適度な飲酒はリラックス効果をもたらし、良質な睡眠に役立つと考えられてきました。
いわゆる寝酒というやつですね。
ところが、近年ではお酒と睡眠の質については多くの研究が行われていて、特にお酒を飲みすぎてしまった場合は、逆に睡眠の妨げになってしまうということがわかっているのです。
では、それはどのような理由によるものなのでしょうか?
今回は睡眠と飲酒の関係についてご紹介していきますので、ぜひ、参考にしてみてください。
お酒(アルコール)と睡眠時間。眠りの質の関係
眠れないからお酒を飲むという方は多いでしょう。
実は、私もその中の一人です。
実際、お酒を飲むといつの間にか眠くなり、普段寝付きが悪い私でもすんなりと入眠することができます。
が、しかし!
お酒を飲みすぎると眠りが浅くなるということが、さまざまな研究によって明らかにされているのです。
お酒を飲みすぎると眠りが浅くなる理由とは
ノンレム睡眠とレム睡眠という言葉は、誰でも一度は耳にしたことがあるでしょう。
ノンレム睡眠は深い眠りを意味し、レム睡眠は浅い眠りを意味しており、睡眠時間中にはこれらの睡眠が4~5回程度繰り返されるといわれています。
そして、お酒を飲んでリラックスした状態になると短時間でノンレム睡眠に入りやすくなるといわれています。
つまり、寝付きが良くなるということですね。
しかし、お酒を飲んだことによってアセトアルデヒドが生成されると、この物質によってノンレム睡眠が阻害され、レム睡眠の時間が長くなるといわれているのです。
つまり、お酒を飲めば飲むほどアセトアルデヒドの生成量が増え、それによって深い眠りが妨げられ、結果的に睡眠不足になる可能性が高くなるということです。
お酒を飲んで眠りに就き、十分に寝たはずなのに日中に眠気が出やすいという方は、アセトアルデヒドによって深い眠りが妨げられている可能性が大。
飲みすぎにはくれぐれも注意しましょう。
そして、お酒を飲むともうひとつ気になる問題が出てきます。
それは、「いびき」
お酒を飲むといびきがうるさくなることがありますが、これはお酒を飲んだことで喉周辺の筋肉が緩み、酸素が送られる軌道が狭くなることが原因だといわれています。
睡眠が浅いだけなら自分だけの問題として片付けられますが、いびきがうるさいとなると、家族や旅行先で誰かに迷惑をかける可能性が高まります。
睡眠時無呼吸症候群との関連性も高いので睡眠前の飲酒には注意が必要です。
脳の覚醒と自律神経について
上記にも書いた通り二日酔いの眠気は、アセトアルデヒドが元凶で起こっている可能性が高いのですが、飲酒にはもうひとつ睡眠不足になりやすい原因が潜んでいます。
それは、アルコールが持つ脳の覚醒作用による睡眠障害です。
アルコール成分が体内に吸収されると自律神経が影響を受け、脳が一時的に覚醒するということです。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、互いにバランスが取れている状態であれば睡眠不足は起こりにくいでしょう。
しかし、お酒を大量に飲んだ場合では交感神経の働きが活性化され、脳や身体は「戦闘態勢」になります。
すると、床に入っても目が冴える、眠りが浅くなるなどのトラブルが起こります。
また、交感神経の働きが活性化すると汗をかきやすくなって寝汗が増えることがあります。
このように寝汗を多くかいてしまうと、翌日には脱水症状が起こり、眠気だけではなく倦怠感や頭痛、肌荒れなどの症状が現れやすくなります。
これらは典型的な二日酔いの症状ですので、まずはあまり飲みすぎないように注意しなくてはなりません。
もしもこのような二日酔いの症状が現れてしまったら、まずは水を200ml程度飲んで様子を見ましょう。
また、脱水症状とともに起こりやすいのが低血糖症で、この状態もまた、頭痛を誘発することがあります。
この場合では、糖質の摂取が頭痛の回復を早めますので、ラムネやご飯、麺類などを少量でも摂ってみることをおすすめします。
お酒と眠剤(睡眠導入剤)の併用は可能?
「眠りが浅いのなら眠剤を飲むのはダメ?」という疑問が生じるかもしれませんね。
しかし、大量にお酒を飲んだ後に眠剤を飲むという行為は肝臓にダメージを与えますので、やってはいけません。
アルコール成分は肝臓で分解・代謝され、時間をかけて体外へ排出されて行きます。
そして、少量のアルコール成分であれば短時間のうちに分解・代謝されますが、大量のアルコール成分が体内に取り込まれてきた場合では、その処理に時間を要します。
つまり、その間の肝臓は休む暇なく働き続けているということです。
そのように大忙しの肝臓が眠剤の成分を受け取ったらどのようなことが起こるのでしょうか?
