飲むべき!おすすめジャパニーズピュアモルトウイスキー10選
ジャパニーズウイスキーというタイトルですが、一部海外から輸入してきた原酒(バルクウイスキー)を国内で貯蔵、ブレンドした商品もあります。昨今、こういった輸入バルクウイスキーを使用した製品は「ジャパニーズウイスキー表記」をしないところも増えてきました。
富士御殿場蒸溜所 ピュアモルトウイスキー
富士御殿場蒸溜所にのみ存在するグレーンウイスキー用蒸留器“ケトル”を使って仕込まれた飲み口のすっきりしたモルト原酒を使っています。
酒質はややヘヴィですが、雑味はなくクリーンで柔らかい酒質。ふくよかで穏やか。やや粘性アリ。
モルトの穀物感は強く、そこまで複雑ではありませんが、仕事終わりに気軽に飲めるとても良いピュアモルト。
普段使いしたくなるウイスキーというのはこういうものを言うんだろうな。
笹の川 ピュアモルトウイスキー
福島県郡山市にある笹の川酒造安積蒸溜所がリリースしている山桜シリーズ。
オーク樽で5年以上熟成されたモルトとシェリー樽熟成モルト、ピーテッドモルトをバランスよくブレンドしたピュアモルトウイスキーで、モルトのリッチな味わいとシェリー樽由来のやわらかい果実香、甘い滑らかな口当たりと程よいスモーキーフレーバーが特徴の一品です。
5年にしてはなかなかボリューム感のあるウイスキーでストレートで飲んでもハイボールで飲んでも楽しめます。
個人的にはハイボールにするとスモークとシェリー樽のスパイシーさが強調され、脂料理との相性がいいように思えます。
ジャパニーズウイスキーでありながらラベルも洗練されておりバックバーにも並べやすいデザインですね。3000本限定でリミテッドエディションも出ているので、欲しい方はこちらは早めのほうがいいかもしれません。
マルスモルテージ 越百(モルトセレクション)
本坊酒造がリリースしている越百(コスモ)しリース。「ピュアモルト」の表記はないのですが、恐らく原材料はモルト原酒のみなので、ピュアモルトウイスキーに属するのだろうなと思い、ピックアップしました。
結構スーパーマーケットでも見かけることがあって、最初は怪しんでいたのですが、とても出来のよいウイスキーです。
まるくて柔らかい口当たりに仄かに香るスモーキーフレーバ―。
果実の酸味と穀物の香ばしさもしっかり立っており、飽きさせない実力派。
サントリーやニッカのシングルモルトに行く前にぜひ試してほしいコスパの高いピュアモルトです!
ちなみに商品名の「越百」は、中央アルプスに連なる山の一つである「越百山」から名付けられていて、ラベルデザインは宇宙を連想させる越百(コスモ)をイメージしているそうです。聖闘士星矢みたいですね。
AMAHAGAN アマハガン
2016年に長濱浪漫ビール施設内につくられた国内最小規模となるクラフトディスティラリーである長濱蒸溜所。
そんな長濱蒸溜所が将来のシングルモルトのリリースに向け、ウイスキーづくりにおいて最も重要な工程のひとつである「ブレンド」に焦点を当て生み出されたブレンデッドモルトシリーズが『AMAHAGAN(アマハガン)』です。
名称ですが長濱(ながはま)をローマ字にして反対から読むとアマハガンなんです。
ベースは海外のモルトウイスキー、そこに長濱蒸溜所のアランビック型の小さなポットスチルから生み出されたモルトをブレンド。バニラとオレンジピールの香りが特徴的でキャラメルや綿菓子の甘さを感じさせる風味。
ウッディでビター、チョコレートを感じさせる余韻。若さはややありますが、それを感じさせないうまくまとまっているブレンデッドモルトです。
上記で紹介したもの以外にも、レッドワインウッド、山桜ウッド、ミズナラウッドなどなど挑戦的なカスクフィニッシュも続々とリリースされています。
竹鶴ピュアモルト
言わずと知れたピュアモルト代表格。
IWCやWWAと数々の賞を獲得してきたニッカが誇るピュアモルトウイスキーです。
命名は言わずも知れた竹鶴政孝から由来します。ピュアモルトという名前が示す通り、ニッカのモルト原酒、余市・宮城峡をブレンドしたものとなっています。
