おすすめの飲み方・飲み進め方
「多くの若者がウイスキーを口にするきっかけとなる」というブランディング戦略をとっているモンキーショルダー。
バーでも多く扱われる商品で、ハイボールをはじめ、カクテルベースとして振舞われています。4500mlのゴリラボトルを置いているところもチラホラ見かけますね。
小さい白色や黄色の花が想起されるデリケートな香りと、シトラスやオレンジのフレッシュな果実のアロマ。ほどよい甘さとなめらかな口当たり。
バニラとキャラメル、少しだけシナモンやナツメグのスパイシーさがあります。
ウイスキービギナーには特におすすめのウイスキーで、色々な飲み方が可能です。
加水にも強く、ストレートをはじめ、ロック、ハイボール、そしてカクテルのベースにと多種多様。
飲み疲れもなく、気軽に飲めるのが一番の魅力です。
たくさんのウイスキーを飲んできた中級者の方が久しぶりに飲むと、そのスムースさとリッチさに驚かされます。
邪魔をしない名脇役なのに、しっかり飲みごたえがあるのです。
スモーキーモンキーはその名の通りかなりスモーキーなアロマを持っていますが、味わいはやさしめ。ボディは弱いのでストレートがおすすめです。
モンキーショルダーの発祥と歴史
どこで作られているのか?
「グレンフィディック」というスコットランド初のシングルモルトを売り出したウィリアム・グラント&サンズ社が、グレーン原酒を混ぜないブレンデッドウイスキーを作ろうという新しい試みを打ち出したのがこのモンキーショルダーです。
その名前の由来は、伝統的な麦芽の製造工程にありました。
蒸溜所で麦芽を作る際、まずは広いコンクリートの床に大麦を敷き詰めます。
そして、モルトマンと呼ばれる職人たちが木製のシャベルを用いて人力で撹拌するのです。
この伝統的な作業を「フロアモルティング」と呼びます。
「フロアモルティング」はかなりの重労働で、作業に当たったモルトマン達は時より肩を痛めたそうです。
そしてウイスキー製造の関係者達はフロアモルティングにより痛めた肩のことを「モンキーショルダー」と呼びました。
何故このような呼び名になったのか、はっきりとした理由は分かっていません。
しかし痛みを乗り越え、長年フロアモルティングに従事したモルトマン達の肩は前方に突き出て”猿のような姿勢”になっていためこのような呼び名がついたといわれています。
平たくいえばモルトマン達の職業病といったところでしょう。
つまりモンキーショルダーは、フロアモルティングに従事するモルトマン達の重労働に敬意を払いネーミングされたボトルということです。
ボトルの肩の部分にあしらわれた3匹の猿の装飾は、3つの蒸溜所のモルトを使用しているというメーカーの遊び心でもあります。
モンキーショルダーの歴史
モンキーショルダーの初リリースは2005年とそれほど歴史は深くありません。
しかしグレンフィディックのモルトマスター、ブライアン・キンスマン氏の卓越したヴァッティングセンスにより生み出されたウイスキーは、世界中のウイスキーファンから高い評価を受けています。
世界大会での受賞歴も多く、特にWWA2007ではベストブレンデッドモルト賞を受賞。
IWSC2015ではなんとトロフィー(優勝)に輝いています。
現在は量産されているため、日本の酒屋やリカーショップ、大型スーパー、量販店などでも購入できます。
また2018年のはじめにはトラックを使った「モンキーショルダー」のセンセーショナルなプロモーションを行い、注目を集めます。
それはコンクリートミキサー車のデザインからヒントを得た「モンキー・ミキサー」です。
これはトラックのミキサー部分に最大2,400ガロン(11,000ℓ)の液体入るカクテルシェーカーを搭載したもの。
もちろんミキサー部分は回転するので巨大なカクテルマシンというようなイメージです。
昨年2018年2月より、アリゾナカクテルウィークからを皮切りにアメリカ内で行われるカクテルフェスに参加しました。
モンキー・ミキサーの大きさは全長27フィート、高さ13フィート、幅8フィート。
ミキサータンクの2,400ガロンという容量はモンキーショルダーの123000ボトルに相当します。(巨大!!)
ミキサー社には2,000ワット以上のサウンドシステムを搭載、DJブースのような使い方もできるとか…!
