まとめて試飲できる!オリジナルのカバランセット
カバランのハウススタイルを把握するスペシャルセット
タイワニーズの新鋭カバランを味比べしてみたい!という方へ特別セットをつくりました。
蒸留所の看板商品は「クラシック」。
バーボン樽、シェリー樽、新樽で熟成された原酒をブレンドしてできるクラシックは、カバラン・シングルモルトウイスキーの一作目であり、スタンダードな入門編。
「ディスティラリーセレクト」はお手頃モデル。全体的に高価なカバランの中にあって、安心して頂けるキャラクター。
「コンサートマスター」はポートワインを熟成した中古の樽で熟成した原酒を使用した特別なウイスキー。スイートでフルーティな味わいが際立つ、上品な一本です。
- カバラン クラシック (40度)
- カバラン ディスティラリーセレクト (40度)
- カバラン コンサートマスター (40度)
30mlセットと100mlセットから選べるので、少しずつ飲み比べて、カバランの香りや味の違いを確かめてください。
おすすめの飲み方・飲み進め方
カバランの味の特徴は何と言ってもそのパパイヤやマンゴー、グァバ、スターフルーツといった南国果肉感でしょう。
オリジナル酵母がこのパッションなフルーツ感を出していると言われていますが、カバランと同じ台湾で作られているオマーからも似たようなフルーティーさを感じるんですよね。
そして中間から盛り上がる黒糖蜜をかけたバニラのような甘くしなやかな余韻もファンを惹きつけてやまない魅力です。
アッパークラスになると上品さ、複雑度が上がり、共通してナッツ、チョコレートのフレーバーがあるように思えます。
飲み方は多様ですが、ソリストのシリーズはまずストレートで味わいましょう。
カスクストレングスなので、グラスに注いでから少量加水するもよし、15分程度時間を置いてみるもよし、様々な楽しみ方ができます。
開栓してから半年、一年と経過したボトルも変化が面白いです。
ハイボールにすると非常にキャッチ―なフルーティーさが前面に押し出されとってもおいしいです。へたれることもなく、伸びがいい。
ディスティラリーセレクトは他と比べて少しあっさり目ですが、ハイボールで飲んでも罪悪感のない値段なのがありがたいですね。
ただ個人的にカバランは酒質の強い方ではないと思っています。
強くないというか、熟成環境的に長期熟成には向いていないのです。
もちろんこの若さでこの熟成感のある味わいを出せること自体が脅威ではあるのですが、樽の影響をかなり受ける印象もあります。
これを利用して、色々なカスクマネジメントを行っているのも、カバランの戦略と言えるでしょう。
カバランシリーズを一通り揃えているバーも多くあるので、まずはそこで飲み比べを行ってお気に入りの樽やボトルを発見してみましょう。
カバランの発祥と製造場所の紹介
カバランがつくられている蒸溜所は台北から約60km南にある宜蘭県、台湾五大山脈のひとつといわれる雪山山脈のちょうど麓に位置します。
蒸溜所の正式名称は「金車威士忌酒廠」ですが、分かりづらいので以下は”カバラン蒸溜所”として紹介していきますね。
蒸溜所を運営するのは金車グループ。
同社はもともと缶コーヒーなどの飲料を手掛ける台湾の大手飲料メーカーでした。
そのため衛生管理や酵母の開発などは比較的スムーズに行われたそうです。
余談ですが金車グループは日本の大塚製薬と合併会社をつくって運営しており、台湾工場では粉末のポカリスエットやソイジョイなどが作られています。
「カバラン」という名は昔から伝わる宜蘭の地名、または先住民クヴァラン族の呼び名のこと。
宜蘭の地は先住民である彼らが苦労を重ねて開拓してきた土地であることから、その土地や先住民に感謝の意味を込めてこの名前がつけられたそうです。
カバランウイスキーの製造はスコットランドやアメリカなどにある100年以上も続く海外蒸溜所への憧れから始まりました。
そのため金車グループは蒸溜所設立前にスコットランドや日本などの著名な蒸溜所を見学、調査し、台湾で唯一麦芽の粉砕から糖化・発酵・蒸溜・ヴァッティングなどの一連の流れを行える蒸溜所を設立しました。
