BARの洒落た内装、心地よいウッドデッキ、耳を和ませる音楽、カウンター越しには信頼のおけるバーテンダー、光を反射するクリスタルグラスに注がれた、琥珀色に輝くウイスキー……。
ウイスキーには、ウイスキーだけが体験させてくれる独特の空気感・雰囲気が存在します。
ウイスキーはアルコール度数が高いため、ゆっくり飲むのが正しい飲み方です。そのため少量でも飲むのに時間がかかります。
ですが、その時間こそが魅力であり、贅沢なのです。
年月を反映した深みのある味わいは、余裕のあるゆったりとした時の流れを体験させてくれます。
その雰囲気が好きだからこそ、ウイスキーを飲んでいるという方もいらっしゃいます。
しかし、「雰囲気がよくわからなくて苦手だ」という方や、「堅苦しくて楽しくなさそう」と思う人もいることでしょう。また、最初にウイスキーを飲んだ場所の雰囲気が悪く、ウイスキーに嫌な思い出しかないという方もいることと思います。
雰囲気の良くない環境ではウイスキーが本来の持つ魅力に気づけません。ウイスキーはしっかりと楽しむことのできる場があってこそ、真価を発揮します。
この記事では、ウイスキーを楽しむための雰囲気とは何かを紹介します。
まずはウイスキーの雰囲気を楽しむのにふさわしくない場を知ってから、ウイスキーの優雅な世界に触れていきましょう。
ウイスキーの雰囲気にふさわしくない場とは?
場が騒がしい
ウイスキーは時間をかけて味わう嗜好品です。
気心の知れた友人と会話しながら・じっくりと何かを考えながら・時間の流れを静かに味わいながら。ゆっくりと楽しむのがウイスキーです。
しかし、周囲があまりに騒がしいと、ゆっくりと楽しむということは難しくなってきます。気が散ってしまうほどの喧騒は、ウイスキー本来の魅力をかき消してしまいます。
お店が落ち着かない
よくありがちなのが、小ぢんまりとした小規模のお店やBARで自分以外の他のお客さんが全て常連客だったという話です。
内輪だけで盛り上がっているお店では、ウイスキーを楽しむ雰囲気とはなりません。
お店の常連客でも慎みをもって会話を交わしている分にはいいですが、お店全体が盛り上がっているとなると、新規の方や慣れていない方にとっては、居たたまれない気分になってしまいます。
スナックやクラブでも落ち着くことができない状況はありがちです。
状況を察してくれるマスターやママといった優秀なスタッフがいれば、ウイスキーを飲むのに適した雰囲気を作ってくれます。しかし、会話やお酒を勧めることに躍起になって雰囲気作りをないがしろにしているスタッフばかりだと、ウイスキーを楽しむことなど到底叶わないでしょう。
一緒にいる人がエスコートしてくれない
ウイスキーを楽しめるようになる方法の一つに、ウイスキーに詳しくおすすめのお店を知っている人に連れていってもらうという安全策があります。
実際に店舗に行ったことがあるというのは、信頼できる情報です。その上、ウイスキーに詳しいとあれば、初心者でも楽しめる方法を色々と教わることができるでしょう。
しかし、行ったお店が良いお店でも、同行した人が自分だけ楽しむばかりでほったらかしにされたのではウイスキーを勉強することはかないません。ましてやウイスキーの雰囲気を掴むことなど、ほったらかしにされた苦い思い出に掻き消されてしまうでしょう。
このケースは決して稀ではなく、BARに訪れるカップルに多く見られます。男性は慣れているのか自分だけさっさと注文してしまい、慣れていない女性はどうしていいのかわからず、機転を利かせたバーテンダーに助けられる。あまり目の当たりにしたくない光景ですね。
BARのスタッフが良くない・合わない
BARには、色々なバーテンダーがいます。
話好きであったり、寡黙であったり、知識が豊富で様々なことを教えてくれたりと、バーテンダーにはそのBARの個性が強く表れます。
中には合わない人もいることでしょう。放っておいて欲しいタイミングで話しかけてきたり、話したいのに話しかけ辛い雰囲気であったりと、接客自体が悪くはないのに相性が良くないBARもあるでしょう。そういう場合は、BARを変えてみることで自分に合ったお気に入りの雰囲気を見つけることができます。
ですが、そもそも接客自体が良くない店舗も存在します。
掃除が行き届いていなかったり、管理が甘かったりと環境が良くないことが多いです。
最初に良くないBARに当たってしまって、BARの印象と共にウイスキーの印象も悪くなり、ウイスキーを避ける要因となったということも十分考えられるでしょう。
以上のような理由から、ウイスキーの持つ雰囲気を楽しめていない方は少なくはないはずです。良質な雰囲気は、知っていないとなかなか感じとることができなく、戸惑ってしまう方も大勢いらっしゃいます。
ですが、ウイスキーには多くの人々を魅了する雰囲気が存在することも確かです。
次ではタイプの違うBARを紹介していますので、軽くでもBARの雰囲気に触れていただき、その良さに近づいてみましょう。
BARの持つ雰囲気とは?
伝統を味わうオーセンティックBAR
オーセンティックとは「authentic」、「信頼のおける」や「本物の」といった意味であり、オーセンティックBARというと「伝統的なBAR」というニュアンスで語られることが多いです。
そのため、雰囲気も重厚かつ落ち着いたものであり、一般的なイメージであるハイスツールに年季の入ったウッドデッキ、ずらりと並んだウイスキーボトルというのはオーセンティックな雰囲気を表しています。
働いているバーテンダーの方も熟練の方が多く、ウイスキーに関する質問にも丁寧に答えてくれますので、ウイスキーの真髄を感じたいという方は、オーセンティックな雰囲気のあるBARがおすすめです。
華やかさで上品なエレガントBAR
デートや記念日などでロマンティックな雰囲気を味わいたいという方におすすめのBARです。
エレガントBARという言葉や種別はありませんが、具体的に言うとホテルのBARや、建物の最上階にあり夜景が楽しめるBAR、明るく華やかな装飾が施された内装のBARなど、煌びやかで明るい雰囲気の中、ウイスキーやカクテルを楽しむことのできるBARを指しています。
キャパシティは比較的多く、広めの空間であることが多いです。
ウイスキーが作る大人のムードを楽しむことのできるお店も多く、優雅な雰囲気をサポートしてくれる一流のスタッフにも期待できますので、デートコースの締めにはぜひご活用ください。
気軽に楽しむカジュアルBAR
軽く一杯飲んで帰りたいという時、または気軽な気分でウイスキーを楽しみたいという時、意外と見落としがちなのが近所にある個人経営のBARです。
中に入ってみると外見からは想像もつかない良さげな雰囲気であったという話は珍しいことではありません。また、モルトにこだわっているマスターがいると、珍しいウイスキーも置いてある場合もあり、有名店顔負けの品揃えを備えていることもあります。
ふとした時に利用できる自分だけの空間としても重宝するので、ちょっとした隠れ家を見つける感覚でBARを探してみるのも悪くありません。
まとめ
ウイスキーを楽しむのにふさわしくない雰囲気と、簡単にですがウイスキーを楽しむためのBARの種類を紹介をしました。
雰囲気はウイスキーを楽しむのに欠かせない要素です。ウイスキーはウイスキーだけを楽しむものではなく、その場の雰囲気を含めて楽しむものであるからです。
それは、つまり時間を楽しむということ。
普段から忙しくしている方も、ウイスキーの雰囲気に触れて、日常の喧騒から離れてリラックスしてみてはいかがでしょうか。