またバーカウンターも取り付けられているため移動販売のような形で各所にてモンキーショルダーのカクテルを提供することができます。
とても面白いプロモーション。
いつか日本にも来て欲しいものですね。
モンキーショルダーの製法
概要でも紹介したとおりモンキーショルダーはグレンフィディック蒸溜所、バルヴェニー蒸溜所、キニンヴィ蒸溜所の3箇所で作られたモルト原酒を掛け合わせて作られています。
ヴァッティングの比率はオープンにしていませんが、3つの蒸溜所から27の樽を選び掛け合わせているようです。
3つの蒸溜所の原酒の個性を見事に調和させた味わいは、たくさんのウイスキーフリークから愛されています。
世界ナンバーワンのシェアを誇るシングルモルト。
世界で初めてシングルモルトとして発売され、レモンや洋ナシ、シトラスなどを思わせるフルーティーな香りとスムースな味わいで多くの人に親しまれています。
グレンフィディックの姉妹蒸溜所でつくられるプレミアムモルト。
今でも伝統的なフロアモルティングによるライトピーテッド麦芽を使用しています。
ハチミツの風味と熟成感溢れる芳香。豊かでヘヴィなモルトウイスキーです
現在のところ、キニンヴィで造られる原酒のほとんど全てがブレンデッドウイスキー用に供給されており、シングルモルトとしてのリリースは極端に少ない。
このことから、幻のウイスキーとさえ言われています。
なお現在は、世界的なウイスキーブームのあおりを受け、上記の3つのモルト原酒+スペイサイドの他の蒸溜所のモルト原酒も使っているようです。
ウィリアム・グラント&サンズ社では原酒の構成比率が変わっても味わいの印象を変えないために、化学的なテストを実施しています。
これは原酒を分子分解し、味の分子量や分子の比率をオリジナルのモンキーショルダーと同じになるようヴァッティングを行うというもの。
さらには33名のスタッフが官能テストを行っており、問題ないと判断したものだけが「モンキーショルダー」を名乗れるそうなのです。徹底していますね。
モンキーショルダーの種類/ラインナップ
モンキーショルダー
日本で販売されているモンキーショルダーのラインナップはこちら1種類しかありません。
グレンフィディック、バルヴェニー、キニンヴィー、3つの蒸溜所から集めた合計27の樽をヴァッティングして作られたボトルです。
洋梨、レモンやオレンジなどの柑橘系の香り。
味わいはアルコールのエステリーな刺激が先にきて洋梨、青リンゴの爽やかさ、レモンの柑橘系が続きます。
後半にバニラ、ウエハースの甘み、カカオのビターが訪れます。
全体としてビターと若干の酸味が主体となる風味です。
非常に飲みやすいボトルのため、カクテルに使われている理由も納得。
インテリアとしても可愛いですね。
モンキーショルダー 超特大瓶 ゴリラボトル 4,500ml(ブランコ クレドル付)
モンキーを超え、ついにゴリラに。ゆりかごつきの超巨大ボトルです。
中味は通常のモンキーショルダーと同じようです。大きくっても飲みやすい。
非常にインパクトのある見た目。バーや店舗のインテリアとしてはいいかもしれませんが、ご自宅で飲用する際には十分気を付けてくださいね。
モンキーショルダー スモーキーモンキー
リリースは2017年。日本未発売のボトルでしたが、現在は出回っています。
香りはかなりスモーキーですが、モンキーショルダーらしいまろやかなバニラ風味と柑橘類のアロマを持っています。
飲むと香りほどのピートを感じず、やさしく調和するイメージです。
おすすめの飲み方としてはストレートです。加水にはあまり強くなく、ハイボールだと個性が消失します。
年に一度バルヴェニーがピートを使った「ピートウィーク」を生産しますが、それを利用しているようですね。
モンキーショルダーのオフィシャルサイトにはたくさんのカクテルレシピが載っています。
ぜひオフィシャルサイトものぞいてみてください。
モンキーショルダーを使ったカクテル(一部)
カプチン・モンキー
◆材料
モンキーショルダー50ml/エスプレッソショット/シナモン・シロップ15ml/コーヒーリキュール15ml
◆作り方
材料をすべて一緒にシェイクして、冷やしたマティーニグラスに漉して注ぐ。シナモンの粉をまぶして完成。
アーティスト・スペシャル
◆材料
モンキーショルダー40ml/アモンティリャードシェリー30ml/レモンジュース30ml/赤スグリシロップ25ml
◆作り方
シェーカーにすべての材料を入れてよくシェイクしてから、漉してマティーニグラスに注ぐ。飾りを添えて完成。
ジンジャー・モンキー
◆材料
モンキーショルダー50ml/アメリカン・ドライ・ジンジャーエール
◆作り方
ロックグラスにアイスをたくさん入れて、2/3のジンジャーエールを注いでからモンキーショルダーをその上に注いで完成。
モンキー・バック
◆材料
モンキーショルダー30ml/レモンジュース10ml/ジンジャーエール80ml/アンゴスチュラビターズ1dash/ライムウェッジ
◆作り方
全部の材料をロンググラスに入れ、氷を入れてからかきまぜて完成。
モンキー・コーラ
◆材料
モンキーショルダー50ml/コーラ80ml
◆作り方
ロックグラスに氷をたくさん入れて、コーラを注ぎ、その上にモンキーショルダーを入れて完成。
モンキー・イチジク・サワー
◆材料
モンキーショルダー50ml/レモンジュース25ml/シュガーシロップ10ml/卵白少々/イチジクリキュール20m/アンゴスチュラビターズ2dash
◆作り方
材料を全部一緒にシェイクして、ロックグラスで2回漉して注ぐ。
ざっくり覚える!
モンキーショルダーはスコットランドで作られるブレンデッドモルトウイスキーです。
2005年に生まれ、日本でも一気に人気になりました。
特徴的なのは「ブレンデッドウイスキー」ではなく、「ブレンデッドモルト」ということ。日本では竹鶴などが同じ製法でピュアモルトとも呼ばれていますね。
ブレンデッドウイスキーと違い、グレーンが入っておらず、100%モルト同士だけを混ぜるのです。
製造元であるウィリアム・グラント&サンズ社の3か所の蒸溜所
で作られたモルト原酒を掛け合わせて作られています。
(現在は原酒が多少不足しているためスペイサイドの他の蒸溜所のモルト原酒も使っているようです。)
すっきりとした飲みやすい味わいのためカクテルベースとしてもよく使われるウイスキーです。