昨年のパッケージリニューアルあたりから、ずーっと注目していた「ロイヤル・ブラックラ」。
最近ぜんっぜんオフィシャルを見なくなったブラックラがリニューアルです
18年期待やなhttps://t.co/ZG63JfBj78 pic.twitter.com/vBu05jmmGD
— オーツカ (@BARREL365) October 26, 2022
新ブラックラ、素晴らしい佳酒。
ご時世的にもお値段以上だと思うわ https://t.co/XADa9IM0sU— オーツカ (@BARREL365) November 4, 2023
先日、ひとくちウイスキーでいただいた時も、
「え、ブラックラ、美味くないすか?」
「正統派シェリーって感じでいいですよね。この価格帯でこのクオリティは破格ですよ。」
などと語り合っておりました。
そんな思いが通じたのか、ご縁がありまして、広報担当者さんから「ロイヤル・ブラックラ12年」いただけました。
ロイヤル・ブラックラとは
“英国王室御用達(ロイヤルワラント)”を初めて授かった「王のためのウイスキー」
まずはロイヤル・ブラックラをちゃっちゃとおさらいしておきましょう。
ロイヤル・ブラックラ蒸溜所は、1812年にスコットランド・ハイランドに設立された世界最古の蒸溜所のひとつ。
創業当初、密造者との競争を避けるため、ローランド地方やイングランドを主戦場として販売していました。
ある時、国王ウィリアム4世にいたく気に入られ、蒸溜所としては初のロイヤルワラント(王室御用達の勅許状)を授かります。
その証拠にブランド名に王室を意味する「ロイヤル」がつけられています。
ロイヤルがつけられたブランドは他に「ロイヤルロッホナガー」と1985年に閉鎖となった「グレンユーリー・ロイヤル」を含む3カ所のみ。
日本ではマイナーですが、スコッチ史においては歴史上、重要な蒸溜所といえます。
ファーストフィルシェリー樽を使った正統派な味わい
ロイヤル・ブラックラといえばコレ。気品のある「シェリー風味」。
伝統的な製法を守り続け、オロロソやペドロヒメネスなどの、シェリー樽でフィニッシュする事にこだわっています。
ファーストフィルシェリーもふんだんに使い熟成された原酒は、フレッシュかつ華やか。フルーティで味わいが特徴で、世界中の愛好家に親しまれています。
シングルモルトとしての流通は少なかったのですが、2016年からオフィシャルボトルとしてシングルモルトがリリースされるようになりました。
アバフェルディと共に、デュワーズのキーモルトとしても有名なロイヤル・ブラックラ。
これから飲んでレビューする12年は、第一回のTWSCでも金賞を受賞する完成度の高さなのです。マイナーだけど!
ロイヤル・ブラックラ 12年をテイスティング
今回レビューしていく「ロイヤル・ブラックラ12年」は、オロロソシェリー樽でフィニッシュされた12年熟成のシングルモルト。
過去の12年はアルコール度数40度でしたが、リニューアル後は46度。強い味わいが期待できそう。
基本はストレート。
一応、ロックとハイボールも試します。
ストレートグラスは弊ブランドである「KYKEY」のAROMA GLASS BASICとSTILLの2種で飲んでいきたいと思います。
カラーは、都会のビル群に沈む夕日のような、茜色の琥珀。少しトロミがあります。
AROMA GLASS BASICでのテイスティングノート
香り
口径が広いBASICでは、ダイレクトにシェリー香を感じる。
甘やかで落ち着いている。気品がある。
トップノートには、プルーンやプラム、デーツにラムレーズンが混合したような、黒くて赤い果実が爽快に鼻に抜ける。
中盤からはアーモンドとミルクチョコレート。スパイシーで心地よい。クローブのようなアロマもある。
味わい
口当たりはシルキーでクリーミー。