眠剤の成分もまた肝臓で分解・代謝されるため、肝臓はアルコール成分に加えて眠剤の成分の処理にも追われることになります。
ということは、肝臓への負担はますます重くなり、肝機能が低下する原因になるということです。
お酒の飲みすぎで眠りが浅いと、夜中や明け方に急に目が冴えることがあり、これを中途覚醒といいます。
そして、ここで眠剤を飲んだら肝臓が悲鳴を上げることは目に見えています。
夜中や明け方に目が冴えてしまったら、睡眠をとれない状態でもかまいませんので、無理に起きるのではなく、そのまま布団の中で身体を休めましょう。
また、アルコール成分もそうですが、睡眠薬に頼ることが習慣になると、やがてそれなしでは入眠できなくなります。
実は、私自身睡眠薬に頼っている時期があったのですが、あまり頼っていてはいけないという気持ちから服用をストップしたら、とたんに寝付きが悪くなりました。
お酒と眠剤は一緒に摂ってはいけませんが、お酒を飲まない状態でも眠剤に頼りきりになるというのは考えものです。
眠剤はどうしても眠れないときの最終手段として考え、常飲しないことをおすすめします。
現在は睡眠薬ではなく、安全に入眠できるサプリなども販売されています。リーズナブルですので活用してみてください。
お酒を飲んだ後にもしっかり睡眠をとる方法
お酒を飲んだ後にもしっかりと睡眠をとりたいのなら、睡眠直前にお酒を飲まない、お酒を適量を守る、というのが一番の方法です。難しいですが。
そしてもうひとつ、睡眠環境を整えておくことも大切です。
たとえば、
- 寝室の温度は適温でしょうか?
- 寝室の臭いはどうですか?
- 窓から余分な光が差し込んで、睡眠を妨げる可能性はありませんか?
- ご自身に合った枕を使っていますか?
温度、臭気、光、体勢などを整えるだけで、お酒を飲んだとしてもかなり寝付きが良くなるといわれています。
特に臭いとカーテンから漏れる光は忘れがち。
飲み会だけでなく家飲みをするときでも、まずは睡眠環境を整えておいてから、ゆっくりとお酒を楽しみましょう。
禁酒や摂取で眠りの質は変わるのか
「お酒が睡眠の質を低下させている可能性がある」と自覚しているのであればしばらく禁酒して様子を見ることも大切です。
ただし、睡眠の質を低下させる原因はお酒だけでなく、ストレスなども大きく関わってくるといわれています。
睡眠の質を向上させようとして禁酒したら、それ自体がストレスになってしまったというのでは本末転倒です。
そうならないためには、適度な酒量を守り、なるべくストレスを抱えない生活を送ることが大切でしょう。
また、できるだけ毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きるというように、生活のリズムを整えておくことも大切ですよ。
お酒は適度に。快適な睡眠を!
「酒は百薬の長」という言葉がありますが、これは正しくもあり、間違っているともいえます。
適量のお酒であればリラックス効果をもたらし、ストレスを緩和し、心を豊かにしてくれるでしょう。
しかし、難しいのはどの程度の量が「適量」なのか?という点ですね。
これには個人差があるため、一概にどれくらいが適量なのかということは明言できません。
ある一説によれば、日本酒なら1合程度、ビールなら中瓶1本程度、ウイスキーであればダブルでグラス1杯程度が適量の基準だといわれています。
お酒が大好きな私にとって、この量では飲んだ気になりませんが、肝臓の健康や睡眠不足の予防という部分を考えるのなら、適量を守ったほうがいいのかな…とは思います。
日本には何かというとお酒を飲むという文化が根付いていますので、とにかく飲みすぎないこと、そして休肝日を設けること。
これだけはお互いに注意しましょうね!
快適な睡眠には肝臓の健康が重要
夕方まで使い物にならない長引く二日酔いを防ぎたい。体の中がだるくて、なんだか寝不足。は、加齢ではなくて臓器が疲れているせいかも。
重要なのは継続して肝臓をいたわることです。
健康な肝臓であればお酒の代謝もスピーディーに行うことができ、睡眠不足はもちろん、二日酔いの頭痛や吐き気も予防できます。
加齢のせいにしがちですが、二日酔いが夕方まで長引いたり、いつも身体の中がだるくてなんだか寝不足、といった症状は臓器の疲れからも起こります。
定期的に休肝日を用意し、必要な栄養素をしっかり摂り込んで日々のパフォーマンスをあげましょう。
毎日、毎週、毎月、少しずつ肝臓に投資を行うことがあなたの未来を豊かにします。
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