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ホワイト&マッカイを学ぶ!味や種類、おすすめの飲み方

ホワイト&マッカイを学ぶ!味や種類、おすすめの飲み方

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オーツカ

ざっくり覚える!

ホワイト&マッカイはスコットランドにある「ホワイト&マッカイ社」がリリースしているブレンデッドウイスキーです。

100年以上続く老舗のウイスキーメーカーで、世界的に有名なウイスキーブランドではあるのですが、日本での知名度、販売している店舗の数などは今一つ。ウイスキー愛好家以外は名前も聞いたことがないと思います。

ですがその実力は折り紙付き。

第一の特徴は、シェリーバット(シェリー酒熟成用の大きな樽)にて後熟を2回施す「ダブルマリッジ製法」。
スピリッツに赤みがかった琥珀色を宿し、フルーティで深い風味を与えています。

第二の特徴は、リチャード・パターソンという伝説のブレンダーを擁しているところ。

彼は26歳の若さでチーフブレンダーとなり、その後約50年経った今も現役で同社のブレンディングを行っている、いわばレジェンドです。

ホワイト&マッカイはその長い歴史の中で、数多くのボトルがリリースされています。
終売となっているボトルも多く、時代によっては味わいが大きく異なるものもあるため、飲み比べして違いを楽しむのも一興です。

 

おすすめの飲み方・飲み進め方

オーツカ

良くも悪くもリチャード・パターソン氏のキャラクターが濃すぎて、その優しく丸い味わいを忘れそうになるホワイト&マッカイ。

キーモルトは、同社が所有するダルモア蒸溜所の原酒を筆頭に、フェッターケアン、タムナヴーリンなど。

現行品の「トリプルマチュア―ド」は、ビギナーでもおいしく飲める「するする系ウイスキー」です。

同じブレンデッドウイスキーのバランタインやジョニーウォーカーに比べても、ずっと飲みやすいので、シングルモルト強の方などにはやや物足りないと思う部分もあるかもしれません。しかし、久方ぶりに帰ってきた実家のような安心感を得ることができます。

ストレートはもちろん、ロック、ハイボール、水割りとどんな飲み方もできてしまう万能系ウイスキーです。
強いて言うならおすすめはホットウイスキー。寒い季節に甘やかで華やかなシェリー感はとてもおいしい。

オールドボトルも流通量が多く、香港や台湾周りのものはまだまだ手に入ります。
ボトルの状態がよければ、旧き良きシェリー樽熟成の味わいを堪能することができます。
古いものでもたっぷりとしたボディがあり、特に21年、30年あたりの長熟は、過去のフェッターケアン、ダルモアの奥深さを感じさせてくれることでしょう。

「ほー、いいじゃないか。こういうのでいいんだよ。こういうので。」を地で行くマイルドで均一性の高いウイスキーです。

ホワイト&マッカイの発祥と歴史

どこで作られているのか?

当時のホワイト&マッカイ社

©whyte&mackay

ホワイト&マッカイにはアラン&ポーターという前身の会社が存在します。

アラン&ポーター社は1844年創業のレンタル倉庫や雑貨卸売を行う会社でした。こういった雑貨店スタート、当時の界隈にはよく見かけますね。ジョニーウォーカーもキルマーノックの食料雑貨店スタートで有名ですね。
当時支配人として勤めていたジェームズ・ホワイトが友人のチャールズ・マッカイを誘い、ウイスキー業界に進出しようと思い立ちます。

そして1882年、グラスゴーで二人が新たに立ち上げた会社がホワイト&マッカイ社です。

ホワイト&マッカイ社のロゴ

創業から間もなく自社ブランドのブレンデッドウイスキー「ホワイト&マッカイ スペシャルブレンド」をリリースします。

1880年代は、モルトウイスキー業界は不景気でしたが、その後回復。
他社のウイスキーとは一線を画す後熟を2回施した「ダブルマリッジ製法」のホワイト&マッカイは好評を博し、事業は順調に進みます。

ダルモア蒸溜所そばの蒸留所のすぐ隣にはクロマティー湾

ダルモア蒸溜所そばの蒸留所のすぐ隣にはクロマティー湾

創業者であるジェームズが1910年に、チャールズが1921年に他界。
その後、彼らの息子であるハートリー・ホワイトとウィリアム・マッカイに引き継がれて経営されます。

