前回の「マグメル/ウィリアムソン12年」は、みなさんが盛り上げてくれたおかげもあり、非常にスピーディに完売いたしました。
多くの方に飲んでいただき、とても感動いたしました。
あれから約1年。
今年もプライベートウイスキーボトルをリリースさせていただきます!
第二弾ボトルは、ハイランドエリア27年熟成のティースプーンモルト「Tír na nÓg(ティル・ナ・ノーグ)」です。
今回はたくさんの大人の事情が絡み合い、蒸溜所名はおろか、製造国から熟成樽にいたるまで、ほとんどの情報がラベルに記載できないという、謎多きウイスキーボトルとなりました。
あまり市場には出回らないブランドで、個人的には近年、「神(紙)がかった進化を遂げた注目の蒸溜所のひとつ」と感じている蒸溜所です。
ナチュラルカスクストレングスでボトリング。限定266本のご用意です。
テイスティングノート Tasting Note
【香り】
奥行きのある華やかな香り立ち。オイリーで円熟味のあるウッディネス。
わずかにケミカル、ハーバルなジャスミンとスミレのアロマ。
ミドルノートは白ブドウ、ライチ、イチヂク。ミルクプリンとほろ苦いカラメルソース。古書堂で開く図鑑。
複層的な香りの中に、軽快な甘酸っぱさを形成しており、均整がとれている。
【味わい】
非常にオイリーで粘性のある力強いアタック。
切り花のような青臭さの中にオレンジやパイナップルキャンディの甘酸っぱさ。
ボディは比較的ライトだが、後半にかけ乾燥した木材、金柑の皮のようなウッディさがある。
【フィニッシュ】
フィニッシュは暖かく、ビター。
樽感は重くなく、透明度の高い仕上がりだが凝縮感がある。
キレよく、余韻はミディアムショート。
わずかにワクシー、嫋やかな麦芽の甘みが儚く散る。
【総評】
―― 古書に囲まれ電話を待つ、ミステリアスな少女探偵 ――
ラベルとピタリと合う、妙味のある味わい。
固さはなく、注いでから数分で立体的な香味が楽しめます。
パフューム香はポジティブですがいます。苦手な方はお控えください。
開封15日程度でグアヴァや熟したイチジクのような濃厚なアロマへ変化。ややケミカルでインクのようなニュアンスもあり。
フィニッシュは暖かくキレあがりがよく、熟成度のわりにホイホイ飲めてしまうミステリアスなボトルです。
ストレートで楽しんでいただけますが、温度40度程度の「ホットウイスキー」が抜群においしいです。
これからの寒い季節におすすめいたします。
【香り】
フローラルで熟したパパイヤを感じる。
他にも、ザッハトルテ、チョコレート、ココア。
【味わい】
バター由来のオイリーさがあり、木なりの葡萄、若いプルーン、かすかに杏子。
余韻のキレがよく、粉っぽい渋みがフィニッシュにある。
まずは余計な加水はせず、じっくり香りがひらくまで待ちましょう。
強くスワリングすると、パヒュームなど個性の強い香りで繊細な香りが覆われてしまいます。
スワリングなどで無理に香りをひらかせない方が良いと思います。
酒屋BARレモン・ハート店主 古谷 陸
【香り】
穏やかに始まり徐々に強くなる。
弱いグラッシーさとフローラルさが先行し、スミレ、ラベンダー、シトラス。
そこからゆっくりとクレームブリュレ、麦芽の熟成感と甘いフルーツ香が現れてくる。
アプリコット、パイナップル、青リンゴ。
【味わい】
口当たりは度数より優しい印象。
レモンキャンディ、乾いたウッディネスの収斂、穏やかにパイナップルと熟成感。ボディは中程度で、そのまま余韻に移行する。
【余韻】
バーボンカスクを思わせる乾いたウッディネスの収斂を引き継ぎ、ゆっくりとキャンディ、青リンゴが帰ってくる。僅かに生姜と白胡椒のスパイス感。
このボトルは加水したほうが断然美味いと感じました。加水によって乾いた樽感からハチミツとオレンジが立ち現れてきます。
なので加水もコメントしておきます。
【加水】
