グラスレビュー番外編はいわゆる高価格帯のグラスを特集していきます。
第一弾はリーデルの最高級ハンドメイドグラス「ソムリエシリーズ」から【コニャックXO】です。
リーデルのハンドメイドアイテムは、ひとつのグラスができあがるまでに25人ものオーストリアの職人の手を経てつくられています。
こだわり抜いたエクストリームな逸品なのですが、マシンメイドである<ヴィノム>と比べると約4倍近い価格差があります。
この価格差に見合う実力があるのかどうか今回は実際に2年半ほど使った僕がレビューしていきたいと思います。
リーデルブランド紹介
260年以上の歴史を誇るワイングラスの老舗中の老舗、リーデル。
リーデル社は1756年に創業し、11代にわたる家族経営を守り続けています。
1950年代後半、リーデル家9代目当主クラウス・リーデルが史上初めてブドウ品種に合ったグラス形状というコンセプトをワイングラスの世界に導入しました。
その後、リーデルはそれぞれのブドウ品種毎の個性に合わせたワイングラスを次々と開発し、世に送り出したのです。
これらのグラスは、ワインの香り、味わい、バランス、そして後味を感覚へと移しかえる機能をもった、“ワインの個性を引き出すグラス”です。
リーデルが手掛けるグラスやデカンタは、ワインやスピリッツを嗜むための最高の器として世界中に普及しています。
ソムリエシリーズとは
<ソムリエ>はリーデルを代表する最高級ハンドメイドシリーズで、1973年に誕生しました。
それまでのワイングラスは、同じボウル形状でサイズだけが異なるものしかなく、ブドウ品種毎にボウル形状の異なるこのシリーズは業界内に大きな驚きを与えました。
ソムリエシリーズのグラスは、オーストリアのリーデル本社に隣接する工房で熟練の職人によって丹誠込めて創られます。
グラスの仕上がりは極めて薄く軽量。
ゴテゴテした装飾もなく、デザインの基礎とも呼べるシンプルな風貌。
それぞれのワインの個性を伝えるためだけにチューニングされたというグラスは、ワインを楽しむ素晴しい時間を、より一層豊かなものにしてくれることでしょう。
今日ではワイングラス形状のスタンダードとなり、世界中のワイン愛好家から絶大な信頼を集めています。
製品のスペックと特長
リム
これまで使ってきたテイスティンググラスの中では最薄の部類。
恐らく0.8mm程度。
シャープで切れ味が鋭いというよりは、フワリとやさしい口当たり。
ハンドメイドらしいあたたかみを感じる造形で、口内に運ばれてくるドリンク量もベストな設計。
ボウル
「洗練」という言葉がふさわしい完璧なボウルフォルム。
グラス造形の黄金比とはまさにこのこと。
木村硝子のテイスティンググラス200mlも美しいと感じたが、比べると歴然。やはり価格差が出る。
ボウル内面は非常になめらか。
スワリングもしやすく、ゆっくりではあるが丁寧に確実にアロマを引き出す。
透明度は高く琥珀色のウイスキーを華麗に彩る。
ステム&プレート
まっすぐに伸びた引き脚。
細くはないが、全体の高さとボウルとのバランスがよい。
ハンドメイドならではの繊細はしっかり感じさせる。
マシンメイドのヴィノムはゴシック体のロゴだが、ソムリエシリーズの台座には、筆記体のリーデル商標が刻まれている。
熟練の職人の手によって作られた信頼の証だ。
スペック/商品仕様
高さ | 165mm |
口径 | 23mm |
底面積 | 67mm |
最大径 | 67mm |
重量 | 81g |
容量 | 170ml(約2.7oz) |
どんなウイスキーに向いているか
このソムリエコニャックXOはリーデル社とブランデーの大手であるヘネシー社が共同開発し、長熟ブランデーに特化してつくられたグラスです(XOやパラディなどは、 熟成年数が30年以上を経たコニャックから造られています)。
ウイスキー、ブランデー共に長熟品には繊細で微細でゆらぎのある芳香があります。
ボウルの腹がまるくなっており、このくびれにアロマの溜まりができるのです。
凝縮されたアロマは煙突状の口部から力強く押し出されます。
じっくりとウイスキーに向き合える最高峰グラスのひとつでしょう。
とにかく気分が高まります。所有欲は満たされまくり。
オールマイティなグラスですが、なるべく長熟で希少なウイスキーをたっぷりと時間をかけて味わいたいですね。
※余談ですがリーデル社のコニャックV.S.O.P.グラスは、やや若いコニャック用につくられているため、アルコールのとげとげしさを意図的に和らげるようにデザインされています。比べるとわかりますが、香りはやや抑え気味で、飲み口の返しで若い原酒をまろやかにします。
こんなウイスキーが飲みたい!
グレンモーレンジィ 18年
熟成年数18年以上のグレンモーレンジィの原酒をヴァッティングして作られたボトル。
18年という年月を経てボトリングされた原酒の色は限りなくブラウンに近いゴールド。
ほんのりと塩気があり、メロンやバナナのアロマのアタックに、オレンジの皮を思わせるフルーティーさ。味わいは濃厚な白桃、焼きリンゴ。
加糖しているかのような強い甘みが口いっぱいに広がります。
その後にオークからくるであろう若干のスパイシーさも感じられます。
完璧なるデザートモルト。
記念日などの、ディナーの〆にはうってつけ。
パーフェクトなグラス「ソムリエコニャックXO」との相性は抜群です。
グラスを手に入れたら合わせて買いたい「グラスクロス」をレビューしました!
クリスタルガラス専用の布巾でミクロのゴミや、ケバはもちろん、油性の汚れや指紋跡も残しません。
洗い方や拭き方で気をつけたほうがいいポイントも書いています。
『俺は今ウイスキーを飲むんだ』ということ以外、思考の余地を与えない至高のグラス。