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オーバンを学ぶ!味や種類、おすすめの飲み方

オーバンを学ぶ!味や種類、おすすめの飲み方

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オーツカ

ざっくり覚える!

オーバンはスコットランドのハイランド地方でつくられているシングルモルトウイスキーで、昨今、爆発的に人気が高まっているブランドです。

蒸溜所があるオーバンの町は漁業が盛んな港町で、小さな湾の先にはヘブリディーズ諸島が浮かぶ大西洋が開けます。

こういった土地柄からか、「スモーキーで、フルーティで、モルティで、ピーティ!」という、ハイランドモルト的側面とアイラ的(さらにはアイランズ的側面)をあわせ持つ味わいと言われています。

かつてブレンデッドウイスキーのデュワーズやブキャナンズのキーモルトとしても使われていましたが、現在はその人気の高まりから全生産量をシングルモルトに振っています。

製造・販売はディアジオ社が行っており、クラシック・モルト・シリーズのラインナップにも選出されています。

 

クラシック・モルト・シリーズとは旧UD社(現ディアジオ社)が提唱していた、蒸溜所各地域の特徴を代表する蒸溜所ごとの銘柄で、オーバンの他には

  • 北ハイランドのダルウィニー
  • スペイサイドのクラガンモア
  • ローランドのグレンキンチー
  • アイランズのタリスカー
  • アイラのラガヴーリン

という錚々たるラインナップのシリーズです。

オーバンはこのクラシック・モルト・シリーズの「西ハイランド」を代表するブランドとして選ばれました。

 

おすすめの飲み方・飲み進め方

オーツカ

一時期はハイランドとアイラの中間の性質を持つと言われていたオーバンですが、アイラのボウモア、アイランズのタリスカー、ハイランドのクライヌリッシュやオールドプルトニーが好きな人は気に入る傾向が強いかと思います。

特徴的なのは潮のアクセントと、グレープフルーツのような酸味。そして朴訥とした麦芽フレーバーとピート。

華やかさやズシンとくるボディはありませんが、その古典的な味わいは古くからモルトマニア達を魅了しています。

おすすめ飲み方はおおぶりなグラスでストレートがよいでしょう。

テクスチャはオイリーでクリーミー、塩辛さをしっかり感じるウイスキーなので海産物や牡蠣と一緒に食べるととても美味です。

 

オフィシャル14年が秀逸なので、これだけでもいいですが、興味があれば比較的安価に飲める1990年流通の1000mlのボトルを試すと良いでしょう。現行オフィシャルボトルよりも塩辛さを強く感じ、余韻も長いオールドボトルです。ぜひ比べてみてください。

長期熟成品は国内では手に入りにくいですが、流通量が多いアメリカマーケットからであれば引っ張れるかなと思います。18年や21年などにも巡り合えますが輸送費がちょっと高くつきますね。

オーバンの発祥と歴史

どこで作られているのか?

オーバンはスコットランド南西部にある町の名前で、西ハイランドの観光都市の港町として知られています。

ゲール語で「小さな湾」という意味があり、立地する町の名前がそのまま蒸溜所・ブランドとしてネーミングされました。

蒸溜所の設立は1794年、免許を受けた蒸溜所としてはスコットランドにおいて最古の部類に入ります。

スコットランドオーバンの街

8000人強の人口ですが、ヘリンズバラとフォート・ウィリアムの間では最大のタウンで、旅行シーズンには、25,000人を超える人を収容できます。
西ハイランド地方の中心地で、港からは昆布やスレート石、羊毛やウイスキーなどといった品々が日々出荷されています(※スレート石とは玄昌石という粘板岩の一種で、耐水性、耐火性、曲げ強度が高く、板状に加工できます。壁や食器などにも使われています)。

またヘブリディーズ諸島への交通手段の拠点であり、この港を利用しなければ近隣に浮かぶマル島やアイオナ島、「フィンガルの洞窟」で知られるスタッファ島に行くことができません。
したがってオーバンの港は諸島への観光を希望する観光客で賑わっています。

