ベイカーズの種類と味わい
ベイカーズ
こちらはベイカーズ、唯一のラインナップとなります。
クレアモントにあるハッピーハローロードのラック式貯蔵庫にて8~9段で7年以上熟成した原酒を使用してつくられています。
香りは熱したマツヤニ、ハニーアーモンドナッツ、焦がしたカラメル、良く焼いたトースト、奥にミント系のハーブ、アルコールの刺激も少々。
口に含むとボディは厚めでパンチのある口当たり、味わいは針葉樹の樹液を混ぜたメープルシロップ、ミルクチョコ、ココアなどの甘味とコク、パワフルな口当たり後半はカカオ系のビターとスパイシー感、ローストアーモンドの香ばしい余韻が長く続きます。
個人的には好みなのですが、かなりパンチが効いているため数敵加水してから頂くとカドが取れて飲みやすくなるため、おすすめです。
昨年2020年にはスタイリッシュなラベルに一新された「ベイカーズ2020」が数量限定でリリースされました。
現在は「シングルバレル 107PROOF」と表示されたクールなパッケージで通年販売しています。
ベイカーズ 13年
日本ではバーボン専門店以外ではまず見かけない長期熟成ベイカーズ。
あたりまえですが、風味も熟成年数に沿った深い味わいとなります。
グラスを近づけると溢れ出るマスクメロンとエステリー、シナモンのアロマ。
カラメル、レーズン、焼いたマシュマロなどの力強い甘味。アルコールの刺激は少なく暖かでいつまでも楽しみたい上品な香りが鼻口に居座ります。
味わいも香り同様メロン、カラメル、シナモンなどの甘味、深いコク、木の皮、木酢、バタースコッチ。
数分にわたり続きそうな長い余韻。贅沢でリッチな味わいのボトルです。
おすすめの飲み方・飲み進め方
ジムビーム社の四天王、スモールバッチバーボンシリーズの一角。
ブッカーズとノブクリークが圧倒的に人気なので、ちょっと陰に隠れがち。
熟成庫の中でも気温が高くて湿度が低い位置で7年以上熟成させ、熟成速度を速めたアルコール度数の高い原酒を使用してます。
(ブッカーズは)
ブッカーズと比べるとベイカーズのほうがシャープでスパイシー。あっさり目で辛口かなと思います。
ベイカーズはベリー系の味わいが強く、タンニンがあるので、シガーに合います。ブッカーズのほうが甘く感じる方が多いと思いますね。個人的にはベイカーズのほうが上級者向けのバーボンと思います。
おすすめの飲み方はストレート一択。ブランデーグラスだとかなりアルコールアタックがきつくなります。
ショットグラスがおすすめ。
ベイカーズの発祥と歴史
どこで作られているのか?
現在ジムビーム社からリリースされているボトルは世界120ヵ国で飲まれており、バーボン全体の約40%を占めるシェア率を誇ります。
もちろんバーボン界において世界No.1のトップブランド。
そんなジムビーム社のハイエンドラインには、ブッカー・ノウ氏が手がけたことで有名な「ブッカーズ」があります。その脇を固めるように存在しているのが、7年物の長熟バーボン「ベイカーズ」です。
ブッカー・ノウ氏のいとこで、同窓生のベイカー・ビーム氏の名前がブランド名に起用されました。
ビーム社にある途方もない数の樽の中から、厳選された樽原酒を使用してつくられた、スモールバッチシリーズのボトル。
クレアモントにあるハッピーハローロードのラック式貯蔵庫にて、過激な温度変化に耐え7年間熟成されたプレミアムバーボンで、107プルーフ(アルコール度数53.5°)というハイプルーフでボトリングされた、実に男らしい無骨な味わいが魅力です。
ジムビーム社は2014年にサントリーに買収されており現在ビームサントリー社の傘下に入り経営が行われています。
ジムビームの歴史
ジムビームは、1788年、ジェイコブ・ビームが、まだケンタッキーという名前さえなかったブルーグラスの丘に居を定めたことが起源です。
そこで農業の傍ら収穫したコーンやライ麦などを原料に、こんこんと湧き出る水を使い、古い銅製の蒸溜釜でウイスキー造りをはじめました。
そのウイスキーはたちまち評判を呼び、1795年には早くもバーボンを商業生産販売する専門の企業となっていました。
スコッチと比べてもこの大量生産体制に入るスピードは速いと言えます。
ジムビームの歴史はそのままバーボンの歴史とも言い換えられますね。
現在ジムビーム社の陣容は、クレアモントとボストン(ともにケンタッキー州)に製造プラントをもち、1日あたり1,300樽以上を生産しています。
貯蔵庫の数は55を数え、100万を超す樽が眠りについています。
貯蔵庫は7階建、緑のなかに建つ貯蔵庫は、1つ見るだけでも 度肝を抜かれるほどの大きさとスケールです。
蒸溜所やその他施設は時代の流れとともに近代的なものへと造り替えられていますが、その中ではビーム家が受け継いできた昔ながらの製法が守られ、変わらぬ昔ながらのバーボンが量産されているのです。
