スコットランドの最古の蒸溜所の一つとして知られるグレンタレット(The Glenturret)が、2025年をもってピーテッドモルトの使用を廃止し、2026年のコアレンジからピーテッドウイスキーを完全に除外する方針を発表しました。
これはグレンタレットが、軽やかでフルーティーなハウススタイルを確立し、ブランドの方向性を決め打つ重要な決断になりそうです。
ピーテッドモルトとグレンタレット
グレンタレットの歴史はピートを使用しないスタイルが中心でしたが、2009年に「ルーアックモア(Ruadh Maor)」というピーテッドウイスキーが導入され、年間少量生産されてきました。
しかし、ラリックグループの買収後、蒸溜所は未来を見据えた変革を進めています。今回の決定は、ピーテッドスタイルを廃止し、グレンタレットのアイデンティティを一貫性のあるものにするための重要な一歩です。
持続可能性への取り組み
環境に配慮した生産体制も、グレンタレットの新しいビジョンの一環です。ディレクターのイアン・レンウィック氏は次のように述べています。
「私たちはクラフトと同様に環境を大切にしています。小さなチームですが、ウイスキー造りの細部へのこだわりは他に引けを取りません。」
蒸溜所は製造設備への大規模な投資を行い、年間エネルギー消費を27%削減、1,000トンの廃棄物削減、そして1,000,000リットルの水の節約を実現しました。これらの取り組みは、ラリックグループの買収後に加速し、持続可能なウイスキー生産の先駆けとなっています。
グレンタレットの最新動向とブランド進化
ラリックグループによる2019年の買収以降、グレンタレットは大きな変革を遂げています。
ブレンデッドウイスキー向けに生産されていた歴史を持つ蒸溜所ですが、現在はシングルモルトの品質向上とブランドの再定義に注力しています。
最近では、ヴィンテージボトリングや特別限定版のリリースで注目を集めており、ラリックデザインの豪華なボトルを採用した「グレンタレット・ラリックコレクション」が特に話題です。このコレクションは、ウイスキーの味わいだけでなく、芸術的なデザインでも高い評価を受けています。
また、蒸溜所の来訪者向け施設も刷新され、観光客に向けた体験型ツアーや試飲会が人気を集めています。スコットランド観光の名所としての地位も着実に向上しており、地元経済への貢献も顕著です。
ピーテッドモルト廃止という決断は、グレンタレットの方向性を決め打つもので、軽やかでフルーティーなハウススタイルを確立するための新たな挑戦です。グレンタレットの今後の歩みに期待しましょう。