非常にフルーティーで、ドライアプリコット、オレンジマーマレード。チェリー。さらにはキャラメリゼしたナッツ。ウエハースも添えてある。
やや辛みもあり、中盤からはゆっくりとショウガキャンディーがほどけていく。
とろける甘さの中にカルダモン。
フィニッシュ・余韻
フィニッシュはミディアムレングス。飲み終わりはカプチーノとダークチョコレート、黒コショウの辛さ。
ゆっくりと砂糖漬けのドライオレンジ。
余韻に心地よい木々の香り。都会的な男性像が眼裏によぎる。
AROMA GLASS STILLでのテイスティングノート
香り
口径がすぼまっているSTILLを使用すると、ハーバルさが強く感じられ、酸もしっかり捉えられる。
ひんやりとした針葉樹に囲まれた森。涼しげで、落ち着いていて、クリア。
ただしアルコール感も強まる。
BASICよりもさらにスパイシーで、なめし革のようなアロマも拾える。他にはレッドカラント。ローズヒップティー、マジパン。
味わい
口当たりは冷たく、少しシロップっぽさが増す。
流れ込む液量が少量になるので、噛むと、桃のタルトやイチゴも拾えるようになる。
飲みこむとオイリーさがあり、アマニ油、オレガノとパン生地。
中盤から後半にかけて、スモーキーさも感じられ、飲みごたえも強くなる。
古い喫茶店で香る、甘いパイプタバコのようなフレーバーが、心のささくれを静かに撫でる。
フィニッシュはBASIC同様。針葉樹の香りと甘いタバコのフレーバーがジェントルでたまらない。
ロックグラス&ハイボール
ロック
香りは弱まるが、口を付けたとたんに強烈に甘い味わい。
ローズヒップティーのような酸味は引っ込み、フレッシュでフルーティなトーンが強調される。
氷が溶けると酸が顔を出し、アーモンドの皮の渋さ、シナモンや甘草なども感じる。
シェリー樽ウイスキーの甘みを強く感じたい時はおすすめ。
涼しげで悪くない。ただし必ず、氷は後入れしよう。
ハイボール
こちらも極甘いハイボールになる。
シャキシャキとした食感のスライスリンゴ、シナモンと生姜シロップ。
ただ、口蓋に張り付くような酸味もある。
キシキシする印象がニガテなので、個人的にはおすすめしない。
テイスティングまとめ
華やかでリッチ。かつ上品な、ど真ん中なウイスキーです。
「一日の終わりに、おいしいシェリー樽のシングルモルトを飲んだなぁ」という充足感を得ることができます。
個人的にはアルコール度数を46度にしたのは大正解ですね。薄っぺらさを感じません。
あと、あまり公表されていませんが、リチャーしたシェリー樽や、リフィルシェリー樽も混合されて味わいが整えられているそうです。バリバリしないのはそのせいか。
ただ、加水では非常にフルーティーになりますが、ちょっとリンゴジュースのようなアロマになるので、おすすめしません。
BASICのような口径の大きいグラスでは、加水しないで楽しみましょう!
STILLのようなグラスでは、アルコール感もやや拾いますが、かなり解像度が増します。
上級者はこっちのほうが好きそう。
アルコール度数が6度上がったことによる変化は大きいように思います。僕はこういうグラスで長期間向き合うのが好きですね。
週末に顔を合わせる紳士な天使
まさに「王道」。
伊達にロイヤルワラントを授かっていない。
46度もちょうどいい。バリバリしてないし、サラサラしすぎない。
前作はアルコール度数が40度と、少し物足りなった印象でした。スマートで都会的なシェリー樽ウイスキーでしたが、線が細く尻すぼみだった。
今回はしっかりとした胸板を持つジェントルマンを想起させます。しかし重苦しさはなく、涼しげな印象。
リニューアル後の18年も飲みましたが、12年もいい。
個人的に、一本向き合うならしっとりとした佳酒の12年。
昨今の薄っぺらいスペイサイド飲むより全然いいと思います(笑)
ストップ!20歳未満飲酒・飲酒運転。