1935年になるとウィリアムが退社し、以降はハートリー・ホワイトが1人で会社を切り盛りするようになります。

そして第二次世界大戦が勃発。
この混乱から抜け出したホワイト&マッカイは1960年、旧知の仲で、ダルモア蒸溜所を所有しているマッケンジー・ブラザーズ社と合併します。

ダルモアのエンブレム

マッケンジー社の創業者であるマッケンジー兄弟と、ホワイト&マッカイ創業者であるジェームズ・ホワイトとチャールズ・マッカイは古くからの知り合いだったとうことで、ホワイト&マッカイのキーモルトにダルモアを使用していたのです。

まさに持つべきものは友。

ホワイト&マッカイ社はダルモア蒸溜所を確保することで、貴重なモルト原酒の確保をすると同時に、蒸溜事業への進出に成功したのです。

〜蒸溜所の買収とオーナーの変移〜

1972年フェッターケアンとトミントール蒸溜所を買収すると、1988年にはリースにあるボトリング会社ウィリアムミュアー社を買収。

会社の規模をみるみる拡大していきます。

ウイスキーボトリング

あんまり知られていませんがウィリアムミュアーは当時、スコットランドにおける最大規模のボトリングプラントを所有しており、これによりホワイト&マッカイは蒸溜からボトリングまでを社内で行えるようになりました(ウィリアムミュアー社が所有していた倉庫内で「シンジケート58/6」のもとになったウイスキーが発見されたエピソードもあります)。

ちなみに80年代に日本でホワイト&マッカイの輸入代理店行っていたのはソニートレーディング社。
そうあの電化製品で有名なSONYです。

同社はグループの電化製品を船に乗せて欧州へ輸出し、空にになった帰りの船に輸入品を積んで帰国する…というやり方をとっていました。
その帰路の船内には今となっては貴重なスコッチウイスキーも多く存在していたそうです。

ソニートレーディング社

1990年はジムビーム社が所有するアメリカン・ブランズ社の傘下に入ると、1993年に当時スコットランドに5つの蒸溜所を所有していたインバーゴードンディスティラリーズ社を買収。

これにより7つのモルト蒸溜所と、1つのグレーン蒸溜所を所有する超巨大企業へと変貌しました。

〜ホワイト&マッカイ社が所有するモルト蒸溜所〜

当時、ホワイト&マッカイが所有していた蒸溜所は以下。

ダルモア蒸溜所
  • ダルモア
  • フェッターケアン
  • トミントール
  • タムナヴーリン
  • タリバーディン
  • ブルックラディ
  • アイル・オブ・ジュラ

またインバーゴードン社が所有していたブレンデッドウイスキーのブランド権も所有していました。その銘柄は

  • クレイモア
  • リアルマッケンジー
  • オールドマル
  • ジョンバー
  • マッキンレー
  • クルーニー
  • フィンドレーター
  • スコッツグレイ

など多岐にわたりました。

しかしその後いくつか売却が行われ、現在ホワイト&マッカイ社が所有している蒸溜所はダルモアとフェッターケアン、タムナヴーリン、アイルオブジュラの4つとインバーゴードン社が所有していたグレーン蒸溜所のみとなります。

また社名もコロコロ変わったのですが

「JBBグレイターヨーロッパ社」→「キンダルインターナショナル社」→「ホワイト&マッカイ社」

と結局、最終的には元の企業名に戻されました。

フィリピンのエンペラドール社

オーナーは2007年にインドのユナイテッドブルワリーズ社(UB社)に買収され、しばらくインド資本となりましたが、その後ディアジオ社が一部資本を購入。
現在はフィリピンのエンペラドール社により経営されています。

このあたりの変遷はややこしいですね。

ちなみに経営をしているエンペラドール社はフィリピンが世界に誇る「ブランデー世界最大手」の企業で、フィリピンの大人気ローカル酒「エンペラドール」を製造販売しています。この「エンペラドール」はかなりクオリティが高いのに、750ml、200円で買えてしまいます。
ホワイト&マッカイの買収額は4億3千万ポンド(約740億円)。さすが財閥企業。

〜伝説のブレンダー、リチャード・パターソン〜

ホワイト&マッカイは1990年代から社名やオーナーが目まぐるしく変わりましたが、その激動の中でもホワイト&マッカイをつくるブレンダー、リチャード・パターソン氏だけは変わらずその席に身を置き続けました。