カバランの歴史
概要でも紹介したとおり、カバランは蒸溜所の完成が2005年12月31日、初リリースは2008年とまだまだ歴史の浅いブランドとなります。
しかし初リリースから10年が経過する中で様々なボトルがリリースされ数々の栄誉ある賞を受賞しています。
まず2008年、初めてリリースしたボトルが「カバラン クラシック」。
2009年には人気のボトル「カバラン コンサートマスター」をリリース。
そして「カバラン ソリスト」シリーズをリリースする頃にはその人気が徐々に加速していきます。
2010年にはイギリスで開催されたバーンズナイトのウイスキーブラインドテイスティング大会にて「カバラン クラシック シングルモルト ウイスキー」が優勝し、ウイスキーファンからさらに注目を集めることになります。
また同年モルト・ウイスキー・イヤー・ブックのウイスキー生産地に台湾が初登場し、台湾が正式なウイスキーの産地だという認識が各国に広まりました。
それから毎年WWAやIWSCなどの世界大会において入賞の常連となり、2015年ついに大ブレイクを果たします。
これがカバランが取得した主なレコードです。
品名 | 受賞 |
「ソリスト ビーニョ ワインカスク」 | WWAアジアパシフィック・ベスト・シングルモルト・ウイスキーおよびワールド・ベスト・シングルモルト・ウイスキー受賞 |
「ソリスト バーボンカスク」 「ソリスト シェリーカスク」 「ソリスト フィノ シェリーカスク」 「ソリスト ビーニョ ワインカスク」 「金車 コンダクター シングルモルト」 | SWSC金賞受賞 |
「ソリスト バーボンカスク」 「ソリスト シェリーカスク ウイスキー」 「ソリスト フィノ シェリーカスク」 「ソリスト ビーニョ ワインカスク」 | IRS プラチナ賞受賞 |
「クラシック シングルモルト」 | IWSCゴールドアウトスタンディング受賞 |
「クラシック シングルモルト」 | ウイスキーバイブルのアジアパシフィック・ウイスキー・オブ・ザ・イヤー獲得 |
「ソリスト シェリーカスク」 | MMA金メダル、ノンプルス・ウルトラ賞(2度目)受賞 |
「クラシック シングルモルト」 | ISCインターナショナル・スピリッツ・チャレンジ最高金賞受賞 |
輝かしいレコードの数々…。これらすべて2015年だけで獲得した賞というのだから驚きです。
リリースしているボトルの殆どが何かしらの賞を獲得している…そんなイメージですね。
またカバランは蒸溜所としても高く評価されています。
以下は2015年に蒸溜所として受賞したものとなります。
- IWSC アジアパシフィック・ディステイラー・オブ・ザ・イヤー4度目の受賞
- SWSC 2015年ディステイラー・オブ・ザ・イヤー受賞
- マスターブレンダーの張郁嵐がWWA 2015マスター・ディステイラー・オブ・ザ・イヤー獲得
- WWA 「その他地域」のブランド・イノベーター・オブ・ザ・イヤー受賞
これ以降もカバラン蒸溜所は多くの世界的な賞を受賞しています。
特に昨年、2018年にはIWSCにて「カバランオロロソシェリー オーク」が最高グレードのゴールドアウトスタンディング賞を受賞、その他のボトルでも金賞を3つ獲得するなど華々しい結果を残しました。
ファンからの熱い視線を釘付けにしつつ、今もなお良質なウイスキーを作り続けています。
カバランの製法(作り方)
カバランの原材料となる麦芽は英国産のものを使用、これを自社のモルトミルで粉砕しマッシュタンに入れお湯と混ぜ、8〜12時間かけて糖化させます。
仕込みに使われる水は雪山と中央山脈から流れ出る雪解け水。
甘く滑らかで、キメ細い水質でカバランをつくる上で欠かせないポイントとなります。
糖化にかける時間と温度も飲料メーカーの経験を活かし、コンピューターでしっかり管理されています。
糖化を終えた麦汁は冷やされた後、酵母を入れて発酵していきます。