華やかな『宮城峡』と過酷な自然環境に育まれたコシの強い『余市』が混ざり合い、絶妙なバランスで溶け合ってモルトの力強さを表現しながら、ブレンデッドの飲みやすさを与えてくれます。
12年、17年、21年、25年などがありましたが、常時手に入るのはこのノンエイジだけとなりました。色々な意見はあるでしょうが、飲まれたことがない方は、まずは試してみるべきです。
ニッカ セッション
2020年9月に発売し、人気を博しているセッション。ニッカの2本柱である余市と宮城峡の他に、ベン・ネヴィスをはじめとするスコットランドのモルト原酒もブレンドしたピュアモルトです。
ブレンディングを手掛けたのは、主席ブレンダーの女川裕司氏。
香りは柑橘感があり、スタートはオレンジや赤リンゴの酸を感じます。徐々にバニラとクリームブリュレ、そしてシナモン。
味わいはしっとりとクリーミーで、ミルクチョコレートのよう。フィニッシュはカカオのビターとピートの余韻。
コストパフォーマンスに優れた楽しいウイスキーですね。
963 ボンズ(BONDS)ブレンデッドモルト
笹の川酒造を代表するブランド「963ウイスキー」。
BONDS(ボンズ)は「つながり」や「絆」を意味し、多数の原酒をブレンド原酒と原酒をつなぎ合わせるというイメージから命名されたそうです。
マイルドな口当たりから完熟した果実とシロップのような甘さ、黒蜜をかけた芋。少しビターなフィニッシュで、小気味よくフレーバーがつながります。価格は少し張るイメージですが、長期熟成の原酒を使っているのがわかるエレガントな味わいです。
ちなみに”963”とは福島県 郡山市の郵便番号のことです。
甲州韮崎 ピュアモルト
山梨県のサンフーズ韮崎工場が生産している謎ウイスキー「甲州」。熟成年数や構成原酒などは明かされていません。
ピュアモルト表記なので複数のモルトウイスキーをヴァッティングしてつくられているのでしょうが、どこの蒸溜所の原酒を使っているのかは不明です。
ややエステリーで若々しい香り。シトラスっぽさがありアロマはスッキリとしています。ピートはほぼ感じず、ドライ。
まぁバランスは悪くなく、まさに格安ピュアモルトといった印象です。
加水にも比較的強く、ビターな印象が強くなる。ハイボールにするとモルトの旨味が増します。
あんまり買えないレアなピュアモルト4選
イチローズモルト リーフシリーズ
品薄で正規の値段では手に入りにくいリーフシリーズの「ダブルディスティラーズ」、「ワインウッドリザーブ」、「ミズナラウッドリザーブ」もまたピュアモルトです。イチローズモルトは他にもモルト原酒のみのブレンデッドモルトを出しているので、ピュアモルトが多いとブランドと言えますね。
秩父に行った際はぜひ。
マルスモルテージ 越百 限定品
上記で紹介したマルスの越百(コスモ)もいくつか限定品を出しています。運が良ければスーパーマーケットやリカーショップで出会うことができます。
通常のブラックが気に入ったらこういったカスクフィニッシュものも味わってみると一興です。越百はわりと個性もあるし、酒質がしっかりしていてマンサニージャは非常に好みでした。
竹鶴のエイジド品
ノンエイジ以外はすべて終売しており、完全にレアウイスキーの位置づけです。
ちなみに竹鶴は35年はピュアモルトじゃないのです。35年を除き、全て余市・宮城峡蒸溜所で作られたモルト原酒のみを掛け合わせて作られています。12年、17年、21年、25年は掛け合わせの比率は公表されていませんが、宮城峡の原酒がベースとなり余市のシェリー樽を香りづけに使用しているとの見解が多いようです。
どこかで出会うことが、多少奮発しても飲んでみる価値があります。
ニッカピュアモルト
すでに終売となってしまったニッカのピュアモルトシリーズです。
リリースは1984年。
ブラックは余市モルト主体、レッドは宮城峡モルトを主体、そしてホワイトは余市のモルトの中でもより強いピート香を着けたヘビーピートモルトを採用しています。
当時2000円前後で変えた商品なので、プレミア価格で買う価値があるかは疑問です。