ホワイト&マッカイをつくるブレンダー、リチャード・パターソン氏

パターソン氏は1970年にホワイト&マッカイ社へ入社。

26歳の若さでチーフブレンダーとなり、その後約50年経った今も現役で同社のブレンディングを行っている、いわば伝説のブレンダーです。
そのノージング技術は素晴らしく「偉大なる鼻」という異名を持ちます。

巧みなブレンディングから生み出されるホワイト&マッカイの味わいは高く評価され、スコッチウイスキーにおける生産量の約10%を占めるまでとなりました。

ちなみに、これまでパターソン氏が入社してから11回オーナーが代わり代表者が13回交代したといいます。

かなりお年なパターソン氏ですが、2021年現在もまだまだ現役。
繊細かつ大胆なノージングを行う「偉大なる鼻」と「ダブルマリッジ製法」がホワイト&マッカイの風味を守り続けているのです。

ホワイト&マッカイの製法

ホワイト&マッカイの特徴は2回にわたり後熟を行っていることです。

この製法は「ダブルマリッジ」と呼ばれ、今でこそ多くのブレンダーや蒸溜所がこの製法を取り入れているものの、当時としては画期的な手法でした。

 

ダブルマリッジはモルト原酒とグレーン原酒をより深く馴染ませ、スピリッツに複雑な風味を与えます。

またホワイト&マッカイの後熟用の樽にはシェリーバットが使用されており、これによりスピリッツに赤みがかった琥珀色を宿し、フルーティで深い風味を与えています。

ホワイト&マッカイのシェリーバット

製法を明記すると、まず厳選された35種類のモルト原酒をヴァッティングして8〜12ヶ月寝かせます。
これは「ファースト・マリッジ」と呼ばれます。

この工程の後、グレーン原酒がブレンドされ再びシェリー樽で寝かす「セカンドマリッジ」と呼ばれる2度目の熟成期間に入ります。

ホワイト&マッカイ・スペシャル・ブレンドは現在「スペシャル」というブランド名に変えられており、この他に22年、30年、40年などのラインナップが存在し、この全てにダブルマリッジ製法が採られています。

ラインナップの多さもホワイト&マッカイを語る上で特筆すべきポイントといえます。

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ホワイト&マッカイの種類/ラインナップ

ホワイト&マッカイ トリプルマチュア―ド(スペシャル)

ホワイト&マッカイのスタンダードボトル。

2007年までは「ブルーラベル」というブランド名でリリースされていました。
旧名はスペシャル。
現在は「トリプルマチュアード」という名称でダブルマリッジならぬ3段階の熟成が施されています。

  • ①既に熟成されたモルトウイスキー数種をヴァッティング→シェリー樽にて熟成
  • ②既に熟成されたグレーンウイスキー数種をブレンド→シェリー樽にて熟成
  • ①+②をブレンドして更にシェリー樽で後熟成

という製法。

香りはノンエイジとは思えないコクのある糖蜜の甘み、マジパンの香ばしさ、ミルクキャラメル、ブラウンシュガー、レーズン入りのビターチョコ。

味わいはベリー系のドライフルーツ、焼いたオレンジ、ブリュレ、マーマレード、白桃。

余韻こそミディアムですが、モルト香、シェリー香のバランスがよくスムースに飲めるコスパ抜群のウイスキーです。

IWSC 2011,2013,2014,2015 金賞受賞という輝かしい成績を残した極めてコストパフォーマンスの高いボトルとなります。

ホワイト&マッカイ ゴールデンブレンド デラックス

こちらは主に90年代に流通していた日本市場向けにリリースされていた終売ボトルです。

香りは薄めたバニラエッセンス、カスタードクリーム、ドライラズベリー、ダークベリー、夏のハーブ(たとえばアニスヒソップ)ナツメグ、フェンネル。

口に含むとクリーミーな舌触りで、蜂蜜をお湯で溶かしたような温かな甘み、ジンジャーシロップ、後半にブラックペッパーのスパイシーさ、レモンピールの爽快さと苦みが顔を出します。