糖化槽・発酵槽はともにステンレス製のものを使用。
発酵槽は温度調整のため槽の側面を二重にし、中に冷却コイルが入れられています。
このアイデアは蒸溜所を建てる前にウイスキーのサンダーバード(解決屋さん?)ジム・スワン博士が提案したものでした。
使われる酵素は金車グループが台湾の野生酵母を使い独自に培養したもので、カバラン特有の南国フルーツのようなトロピカル、フルーティさを与えています。
金車グループは食品・飲料製造で培ってきた知識や技術をカバラン製造にフル活用できたというわけです。
発酵を終えたもろみのアルコール度数は7%程度、これをポットスチルに入れて蒸溜していきます。
ポットスチルは初溜用が2基、再溜用が2基の計4基が設置されています。
蒸溜所内にはドイツ製の連続蒸溜機も設置されており、 ブレンデッド用のグレーン原酒の開発も進められています。
またカバランでは蒸留の際、原酒に使用するミドルカットの部分を少なく使用しています。
これにより蒸留したてのスピリッツにマンゴーやチェリー、パイナップルなどのフルーティーな風味を宿しているのです。
熟成に使われる樽はバーボン樽、各種シェリー樽、各種ワイン樽など。
気温の高い台湾はスコットランドなどの冷涼地とは比べ物ならないくらい早く熟成が進みます。
カバランのウェアハウス内の温度は20〜30度とかなり高温です。
熟成させ過ぎたウイスキーは酸化が進み苦く、風味やスムーズさが失われてしまいます。
これに対しカバランで熟成をコントロールするために3つの防止策を行なっています。
①厳選したアメリカンオークの樽を使用していること
選び抜かれたアメリカンオーク樽は原酒にオイリーさやバニラのフレーバーの風味を宿し、苦味の原因となるタンニンを抑制してくれます。
②容量の大きな樽を使うこと
容量の小さい樽は熟成が早く進んでしまうため、カバランでは200ℓ以下の樽を使用していません。
③樽単位で精密にモニタリングを行うこと
熟成の度合いは樽ごとにそれぞれ異なるため、個々の樽ごとに熟成の度合いを管理します。
カバランではひとつひとつの樽を精密にモニタリングし、その樽が熟成のピークに達したと判断したとき、すみやかにボトリングしているのです。
これらを行うことで高温でスピーディーに熟成が進行する台湾の地にて、短期間で豊かな風味を原酒に宿すのです。
熟成の判断やヴァッティングはカバラン蒸溜所でマスターブレンダーを務めるイアン・チャン氏が行なっています。
このようにカバランは徹底した管理下で上質な味わいを作り出しているです。
カバランの種類/ラインナップ
カバラン クラシック
カバランのレギュラーボトル。
マスターブレンダー張郁嵐(イアン・チャン)が厳選したバーボン樽やシェリー樽、プレーンオーク樽などを使用しヴァッティングして作られました。
コチョウランとも例えられるエレガントで甘美な香り。
味わいも南国風でマンゴーのトロピカルな甘み、ハチミツ、洋ナシ、ココナッツのうっとりする甘みがメインとなります。
カバランのハウススタイルが理解できる入門編の一品。
カバラン コンサートマスター
こちらはポルトガルのポートワイン樽で熟成させた原酒を使用したボトル。
開けたてのイチゴジャム、ハチミツ、トフィーの香り。
味もイチゴジャムやドライプラムのようなわずかな酸に、ハチミツの甘み。
赤と黒のベリーの果実にハチミツをかけたような風味で飲みごたえ抜群です。
長めでウッディ&フルーティな余韻も楽しめます。
カバラン コンサートマスター シェリーフィニッシュ
カバランが誇るコンサートマスターシリーズの第2弾。
アメリカンオーク樽で熟成後、同じアメリカンオークのシェリーシーズニング樽でフィニッシュ。
トロピカルフルーツを想わせる、カバラン特有の甘美な芳香と風味のシングルモルトウイスキーです。
通常のコンサートマスターよりも飲みごたえがあります。
カバラン ex(エクス)バーボンオーク
こちらは以下で紹介するカスクストレングスシリーズである「カバランソリスト・バーボンカスク」の原酒を加水し、アルコール度数46%に調整しボトリングしたもの。
