サントリーリザーブの概要
サントリーリザーブは日本の企業サントリーが製造・販売を手掛けているブレンデッドウイスキーです。
私と同じ40歳前後の世代の方は1998年あたりに当時から人気絶頂だった木村拓哉さんが出ていたCMでその存在を知った方が多いのではないでしょうか。
もう20年以上も前のことなんですねぇ…。
「ウイスキーをオヤジと言ったのは誰だ。」
「ウィスキーがカッコよくなくて何がカッコいいんだ。」
この動画のテロップは今でも忘れられません。
たしかに当時まだウイスキーは“大人が親しむもの”という印象がありました。
振り返るとこのCMの存在が若者とウイスキーの距離をグッと縮めてくれたように思えます。
余談ですがこのCMで使われていたのはジョージ・ベイカーの「LITTLE GREEN BAG」。
当時は小室哲哉氏のいわゆるTKサウンドばかり聴いていた若者にシブくてカッコいい音楽とは何か示した素晴らしい楽曲。
さすが、サントリー広報。
さすが、木村拓哉。
やるね!ジョージ・ベイカー!
今さらですが称賛の声をあげたくなります。
話が逸れましたが、リザーブというウイスキーブランドは当時の人気タレントをCMに起用し、サントリーが社をあげてマーケティングを展開したイチオシブレンデッドウイスキーだったのです。
サントリーリザーブの発祥と歴史
サントリーの創業者、鳥井信治郎氏が逝去したのが1962年。
鳥井に代わって寿屋の経営を継いだのが次男の佐治敬三です。
佐治は日本国内に急増するであろうウイスキー需要に対応すべく、積極的にブランドの確立、設備増強に投資を行っていきます。
「寿屋」だった社名は翌年の1963年に「サントリー」へと改められ、さらにその翌年には当時看板商品だった「白札」を「ホワイト」へと改称。
また「赤札」を「RED」として再販するなどサントリー内で商品のリニューアルが次々になされるようになりました。
山崎蒸溜所のポットスチルも増設するなど原酒生産能力も向上させていきます。
時代は高度経済成長真っ只中、60年代後半には輸入の自由化へと時代は突入していくのです。
1971年に輸入洋酒の制限が撤廃されると、日本のウイスキーがスコッチなどと同じ土俵に立ち販売されるようになります。
日本のウイスキー市場にはどんどんと国際化の波が押し寄せていました。
そんな激動の時代、1969年にサントリースペシャルリザーブが発売されます。
サントリーの創業70周年を記念したリリースでした。
同社の60周年を記念して造られた「ローヤル」と並ぶアニバーサリーブランドといったところでしょう。
リザーブ発売前に大阪万博(1970年)へのパビリオン出展が決まっていたため「海外客からみても見劣りしないウイスキーを」というテーマで当時のマスターブレンダー佐治敬三氏のもとリザーブの開発が進められました。
当時のリザーブの広告には
「国産品と呼ばずに国際品と呼んでください」
というキャッチフレーズが使われています。
サントリーが日本企業としての威信をかけ、海外にアピールした勝負の品だったということが伝わるキャッチコピーですね。
結果、リザーブのマーケティングは成功し、国内外のウイスキーラヴァー達に絶賛されます。万博で来日した外国人にも評判でした。
そしてリザーブは国内のバーやクラブに次々と置かれるようになります。
また当時高嶺の花だった「サントリーオールド」よりも気軽に頼みやすいということで親しまれ、その人気は一気に高まりました。
サントリーはその後、1972年にグレーンウイスキーの製造工場として知多蒸溜所を設立。
またその翌年1973年には白州蒸溜所を設立、その後リザーブの核となるモルト原酒が造られるようになりました。
リザーブは発売当初から年数表記のないノンエイジのブレンデッドウイスキーとして販売していましたが、1996年に10年ものとしてリニューアルされます。
1998年には「リザーブ10年・シェリー樽仕上げ」が販売。木村拓哉さんが出演していたのはこのCMでした。
2006年には12年物にリニューアル、それまで43度だったアルコール度数が40度に下げられ容量も750mlから700mlに変更されています。
2008年9月、値上げとともにラベルがマイナーチェンジされ、12年表記が消え「スペシャルリザーブ」として再びノンエイジにリニューアルされました。
12年表記の変わりに「Luscious Elegant Aroma」という表記が入り、「BLENDED & BOTTLED BY SUNTORY LIMITED」の表記が大きく記されています。
サントリーリザーブの製法
サントリーリザーブが発売された1969年当初、サントリーが所有する蒸溜所はまだ山崎蒸溜所だけでした。
つまり当時の構成原酒としては山崎蒸溜所のモルトを核に造られていたということです。
しかし知多・白州蒸溜所もある現在では白州蒸溜所のモルトを使用していると公言しています。
そしてグレーン原酒はもちろん知多蒸溜所のもの。
つまり白州蒸溜所の原酒をキーモルトに山崎蒸溜所のモルト原酒と知多蒸溜所のグレーン原酒をブレンドして造られていると考えられます。
ローヤルはサントリー側で使用している蒸溜所を明かしていないのに、リザーブは白州蒸溜所のものが使われているとしっかり記載されている点が面白いポイントです。
サントリーリザーブラインナップ
サントリースペシャルリザーブ
こちらは現在販売されているリザーブ唯一のオフィシャルラインナップ。
幾度かのリニューアル、原酒不足を乗り越えて完成した今や50年以上の歴史を誇る日本を代表するブレンデッドウイスキーです。
香りはバニラや生クリームなどの他に、白州原酒からくるフレッシュ感のある青リンゴ、洋梨のフルーティなアロマが感じられます。
味わいはクリームブリュレやバニラアイスの甘みがメインとなりますが、中間に青リンゴのフレッシュ感があり、ミントのようなニュアンスも感じさせます。
また後半には若干のピート香も感じられ、高バランスでライト~ミディアムボディの飲み飽きない作品に仕上がっています。
サントリースペシャルリザーブ特級
特級ボトルとは1989年以前の流通品で、黒ラベル赤首や麦ラベル赤首などが存在します。
特に1970年代のボトルは山崎蒸溜所のモルトを使用しているので現行品とは味わいが大きく異なります。
透き通ったアルコールアタック。レーズン、ドライプルーンの強い香り、お香と包帯。
味わいはプルーンの甘み、シェリー樽の華やかな香りとポン菓子。少し除光液のような溶剤。
スムースでしっかりした味わいとビターな穀物感が面白い。
楽天などには特級ボトルがまだまだ残っています。
現行品とはひと味違う当時のリザーブを味わうチャンスです。
サントリースペシャルリザーブ10年
こちらは1996年、リザーブ1回目のリニューアルで販売されたボトルです。
当時のCMにはこれまた人気俳優、佐藤浩市さんが起用されており音楽はジェフ&マリアマルダーが演奏する「ブラジル」!