ビーム家4代目のジェイムズ氏は“中興の祖” とも言える人物で、現在の蒸溜所名や「ジムビーム」というブランド名は彼の愛称「ジム」から付けられたものです。彼は禁酒法解禁直後の1930年代、現在のクレアモントの地に蒸溜所を再建し、バーボン産業復興における重要な役割を担ってきました。
そして6代目ブッカー・ノウは、4代目ジェイムズ氏の孫に当たる人物で、ケンタッキー大学を卒業するとすぐにジムビーム社で仕事に就きました。
ノウ氏はそんな偉大な祖父から直接バーボンづくりを授かった最後の世代で、受け継いだレシピを彼なりにアレンジしブッカーズやベイカーズなど様々なプレミアムバーボンを手掛けてきました。
多くのレシピを生み出したブッカー・ノウ氏も今では「ディーン・オブ·ケンタッキー(ケンタッキーの長老)」と敬われる年代になりましたが、大学時代アメフトのライトタックルとして活躍した頑丈な体は健在で、その姿はまだまだ若々しくあります(ちなみにノウ氏は1929年生まれ)。
彼はクレアモント蒸溜所の敷地内にある、かつて祖父が暮らした家に泊まりこみ、 バーボンづくりの日課を心底楽しむ日々を送っています。
釣りが趣味で、ときにはアラスカまでサーモン釣りに出かけることもあるのだとか。そして休日には自家製ハムを作ったり、来客があると豚を1 頭丸焼きにして振る舞うこともあるそうです。
このようなアメリカならではの余裕のあるライフスタイルが、ジムビームという素晴らしいバーボンを造り続けるエネルギーの源となっているのでしょう。
ビーム家の次の世代である7代目は、ブッカー・ノウ氏の息子フレディー・ B・ノウ氏となります。
ノウ氏が修得した ビーム家の秘伝と技法は、こうしてまた父から息子へ、そしてそのまた次世代へと受け継がれていくのです。
ベイカーズの製法
ベイカーズの原料となるトウモロコシは大粒で高品質のデントコーンを使用されています。
材料は全体の51%以上をトウモロコシ、残りはライ麦、大麦などの穀物が使用されています。
仕込水はケンタッキー州の石灰岩質の地盤をくぐり抜けて濾過された湧き水「ライムストーンウォーター」を使用。
ライムストーンウォーターにはカルシウム成分が豊富に含まれており、その働きにより発酵の際、バクテリアが生む「酸」を抑制し、原酒の旨味を引き出してくれるといいます。
糖化槽は1万ガロン(約37.85kl)のマッシュタンを使用。
その中にライムストーンウォーターを入れ、時間をかけて糖化させます。
発酵の際使用される酵母は「ジャグ・イースト」と呼ばれるもの。これはビーム家に代々伝わる酵母で、禁酒法解禁以降75年以上、同じものを使用しています。
ちなみにジャグ・イーストはベカーズだけでなくジムビーム社でつくられるラインナップすべての原酒に使用されています。
発酵させたマッシュは高さ約20メートルの蒸溜器、コラムスチルへと移しかえられ48度という低温で加熱されます。低温にすることで沸騰を避け、風味を損なわずアルコール分のみ蒸発させることができるのです。
蒸溜した原酒は焼き入れ(チャー)を行ったばかりのオーク樽に詰めます。
樽の内側は強くチャーリングされており、内表面がワニの皮膚(うろこ状)のようなっていることから、この焼き入れ方法は「アリゲーターチャー」と呼ばれています。
樽に詰め変えられた原酒は風通しの良い丘の上に建つラック式貯蔵庫に保管されます。
ビーム社の貯蔵庫は9段積みで上段にいくほど庫内の温度は高く、湿度は低くなります。そのため上段は原酒の樽を通しての呼吸が活発になり熟成スピードは加速、水分が減りアルコール度数が高まります。
ベイカーズは上段の8~9段で7年以上熟成した原酒を使用しつくられているようです。
このラックの段数と熟成年数の厳守を用いることで、ベイカーズのボディの厚み、力強い樽香、パンチのあるスパイシーな味わいが生まれるのです。
ざっくり概要と味の特徴
ベイカーズはアメリカのケンタッキー州でつくられるバーボンウイスキーです。
日本では最もメジャーなバーボン「ジムビーム」のハイエンドモデル(スモールバッチシリーズ)で、プレミアムバーボンという呼び名がしっくりくるブランドです。
ジムビームのハイエンドといえば「ブッカーズ」が有名ですが、ベイカーズはこれに勝るとも劣らない味わいのボトルとなります。味わいの割にまだ知名度的が追いついておらず、ブッカーズより比較的手軽なお値段で楽しめます。
ブッカーズをつくりあげたブッカー・ノウ氏のいとこでクレアモントの同窓生ベイカー・ビーム氏の名前からブランド名がつけられました。
ブッカー・ノウ氏が手がけたスモールバッチシリーズには、現在ベイカーズの他にブッカーズ、ノブクリーク、ベイゼルヘイデン、がリリースされています。