加水によりアルコールの刺激が和らぎ飲みやすい口当たりになっています。
開けた直後からわかるバーボンカスク特有のバニラ感、スイートなオレンジフレーバー、少しのシトラス。
レーズンや完熟マンゴー、カスタードクリームなどの甘い香り、味わいも甘さがメインですが樽由来のタンニンのビターさと、ほのかな酸味も感じることができます。
バランスのとれたボトルですが、加水にはあまり向かない印象です。
カバラン オロロソシェリーオーク
こちらもバーボンカスク同様、「カバランソリスト・オロロソシェリーカスク」に使用する原酒を加水しアルコール度数46%に調整したもの。
柔らかみのある口当たりとシェリーからくる上品な甘さとフルーティさ、そしてスパイス感を存分に味わえる1本です。
レーズン、プラム、イチゴジャムの香り。
口に含むとそれらの甘さが押し寄せてナッツ、オークからくるスパイシーさも楽しめます。
ボディは厚めで甘みとスパイシーさを楽しめるボトルとなっています。
ぜひバーボンオークと同時に飲んでみて、ご自分の傾向(バーボン樽が好きか、シェリー樽が好きか)を見つけてみてください。
カバラン ポーディアム(ポディウム)
未使用のアメリカンオーク樽とカバランの蒸溜所が所有するプレーンオーク樽(リフィル樽)で熟成した原酒を掛け合わせてつくられたもの。
「ポーディアム」とはオーケストラで使う指揮台のこと。カバランらしいネーミングですね。
花の蜜、はちみつ、そしてオークと焼きリンゴの香り。スタンダードと比較するとよりウッディな印象。
口に含むと青リンゴや洋梨の爽やかさとレーズン様の濃縮感のある甘み、ブラックチェリーやブドウのフルーツ感も楽しめる逸品です。
口当たりも上品で、余韻も長く感じられます。
全てにおいて一歩秀でた上品かつ力強い風味を醸し出しています。
カバランディスティラリー セレクト
2018年9月に発売された新商品。
ブランディングの傾向として、富裕層に向けた高級路線をひた走ってきたカバラン。そのカバランが新たにリリースするオフィシャルラインナップの中で唯一5千円以下で購入できるボトルです。
ある程度中~上層を開拓してきたカバランが「お宅で飲む層」を獲りに来たとも言えるセカンドライン。
しかし安いからといって侮ることなかれ。
カバラン特有のトロピカルフルーツの甘みやトフィーの香り、レーズンやプラム、バニラの風味をしっかりと味わえるコストパフォーマンスに優れたボトルです。
カバランがこれまで積み重ねた技術をやノウハウをしっかりと詰め込み、コストが高くなるものは極力カット。ターゲットを明確に狙い撃ちするような品です。
〜カバラン ソリストシリーズ〜
カバラン「ソリスト」シリーズは全て冷却濾過無し(ノンチルフィルタード)、加水無し(カスクストレングス)にてボトリングされているシリーズとなります。
カバランの濃厚な風味を芯まで感じられる人気のシリーズです。
世界的評価が高いボトルばかりですので見かけた際には是非お試しください。
カバラン ソリスト ex(エクス)バーボン カスクストレングス
こちらはチーフブレンダーが選び抜いた香りの強いアメリカンオークのバーボン樽で熟成させたボトル。
カバランのカスクストレングスを飲みたいと思ったらまずこちらからでしょう。
アルコールのアタックはやや強いですが、白桃やパイナップル、そしてバニラの芳醇な甘い香りを感じます。
口に含むと桃やココナッツなどのフレーバーと特有のフレッシュな南国フルーツ。爽やかさを伴うウッディネスとスターアニスのようなスパイシーな余韻。
豊かでバランスの取れた味わいのボトルです。
カバラン ソリスト オロロソシェリーカスクストレングス
チーフブレンダ―厳選のスペイン産オロロソシェリー樽を使ったシングルカスクウイスキー。
売り文句は「ラテンの情熱的風味」。冷却ろ過を避け、色調の調整も行わない最も純粋な味が楽しめる逸品です。
香りは焼いたアーモンドの芳ばしさが特徴的。たっぷりとボリューム感のあるバニラとオークの香りが漂います。
