『薬品系』ウイスキーは、その名の通り「薬っぽい」「正露丸の味がする」「病院の匂い」「りか」などと表現されるピート(泥炭)に由来するスモーキーなフレーバーが強いウイスキーです。
個性的な香りのため、明確に好き嫌いが分かれます。
ファンも多いですが、アンチも多いため評価は個人の判断によるところが大きいです。
ウイスキーを飲む人々が必ず通るといわれているのがこの『薬品系』です。
ウイスキーを飲み慣れない方は、ウイスキーに対する印象変わってしまうためが興味本位でも慣れるまで飲まないのが賢明でしょう。
よく使われる味と香りの表現
『薬品系』ウイスキーに使われるフレーバー表現には以下のようなものがあります。
わかりにくいものだけ説明をいれていきます。
◆ピート香
堆積してできた泥の塊をピートと呼びます。
石炭のなりかけとも言えるピートですが、その土地の植物や風土が混ざり合って出来ているので、燃やすと土地特有の香りが出ます。
ピートを焚き、煙で麦を乾燥させ、乾燥させた麦でウイスキーを造ります。
ウイスキーの中でも煙の香りがするものをスモーキー、そして心地よくスモーキーなものをピート香と表現します。ピートに関する詳細説明はこちらで。
◆燻製(燻煙香)
ピートを焚いた時の煙が燻製の匂いの由来です。
しっとりと水分の感じられる香りが鼻腔に広がります。
ビーフジャーキーやかりかりに焼いたベーコンなどと表現される場合、この燻製の香りがあると思ってよいです。
◆正露丸
正露丸はクレゾールという消毒薬の匂いです。
鈍いアルコールを燃やした後のような薬品を思わせる香りです。
◆ヨード香(ヨードチンキ)
ヨード香は理科の実験で使ったであろうヨウ素液の匂いです。
ウイスキー表現ですと、前述したピートに海藻が混ざるため、その海藻から付く匂いを指します。
海の香り、海藻の香り、潮の香りとも言い換えられます。
◆アイラっぽい
スコッチウイスキーの中でも特徴的なピート香を纏うアイラ島のウイスキーの風味を表現したもの。
ヨード香と若干被りますが、「これぞ、アイラモルト!」といった個性的なピートの香りがあるので、ヨード香をアイラっぽさということはありますが、アイラっぽさをヨード香にまとめることはできません。アイラモルトウイスキーに関して詳しく知りたい方はこちら。
◆アルコール(消毒薬)
飲用ではない業務用アルコールに感じられる揮発性の薬品臭です。
飲用アルコールと比べるとえぐみがあり、鼻孔に痛みを感じる時などに使います。
◆除光液
油脂を溶かす有機溶剤が立ち上る様な匂いを指します。
アルコールの匂いと系統は一緒ですが、粘性があるため、とろみも感じられる時に使います。
◆ペンキ
シンナーの匂いですが、工業用薬品の匂いを端的に表す場合も使われます。
◆実験室(手術室)
広がりのある消毒薬の匂いです。
『薬品系』のウイスキーはどれも個性があり、刺激の強い香りを持っています。
なかでも歯医者・実験室・手術室の表現は、爆発するような広がりのある匂いを指します。
『薬品系』がわかる!おすすめの銘柄
薬品の味がするウイスキーの代表格といえばこちら、ラフロイグです。
日本でアイラ・モルト・ウイスキーと言えば一番に名前が挙がる程有名なブランドです。
棚に陳列していないBARはほとんどないと言っても良い人気モルトです。
スモーキーさの象徴とも呼ぶべきウイスキー、アードベッグ。
フェノール値は55~65ppmと全モルトの中でも最強クラス。
煙を食べるとはまさにこのこと。凄まじいスモーキーさを感じられます。
ラガヴーリンは特徴的な玉ねぎ型のポットスチルを利用しており、非常に濃厚でリッチな飲み口が持ち味。
フェノール値は34~38ppmではあるのですが、非常に濃厚で強く感じます。
「ベルベットのような」と称されるトロリとしたなめらか味わいは他のアイラ・モルト・ウイスキーにはないボディブローのような重みがあります。
『薬品系』ウイスキーをよりおいしくする飲み方
香りの強いものほど、後に飲まないと香りがさっぱりわからなくなってしまいます。できるだけ水を飲むようにして、感覚を正常に保ちながら楽しんでください。
喉が渇いたとき、そして夏には『薬品系』ウイスキーのハイボールが最高です!
特にアイラモルトと呼ばれる上記三種をはじめ、ボウモア、カリラ、キルホーマンなどの「アイラハイボール」はどれが自分好みかすべて飲んで確かめてみることを強くおすすめします。
他にも色々なテイスティング表現があります。以下の記事を参考にしてみてくださいね。
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