2023年3月24日(金)に東京都港区南青山にあるTOKYO Whisky Libraryにて行われた「シングルモルト嘉之助」発売記念イベントにご招待いただきました。
これまで嘉之助蒸溜所がリリースしてきた限定品とは違い、初の定番商品となる「シングルモルト嘉之助」。
並々ならぬ意気込みを感じさせるローンチイベントでしたので、簡単にではありますがレポートさせていただきます。
ローンチイベントで感じられた「嘉之助の本気」
嘉之助蒸溜所創業者、小正氏の挨拶もそこそこに乾杯。
その後、クオリティマネージャーである芹川直子氏に「嘉之助蒸溜所のつくりのこだわり」、そして「シングルモルト嘉之助の魅力」をプレゼンテーションしていただきました。
シングルモルト嘉之助に使用されている原酒は5種類。
こちらをテイスティングしながらのプレゼンテーションだったのですが、それぞれの原酒の個性がよくわかり、「あぁ、なるほど。この味わいを出すためにこれを使ったのか、、、」と納得しながら拝聴しました。
1時間弱のプレゼンでしたが、並々ならぬこだわりと、嘉之助原酒の特徴、強み、さらには難点までも教えてくれる素晴らしい解説でした。
今回の「シングルモルト嘉之助」の魅力をかいつまんで解説していきます。
シングルモルト嘉之助の特徴と魅力
嘉之助蒸溜所のこれまでの「Edition」シリーズとは異なり、創業6年間のノウハウを詰め込んだ、まさに嘉之助の顔となるようなシングルモルトウイスキーとなっています。
これまでに販売された「2021 FIRST」、「同2021 SECOND」、「同2022LIMITED」は、熟成樽の違いによる特徴的なウイスキーを楽しめましたが、今回は樽貯蔵焼酎「メローコヅル」から培ってきた熟成やブレンド技術を最大限に生かし、“嘉之助蒸留所らしさを感じられるメローなウイスキー”をコンセプトに酒質設計されています。
使用する麦芽はノンノンピート麦芽。
メローコヅル(アメリカンホワイトオーク)のリチャーカスクで熟成した原酒をキーモルトに、複数の樽をヴァッティング、ノンチルフィルターで48%まで加水・ボトリングしています。
メローコヅルについて
メローコヅルは1957年に発売された樽熟成米焼酎の先駆け的存在。このメローコヅル樽を使うことで嘉之助原酒のメローな個性が生まれる。
メローコヅルを熟成した樽は10年に一度リチャーをかけて嘉之助原酒の熟成に使っているとのこと。樽は2回リチャーでき、30年ほど使える。
その他シェリーカスク原酒を一部、レッドワインカスクとピートカスクを極一部使用して設計しているようです。
なお、ラベルも嘉之助蒸溜所から望む東シナ海に沈む夕日と、水平線をモチーフにしたこだわりの仕様だそうです。
シングルモルト嘉之助の香りと味わい
日本らしい和を感じるテイストで、飽きの来ない味わいを表現したという本作。
公式テイスティングノートは以下。
■TASTING NOTE
COLOR(色):べっこう飴
NOSE(香り):はちみつ、バナナ、レモンティー、キャラメル
TASTE(含み):かりん飴、ニッキ、生姜、仄かにスモークナッツ
FINISH(余韻):上品な甘苦さが穏やかに長く続く
色々な飲み方を試させていただきましたが、個人的には水割りがすごくおいしかったです。
新興蒸溜所の中でも群を抜いてイベントクオリティが高い
フードやドリンクが豪華!
プレゼンテーションの後は、フードを食べながら懇談会。
「シングルモルト嘉之助」ももちろん美味しかったのですが、驚いたのは、今回のイベントのクオリティ。
嘉之助蒸溜所初の自社イベントだったのですが、まず提供されるドリンクやフードのレベルが高い。こういったウイスキーのローンチイベントでは見たことの無いような豪勢なものでした。
蒸溜所のスタッフさんもとても手際よく、スムーズにローンチイベントを行っていた印象です。
初めての自社イベントとのことでしたが、その意気込みは相当なもので、予算もたくさんかけてるなぁという印象でした。
土屋氏とのトークショーでは嘉之助のこだわりをフカボリ
食事のあとはウイスキー文化研究所代表 土屋 守氏と再度乾杯&トークセッション。
小正さんのプライベートをいじりつつも、嘉之助の歴史や世界観を土屋氏が深掘りしていました。
蒸溜所創業6年でためたウイスキー酵母のノウハウ活用。
嘉之助最大の特徴である三基のポットスチルでの原酒のつくり分け。
スピリッツを精製するコンデンサーを、近代的なシェル&チューブ・コンデンサーではなく、ワームタブでやりたいと願った小正さんの意図など、焼酎造りで培った経験則やこだわりが聞ける場面もありました。
お土産も豪華!
帰り際にはお土産をいただきました。
内容は蒸溜所グラスと、この日の日付が入った
2023年3月24日限定
嘉之助シングルモルトカスクストレングス 200ml
大盤振る舞い&至れり尽くせり。
とても楽しい時間を過ごさせていただきました。
スタッフの皆様ありがとうございました。お疲れ様でございました。
未来の嘉之助蒸溜所に期待は高まるばかり
現在の嘉之助蒸溜所は多様性のある原酒を次々と作り上げている最中で、アルコール度数が59度のもの、63度のものと、原酒を作り分けて手札を増やしているそうです。
これは現在の嘉之助原酒が短熟向きだからという理由もあるのかもしれません。
確かにカバランやオマーといったタイワニーズに似た特徴も持ち合わせている嘉之助。今後はより長期熟成に耐えうる原酒もつくっていくことでしょう。
なお、「嘉之助シングルモルト」のバッチ2も既に計画しているらしく、本イベントの試飲で提供されたものはこのバッチ2に近かったとか。
レベルを着実に上げてきていると感じました。
新興蒸溜所は「推し活」である
帰り際にお土産の嘉之助カスクストレングスを開封しながら、愛好家のみなさんと談笑。
やはり新興蒸溜所の楽しみ方のひとつに、その「成長ストーリー」を見守るということがあるなと思いました。
二次会🥃
飲み手から見た新興ジャパニーズウイスキーの未来など。
みんな結構飲んでるのにしっかり分析しててさすが(´ω`)@DrinkersLounge @WarehouseWhisky pic.twitter.com/JLJxZDaglV
— オーツカ (@BARREL365) March 24, 2023
推しのアイドルを見守るがごとく、ハウススタイルが出来上がいくまでの味わいを一喜一憂しながら観察するのはとても楽しいことです。
熟成年数の割に価格が高いと批評されがちなジャパニーズではありますが、各蒸溜所の目論見や、その土地土地で育った原酒の出来を数年単位で追っていくと、大変興味深い発見があるものです。
「嘉之助」をはじめ2016年組と言われる、「厚岸」、「安積」、「三郎丸」、「長濱」、「ガイアフロー静岡」、「津貫」、「静岡」、「木内酒造額田」などが今後次々と定番商品をリリースするはず。
国外で日本の新興蒸溜所のウイスキーはほぼ飲むことはできません。
日本国内にいる我々にしか楽しめないビッグウェーブでもあるので、あなたの「推し」蒸溜所を見つけ、今から乗っておくことをおすすめします。
このピートカスク原酒を使ったボトルは人気になりそうだなぁ。