なお、「フィンガルの洞窟」はスタッファ島にある、大西洋の荒波によってできた非常に有名な洞窟。

フィンガルの洞窟

ドラゴンクエストにでも出てきそうなその姿は、数多の詩人、芸術家に影響を与えてきました。

中でも有名なのが、作曲家メンデルスゾーンの名曲、「フィンガルの洞窟」です。

1829年5月、メンデルスゾーンは自ら指揮をとるロンドン公演があり、イギリスを訪れていました。

この公演が終わったあと、スコットランドを観光旅行していたメンデルゾーンは、オーバンの港を利用してスタッファ島に立ち寄ります。

この旅の体験から生まれたのが交響曲第3番「スコットランド」で、序曲となるのが「フィンガルの洞窟」なのです。

ちなみにこの時のメンデルゾーンは若干二十歳。そうです、天才です。

オーバンの歴史

当時のオーバン

オーバン蒸溜所はメンデルスゾーンが港を訪れた約30年前、1794年に設立。

創業者はスチーブンソン兄弟となります。

それまでは寒村だったオーバンでしたが、今では西ハイランドのリゾートタウンと呼ばれるまでに発展しました。

この発展に大きく携わっていたのがスチーブンソン兄弟で、彼らは蒸溜所の運営だけでなく造船業や鉱業など手がけ、オーバンの街に潤いと活気を与えていきました。

オーバンの町の中心には「スチーブンソン通り」という通りがあり、兄弟の功績を称えています。

蒸溜所はオーナーが次々と変わり、現在はMHDモエヘネシーディアジオ社が所有しています。

1987年には西ハイランドを代表するブランドとして、UD社の「クラシック・モルト・シリーズ」のラインナップに抜擢。

1980年代に一度蒸溜所の改修工事が行われましたが、外観は創業当初の姿が残っています。

オーバンの製法(作り方)

オーバンの原料となるライトリーピーテッドの大麦麦芽はグラスゴーから指定されたモルト業者によって配送されます(オーバンではフロアモルティングは行っていません)。

それがステンレス製のマッシュタンに浸され、4つのヨーロピアンラーチ製のウォッシュバックで発酵されます。

その容器はウイスキーの樽と同様、クーパーによって作られ、もっぱら不浸水性に重要性をおいた西洋カラマツの桶板が使用され、その直径は20フィートにもなるそうです。

仕込みに使われる水は、以前はアードコネル湖の水を使用していましたが、現在はグレネベリー湖の水が使われています。

蒸溜基は「スマ・スチル」と呼ばれる小さなランタンヘッド型のもので、初溜1基、再溜1基のワンセットのみとなります。

ランタンヘッドとはウエストがくびれた独特な形状のスチル。

一般的なストレートヘッド型よりも外気に触れる面積がより広くなり、蒸気が冷えて液体に戻りやすくなります。

これにより原酒に軽快感や華やかな風味を宿すことができるのです。

有名どころですと、ラフロイグ蒸溜所や日本の白州蒸溜所がこのランタンヘッド型のポットスチルを設置しています。

生産量は年間にして87万ℓと少量で、生産量の大部分がシングルモルトとして出荷されています。

オーバンではスタンダードボトルが14年熟成。

これは造られる熟成のピークにこだわった結果、14年という年月が選ばれたそうです。

生産量が少ない事情もあり、同蒸溜所ではいろんな種類をリリースすることもなく、14年を主軸としています。

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オーバンのラインナップ

オーバン 14年

オーバンのスタンダード的ボトル。

1987年にディアジオ社からリリースされたクラシック・モルト・シリーズの西ハイランド代表として見事選ばれリリースされたボトルです。

香りは乾燥させたみかんの皮、紅茶、シリアルの香ばしさとフローラルなアロマ。

味わいは香りで感じられたみかんが口の中で開きフレッシュオレンジに変わります。他にもライムなどの柑橘系、クリーム、ハチミツと続きます。

加水するにつれて塩辛いブリニーさも感じられ、余韻はビターなナッツ、やや焦げたクルミ。

スタンダードにして完成度が非常に高いボトルです。

オーバン ディスティラーズエディション ダブルマチュアード

こちらはUD社(現ディアジオ社)クラシック・モルトを構成する6蒸溜所の各マスターディスティラー監修の下につくられた、ダブル・マチュアード・シリーズの一つ。

オーバン・ダブルマチュアードはスペイン・コルドバ南方のモンティージャ産フィノ・タイプの酒精強化ワイン、「モンティラ・フィノ・シェリー」の古樽で仕上げに熟成を行っています。