しかし、このコロンとかわいいボトルデザインは印象的で、コレクションしたくなりますね。
及第点、そして微妙なピュアモルトウイスキー
ゴールデンホース 武蔵
東亜酒造が製造する埼玉県羽生市の地ウイスキー「ゴールデンホースシリーズ」。1990年代のウイスキー低迷期には生産を停止していましたが、2016年に復活しています。
ブレンデッドウイスキーのページで「武州」を紹介しましたが、こちらは「武蔵」。
スコットランド産モルト原酒を用いたピュアモルトウイスキーなのでジャパニーズの表記はありません。ラベルは思いっきりジャパニーズですが。
トップノートは若さが目立ちますが、フレッシュと言い換えられなくもない。洋ナシ、若草、芝生。
味わいは非常に正統派で洋ナシやハチミツ、シトラス、淡いピートから塩レモンシャーベット。ノンエイジですが、熟成期間のスコットランド各エリアの異なる原酒をうまくブレンドしている印象。ただコクや深みはあまり感じません。
ちょっと割高かな。
2000年にウイスキー製造を休止していた東亜酒造ですが、2021年2月1日より約20年ぶりに羽生蒸溜所を再開。仕込みを開始し、現在は自社蒸溜を行っています。今後は自社蒸溜した原酒もブレンドされるかもしれないので楽しみですね。
マツイピュアモルトウィスキー倉吉
2016年、ウイスキーファンの間では大炎上した松井酒造が誇る倉吉です。これもまたピュアモルト。
炎上の詳細理由はググってもらうとして、かなり強引な販売方法をとっていました。
しかし時はすべてを風化させます。昨今では多くの百貨店が扱っていて、18年とかは普通においしいです。なんの原酒を使っているのかは不明ですが、薄っぺらさはそこまでないし、円熟味をしっかり感じさせてくれます。
越ノ忍 ピュアモルト
以前こちらの謎モルトを飲む会でも登場した越ノ忍です。製造しているのは、新潟県新潟市西蒲区にある新潟麦酒株式会社。
海外ではめちゃめちゃ売れているみたいですね。パッケージいいですからね。
改めて飲むと味わいも悪くないです。少しブレンド比率が変わったのでしょうか?ただお値段設定は高めですね。
岳樺(だけかんば)
本坊酒造が国分北海道(国分の子会社)と共同開発したウイスキーで、北海道限定で発売されています。
なんと北海道民をターゲットに、道民の嗜好に合うように複数のモルトを厳選し造り上げた、モルト100%のウイスキー。かなり渋いターゲッティングですね。狭すぎるような気がしますが、楽天などでは普通に買えます。
「岳樺」のようなしなやかさと力強さをイメージして造られ、蜂蜜やドライフルーツを思わせる甘い香りと心地よいピート香が広がり、なめらかな口当たりと豊かなコクを併せ持つウイスキーです。マルス信州以外の原酒を使っていると思うので、正確にはジャパニーズピュアモルトではないと思います。
価格がね、ちょっと高いんすよね。
神息シリーズ
海外での販売戦略が非常にうまい印象の神息シリーズ。
日本の愛好家からは散々イロモノ扱いされていますし、実際にイロモノです。発売直前の2019年に取材の電話をかけたものの、ちょっと片言の日本語で対応され取材NGだったものの、昨今では市場でも流通するようになりました。
電話で取材申し入れしたけど「神息ウイスキー」を7/7の『なんだかきになるウイスキーを飲む会』までに手配するのは難しそう。
でも日本発売もまもなくなので期待して待ちます(´ω`)
— オーツカ (@BARREL365) June 11, 2019
スタンダード品の味わいは、「普通!」です(笑)
っていうか普通にウイスキー玄人は「まぁまぁうまいんじゃない」って言ってしまうと思います。
ビャクダンというほどではありませんが、確かに新しく建設された寺社仏閣のような香りがします。これが杉樽熟成か?ドライで余韻はかなりビター。和風建築風味。
ただし金額は高め。初心者には到底おすすめできません。
ウイスキー 歌舞伎
「ゴールデンホースシリーズ」を出している埼玉県羽生市の東亜酒造。武州や武蔵はたまに見かけますが、これは外国人用っぽい高価格帯のピュアモルトウイスキー。
パッケージが結構えげつないですね。
