スコットランドにてヴィンテージ大麦品種の研究が進められています。
「100年以上前、我々の祖先はどんな味わいのウイスキーを飲んでいたんだろう?」という素朴な疑問から、研究者たちが、約200年前に絶滅した大麦品種を復活させ、過去のウイスキーの味を再現しようという試みです。
エジンバラのホリールード蒸留所とヘリオット・ワット大学が協力し、今後6年間で少なくとも8つの品種を研究する予定でいます。
研究対象の古代大麦品種は
- 19世紀、税制上の理由で人気がなくなるまで英国で広く使用されていた品種であるシュヴァリエ(Chevalier)
- 1960年代後半からマッカランのマッシュビルに使用されていた、ゴールデンプロミス(Golden Promise)
- 「ピルスナーの父」と呼ばれたジョセフ・グロルが現在のチェコ共和国のプルゼニで初めてピルスナーの醸造に使用した品種ハナ(Hana)
など
プロジェクトに取り組むヘリオット・ワット大学のカラム ホームズ博士は、
「麦芽製造および蒸留業界では、より古い大麦品種の役割を探ることへの関心が高まっています。
こういった伝統的な大麦品種を使用することで、ウイスキーなどの蒸留物に好ましいアロマの特性を復元する可能性は十分にあり得ます。また、気候変動で予想されるストレスに対する回復力を示すものもあります。」
と述べました。
ホリールード蒸留所の蒸留酒製造責任者であるマーク・ワトソン氏は次のように述べています。
「過去のウイスキーを飲むと明らかな違いがあると感覚的にわかるので、それを科学的に裏付けたいと思っています。」
「新しい品種の大麦に切り替えることで、失われた味わいの特性…数十年、いやもっと長い間ウイスキーに存在しなかったフレーバーやアロマを、取り戻すことができるかもしれません。」
なおエジンバラのホリールード蒸留所は、ウイスキー製造プロセスにシュヴァリエを再導入する実験を行っている蒸留所の1つであり、その運営責任者は、伝統的な大麦株が「より油っぽい口当たり」を与えると報告しています。
水や樽など、当時のウイスキーの味わいを再現するには、色々な要素が絡み合っているとは思いますが、何ともロマンあふれる研究だなぁと思います。