実に懐かしいです。
香りはラムレーズン、そして奥に青リンゴの皮、ミントのような清涼感のあるアロマを感じます。
味わいはバニラ様の甘み、若干エステリーなメロンの後、たしかに白州原酒からくる青リンゴ、グレープフルーツの皮などのフレッシュさを感じます。
この複雑な味わいで当時2000円代で購入できたわけですから、何とも贅沢な時代です。
サントリースペシャルリザーブ10年 シェリー樽仕上げ
ことらは1998年にリリースされたボトル。
当時販売されていた10年もののリザーブをその後でファーストシェリー樽で後熟してつくられています。
ボトル通常のリザーブと同じ形状ですがシェリー樽で仕上げている濃い目の琥珀色を楽しめるよう透明のクリアボトルとなっています。
香りはおおぶりなレーズン、ミルクチョコレート、奥に洋ナシのフレッシュ感とチェリー、カカオ。
味わいも甘みの詰まったレーズン、バニラアイス、シナモンスパイス、木質感がややあり、少し酸味があるのはタンニンか、経年の変化か。
現在でもオークションサイトなどで販売されていますが売値は元値の2倍近くまで跳ね上がっています。
バーなどで見かけた際には是非お試し頂きたいボトルです。
サントリーリザーブ 12年
こちらは2006年、2度目のリニューアルから販売されたボトル。
しかし販売されていた期間は2006年〜2008年の実質2年間。
それ以降は現在のスペシャルリザーブへとリニューアルされてしまいます。
香りは、熟成感のあるシェリー樽を感じさせるレーズンやドライプラム、カカオ、僅かな硫黄っぽさもあります。
味わいは程ラムレーズン、カラメル、カカオたっぷりのビターチョコ、10年もので共通している白州らしさはあまり感じられず逆に山崎のシェリー感が少し押し出された印象のボトル。
サントリーリザーブのおすすめの飲み方
国際化が加速する1970年代初頭、外国からウイスキーが次々と輸入され、舶来vs国産という構図が作り上げられました。
ここに「世界基準品質」というコンセプトのもとリザーブを投入し、洋酒業界を牽引するブランドに名乗りをあげたサントリーは流石でしたね。
リザーブはボディ感のあまりないスイートでライトなウイスキー。
日々の晩酌やワイワイと大勢で飲むパーティーなどにも活躍できる気軽なブレンデッドです。
飲みやすいのでストレートかロックでいただきましょう。
少量加水するとフレッシュ感が増してより若々しい柑橘のアロマが楽しめます。
今回は動画ばっかり貼ってますが、おすすめの飲み方はこれ!
ジョージベイカーの「Little Green Bag」を聴きながら、キムタクの真似をしつつ小気味よくステップを踏んで飲む!
これです。
フル動画あったので置いておきます(笑)
ちなみにキムタクが出ていたCM以外にもミッキー・ロークやマット・ディロンを起用したものなど色々ありました。
個人的には1993年~1995年までに放映された「リザーブ友の会」シリーズが好きでした。
ホームパーティを楽しむ若い男女が描かれたCMで、本木雅弘やCHARA、竹中直人など錚々たるメンバーが出演。
ウイスキーは【おいしくて楽しいモノ】という世界がしっかり表現されていて、多感な10代のわたくしは「こんな大人たち素敵だなぁ」などとぼんやり思っておりました。
ちなみに「リザーブ友の会」には掟が存在しておりまして、、、
- ウィスキー飲んで過去は振り返らない事
- 同じ話は何度もしない事
- 小指は立てない事
- 背中で人生は語らない事
- 酔った勢いの約束は必ず守る事
- 会費(希望小売価格)は1,980円(消費税込み)
とまぁ、これまた茶目っ気のあるお気楽なルールなのです。
昨今ではちょいと高級酒のイメージが先行しすぎてお堅くなりがちなウイスキーですが、こういうお気楽な向き合い方もたまにはいいですね。
ウイスキーはBarでしっぽりと飲むことも、友人たちとワイワイ愉しむこともできる多様性に富んだお酒。
近々リザーブで気楽な宅飲みもいいんじゃないでしょうか。