味わいは濃厚で滑らか。レーズンのしっかりした甘み、ナツメグのスパイス感。渋みと酸味のバランスがよく、実に豊かな風味です。
奥深い味わい、コク、フルボディの厚み、カバランのシェリー樽の真骨頂を味わい人はこちらがおすすめです。
カバラン ソリスト フィノシェリーカスクストレングス
チーフブレンダーが厳選した最高級のフィノシェリー樽を使用し熟成させたボトル。
2010年に発売され、瞬く間に完売してしまったフィノシェリーカスクは、ウイスキーバイブルの著者ジム・マーレイ氏に「第一印象はスコットランドのスペイサイドに似た風味だ」と評され、2013年、2014年共に97点という高得点を獲得しています。
辛口フィノシェリーの控えめな甘みとカバラン特有のトロピカルフルーツの風味が混ざり合い、重厚なスイート感を生み出している作品です。
マンゴーのリッチな甘味の中にチョコレートやトフィーなどの粘性のあるお菓子のフレーバー。リッチな甘味の中に、うっすらとスモーキーな幕が下りてくる余韻の長い逸品。
人気の高いソリストシリーズの中でもとりわけ評価の高い、傑作とも呼べるべきボトルです。
カバラン ソリスト ヴィーニョ バリック カスクストレングス
カバランソリストシリーズの一つ。
最高級ワイン樽を厳選して取り寄せ、独自の熱処理技術で焼き温度と時間を正確にコントロールし、リチャー。
こうしてできた樽は内部の繊細な香味成分が復活してカバランに素晴らしき風味を与えます。
ヴィーニョはポルトガルワインのこと。バリックはポルトガル語で樽の意味です。
香りは爽快で若々しく、メロン、カラメル、砂糖漬けしたイチゴ。
ワイン樽からくるベリー系のフルーティ、チェリーやプラムも感じます。
口に含むと温かいバターとアーモンドの芳ばしさ、バターとシュガーのシンプルなクレープを想起させます。
中間からイチゴや梅ジャム、ラズベリーの酸味、最後はブラックチョコレートのビターが広がります。
しっかりと長いウッディな余韻も楽しめるリッチな味わいのボトルです。
カバラン ソリスト ブランデー カスクストレングス
フランス産ブランデー樽を厳選し、熟成させたもの。
ブランデー樽特有のフルーツの香が魅力的な一本で、青りんごや白ブドウのような爽やかさに白桃やイチゴ、ライチなどの香りが漂います。
このフルーティなアロマに加えてカバランの濃厚なトロピカルフレーバーとバニラやトフィーの甘みが感じられる一本です。
バランスがとれたボトルで、全体的に白っぽい味のイメージがあります。余韻が非常に長い。
カバランソリストシリーズの中でもあまり見かけることがないボトルなので、ブレンデーカスクが好きな方はぜひ。
カバラン ソリスト ポートカスク カスクストレングス
こちらはポルトガル産の酒精強化ワインに使用した樽にカバランを入れて熟成させたボトルです。
ポートワインは醸造過程でアルコールを強めたワインでどっしりとした甘みを持ちます。
カバランのキャッチーな南国のトロピカルフルーツの香りをポートワイン樽がより上品に、リッチに卒なくまとめています。
ブラックベリー、ラムレーズンチョコレート、イチゴジャムの甘みが先行しますが、オレンジピールやカカオの渋み、そして微かにスモーキーな味わいもある複雑なボトル。
余韻は長く若干のスパイシーさも感じられます。
シェリーカスクよりも上品に感じる方も多いと思うので、強すぎる甘味が苦手な方はこちらがおすすめです。
カバラン ソリスト アモンティリャード シェリー カスクストレングス
アモンティリャードは二段階の熟成をたどるとてもユニークなワインで、フィノやマンサニーリャなどの一般的なシェリー酒の発酵を更に進めたもの。
かなり希少価値が高いシェリー酒です。
アモンティリャードシェリー酒自体の味わいはドライで辛口ですが、熟成させたウイスキーにはアーモンドやヘーゼルナッツのような上品で芳ばしい甘みが宿ります。
香りはアーモンド、オレンジ、トフィー、まさにキャラメルナッツをかけたバニラアイスを前にしているかのよう。口当たりは穏やかなシェリー。