原料が甘口ワインで知られるペドロヒメネス種であるため、ふくよかな甘みとオークのスパイシーさを併せ持つボトルです。

香りはほのかにレーズン、アンズ、蜂蜜、僅かにオレンジピールも感じます。

味わいはお香の香りをまとった甘みがふわりとひろがり、ベリー系のドライフルーツを思わせる甘みとモルト感。

余韻はほんのりビター、ウッディ、白コショウのような爽快感のあるスパイシーさ。

甘みとビター、フルーツ感など複雑な味わいが絶妙なバランスで成り立つ高級感を感じさせるボトルです。

オーバン リトルベイ

2015年に免税店向けにリリースされたノンエイジのボトル。

当時は様々な蒸溜所からガンガン年数表記のない短期熟成ボトルが発売され、14年熟成にこだわっていたオーバンもか!と驚いたものです。

香りは特徴的なフレッシュオレンジとバニラの香り、白ブドウ、切り花のような青さとゆったりとオークの匂い。

口当たりはやさしくマイルド。

味わいはオレンジとハチミツがけトースト、ケーキのスポンジ部分、コショウとアプリコットのスパイシーさを感じます。

終盤には干し草や土っぽさを感じるなんとも素朴な余韻。

「オーバン」はゲール語で「小さな港」という意味なのですが、リトルベイも「小さな港」なので、とても謎なネーミングだなと思いました。

オーバン 18年 リミテッドエディション

こちらはアメリカ市場向けにリリースされたオーバンの限定商品。

ボトル容量も米国規格の750mlと少しだ多めに入っています。

スタンダードの14年ものとの味の方向性はほぼ同じですが、長熟からくるリッチで複雑な味わいが決定的な違いといえるでしょう。

セカンド、サードフィルなどの樽を上手く活かして熟成しているようで、見事な熟成感を楽しめます。

香りは乾燥した麦芽、藁半紙、バニラ、お馴染みのオレンジ入りのマフィン、甘いスモーキーさ。

口当たりはやや重ためで、塩キャラメル、シュガーシリアル、ハニーナッツなどの甘さと香ばしさ。

奥に洋梨のフルーティーさも潜んでおり、後半でふわりと顔を出します。

余韻はソフトだけれどもスパイシー。オーク材の香りが深く沁みる。

アメリカ市場向けにリリースされたボトルのため国内で見かけることはほとんどないですが、バーで見かけた際には是非ストレートでお楽しみ頂きたいボトルです。

オーバン 21年

こちらは昨年(2018年)にディアジオからリリースされたオフィシャルの21年ものです。

21年熟成は2013年にもリリースされており、約5年ぶりのリリースとなります。パッケージやラベルデザインの印象はずいぶん変わりました。

熟成にリフィルヨーロピアンオークバットが使われています。

香りはハチミツ、ベイクドオレンジ、マカダミアナッツ。

口当たりはどっしりしており、口に含むと蜂蜜、モルト感が一気に広まります。

後からオレンジやリンゴのフルーティーな風味が追いかけ、後半はドライジンジャー、コショウのスパイシーっぽいニュアンス、スモーキー、青リンゴやオレンジのフルーティーさ。

後半はブラックペッパー様のスパイス、ドライジンジャー、山椒のスパイシーへと続きます。

蜂蜜様の甘みとフルーツ感をとことん楽しめるよくできた味わいのボトルです。

オーバン1969 32年

世界で6000本の限定品。

55度を超えるコックリとしたテクスチャながら絹のような口当たりのよいなめらかさを持っています。

アロマは繊細で複雑。特徴的なオレンジピールの香りの中にたくさんの鮮やかなブーケ。塩っぽさの強いキャンディとバニラカスタード。

味わいはオレンジとグレープフルーツの酸、生姜や湖沼のスパイス。モルティでオイリー。

ハーバルでミントやナッツを感じる余韻、ほろ苦いカカオや樽香が長く続きます。

開封時は固いですが、数年経つと化ける一級品。

フローラルでクリーミー、玄人向けなピートが醸す極上の余韻。

オーバン ベイ・リザーブ ナイツウォッチウイスキー/ゲーム・オブ・スローンズ

Diageoとアメリカ合衆国の衛星およびケーブルテレビ放送局「HBO」がタッグを組んで発売された限定ボトル。

ゲーム・オブ・スローンズの第8シーズンとその最終シーズンを記念して8つの銘柄のボトルがリリースされており、そのうちの1つとなります。

香りはオレンジピール、ミルクチョコレート、ほのかなピートとスモーク。うっすらサルタナレーズン。

味わいはやや若さを感じさせます。リンゴ、洋ナシ、などのフレッシュフルーツ、レモン、みかんなどの柑橘系、ハニートースト、シナモンのスパイシー。

黒いボトルで謎めいた外観ですが、味わいはフレッシュで華やか。派手な印象です。

ゲームオブスローンズを切り離しても優秀なボトルで、キャッチーでバランスのとれたの味わいです。

 

オーツカ

個人的にも大好きなオーバンですが、カスクストレングスの開けたてはどれも固い印象です。1984の20年や、スペシャルリリースの21年も開封後、だいぶ経ってから飲み頃を迎えていました。

以前バーでいただいたオーバン32年も開封後8年という品でした。

これだけ時間が経ってようやく開いてくるウイスキーもあるんだなぁと勉強になりました。

オーバン32年



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