ウイスキーボトル一本に対し、1,000万円以上の値がつく「ウイスキーオークション」という世界があるというのは前回の記事でご紹介しました。
今回は「ウイスキーボトルの価値を決める基準」や「ウイスキーオークションの今後」について、スコットランドにあるウイスキー投資の専門会社「Rare Whisky 101」のデビッド・ロバートソン(David Robertson)さんにお話を伺いました。
まず以下の2つの表を見てください。
「コレクターズ・ランキング」は、市場に出回るウイスキーボトルの数と、英国オークションで売買されたボトルの価値(英ポンド)を重み付けした順位表です。
コレクターズ・ランキング
The Rare Whisky 101 Reportより出典
2016年、マッカラン、アードベッグ、ボウモアで占められる上位3位銘柄にわずかな動きが見られました。4位はハイランドパーク、5位はブルックラディ、6位は引き続きグレンフィディックでした。
その他の特筆すべき動きは、ラガヴーリン(2016年に創立200周年)がランキングを3つ上げ、アランは2つ、グレンドロナックは4つ上げました。順位を落としたのはザ・グレンリベット、カリラ、ローズバンク(閉鎖蒸溜所)でした。
どれも日本でも人気の銘柄です。この辺りの銘柄はヤフオクとかでも高い値がつくもんなぁ。
投資家による蒸溜所ランキング
The Rare Whisky 101 Reportより出典
こちらの評価基準は、一つの蒸溜所で製造される全ボトルの価値変化率に8割、ボトルの最高平均価格に1割、1本のボトルの最高価格に1割という計算式を使っています。「コレクターズ・ランキング」よりも流動的なこのランキングは、急速に人気が上昇、または下降した蒸溜所をピックアップし、先見性のあるバイヤーの間で早期警戒指標として利用されています。
飲み手やウイスキー愛好家、投資家の間で引き続き高い需要があるのはマッカランで、この需要は買い手の購入金額に反映されます。
以下の表は各ブランドの投資価値としてのパフォーマンスです。みなさんの馴染みのある銘柄も載っているかもしれません。
The Rare Whisky 101 Reportより出典
個々のウイスキーボトルの価値を決めている要素って、どんなものがあるんでしょうか?
たとえば樽の種類とか。
動機①ウイスキー愛好家やウイスキー通へ向けて
とても高品質でレアなシングルモルトのボトルを手に入れ、それを飲んでみたいと思っている。
動機②ウイスキーコレクターへ向けて
例えば、自分の誕生年や結婚した年、子供の生まれた年など、個人的な想いのある特定の蒸溜所や年代、ビンテージ・ウイスキーを手に入れたい。
動機③投資家へ向けて
購入したウイスキーから最大限の利益を得たい。
「素晴らしいウイスキー」として崇拝されている銘柄なら、多くのバイヤーが求めるでしょう。
世界中でわずかな人しか所有できないものが求められており、稀少さはバイヤーにとっての重要な買い付けの動機となります。
マッカラン、ダルモア、ボウモアといった、代表的な古いシェリー樽熟成モルトは常に高い需要があります。
また、ブローラ、ポートエレン、ローズバンクのサイレント・スティル・シリーズの需要も高いようです。
あとはやっぱりシェリー樽のファーストフィルのものなどは人気なようですね。
今後ウイスキーオークション市場はどうなっていくとお考えですか?
現在、一般の小売(プライマリーマーケット)には年数表記のないノンエイジ品(NAS)が多く出回り、質が下がってきている印象です。このままだとレアウイスキーの在庫ばかりが減って、商品がなくなるような気もしているのですがいかがでしょうか?
Rare Whisky 101の調査によると、現在市場に出回る10年から12年ものシングルモルトの品質は1970、80、90年代に同じ蒸溜所で製造された同じ熟成年数のボトルに比べて明らかに劣っていることが判明しています。これには以下のような様々な理由があります。
理由①
現在用いられている熟成年数は以前よりも若い。
例えば、現在の12年ものウイスキーは、熟成年数12年のウイスキーを100%使用しています。一方、数十年前はシングルモルトの需要も少なく、12年もののボトルには熟成年数12年、15年、18年のウイスキーが混合されていました。
理由②
樽材の品質が落ちてきている。
多くの専門家が「ウイスキーを作るのは樽材である」と信じるように、樽材品質の低下が大きく影響しています。
理由③
製品が均一化されてきている。
最後に、多くの大規模蒸溜所では同じ大麦麦芽、酵母、カットポイントを使用しており、とても似たウイスキーを製造しているという均一化の問題があります。
熟成年数の若年化や樽材の品質低下、製品の均一(無個性)化というのは時代の煽りもありそうですね。ファッション業界でもファストファッションが流行したように、効率化、自動化を優先しすぎると”作り手の美学”のようなものが削られてしまう気がして心配です。
しかし、今後はよりエイジド・ウイスキーの価値が上がりそうですね。
今回はわざわざスコットランドよりご登場いただき誠にありがとうございました。
というわけでみなさん。
もちろん飲んで楽しむことが一番のウイスキーではありますが、上の図にも出ていたような人気ブランド(閉鎖蒸溜所&シェリー樽、ポート樽が人気)が出すボトルに目をつけて、早めに投資しておくととんでもない価値が後々出るかもしれませんよ~。
日本からでもオンラインでウイスキー投資ができるのはこちら、「ウイスキーインベストダイレクト」。内容はGoogle翻訳で簡単に理解できるので、ウイスキー投資をやってみたい人は是非。