独特の植物様のビターさがあって面白く、熟成感はあまりありませんが、シロップのような甘さがおいしいです。

ホワイト&マッカイ 13年

こちらは13年もののホワイト&マッカイ。

現在は終売しているボトルですが、オークションや通販ではちょいちょい見かけます。

香りはブラックチェリーやプラムなどのドライフルーツ、シナモンスパイス、カシス、バニラクリーム。

味わいはラズベリーやレーズンなどの酸味を伴う甘み、カカオの効いたチョコのビター、木酢、ジンジャースパイス。

飲むたびに伝わるクリーミーさと、ドライフルーツの甘み、後半に訪れるスパイシーさが特徴的なボトル。

加水すると後半に隠されたスモーキーさが顕在してくるので、何度も楽しめるボトルです。

ホワイト&マッカイ 15年 セレクトリザーブ

15年もののホワイト&マッカイ。
シェリー樽を使ったダブルマリッジ製法でつくられたボトル。

ダルモアのボトルに似た形状をしていますね。終売したオールドボトルです。

香りはクレームブリュレ、ドライプラム、ブラックベリーのタルト、杉などの針葉樹系の樹脂。熟成感があって嫌みのないアロマです。

味わいはダークチェリー、ブルーベリージャム、ダークチョコ、干し草、カスタードパイ、後半に紅茶。

針葉樹の樹脂や紅茶などの少しエグみのあるテイストがクセになる1本です。タンニンをとらえやすい人はちょっときついかな。

ホワイト&マッカイ 21年

こちらは21年以上という長熟の原酒を使用して作られたホワイト&マッカイ。

終売していますが、通販市場やオークションではまだ手に入るボトルで、21年という長熟ブレンデッドを試すにはちょうどよい売れ筋商品です。

香りは上品なレーズンやキャラメル、ブラウンシュガー様のオールドシェリー香。シリアルと干し草、なめし革のようなスパイシーさ。辛さはなくやさしいです。

口に含むとスムースでまろやかな口当たり、メイプルシロップの優しい甘み。ゴクッと飲んでしまいたくなるシルキーさがあります。
うっすらと紅茶のタンニン、麦芽クッキー、カラメル、小さいラズベリーの実が入ったシリアル。後半にオレンジピール、ビターチョコ。

まさにちょうどよいスイート&ビターの調和を楽しめる1本です。

このボトルはいくつかラベルチェンジが行われており、写真の金属プレートタイプは1980年代流通のもの。これ以前、1970年は楕円形の金色シールラベルでした。

さらにホワイト&マッカイは21年ものを多く展開しています。

マットブラックのボトルにゴールドのロゴがあしらわれた「ホワイト&マッカイ 21年 シェリーウッドフィニッシュリザーブ」や、これまたエレガントなマットブルーのセラミックボトルにエンボス加工が施された「ホワイト&マッカイ 21年 マスター・リザーブ」が存在します。

ホワイト&マッカイ 22年

こちらはやや珍しい22年もの。
マスターブレンダーのリチャード・パターソンによる上質なブレンドが施された限定リリースの長熟ボトルです。

香りはシルキーかつ丸みのあるカシスの優しい甘み、トフィ、加糖のコーヒー。

口に含むとまろやかな丸みのあるボディ、バニラエッセンス、ベリー系のドライフルーツ、ベリーのジャム、ブドウ、木酢、マジパン、後半にブラックペッパーのスパイシーさが訪れます。

ふくよかな甘味と熟成感が豊富で、フィニッシュのあと温かい余韻が深く長く続きます。

ホワイト&マッカイ 30年

こちらは30年というラインナップの中でもかなりの長熟シリーズ。
通販ではあまり見かけなくなりましたが、オークションではたまに出品があります。

優しく温かなオールドシェリーの風味が際立つ1本です。

香りはシェリーからくるブドウやベリー系の優しい甘み、ブラウンシュガー、メイプルシロップ、青梅、古いオーク材の心地よいウッディさ。

口に含むとスムーズかつマイルドな口当たり。
味わいは焦がしたキャラメル、ブラウンシュガー、イチヂク、藁、ポン菓子、砂糖漬けのオレンジ。後半に僅かなピートを感じます。

しっとりとした余韻だが長さはあまりない。ダークチョコレートとチェリーの余韻。
30年という長熟からくる複雑なアロマやフレーバーをゆっくりと堪能できる素晴らしき1本です。

なお、ホワイト&マッカイ30年には、このページのトップで画像使用したブラウンラベルのものや、白ラベルが存在します。そちらは43度と飲みごたえが一段上です。

 

オーツカ

テイスティンググラスに鼻を突っ込み、プレートの底面を指一本で支えながら香りをとっている人をみかけたら「リチャード・パターソンですね」と突っ込んでみてください。モルト通として仲良くなれるはずです(たぶん)。




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