの方から聞くとかなり円い印象とのこと。まぁ年数が年数ですからね。飲んだら書きます。
タリスカーのおすすめの飲み方
タリスカーのソーダ割、いわゆる「タリソー」でモルトファンの心をガッチリ掴んで離さない荒々しくもエレガンスなウイスキー。
立ち上がりは柔らかいスモーク香とゆったりと甘い麦芽の香り。ピリリと辛いブラックペッパーのスパイシーさを感じながら口に含むと力強くギアチェンジがかかる。
疾走感を感じる潮の風味とアプリコットや梅ジャムの酸味。男性的で厚いボディですがフィニッシュはクリーン。
おすすめの飲み方はやはりハイボール。食中酒としても最適です。
ちなみに販売元のMHDはタリスカーのハイボールに黒コショウをかけたスパイシーハイボール(タリソーペッパー)を推奨してたりもします。
タリスカーラヴァー達の中には山椒をかけたり、七味唐辛子をかけたりと色々なことを試している人がいますね。
ぜひお家でタリソー作ってみて食事中に飲んでみてください。いつの間にかボトルを何本も消費してしまうことでしょう。
ハイボール以外の飲み方もおいしく、非常にバランスがとれた完成度の高いウイスキーで、価格もリーズナブル。
非の打ち所がないボトルです。
特に18年は愛好家からも評価が高く、冒険して値段の高いボトラーズを買うならタリスカーの18年を買っとけと言われるほど。
昨今ではディアジオスペシャルリリースから8年や15年が発売され、こちらもレベルの高いボトルでタリスカーのハウススタイルが顕著に出ている人気商品。
オールドボトルでは伝説的に評価の高い「タリスカー12年 TD」、通称マップラベルと呼ばれる1980年代後半~1990年代流通の「タリスカー10年」などが有名です。
ボトラーズからはゴードン&マクファイル社がリリースしていた「タリスカー イーグルラベル」が有名でしょうか。
今となっては高騰しすぎて飲めないボトルも多いですが、現行のオフィシャルにも色々な種類があるのがタリスカーの魅力です。
バーで希少なオールドボトルを飲むのも良し、お家で現行品を一通り揃えて楽しむも良し。
タリスカーは元々「お家の名前」なので宅飲みもいいかもしれませんね。ぜひタリスカーファンになってください!
ざっくり覚える!
タリスカーはスコットランドのスカイ島で作られるシングルモルトウイスキーです。
スカイ島の西南部カーボストに蒸溜所をおき、1830年から製造している老舗のアイランズ系のシングルモルトでスモーキーかつ、コショウのようなスパイシーさと潮気、そして分厚く、重厚感のある甘い余韻を持つ人気の高いウイスキーです。
ジョニー・ウォーカーやアイル・オブ・スカイの原酒としても使用されているので、味に覚えがある方も多いことでしょう。
オフィシャルからリリースされている10年と18年の評価がとても高くおいしいので、まずはこちらを飲みましょう。10年はハイボールもおすすめです。
25年、30年といった長期熟成品も他ブランドと比べるとややリーズナブル。40年を超える長熟ボトルも2019年よりリリースされています。
ボトラーズからは短熟品と長熟品がごくごく少数リリースされる程度ですので、現在はオフィシャルだけ抑えておきましょう。