ストレートと比べると乾いたウッディネスから蜂蜜とオレンジピールのニュアンスが立ち現れてくる。
ややアルコールも立ち上がるが、ゆっくりとオレンジクリームも現れる。ボディも崩れない。
ドリンカーズラウンジ 夜久 宜滋
【香り】
アルコールの強さを感じさせない穏やかな立ち上がり。
オイリーなイメージの中にシャンプーのようなパヒューミー。りんご、ピーナツバター。時間経過でミルクプリン。
弱く金属、ドライフルーツ。かすかにマウンテンデュー。
【味わい】
おだやかでとてもきれい。
ミルキーさに加え、バターのようなクリーミーな側面が強いからか、パヒュームはポジティブに感じる。
切れ味は心地よく軽快。
フィニッシュはあっさりしているが、長熟の深みが芯に宿っている。
ひとくちウイスキー店主 滝 駿介
ラベルデザインは「今井喬裕」氏
今年の白日会展中止により未発表の絵ですが、先にまさかのウイスキーデビューとなります!マグメル第二弾「Tír na nÓg(ティル・ナ・ノーグ)」 https://t.co/AAJYly8yGB
— 今井喬裕 (@ghost236) December 11, 2020
今回のラベルデザインも第一弾同様、今井氏に担当していただきました。
次世代を担うアーティストとウイスキーボトルのシリーズをつくれてとても光栄です。
なおタイトルの「ティル・ナ・ノーグ(チールナンノク)」は、ケルト神話に登場する楽園の一つで「常若(とこわか)の国」 と呼ばれています。
ティル・ナ・ノーグには妖精が棲んでいるほか、不思議の「りんご」の木、食べても生き返る「豚」、永遠の若さを授けるゴブニュの饗応がある場所とされています。
ちなみにマグ・メル(Mag Mell)もケルト神話に出てくる楽園で、病気も死も存在せず、永遠の若さと美しさを保つことができる土地とされています。
(※作家来場予定日:1月15日(金) 13時から17日(日)18時まで)
このラベルの作品「Private Detective」も実寸サイズ(193.9cm×112.1cm)で展示予定です。
間に合えばボトルも展示予定らしいので、みなさまお時間があったらぜひどうぞ!
僕も最終日になっちゃうと思いますが、顔を出そうと思います~。
販売のご案内
価格 | 30,000円(税込 33,000円) |
地域 | Highland |
熟成年数 | 27year |
カスクタイプ | Secret |
度数 | 57.3% |
容量 | 700ml |
一般販売は12月20日(日)19:00より開始
この商品はお一人(一店舗・ご一家・一配送先)様につき2本までとさせていただきます。
※販売は酒屋BARレモン・ハートさんに委託しております。重複しての複数のご注文等は照合の上、弊社の判断にて全てのご注文をキャンセルとさせて頂く場合がございます。
今回はシークレット要素の強いボトルとなりましたが、ウイスキーを飲みなれている方はわかることでしょう。
値段も味わいもやや玄人向けになったかなと思いますが、トータルでバランスが良く、この味わいは個人的にもとても評価しています。
そして前回のリリースから始めた「現代画家×ウイスキー」というラベルスタイル。
これまでのプライベートボトルにはこういった前例が少なかったからか、昨年は本当に多くの反響をいただきました。
呼び水になったかはわかりませんが、2020年は次々とアーティスティックなウイスキーボトルが登場し、これまで以上にウイスキー界隈が活気づいたように思えます。
味はもちろんのこと、ビジュアルも美しいボトルが増えるのはとても素敵なことだと思います。
僕もこれからはより多角的にアプローチを続け、全くウイスキーを知らない方にも反響を伝えられるような仕掛けをしていきたいと考えています。
来年はボトル以外もリリース予定です!お楽しみに。
謎多きモルトの割に、そこそこお値段が張りますので、今回は複数の方に飲んでもらってテイスティングコメントを書いていただきました。