味わいは糖蜜やレーズンの濃厚な甘み。アモンティリャードの影響か若いりんごのような酸味も感じられます。
トロピカルで派手な南国イメージは少し抑えられ、エレガントかつ芳醇な甘みを心ゆくまで楽しめる極上の1本です。
カバラン ソリスト マンサニージャ シェリー カスクストレングス
マンサニージャは白ぶどうのみで作られたフィノシェリーの一種で、シェリー酒の中では甘さが一番控えめとなります。
またスペインの港町サンルーカルが産地となるためほのかに海の塩気とミネラルの風味を含みます。
この複雑な味わいを持つマンサニージャの樽でカバランを熟成させると、カバラン特有のフルーティな風味とマンサニージャのドライで爽やかな香りが現れます。
マンサニージャ同様トロピカルフレーバーは控えめな印象。やはりナッティなアロマが強く、メロンと若干のインク。オレンジピール、少しのミント。
口に含むと塩気とビターさを強く感じます。ダークチョコレートと塩キャラメル。塩漬けのきゅうり?グレープフルーツのようなビターな柑橘。
わかりやすさはないボトルで、かなり玄人向けかと思います。
カバラン ソリスト PXシェリー カスクストレングス
PX(ペドロヒメネス)シェリー樽は濃厚な甘みが特徴で「シェリー酒の王様」とも呼ばれています。
このPXシェリー樽で熟成させたカバランは独特のフルーティ、バラの花のようなフローラルな風味をもちます。
香りははちみつ、ヘーゼルナッツ、PX特有のバニリン。
口当たりは非常にクリーミーでシルクのよう。口内に含むと熱を持ったドライレーズン、濃厚で甘いチョコレート。コーヒーキャンディ。
若干ジンジャーやカルダモンのようなスパイスも感じ、ドロドロのフルーツジュースのような後味もあります。
非常にボディが分厚く、満足度の高い逸品。
大人の女性の様に艶やかで魅惑的な香りと味わいのボトルで、個人的にはカバラン最高のボトルかと。
カバラン ソリスト モスカテル シェリー カスクストレングス
スペイン産のシェリー酒モスカテルはマスカットの様な爽やかな風味を持っています。
こちらはモスカテルシェリー長期熟成させた樽を厳選し、カバランを入れて熟成させたもの。
爽やかですがコクのある甘い香り、マスカット、ポン菓子、煮込んだプルーン、少しだけホワイトペッパー。
味わいはマンゴーやパパイヤといった南国フルーツのフレーバー。甘いパイプたばこ。レーズンバターとミルクチョコレートの油性のあるクリーミーな風味を感じられる一本です。
基本性能が非常に高いカバラン。
どれも文句なくうまいですし、スタンダード品のディスティラリーセレクトはいきなりボトルで買っても後悔はないと思います。
あと、カバランすごいなーと思うのがそのブランディング戦略です。
「短期間でも長熟ウイスキーの味わいを出せる風土」を宣伝文に、強気の高価格帯で商品をリリースし、賞を総ナメにしました。
高級志向のイメージを持たせておいて、2018年には一気に価格帯を下げたディスティラリーセレクトで、低所得者層を刈り取る戦略はお見事です。
これから台湾のウイスキーは盛り上がってくると思うので、活躍に期待ですね。
ざっくり覚える!
カバランは台湾の北東部、宜蘭県(ぎらんけん/イーランけん)でつくられるタイワニーズウイスキー。
一般的に世界5大ウイスキー(スコットランド・アメリカ・カナダ・アイリッシュ・日本)と呼ばれるジャンルがありますが、カバランはこれ以外の土地で作られたニューワールドウイスキーと呼ばれるくくりとなります。
蒸溜所は2005年に新設。
2008年に始めてのボトルがリリースとなった新ブランドです。
新興蒸溜所と侮ることなかれ。台湾の大手飲料メーカー「金車グループ」による製造技法はウイスキーづくりの本場スコットランドの手法をベースに取り入れ、また科学的側面からも熟成方法などを分析し、計画的で緻密に作られています。
コンピューターでの糖化管理、野生酵母の培養、様々な樽の精密なモニタリング。カバランは自然と科学が融合した完成度の高いウイスキーなのです。