中身はスコットランド産モルト。モルトのみのヴァッテドです。
麻布シリーズ
大阪の株式会社ウィズワンがリリースしている、麻布シリーズ。海外向けに本坊酒造と手を組んで「Jp.もしもしウイスキー」をリリースしているウィズワンが山梨県にあるサン.フーズと提携して作ったのがこちらのシリーズです。
ハイランドやスペイサイドのモルト使っているようですが、なんとも勘違いしそうなラベルで、微妙な売り方ですね。味わね、えーとね、グレンフィディック18年飲むかな。
鳳シリーズ
南アルプスワインアンドビバレッジ(株)がリリースしている鳳。なんと25年まであります。
スコットランドの4つのモルトウイスキー原酒に、日本国内で30年以上熟成されたモルトウイスキー原酒をブレンドしているようです。これもまたラベルにそこはかとない詐欺感が(笑)。
富士山ウイスキー ピュアモルト
ふるさと納税でもらえるイメージしかないです。あんまり評判もよくないし、買う必要はないかと。
富士ヶ嶺(ふじがね)ピュアモルト
出たぞー。サンフーズだー。これ読んでください。俺が一番ダメだったピュアモルトだと思います。
角鷹(くまたか)
なんかただの「鷹」ってピュアモルトもあるよね?あれも確か南アルプスワインアンドビバレッジだった気がします。
もうなんかわからないなー(笑)
【おさらい】ジャパニーズピュアモルトウイスキー/ブレンデッドモルト
ジャパニーズウイスキーには大きく、シングルモルトウイスキー、ブレンデッドウイスキー、グレーンウイスキーの3つがありますが、ここで紹介したのは【ピュアモルト】というジャンル。
「シングルモルトウイスキー」は単一蒸溜所で製造されたモルト原酒だけを使って瓶詰めされたウイスキー、
「ブレンデッドウイスキー」は、モルトウイスキーとグレーンウイスキーの原酒を混ぜたウイスキー。
「グレーンウイスキー」は、大麦麦芽とトウモロコシ、小麦、大麦など様々な穀物を原料にしたウイスキー。
「ピュアモルト」は複数の蒸溜所の【モルト原酒のみを混ぜて作られたウイスキー】のことを指します。
ブレンデッドウイスキーと違い、グレーンが入ってないわけです。100%モルト同士だけを混ぜるのです。
ピュアモルトは、主に日本で使われている名称で、海外ではブレンデッドモルト(かつてはヴァッテッドモルト)と呼ばれています。
ピュアと頭付けることで、100%感が引き立つので、マーケティングの観点でピュアモルトと名付けられているとも言われています。
まとめ
というわけでピュアモルトについて書いてきましたけど、すげえたくさん出ていますね。
過去、駒ケ岳にもピュアモルト10年がありましたし、記憶が確かならば、ヘリオス酒造の「くら」もピュアモルトウイスキーだった気がします。
ジャパニーズウイスキーブームが続き、ここ何年かは輸入原酒を使った国内ウイスキーのリリースが増えました。
クラフト蒸溜所や小規模酒造メーカーは大手のように原酒の種類が豊富ではないので、なんとか輸入原酒をやりくりし、名称やデザインを試行錯誤して販売しています。しかしだんだんと消費者も賢くなり「体裁はジャパニーズウイスキーっぽいけど、日本で蒸溜した原酒使ってないじゃん」と気づくようになってまいりました。
ヘタな売り方は反感を買うようになってきてしまっているので、今後どのような展開を見せていくか非常に気になります。
個人的には海外原酒を使ったとしても、自社の個性を追求して特徴を出せる会社が残っていくと思います。
ジャパニーズウイスキーについては他にない切り口で色々おすすめを書いてますので見ていってください↓
今回はジャパニーズのピュアモルトウイスキー(ブレンデッドモルト)に限っておすすめを書いていくことにします。
「ブレンデッドウイスキー」ではなく、「ブレンデッドモルト」です。海外で買い付けたバルク原酒を使っているものも多いので、「全然ジャパニーズじゃないじゃん」というボトルもわんさかありますが、日本国内で発売されているもので比較的まともなものも選んでいければと思っています。
そもそもピュアモルトウイスキー(ブレンデッドモルト)って何?って人はページの最後を見てね。